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ブラジルのココア 麻生 悌三さんの寄稿文が届きました。
お馴染みのブラジル農産物を中心とした麻生さんの連載シリーズとも云える今年5通目の寄稿、【ブラジルのココア】の原稿が届きました。日常生活でも欠かせないチョコレートの原料ですがココアの原産地はアフリカでなく南米のアマゾン盆地だとは知りませんでした。ブラジルは、世界で5番目の産出国で17万トン、全生産量の5%を占めているそうです。昔、バイヤ州のUNA植民地に云った時に初めてカカオが木の幹になっているのを見て奇異に感じましたが、近くのイレウスと云う港から一部輸出されていると聞きました。世界で製品としてのチョコレートは、寒い地方のスイスやアルゼンチンのバリロッテが有名でブラジルでは南の雪が降ることがあるグラマードの町が家庭風のチョコレートとして有名で板チョコがとても美味しいです。
写真は、今回日本へのお土産にとグラマードのチョコレートを買いに出掛けた時に撮ったものです。


ブラジルのココア

ココアの原産地はアマゾン盆地、ペルーから北はメキシコに広がる地域であり、今日でも、アマゾン川上流では、野生種を見ることが出来る。中米のマヤ帝国、メキシコのアステカ帝国では、特にココアの栽培が盛んだったらしい。ココアの植物名カカオであり、ココアは食品名である。そのココアを加工したのが、いわずと知れたチョコレートである。ココアはスペイン人により、欧州に当初、飲料として広まり、17世紀の
中頃には、一般的飲料となった。栽培もカリブ海諸国から、フィリッピンにまで広めた。一方、ブラジルには、バイヤ州に1679年に栽培が伝わった。そこから、ポルトガル人により、アフリカのポルトガル植民地サントメに1855年に移植され、象牙海岸、ガーナ、ナイジェリア等に伝播した。今日ではアフリカの
西海岸が世界のココアの略70%を占める生産地帯になっている。ココアの育つ地域は南北緯度20度以内に限定され、平均気温は25度C、年間雨量は1500−2000mmを好む、典型的な高温多雨地帯の熱帯作物である。カカオは直射日光に弱く、その為、影になる木(shade tree)を植えて栽培する必要がある。
一般的には、樹高が15メーター位になる木(mogno,cumaru,cedro等)を植え、その木が育つ前はバナナ
を植え、カカオから直射日光を遮断する。影木が効果を治める時期になったら、バナナは切り倒す。カカオも永年樹であり、樹高10メーター、幹の太さ、20センチ位に育つ。苗を移植後、2−3年で実をつけ始め、5年目ぐらいから、成木となる。カカオの実はラクビーボール状の長さ15センチ程の実で、中にココアの原料となる、種子が30−50個詰まっている。その種子を乾燥させたのをココアビーンと呼ぶ。
1Ha当たりの栽培本数は1000−2000本であり、ブラジルの平均収量は1Haあたる乾燥ビーンで
750kg程度。栽培は粗放的であるが、病害に弱い作物で、高温多湿下ではカビ病の発生が多いい。

―カカオからココアに、ココアからチョコレートに
実際にはココアからチョコレートに加工するには15段階ぐらいの複雑な工程があるが、概略は次のとおり。
カカオ実収穫 − 実を割り中のカーネルを取り出す − 木箱に入れ1週間位い発酵させる − 発酵したカーネルを乾燥させる(42%位にカーネルは減る)− ココアビーン。ココアビーンは加工工場に送られる。 ココアビーン − 選別(不良品をより分ける) − ビーンを擦り潰す − 分離作業 −
(擦り潰したココアはココアマス=ココアリキュールと呼ばれ、脂肪分55%が含まれる)− ココアマスと
ココアケーキに分けられる。ココアケーキ(固まり)はその儘でも取引されるが多くは細粒してココアパウダーにする。チョコレート工場では、ココアバターに砂糖、ココアパウダーを混ぜたものを普通のチョコレートでビッターチョコとも呼ばれる。ココアバターにミルク、砂糖を混ぜたチョコレートをミルクチョコとかホワイトチョコとか呼ぶ。ココアバターは体温で溶けるので、型に流したチョコを板チョコに加工し、口に含んだら溶ける。ココアバターに粉ミルク、砂糖を加え、湯で溶かしたのはココアドリンクでる。
当初は、このココアドリンクだけで、板チョコ等が市場に現れたのは、1850年位いからである。伊達藩の遣欧使節団(1613年―1620年)で欧州を訪問した、日本人が日本人で最初にココアを飲んだと言われている。

―世界の主要生産国のココア豆生産量(2005年)
生産国          生産量       シェアー
コートジボアール     1,33百万トン   40%
ガーナ          0,55       15
インドネシア       0,44       13
ナイジェリア       0,20        6
ブラジル         0,17        5
ドミニカ         0,11        3
その他諸国        0,60       19
世界生産         3,40百万トン
ココアの原産地の中南米の20数カ国の生産合計は50万トン程度で全体の15%に過ぎない。
ココアの定期市場(先物売買)はアフリカ、東南アジアのココアはロンドンで行われ、中南米のココアは
ニューヨークで行はられる。日本はほとんどのビーンはアイボリーコーストより輸入しており、ブラジル
からの輸入はココアバターが殆どである。い。

―世界主要国のチョコレート及び含有製品の生産、輸出入、国内消費量、一人当たり年間消費(2004)
主要国    国内生産    輸入量    輸出量    国内消費     年間一人消費
アメリカ   1500千トン 174千トン 119千トン 1556千トン  5,3 kg
ドイツ    1075    244    402     917    11,1
イギリス    475    172     91     556     9,4
ブラジル    423      6     53     376     2,1
フランス    398    254    214     376     7,3
イタリア    256     63     79     283     4,2
日本      243     42      3     283     2,2
ベルギー    218     74    197      98     9,5
スイス     127     21     68      80    10,8
オランダ    160     72    160      73     4,5
ブラジルに永年、居を定めている者にとって、日本の一人当たり年間消費がブラジルより多いいとは、
俄に信じられないが、こちらが浦島太郎になって最近の日本の消費に疎いことからだろうか。ブラジルでも
サンパウロ州の消費が最も多く、3,8kgと言う説もある(イタリア並み)。それに次ぐのはリオグランデドスール、サンタカタリーナ州ではなかろうか。リオグランデは特に冬季のココアドリンクの消費量が多く、Nescau(Nestle社のココアパウダー)の消費では群を抜いている。中西部、東北、北部の気温の高い地域のココアとチョコレートの消費は低い。主要国は原料を輸入し、製品を輸出している。

―ブラジルのカカオ
カカオはバイヤ州のItabuna,Ilheusを中心とする地域、南緯13度のあたりの生産が多く、ブラジル全体の約80%を占める。地域別生産では推定だが、ロライマ11%、エスピリットサント3%、、アマゾナス、
パラー、マットグロッソの合計で6%ではなかろうか。栽培面積に関しては、ブラジル全体で20万Ha。
バイヤ州で14万Ha、ロライマ 1,6万、その他地域 4,4万Haと推定する。アイボリーコーストの栽培面積は120万Haといわれ、1,33百万トンの収穫だと、1Ha当たり 1,1トンのイールド
ということになり、ブラジルのイールドより遥かに良いと言えよう。カカオは苗を定植した後、2−4年で実をつけるが、本格的収穫は5年以降で、年2回収穫がある。プリンシパル(本収穫)11月―翌年2月。
テンポロン(時期はずれ収穫)4月―8月があるが収穫量はプリンシパルが80%である。
―農年度別のブラジルのカカオ(乾燥ビーン)の生産、輸出入、国内加工量 (単位=トン)
農年度 バイヤ州生産量   ブラジル生産量   輸入量     輸出量     国内加工量
00・01 105454    129347    60366   2064    194068
01.02 129329    157208    22996   3204    179605
02・03 101118    130334    75461   3295    190394
03・04 144195    175567    40100   1575    206117
04・05 122344    170800    47304    983    201474
05・06 139584    164774    53695   1035    215000
06・07 110244    137946    74712    397    212000
07・08 104681    142974    69643    764    218000
カーネルでの輸出は殆どなく、むしろ、国内工業(磨り潰し分離工場)の余力キャパ分をアイボリー等から
輸入(ドロウバック輸入も多いい)している状態である。農年度とは本年11月から翌年2月に跨る収穫期
を表す。国内加工量は国内チョコレートの原料供給、及びカカオマス、バター、パウダー等の輸出も賄う。

―ブラジルのカカオ加工工業(2003年)
カカオを磨り潰し、カカオマスに加工する工場はバイヤ州に5工場、パラー州に1工場ある。
工場名     親会社国籍     加工量      シェアー
Cargill     USA        67980トン  33%
Barry     USA        45320    22
Nestle     Swiss       26390     13
ADM Johanes USA       45320     22
Indeca     Brazil        6866      9
パラー州の加工メーカーの概要は不明だが、Yung Zeng云う名の中国系のオーナーと聞く。
加工業者も1社を除き、全て外国資本である。

―ブラジルのチョコレート及び含有製品の年度別、生産、輸出入、国内生産
        02年   03    04    05    06    07
生産     337千トン 339千  423千  410千  444千  497千
輸出      32     46    53    56    45    40
輸入        3      5      6    5     6      6
国内生産     3を13    298    373  359   405   453
ABICAB(ブラジル チョコレート、チョコ菓子、ビスケット、ケーキ、飴、ピーナッツ、ガム工業協会)
は国内工業の80%が加入している最大の協会である。協会の統計によれば、チョコレート、その含有製品は30種類以上に及び08年の総売り上げは約72億レアル(31億ドル)。ココアの加工量の倍近くのチョコの生産量は、チョコ含有製品に他原料(小麦粉等)の使用が加算されている理由からである。ブラジルのチョコレート類の生産量は、アメリカ、ドイツ、イギリスに次いで世界4番目の生産量である。地域別の消費では、サンパウロ州41%、南部21%、リオ、ミナス17%、中西部9%、東北、北部7%である。なお又、イースターの卵型チョコレート(OVO DE PASCOA)の販売量ではブラジルはイギリスに次いで多く、08年の販売量は2、3万トン。輸出に就いては、仕向け国シェアーはアメリカ31%。アフリカ諸国
18%、及び中南米諸国である。

―ブラジルの板チョコレートメーカー
板チョコはチョコレートの含有比率が最も多く、大量生産と大量販売が特徴である。ABICABによれば、ブラジルの板チョコのメーカー数は12社で殆どが外国資本のメーカーである。メーカー名と親会社国籍は次の通り。Arcor(Arcor—Argentin),Bel(France),Cacau Show(Brazil),Erlan( brasil ),Ferreiro(italy
),,Garoto(Swiss),Hershey(USA),Lacta(Kraft Food-USA),Master Food(Mar Inc-USA),Nestle(Swiss),
Pietbon(Bergium),Top Can(USA)ブラジル資本の2社を除いて残り10社は全て外資である。
尚、ブラジルの老舗Garoto(Vitoria-Espirito Santo)はNestleに買収されているが、CADE(公正取引委員会)は独禁法から、他社に売却を勧告している。業界2位のKraft Foodは世界のチョコメーカーの売り上げ6位で親会社はタバコのフィッリプモーリス(Marbolo)でブラジルの兄弟会社にはアイスクリームナンバーワンのKibonがある。元サンパウロ州知事のAdemar de Barros Family所有のLACTAをKRAFTが買収している。ブラジルの板チョコの大手3社のマーケットシェアー推定すると、Nestle 30%,Lacta 25%,
Garoto 22%で3社でブラジルの77%を占めていると推定する(各社の個別生産量、販売高の統計はなし)。
Nestle Groupで52%を占めておりCADEが文句を言うのも肯ける。Master Foodの親会社Mar Incは
アメリカ(世界)最大のチョコレートメーカーで売上高9546百万ドル(2006年)の巨大企業である

―世界のチョコレートに目を転じると、世界の2006年の10大メーカーの総売り上げ高は約445億ドルで1位のUSAのMar Incの売り上げは約95億ドル、3位のNestleが80億ドル、6位のKraftが
22億ドル、日本のナンバーワン明治製菓が7位で17億ドル。ブラジル全体が束になっても売り上げは31億ドルで、世界ランキングの企業の6位にしかならない。資本、技術、販売力の3拍子の揃った巨大企業がマーケットを圧倒しており、この産業の大手寡占化は益々、進むと考える。
以上
麻生
2009年5月1日



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