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山下晃明のブラジルで損せぬ法(254)、(255)、(256)2月、3月、4月号
また山下さんの原稿が溜まってしまった。9月末にリオに出向き久し振りに夕食を御一緒させて貰った。元気にしておられて山下節を楽しんだ。
10月に神戸高校の学友仲間が和歌山に年に一度の親睦旅行を実施するので出て来ないかとの誘いを受けているが私の訪日は年度初めの4月か5月、山下さんも春に2ヶ月近く本の出版の為の手伝いに訪日していたので秋の時期の訪日は出来ないと返事を出しているが夕食時に撮った写真を送って置くことにした。
ブラジルに置ける一番長い付き合いは、神戸高校時代から数えると55年に成る山下さんと云う事になる。
実業のブラジルの超ロングランの彼の執筆原稿は本にすると何冊に成るのだろうか?男としての遣らなければならない仕事は、子供を作り、木を植え、本を書くことらしいがそのどれもを達成しているのは見事である。
写真はリオで夕食を共にした時に撮らせて頂いた山下さんの近影です。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(254)
時代改革のための思想
 オバマ新大統領や小泉首相は、改革だ改革だと改革を選挙の売り物にしたが、何のために何をするのか、もう一つ説得力に欠けた。従来または現行の継続が不可能な時代になった事実を前提にして、まったく新しい発想で抜本的に変えなければ続行できなくなると切羽詰った事実を伝え、それを賛成か反対かなどと議論するのではなく、皆でどう変えて切り抜けるかを考えるのでなければ改革は成功しない。
 輸出メーカーや銀行の救済、失業者への援助問題、これに対し世界的に現在行っていることは減量リストラと財政出動のみであるが、窮状企業再建をねらわず、まったく新しいことに投資するのであれば、やり方が変るのではなかろうか。
 もし十分に資金援助すれば自動車工業や金融投資機関が救えるか。売るべき財、品、サービスが大きく変りつつあるとき、例えば産業革命時に左前になった馬車の製造業が救えるかの問題であって、もっと未来を見据えて新しいものに投資せねばならない。
 時代変化に対応できない衰退業種で不必要になった失業者を救えるか。否である。
日本で終身雇用復活などの声が出始めているが、今の時代としては危険な思想である。
変革期にはそれに対応できない、いわば時代に不適格な人たちも多数発生するであろう。したがって失業者に現行の給料の80%を払うような保険システムでは保険会社が倒産することになろう。
 新時代の職業を再訓練する機関と、最低限、生きるための保証、補助などを行う人道的な組織はまったく別に用意する必要があるのではないだろうか。要するに、どうしても食えない人には無償でスープと寝るところのある駆け込み寺を提供するのである。
まずは環境問題、温暖化効果ガス、燃料問題、これは改めて強調する必要もないが、地球上の人類が増え続けることにより起きた現象で、今のまま継続すると地球上に人類が住めなくなることが分かってきた。議論はさておき、とにかく今すぐ何か変えねばならないであろう。
 このほか一つの時代が終わり改革期に入るために起きているとみられる社会現象、米国発の金融不況、自動車不況、テロの問題、減反農業、農村問題、派遣社員失業、失業者増大、労働裁判、教育、政治などすべて基本から見直す必要があるだろう。

 医療保険改革に的をしぼってみよう
 健康保険、介護保険など、世界的に大赤字の医療保険システムは緊急に根本的な改革が必要である。
オバマ新米大統領は改革の一つとして、米国の社会保険制度を改革する考えと報道された。信じられないことだが米国には国家の国民健康保険制度がない。移民も多く、黒人層など裕福でない人、パートで働く人の殆どは健康保険を持っていない。一方米国の医療コストは異常に高く、ちょっとした手術で5万ドル10万ドルは普通である。通常は勤務する企業が提供するか自分で払う民間医療保険で払われている。通常この種の健康保険はどの国でも赤字であるが、米国の場合は大衆への保険制度を導入すると国庫財政が天文学的な赤字になるであろう。
 ブラジルにはINSSといういくら税率を上げても万年赤字の健康保険制度があるが、診断を受けるのに、未明から列に並ばねばならぬ上、十分の医療をしてもらえないといった問題があり、企業などは社員のために民間の健康保険を平行契約しているが、最近だんだんと値上げされる傾向がある。
 日本も人口構成が少子化老人化で保険年金行政は破綻状態であり、世界共通して言えることは、従来または現行の継続は理論的に不可能になっていることである。
従って世界的に抜本的な改革を行わねばならぬが、少し具体的に考えてみよう。
例えば血液検査をする。健康保険を持っておれば、カードをみせるだけだから、誰も検査料がいくらであるのか知らない。もし自分で払うのであれば、AよりBが安いと検査料を意識するであろうが、自分で払わないからだれも料金は気にしない。単に自分の持っているXXカードは受け付けますかと聞くだけである。従って独占事業みたいなもので、かなり高い料金を払わされているのである。
入院も同じで、XXカードが使えますかと、自分の健康保険会社と契約している病院をさがすことになる。
 この場合も誰もコストを気にしていないから、かなり高い入院費、手術料になっているであろう。この業界は高額の料金でも殆どを保険が払い、最たるものは米国の医療業界であるが、今まで誰も徹底的コストダウンなど考えてみたこともなかったであろう。
 次に医療であるので、安全対策や院内感染防止策が不可欠、また薬事法や医師法、衛生関連法規などで制限されていることが多々あって簡単ではないが、一度全項目を検討して、医師がいなくても出来ること、看護師がいなくてもできることなどを分割し第3者に移行する必要があるだろう。必要に応じて医師医療制度の法律を変えて、医療コストを1/2から1/3に下げる抜本的な改革が必要であろう。この改革には医者の助言よりはむしろメーカーの生産技術合理化のプロの意見が重要になるであろう。
 具体的には医療サービスの流れ作業、外国への委嘱も必要であろう。日本では病院の看護師が不足と聞くが、小生が実際に入院してみた感想では過剰サービスである。看護師は看護師の資格が無くてもできる実に多様な雑用を徹夜で行っており、確かに過重労働ではあるが、高給取りがするべきでない業務もしている。分業化、分散化、ロボット化、機械化で経費はかなり減らせると思う。

 レアル高効果・政策為替は止めよう
 2002年に対ドル3.50レアルであった通貨の異常レアル高が2003年から数年続いた、その間ドル収入の企業は必然的に経費削減、人員整理、リストラに走ったところが多い。筆者の例で恐縮だが、この間に行きつけのレストランを格下げした。空港ラジオ・タクシーを普通色のラジオ・タクシーにした。飛行切符は旅行社まかせにしないで、インターネットで安い便を選択した。ホテルを格下げした。燃費の良い車に買い換えた。などなど収支均衡策を図った。すなわち皆が今までの6、7割に節約していたとしたら、為替も2.10から2.45で収支均衡するはずである。従って年末の為替変動で多くは感覚的には今の為替で正常化したはずである。
 為替を政治的に抑えるのはよくない。日本は輸出企業支援目的かゼロ金利にして110円の円安にしていたが、無理して抑えても歪は必ずでてくる。日本はむしろ円高を容認し、70から80円ぐらいでも採算取れるように輸出企業の体質改善、新商品開発が時代に合った道と思われる。ゼロ金利が投機ファンドに資金を供給し、円安が米国の貿易収支を一層の赤字にして、米国発の世界不況の原因になったかもしれないのである。
 ブラジルも政策為替でレアルを、世界一の超金利高で、実力以上の通貨高にした。普通の金利で、為替管理なしの自然体にし、為替を平行レートもすべて自由化しておけば2.5程度で推移し、今回のような歪調整も起きず、急速にレアル安になり輸入品インフレが発生する混乱を避けられたと思う。

 落雷が増えている
 異常気象だろうか雷の電圧が上がっているそうだ。昨年ガレオン空港が雷のせいで何度も停電しシステム・ダウンになった。筆者の事務所もあるのだが、その度にFAXやコンピュータのLANカードが焼けた。空港に避雷針が無いわけがないが、積乱雲の高さが上がって電圧が上がり、落雷時の電流が増えて従来の避雷針では防ぎきれないと。(物理的に解説すると、避雷針の先から地面までに電線抵抗があり高電流が流れると電位差が発生する。オームの法則V=AR)現在避雷針の電線取替え作業をしている。
 O GLOBO紙によれば、2008年は落雷で75名が犠牲になった。2007年は47名であった。一番多かったのはサンパウロで20名、76%が男で、内3人は電源をつないでセルラーを使用中にやられたとのこと。普通、雷は同じところには落ちないと言われているが、ブラジルではそんなことはない。全国で年間6千万回も落雷している。特にLa Nina (ラ・ニーニャ)現象のとき増えるとのこと、ご用心。 

 陰陽自然学的な時代の流れ
陰陽自然学の飯田亨先生の説では、今年の節分から新時代への変化が見え始め、統合帰一から逆運動の分裂解体に転ずる。
2004から2013年は時代大改革の十年で、2004年からは過去の清算を開始、2008年十月で過去のシステムが完全崩壊、本年三月に一気に始り、六月には大本番、九月と十二月で反転運動の方向性を確定して収まる。
その後2011年に時代の劇的交代が起き2014年から新時代の台頭というのである。  
要するに世界的にあらゆる面で、過去の継続が不可能になることが、環境問題を含めて、実感できる時代になってきた。例えどう変るかが分からずとも、このように中期的に今までとまったく異なる新時代へ変化するのだと理解できる。世界の変化を、小さな出来事でも見逃さないように注意しよう。
 
BUY AMERICAN
 1980年のとき日本車の急進で、GMを始め大赤字になり、BUY AMERICAN運動が起きた。そのときのPOST CARDで大きくBUY AMERICANと書いたカードの隅にPRINTED IN JAPANとあるのがユーモア好きの米国人に大変受けていた。今ならさしずめMADE IN CHINAかもしれないが、米国人は今もそのような心の余裕があるだろうか。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(255)
ブラジルの金融危機

 オ・グローボ紙によると2009年1月の工業生産は対前年同期17.2%減で、コーロル・プランの1990年4月の27.7%に次ぐ落ち込みと報道しているが、情勢はもう少しカーニバル後の様子を見た方がよさそうだ。ブラジルの話は次回とする。

 マイアミ短信
 カーニバルの暑いリオを逃げ出して、マイアミに行ってきた。ダウンタウンの再開発か不動産債券バブルで2、3年前からニョキニョキと建築を始めていた下階が商店街、上階がアパートの高層ビルがどうなったか興味があったが、殆どは完成していた。だが売れていないのか人けがない。そういえば目抜きにシャッターの降りた不動産店がある。立派な高層ビルの下の階が、ハッピーアワー専用のバーになっていたり、例のサラリーマンが仕事を早く切り上げて1杯の料金で2杯飲むバーである。夜はさびれて危険遅滞になるから、暗くなる前に稼ぐしかないのであろう。
 商店は金融危機のあおりを食って不景気で街に客がいない。店の中はほとんどゼロ、そのためか駐車料金も上がって、ちょっと止めたら15ドルも取られた。これではますます客足が遠のくであろうと憤慨する。セントロのど真ん中にまだ工事中の高層ビルもあるが、この完成は何時になるか不明のようだ。
 一方電気製品など輸入製品は値下がりしているので、中南米諸国からの担ぎやと称する買い物兼観光客は相変わらず奮戦している。空港付近のホテルに宿泊し、大型のバンを借りて、小型車では買い物が運べない、卸屋を訪ねて買い物をしてまわる。
 ガソリン料金は現在ガロン2ドルで、ブラジルの半値で、まだそれほど大型車でも心配する必要はない。なお高速バイウエイに最近むやみに料金所が増えた。
 この人たちにはダウンタウンのような商店はもはや無用である。隣の部屋にいた家族はドアーの前に一杯梱包の空き箱を捨てて、パンパンに張った大きなトランク10個ほどに詰めて帰国していった。

 米国を救うため地球規模ドル目減り策か
 米国の金融危機を救うのに一番安易な方法は過去のブラジル方式、自国通貨を目減りさせることである。世界中にある米国債やドル債券、ドル紙幣、ドル預金を目減りさせ、輸入原価が上がり輸入抑制、同時に輸出奨励になり貿易収支が好転する。
 EUも日本も現状はこれ以上ユーロ高や円高にしたくないから、許容できる範囲で協調するものと思われる。したがって恐らく主要通貨国がある程度協調し、地球規模で少し計画通貨インフレにして、ドルを救済する道が深く静かに進行中と思われる。

 資金難より県や州が連邦政府に離反現象
 先月号で、現代はどうしても現状の継続が出来なくなる状況が多発していると書いたが、州や県も無い袖は振れないようだ。
 2月始め、米国カリフォルニア州政府が、財政破綻を宣言し、州民への福祉手当、奨学金、税の還付金など総額37億ドルを払わないと発表した。米国は連邦制で複数の州が対等な立場で集まった集合体であるが、自分たちの代表として連邦政府を置いている。各州は自治州であって、連邦政府の補助が満足できない場合、連邦から離脱する権利を有する。
 日本は自治州ではないが整備新幹線負担金不払い宣言の新潟県に続いて、九州新幹線を抱える佐賀県や熊本県の知事も増額に難色を示している。大阪府の橋下知事は関空負担金の予算計上を見送った。滋賀県の嘉田知事は、栗東市内に建設が予定されていた東海道新幹線の南びわ湖駅工事を中断した。その後新駅は凍結された。

 日本の政治は過去からの脱却が必要か
 日本では建設会社からの小沢民主党代表への献金疑惑で騒いでいる。ところが麻生氏も小沢氏も支持率が上がらない。
 陰陽自然学の飯田亨先生に言わせると、吉田茂が先陣を切った戦後自民党政治が孫の麻生太郎で終焉し、列島改造を謳った田中土建政治も愛弟子の小沢で終末を迎える。
現状の継続はできないことと、有能な政治リーダーが突出しないと新時代への改革は無理であることは理解する。しかし過去の金権政治に戻るのだけは絶対反対と国民は考えているようだ。
 なお今後の陰陽自然学の予測としては昨年十月で世界の上昇機運は粉砕されたが、現在は不況であってもまだ恐慌ではない。不況・恐慌・民意疲弊・狂気革命・世界紛争の道筋を踏まねば、新時代は受胎されない。まだまだ時間のかかる自然革命だが、人類が踏み固めねばならぬ輪廻周回的運命道程と言う。

 グーグル全文検索へ米著作権侵害訴訟
 グーグルが700万冊以上をデジタル化し、検索すると表紙に続き内容も現物と同じ体裁でみることができる。ということはデジタル版が誰でも見えるということで、米国で著作権侵害訴訟になっているが、集団訴訟制度になるため判決の効力は利害関係者全員におよぶとのこと。この場合著作権の国際条約「ベルヌ条約」加盟国200ヵ国に波及すると言われ日本の著作者は心配している。
 図書館の書籍のデジタル化は現在世界的に進んでおり、デジタル化は、すでに音楽の録音媒体の著作権はiPODが無意味にしてしまったが、通信スピードの高速化で映像も近く追従する動きである。書籍の場合も図書館へわざわざ行く手間がはぶけて便利だから、インターネット検索と読書の要望はさらに加速し、紙という媒体が本当に必要なのかということになろう。例え著作者が反対してみても、ある国の法で禁止しても、別の国でデジタル化するから意味はなく、時代の趨勢でデジタル化は前世紀の著作権法では防ぐことはできないことになるのだろう。

 大型ディスプレイをおすすめ
 パソコンの画面でA4サイズ2ページを実寸の見開きで編集するために22インチの2msの高速ディスプレイをマイアミから下げてきた。これをラップトップにつなぐと、非常に重宝なのでおすすめする。株やのディーラーが仕事に3から4個の画面を使っているが、あれと同じで、2つの表計算画面の比較、メールの到着状況を見ながらの応対、日本のTV番組を見ながらの仕事、検索エンジンで辞書や索引ページを見ながらの仕事など、数個の画面が同時に使える。もちろん、ラップトップの画面でもこれはできるのだが、それぞれの画面が小さくなって使いづらくなる。大型画面にすると快適である。ぜひおためしあれ。なおWindowsは使っているパソコンの右の隠れた画面を別のディスプレイに並べて表示することが可能で、追加ディスプレイがあると横長の表データを表示できる。 

山下晃明のブラジルで損せぬ法(256)
ブラジルは金融危機から脱出したか
 ブラジルの株価(IBOVESPA)は10月末の世界金融危機で大幅に下げた後、過去のピークの85%程度まで回復した。貿易収支は1~3月の輸出が312億ドル、輸入282億ドルで30億ドルの黒字であった。最近リスク指数も378まで下がり、レアル高の傾向も出て、雇用も少し回復した。これら数字だけを見ると危機脱出の様相であるが、3月も外貨は8億ドルの流出で1~3月で29億ドルもが流出している。先進国の経済が不透明であるので、先行きは要警戒だ。
 なお、ブラジルでは昨年まで外資の流入はあったもののバブルという程ではなく、ドバイで起きたような大型不動産が建設中断で無価値になるような損失は発生していない。
銀行金利が十分高かったことと、IOFなど売上諸税もあることが幸いし、カイマン諸島などからの米サブプライム証券派生資金は投融資金の名目でブラジルへ流入したので、米国の不動産証券バブルは起きなかった。
ハゲタカ・ファンドの金融証券資金を利用した巨額な企業買収劇も起きなかったことが幸いしている。

 金融危機対策で税収減の危機に
 世界中が申し合わせたように減税、金利の引き下げ、資金緩和と資産価値を消失した銀行救済に政府の財政出動で対応しているが、この次のステップとして、今後世界中で所得税をはじめとする税収減、国債が売れないことによる国庫財政のさらなる赤字の波が来ることは誰でも想像できるだろう。  
 ブラジルもIPI減税3ヶ月延期、4月からのCofins免税、自動車工業へのIPIの減税などによる税収の推移に注目しよう。
 財政赤字の上に、世界的な通貨暴発で、一つ間違えると世界レベルで通貨インフレのリスクをかかえることになる。
 G20サミットで、IMFへの1.1兆ドルの資金強化を決めた。ダウ株価も8000ドルを回復したが、米国はGM、クライスラー救済は未解決で、AIG救済も払ったボーナス額にケチをつける程度のアイデアしかない。日本は3月4月決算で大赤字会社が増えるだろう。
 またサブプライムローン派生商品の半分以上は英国を始めとする保守的なヨーロッパで保有されており、赤字はまだ今から噴出する恐れがある。

 タックス・ヘイブン諸国の取り締まり
 このロンドン・サミットで採択された声明書で世界の税金天国に対する銀行口座の守秘義務の改善が求められた。世界のこの種資金は11兆ドル以上でその1/3はスイスと言われるが、証券金融危機の原因の一つとしてCITIなど大手銀行などが課税を免れるために現地子会社を設け、国の金融当局の監視の目が届きにくく、金融危機を拡大させる要因になったとする声が高まり、OECDが、46の国地域のリストを公表した。この殆どは、今後、情報公開の状況を改善すると表明したようだが、米国、英国、中国などが資産運用に直接関与するケイマン、バハマス、ジャージー、ガーンジー、マカオなども含んでおり、効果があがるかどうかは疑問である。

 世界金融危機の実態を把握するには
 今回の米国発金融危機の実損はいったいいくらになるのか、金融危機につながるCDSの想定元本総額が現在54兆ドルとして、そのうち何%が実際に決済不能でスワップされる実損になるのか、誰も予想できていない。
 世界の政府や金融機関が発表した援助の数字を集計すると米国の財政出動1.8兆ドルを始めとして世界総計12兆ドルになるとのことであるが、これで十分なのかどうかは現時点では未だ不透明である。 
 本来、株式や証券投資は投資者のリスクで行われるべきもので、買った株式の企業がたとえ倒産しても出資者が損をするだけで政府が補填するのはおかしい。銀行の保有株式値下がりの損失補填を、大銀行を破綻させてはならないだけの理由で、税金で救済するのは間違っている。銀行保有不良株の買い上げは株式市場のモラルハザードになる。
しかしながら対策にはまず損失の実態を把握する必要がある。経済指数は利益を集計するのが目的であるが、利益とは別に実際に地球上で発生した見える確定損を集計するシステムが必要であろう。
 待てば相場が回復するモノと、半値とか値下げすれば相場が安定するモノ、待っても戻らない純損失のモノに分けて世界の純損額を集計する必要がある。残存企業の決算書を集計しても倒産したところの実損失額と株式証券保有者の泣き寝入り損害額が計上されておらず、実態が見えないからである。

 待っても元には戻らぬ不動産バブル
 米国の住宅価格はいくら値下がりしてもゼロにはならないし値上がりする可能性もあるが、大規模建設を途中で放棄した場合はこちらはゼロになることに注目すべきだ。
中東ドバイなどの強烈な建設バブルが崩
壊したと聞いた。それまでつぎ込んだ資金が無価値になる。当然これらを担保にした証券も無価値になる。
 原油価格の暴騰による石油資金は中東に集まったが、これら資金を運用するために、ドバイなどをはじめとする高級建築ブームになり、何もない海に埋め立てまでして建売高級住宅を建築するなど、まさに砂上の楼閣を建設していた。石油価格の値下がりと世界金融不況で、これら工事は中断の憂き目になっており、すでに完成したものも、不動産価値は急速に減少している。両隣が潮風で鉄骨が赤錆の工事中止の廃墟になった高層高級アパートに未来の資産価値があるだろうか。これらに直接間接投資した人、資材、建設機械を供給したところ、建設企業もプロジェクト費など丸損になる。もう一度石油価格が暴騰し、ふたたび資金がだぶつき工事再開にならぬ限り元には戻らない。

 待っても元には戻らぬバブル証券
 世界のウラ利益は税金をのがれて、タックス・ヘイブン諸国に集まったが、当事者の銀行自身を含めて、常に銀行利子以上の利益のある投資物件を物色することになる。不動産などは名前が出るので間接投資の投信的な高利潤証券などが好まれる。米国の大銀行がこぞって開設した証券会社のリスク証券に殺到することになる。
結果世界中の不動産、株、絵画などオークション価格を数倍に上げるバブルに導いた。
自然界では昆虫など生物を含め、異常に増えたものは自然淘汰される。バブルの崩壊とはこういったことであろう。
 銀行自身を含め資金運用責任者は常に利子より利益の多いかつ安全と思われるモノへの運用を試みる。この安全度はランク会社の格付けが参照され、この意味で今回の金融危機の格付け会社の責任は重大である。

 運用赤字を補填せねばならぬ年金基金
 どの国も公的年金収支はおよそ赤字である。これはバブルでなく、政府の未来予測の失敗である。
 資金運用責任者は株式債券など、銀行利子よりは利潤が多くかつ安全なモノで運用するのが普通である。今回のあ問題が深刻なのは、この基金運用が赤字になったとき、運用で損をしましたでは済まないのである。年金は運用益があろうがあるまいが支払う義務があるので、年金収支の損に基金運用損の合計の資金手当てが必要になるからである。

 中国と自国通貨での貿易決済
 G20でルーラ大統領と胡錦濤中国国家主席で自国通貨での貿易決済の話が出たようであるが、相手側の外貨準備高、為替水準によっては非常にリスクのあるネゴである。
すでに実施中のアルゼンチンとの場合も、外為だけを見ると、アルゼンチンに外貨が不足するのをブラジルが代わって外貨送金をしていることになる。今はブラジルが外貨準備を十分保有するからよいが、為替水準の変動リスクも通貨インフレも輸入してしまうことになる。
 1999年ごろメネム大統領が切望したペソ通貨のドル化を米国はなぜ受け入れなかったか。また現在まで米国がパナマやエクアドールのような小規模経済国の例外を除き、ドル化国を容認していないのはなぜかよく考えて見る必要がある。



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