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山下晃明のブラジルで損せぬ法(229)(230)新年号/2月号
暫く掲載が遅れていましたが『実業のブラジル』誌の主要経済評論である山下晃明のブラジルで損せぬ法(229)(230)2007年度新年号、2月号を掲載して置きます。山下さんに誘われて私も昨年9月号から南伯便り【南の国境から見たブラジル】を同じ『実業のブラジル』誌に掲載させて頂いています。
新年号では強運の第2期目に入ったルーラ大統領への期待、今後の施策、展開を説明し2月号では日本移民100周年への提言としてネット網による日系人の団結を計り140万日系人ネットワーク構築を提唱している。分かり易い説明で奥の深い内容を説く山下節は冴える。
写真は、リオで山下さんと一杯やった時のものです。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(229)
『実業のブラジル』誌に好評連載中(2007年新年号)
ルーラ大統領2期政権への期待
 この人は強運の人だ。1期就任後にロシア・ショックもアジア・ショックも起きなかった。インフレは収束し、石油は自給になる、鉄鉱石、原油など1次産品は国際価格が高騰し、中国向け輸出も急増して、貿易収支の黒字は記録の続伸、外貨準備高も記録で外債を前倒し返済し、あれほどの汚職騒ぎでも弾劾にもならず、為替は安定、国際リスク指数も下がり、株価は上がった。
 元旦にルーラの2期政権が発足し、施政演説が行われた。本人としては歴史に残る大統領になるのを希望しているようであり、選挙運動中の相手候補との討論などで批判された成長率の低さなどを意識している。この人は大統領になってから、選挙運動中にも知識をどんどん吸収しているように見受けられる。
 とくに今回の選挙は自力で勝った意識が強く、1期政権のようにPTに気を使った組閣では無いようだ。陰陽自然学の飯田亨先生の予想では今期のルーラは大変強気で、強権政治に変貌するとのことである。
さてルーラ新政権はどうなるか。組閣の動きを見ていると、継続政権だから昨年中に組閣できたにかかわらず、いまだ大臣の任命も完了していない。さらに15日までは大統領が休暇で、残りの大臣の任命はどうも2月の上下両院議長選挙の結果と政党を天秤をかける動きである。
 施政演説には具体的な数字は無く、対外的な開放政策も無さそうである。ギド・マンテガ蔵相の10年計画を見ても、昇給率を年5%とか、最低賃金や年金増額率をGDP伸び率に限度にしてGDPの0.4%を節約するのと電子ノッタフィスカルの強化で税率を上げずに税収を増やすといった程度の、策とは言えないレベルで根本的な改革がないし、彼も16日まで休暇である。
 国会議員が年末に91%の給与調整のお手盛り案を提出した。国民の昇給はわずか数パーセントであるから大きな社会問題となっている。幸い議会が即決せず決定を本年に延期したが、国庫収入が不足するからと増税に増税の上に司法関係者や議員のお手盛りでは納税者は浮かばれない。これで各種改革でも推進するならまだ良しとするが、昨年のように仲間議員の汚職調査ばかりして何もしないのであれば、いっそのこと全員いない方が良い。国民は納税拒絶運動でもして明確に反対を表明するべきである。
 ルーラ大統領に一番期待したのは労働法改正と年金制度改革であったが、一向に手をつける気配がない。税制改革も進まないが、昨年末に大統領がサインした憲法補足令第123号、7月1日発効だが、これが機能すると年商240万レアルまでの会社は大幅減税になる。大企業からは電子化でより厳しく徴収し、小・零細企業からは売上げの一定率を簡易システムで徴収する方針のようである。
いろいろと内部事情はあるだろうが、今のブラジルの経済開放にもっとも手っ取り早い手法は、たとえ一時的にでもFTAAを受け入れることである。外圧で、過去のしがらみの既得権組織を排除解体し、世界一煩雑な税法や年金法の改革を決行する口実となる。しかしルーラにはその気はなさそうだ。
 ブラジルの経済成長は2.7%で人口増を勘案すると1人当たりの成長はほとんどゼロだ。ルーラ大統領が何もしなければ変わらない。計画なしに成長なし、エネルギー供給をはじめインフラや教育に投資、税制改革、労働法改正も含めた総合計画が必要だろう。なおOCDE(経済開発協力機構)はこの国の成長のために、税金調整、民間の研究開発投資の増加、生産性の向上、正規雇用の増加、技術力、教育レベルの向上、脱税の削減、貧富の差の縮小、が必要と言っている。

 ルーラがGDP成長率を年5%にするには
 付加価値累積法でGDPすなわち国民所得は給料、利息、家賃、利益の国内支払額の総和である。例えばあなたの収入は、働いておれば給料か口銭収入、金を貸すか預けておれば利子収入、不動産など貸しておればその賃貸収入、株を買っておればその配当か売買益、動産不動産の売買益、寄付金などをもらったら臨時収入の利益しかないわけである。
 したがってそれ以外の商工業の難しい要素を一切考える必要はなく、この総和を5%増やせばよいのである。逆の言い方をすれば、この4項目合計が5%増えなければ5%の成長はあり得ないのである。  
 日本では資本分配率とか家計分配率という統計があるのだが、ブラジルにはこの種統計があるのか知らないが見当たらない。
一説にブラジルはウラ経済が40%もあるというから、ウラで払っているこの4項目をオモテにすれば5%成長は簡単に達成できそうであるが、ウラをオモテにすると支払うべき税金が増えて赤字になるから簡単ではない。
 それではこの4要素の問題点を見てみよう。

[人件費・給料]
 最低賃金が350から380になり、議員の91%のお手盛り案が審議中であるから、現在ブラジルのこの要素の年5%上昇は大幅解雇でも起きない限り問題なく達成する。税金も公務員給料などに払われるから最終的に4要素になるわけだが、大きな違いは企業と違って政府は利益を生み出さないから、公務員の給料が増えるほど利益は減少することになる。
 なお40%あると言われる非正式雇用を正規雇用にするにはその前に労働者過保護の労働法を改正せねばならない。ブラジルの給料の120%にもなる人件付帯費の高さは異常である。例えば中堅社員の採用の場合も、ブラジルで1000ドル払うより米国で2000ドルで新卒を雇った方が企業の年間出費は割安になる。これで国際競争力を持てというのは無理な話しである。
 また解雇費用も多額になることが無届け雇用を増やしている。また最低賃金が上がると高給取りもすべてに連動して上がり、高齢で生産性が落ちてもシンジケートが減給させないのも異常である。さらにブラジルは解雇すると必ずと言ってよいほど労働訴訟になるから、人手が必要でもうかつに正規採用で増員できない。すなわち労働者保護のはずの労働法が逆に正規雇用の大きな障害と無届け給料支払いの奨励法になっているのである。
 政府が関与するのは最低賃金のみに限定し、人件付帯費用率を半分以下に下げながら正規雇用を義務付けていくべきである。

[支払い利息]
 SELICが下がるので各金融機関の貸し出し利子も少しづつ下がっている。金利を下げろの市場圧力は強いが、実は過去と同じ融資総額だと利子の支払総額は減りGDPにはマイナス効果になる。金利が下がった分を企業が儲ければ同じ結果だが、その分値下げして売る企業が出るからである。
 しかしながら今後消費者金利が下がれば、月賦期間が延長されて一回の月賦支払額が下がり、自動車や家具など高額消費財の消費層が増えて、販売量が急増する可能性がある。最近銀行が融資を積極的にオッファーしてくるのは利子収入額を減らさないためと思われるが、金利を国際水準に下げると同時に中小企業などに対し長期運転資本融資を制度化すれば産業はもっと発展するだろう。
 日本では利息制限法で年20%以上は高利貸しでも罰せられる時代になりつつあるのに、ブラジルでは銀行が月7%とか異常に高利息を取る。公定レート(SELIC)が13.25%でインフレ見合いを差し引いても8.7%と断然世界一の高利国である。先進国で利息にインフレ見合いを加算する国はないから、これは銀行過保護である。まずはこのハンデイキャップを取り去ることから始めねばならない。

[家賃・賃貸料]
 これは現在FGV-DIで調整される賃貸契約書が多いからインフレと同率の調整となる。現状はインフレが5%以下になると家賃も5%以下の伸びとなる。不足分だけ景気が良くなって賃貸物件総量が増えねばならない。不景気にしてはだめである。

[利益・配当]
 利益総額が5%伸びねばならぬが、利益にはマイナス利益(赤字)の企業もある。左前の企業の赤字も相殺し、全体の伸びが5%になるまで利益率を上げねばならぬ道理だ。GDPの平均43%にもなる税金と、売りの手形割引金利が年30%以上にもなる世界一高い利子を払ってさらに儲けの「率」を上げられる商工業など存在しないから、全体の利益率はインフレ率にもならない低い数字だろう。
憲法補足令第123号で年商240万レアルまでの会社は大幅減税になり利益が上がることになる。これでウラ取引をオモテにすることができれば少し利益増効果が期待できるが、やはり大企業の利益が増えないと数字が上がらない。税制と金利制度の改革を急ぐべきだ。

 中国もFOME ZERO政策
 先月号で「ルーラにもノーベル平和賞を」と書いたが、中国も貧困撲滅のため2010年までに、月収85ドル以下の貧困者2360万人を対象に50億ドルの予算で一人31から127ドルを払う計画が発表された。人数的には4400万人のルーラのほうが上か。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(230)
『実業のブラジル』誌に好評連載中(2007年2月号)
移民100周年への提言
  このリオで書斎のクーラーが壊れた。修理を頼んだら来週の半ばに来るという。なぜクーラーは夏に故障するか。
 2005年2月号でもコロニアへの提言をしたが、こう暑いと、ひとこと言いたくもなる。

 あいかわらず100周年に箱物を建設しようとする声と、建築するなという声が交互に聞こえてくる。
 100年祭事業に関連するが、日本に寄付を陳情したが冷たく断られたという話もよく聞く。
 戦前移民の陳情の骨子「コロニア事業が赤字なので援助をお願いします」の過去回帰の要望は今の時代ではもう受け入れられないのではなかろうか。先方の本音をウソ発見器で言わせたら、「いつまでも移民したことを日本国の所為にして寄付金をせびるのは止めてください」と言っているだろう。
 時代は変わっている。これからは未来志向で、「地球の裏、ブラジルにおける140万の日系人を活かした日本の文化の伝播継承のためにこれが必要だから投資しなさい」とお願いするべきである。
 コロニア社会が消滅と危惧されているが、実は地球の裏側で日系コロニアの人口はどんどん増えて、統計上140万人が活躍している。うち2〜30万人は日本へ出稼ぎに行ったかもしれないが、日本語と日本文化の勉強に行ったと考えたらすばらしいことではないか。
 戦後移民の子孫が年齢的に今最大の活躍期に入ってきた。彼らの親の年は移住のピーク1959年で当時20歳として、その子孫は30から40歳の年齢になっている。2世と結婚した人も多いから、2世3世である。
戦前移住者の子孫にくらべて戦後移住者の子孫の特徴は、まず戦前より勉学環境が恵まれていたので、一流大学で勉強した人の率が高いのである。次に、戦前移民の親子の葛藤の例を多く見て、直接被害を受けたこともある戦後移民の親は、子供を日系コロニア内に置いてはだめだと暗黙の判断でコロニア離れの国際化人間になることを潜在的に夢みた可能性がある。
 現在、活発に活躍しているその子孫のほとんどの人は、あらゆる職業や欧米系などの会社にも勤め、出稼ぎにもいかないが、コロニア社会にも近づかない。
 周囲にいる戦後移民の親どもに、子供たちに日系の横のつながりはあるかとかたっぱしから聞いてみた。興味あることに答えはほぼ全面否定で、親ともそれほど親密ではなく、日系のネットワークなど、そんなものは全然ないとのことである。
 しかしながら、数字に強い理屈人間のDNAは言語とは関係なく遺伝されており、医者、管理者など専門職、企業の企画要員として有能で活躍しているようである。
だがブラジル社会では、一言も日本語を話さなくとも、生まれて以来ブラジル人のみの社会に住んでいても、日系人の骨格をしているかぎりいつか必ず、「オージャポネス」という大きな壁にぶちあたる宿命にある。
 ここで日本文化か、技術が世界一になるか、日本国が大国、強国になれば、日系人である事実は誇りとなり、例え日本語の読み書きができなくても、顔はすでに日系人であるから親のルーツの日本文化に眼が向くのは間違いない。日本の方たち、がんばってください。
 それでは、この2世3世を召集する方法があるか。答えは否である。日系社会を避けているのだから集まれと言って集まるような人はまずいないのである。 

 ここに良い方法がある。
 まずは日系人職業別データ・ベースを作るのである。柔道場が全国どこの地域にいくつあるか。空手道場や剣道場はどうか。いくつの日本食堂が全国どの地域にあってそれぞれの特徴は何か。何人の日系人の医者がどの分野で全国どの地域にいるか。どの分野の弁護士や経理士が全国どの地域にいるか。
 データ・ベースは宣伝になるから、どうしてもこれをはずしてくれという理由はない。登録を拒絶する理由が無いのである。
 データ・ベースつくりは日本政府が基本モデルを提供するのが理想だが、これを構築するにあたり、ブラジルの誰にも遠慮する必要はない。あったら便利ではない、今まで無いのがおかしいので、これでは文化の伝道などできるわけがない。日本政府の方もがんばってください。
 サンパウロには便利帳というのがあって日系人が経営しているところの電話帳があるが、データ化インターネット公開でもう一歩踏み込むのである。
 データのシステムは、最初は日本のプロにお願いし、その後の更新と修正はウイキペデイア方式が経済的で良いだろう。各自又は周囲の人が訂正更新するのである。インターネットは若い人たちは必ず使うし、時間とともに発達するから問題ない、本人がコンタクトを始めたら、日系人としての証拠、親の名前などを記入してもらう。これは筆者の提言する将来の140万日系人ネットワーク構築にもつながることになる。
 以下2005年2月号より、原稿の手抜きだと言ってくださるな。

 柔道4百万空手3百万人、寿司職人は?
 もともと日本人にしか出来ない筈の特技であった寿司職人も現在は殆どブラジル人で、少なめに見積もっても4000人はいる。1990年代のコーロル・ショックなどの異常為替で給料がドル・ベースで数倍に跳ねあがったときに日本人の本職寿司職人が解雇され帰国、やむなく器用なブラジル助手を選んで寿司職人として使い始めたのがきっかけである。その後ブラジル人の職人は級数的に増えて、現在ブラジル全土の有名シュラスカリアで寿司を提供しているのはブラジル人である。
 今誰かが、寿司職人登録をNET上で開設するとメンバーは4000人になる。使用言語はもちろんポ語になるだろうが、現在の寿司職人は日本人の直接指導を受けたかその弟子達であり、見よう見まねの寿司、刺身、巻物しか出来なくても、少なくとも寿司は日本の食事であることを知っている。従ってここに日本人がリーダーにしゃしゃり出ても誰も反対するものはない。これを掌握して食事の情報提供、食材の提供、コンクールを開いたり、国籍関係無しに有段者免許制度などに組織化すれば立派な日本食文化の組織になる。
 また非日系人であっても、なにかの芸で有段者になるほど一芸を極められる才能の保持者は、技を覚えたあとで日本語文化を教授しても、飲み込みが早いものであり、「道」を説いたり、寿司ネタの魚ヘンの「漢字」も後から教えれば良いのである。

 多くの日本文化はすでにブラジルに同化
 現在ブラジルの柔道家は4百万人といわれ"JUDOUKA"はブラジル語になっているが。これらの日本文化は、組織的にはすでに日本人の手を離れてブラジル人を通じて継承されている。同じように空手は3百万人と言われているが、最近目立つのは寿司職人である。ブラジル中のシュラスカリアに寿司や刺身がおかれ、日本酒は誰でも飲むようになってきた。
 日本の文化の継承として、最初に導入した一世がいなくなっても、非日系人リーダーでより強力に組織化しつつあるものは、柔道、空手などであるが、日本人の指導で非日系リーダーが育ちつつあるのは日本食以外にも、クモン式などの教育、各宗教団体、カラオケ、折り紙、合気道、剣道、生け花、マンガ、瀬戸焼、まだ日本人が主体になっているのは日本語教育、針灸、指圧、整体矯正、太鼓、日本舞踊などがある。ブラジル人にすっかりなじんでいる飲料では酒とその飲み方、枡に塩で飲むのが特に女性間に広まっている。趣向品食材も味の素や醤油、箸、ヤクルト、ラーメン、豆腐、もやし、コンニャク、あげ、ちくわ、かにかまなどブラジル人が普通に買い求めるようになっている。ちょっと変わったものでは最近日本式高級お風呂もブラジルでブームである。
 「日系社会はブラジル同化が始まっているのだから、誇るべきブラジルの日系人として、百年祭をきっかけに2,3年かけて日系人のルーツを求めたネット・ワークを構築することを提唱する。3年後のIT技術で30万人程度のデータ登録は技術的にもわけないことだろう。それに今なれば各日系人の家のどこかに自分の祖先に日本人がいたことを証明する記録があるだろう。

 インターネットでネットワークの構築
 全国500以上といわれる日系各団体からのデータ提供と自己申告、知人の代理申告で、名前、CPF、生年月日、メール・アドレスと日系人の祖先の名前を明確にさせる。ブラジルにはすでに国民総背番号制度があるから、どんどん入力してデータのダブリはCPFの番号で整理すればよい。領事館をはじめ、全伯の日系団体と個人がトレースに協力すればブラジルにおける日系人のネットワークが構築できる。今の時代なれば家族の誰かがインターネットを使っているだろう。登録できた人から日系社会の情報を日伯両語で発信始めればよい。実在する日系人に手をつけないで、文化の伝播などできるわけがない。移民百年祭を機にこれから掌握すれば良いのである。日系人の誇りは言語とはまったく関係ない、「正座させて漢字で教えよう」などと決して思うなかれ、理解してくれる言葉で伝えれば良いのである。



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