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ブラジルの大豆生産と関連産業  麻生 悌三さんの寄稿です。
ブラジルの農業界の話題を捉えて色々貴重な寄稿をして頂いている麻生 悌三に下記お便りと共に送って頂いた原稿がそのままになっていました。4月の訪日中に送って頂いたもので大変失礼しました。
『訪日での御活躍。拝見しています。今般、大豆に就いてレポートを纏めましたので、帰国して、御ゆっくり御読み下さい。ハードなスケジュール、御健勝の程。麻生』
大豆に付いては、丸紅勤務当時の食糧部門の対日鶏肉輸出と共に大きな仕事の一つで毎年収穫時期になると大豆生産地域をフイールド・サーベイーと称して生産状況の現場検証、組合、生産者等への聞き込みのために出かけました。シカゴの大豆相場と睨めっこで500トンー1000トンのFOB買いをして2−3万トンの船に仕立て上げリオグランデの港で船積みするのに立ち会ったり結構楽しい思い出があります。他社より輸出禁止令を逸早くキャッチして1船分をヘッジしてから他社にも伝え大儲けして米国会社よりブラジル会社に報奨金として5万ドルを貰ったこともありました。
写真は、当時のものが見つかればと探してみましたが、見つからず(当時はデジカメがなかった)手っ取り早く『大豆畑』でGOOGLEで探した写真をお借りしました。


ブラジルの大豆栽培は1960年代に南部地方の小農によって、細々と開始された。
1970年代には151万トンの収穫があり、2002年には、その28倍の4182万トンの収穫に至った。 現在のブラジルは世界生産の約30%(収穫量5800万トン―2007年)の大生産国に成長した。これだけ大豆栽培が伸びた要因は、世界的需要の増大も、さることながら、政府が強力に推進した、中西部のセラード(サバンナ)地帯の開発の成功に寄与するところが大きい。セラード地域とは中西部に位置する面積、約2億Haのサバンナ地帯で日本の約5倍の面積である。当初、ブラジルの大豆の生産の90%は南部であったが、現在は南部45%、中西部46%の比率である。ブラジルは1959年にリオからブラジチヤに遷都した。その目的は内陸部を開発し、海岸線に集中する産業と人口を内陸部に向ける事だった。当時の内陸部は人口は希薄で国家の安全保障上の空白地帯であった。又、ブラジルの農試とも言うべきEMBRAPA(ブラジル農牧研究公社)も熱帯に於ける大豆栽培の適種の開発、育成に多大な貢献をしている。(かって、大蔵大臣であった、デウフィン ネット氏はEmbrapaは金食い虫でブラジル農業に何ら貢献が無いとコキおろしたが、大豆に関する限りこの言葉は当てはまらない)。ブラジルの大豆栽培はその勃興期に於いて,時流の波に乗り、チャンスを生かした。1972年のペルーのアンチョヴィー(カタクチイワシ)がかってない、不漁に見舞われ、魚粉の生産がガタ落ちとなり、飼料に重大な影響を与えた。代わりの蛋白源の大豆の国際価格が暴騰した。1973年にはアメリカが大豆、綿実の輸出禁止を行った。一連の事態で最も大きな打撃を被ったのは日本だった。
日本は海外に新しい供給先の開拓を始めた。その一環が日本政府に依る日伯セラード開発会社の設立である(後述)。

―2005から2008年(予想)までのブラジルの大豆の概況
2005   2006   2007    2008年
栽培面積(千Ha)  23284  22202   20758   21280
大豆収穫量(千トン) 52900  56215   58500   61223
イールド(トン―Ha) 2,321  2,537   2,818   2,877
搾油用原料(千トン) 29728  28751   30800   32500
大豆粒輸出(千トン) 22799  24771   23805   27500
播種用種子(千トン)  2500   2400    2600    2700
在庫(千トン)      970   1298    2701    1274

大豆粕生産(千トン) 28084  21956   23700   25023
国内需要(千トン)   9000   9800   11000   11400
輸出(千トン)    14225  12275   12346   14300
在庫(千トン)      818    864    1310     741

大豆油の生産(千トン) 5750   5384    5850    6175
国内需要(千トン)   3058   3203    3550    4100
輸出(千トン)     2696   2317    2521    2400
在庫(千トン)      272    311     152     152
(注)― 大豆油の国内需要、在庫に一部輸入油が入っている。
   ― 栽培面積は減少傾向にあるが収穫量は増えている。これはイールドの改善に依るもので、Ha当たり2,8トンの収穫量はアメリカと略、同じである。

―大豆の生産と流通(2008年度予想)
1) 農家 − 大豆粒 − 輸出(27500千トン)
2) 農家 − 搾油工業(32500千トン) − 大豆油(6175千トン)  
                     −国内需要(4100千トン)
                     ―輸出(2100千トン)
     ― 大豆粕(25625千トン)
     − 国内需要(11400千トン)
     − 輸出(14300千トン)
大豆栽培は関連産業の誘発効果が大きく、栽培に於ける、農薬、肥料、農業機械の誘致、搾油工業に於ける畜産業(養鶏、養豚)の勃興等、多くのアグリビジネスが発生する。

―ブラジルの主要搾油メーカー
ブラジルの大豆の取引は25社が90%のシェアーを握っており、その輸出に於いては、
国際穀物メジャーABCD(ADM,Bunge,Cargill,Dryfus)4社の力が大きい。
               1日当たり搾油能力     シェアー
Ceval(Bunge) 28000 ton 25%
Coimbra (Dryfus) 8000 7
ADM 6900 6
Cargill 6700 6
4社合計           51200         44%
其の他企業合計        56750         46%

―中国の輸入国としての台頭
中国は今でも世界の4大生産国の一つで、豆1600万トン、大豆油345万トンを生産している。然し、1994年から輸入国に転換している。13億人以上と言われる膨大な人口を養う為に輸入に頼る以外なく、大豆粒28317千トン、大豆油1510千トンを輸入している(2007年)。その量たるや、世界の輸入の50%を占める。南米、とくにブラジルに対する供給依存度は益々高まり、ブラジルの輸出の34%は中国向けである。1996年の中国向け輸出は5万トンであったが、2000年には200万トン、2003年には600万トン。2007年には10580千トンに至っている。中国向け輸出の予想は下記の通り。             
    2008年    2009   2012    2015
大豆粒(千トン)  34733    36405  41932   47590
大豆粕           99     不明     277     826
大豆油         2433     2561   3002   3545
中国市場の販売もABCDの独断場である。

―日本政府のセラード開発援助
ブラジル政府はセラード開発に1975年にPolocentro計画を立案した。1979年に日本政府の資金援助を得て、日伯セラード開発協力事業(Producer)を立ち上げ、2001年迄21年間に亘り事業協力を行い、セラード開発の牽引車となった。事業資金投下は693億円。8州に21箇所の入植地を造成し、345Haの土地(東京都より若干大きい)に717戸の農家を入植させたProducerが関わった面積はセラード全体の僅か3,5%に過ぎないが、地域開発のインパクトは大きく推進力となった。その間、20年間でブラジルは世界第二の大豆生産国に成長した。 生産量はアメリカと略二分するが、収穫期が6ヶ月ずれ込むことにより、(ブラジルの播種は10−12月、収穫は3−5月)、国際市場のバランスが良くなり、価格が安定した。 これは日本のみならず、世界にとってメリットがある。Producerの戦略であった、1)ブラジルに貢献(地域貢献)2)世界の食糧増産に貢献(国際貢献)3)日本の食糧供給の安定化(国益)が叶えられた。
(注)ブラジルの州別の収穫期はサンパウロ、パラナ州が3月。マットグロッソ、ミナス
ゴヤス、バイヤ州が4月、リオグランデドスール州が5月。

ブラジルの大豆輸送の問題
生産地が内陸部にうつるにつれ、輸送コストの上昇が問題となる。アメリカの場合輸送は主に水路を利用しているがブラジルは陸路のトラック輸送であり、輸送費平均はアメリカのトン当たり16ドルに対しブラジルは26ドル掛っている。マットグロッソ州の大豆を
水路で輸送する方法が開発され、1997年にロライマ州のPorto Velhoから艀でアマゾナス州のItacoatiaraに運び、外洋船に積み込むルートが実用化した。又、2003年には
タパジョース河を経由しパラー州のSantaremに運び外洋船に積み込むルートと設備が完成した。一方、マラニョン州のカラジャス鉄鉱石鉱山に運び、鉄道でSao Luis港に運ぶ
ルート、ミナスの大豆を鉄道でVitoria港に輸送するるーとも実現している。然し、内陸部に無数にある河川を利用した輸送はまだまだ不充分であり、ルート開発は急務である。

―遺伝子組み換え大豆(GMO)に就いて
遺伝子組み換えとは、細胞の胚にある染色体に人為的操作を行い、染色体に変異を起こさせ、有用な個体を選別する技術である。1973年に確立された(人為に依る変異が起こすであろうインパクト(有害)に就いては環境、消費者団体の反対も大きく結論は出ていない)。モンサント社が開発したGMO大豆でRound Up Ready-RRと云う大豆がある。
これは除草剤に耐性があり、大豆を枯らさずに除草剤を散布出来る。これだけで栽培コストは1Ha当たりで 50−100ドルぐらい安くなる。当初ブラジルはGMO大豆の栽培
流通を許可していなかった。RRの種子が密輸でアルゼンチン、パラグアイから移入し増殖、拡散した(ハイブリッド種子ではないので増殖可能)。GMO大豆の既成事実にブラジル政府は条件付きで2003年に栽培、流通を認可した。現在のブラジルのGMO大豆の栽培はリオグランデドスール州で100%。他の全州で60%。全体で平均70%である。モンサント社は大豆栽培者に対し、パテント料の支払いを要求しているが実現は到底不可能であろう。(隣の農場から花粉が飛来した自然受粉と嘯く生産者もいる)モンサントは生産者からとれなければ輸出業者から徴収すると主張し、パテント料未払いの大豆は仕向港で荷降ろしを拒否する訴訟をおこすなど言っているが、まだ実現していない。GMO作物(綿花、トウモロコシ、ジャガイモ、稲等)は世界の25社(Monsant,Dow,Dupon,Cargill,etc)の企業がパテントを独占しており、特定の企業に栽培を牛耳られる恐れがある。又、GMOは栽培者にとってコスト引き下げのメリットはあるが、消費者にとっては何のメリットも無い。
モンサントUSAの2007年12月から2008年3月の決算では売上高38億ドルに対し純利益11億ドルの巨利を得ている。これから、GMO問題の議論は益々白熱化しよう。
以上
麻生
2008年4月19日



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