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山下晃明のブラジルで損せぬ法(257)、(258)、(259)5月、6月、7月号
山下晃明さんの【ブラジルの実業】紙に掲載している息の長い経済論評「ブラジルで損せぬ法」をヤコングループのホームページからお借りして5月、6月、7月号を収録して置きます。話題が少しタイムログが生じていますが難しい経済論評を分かり易く解説しています。今回掲載分では『GDPは給与、利子、家賃、利益の総和』との解説が分かり易くて面白い。GDPて何?またどうして計算しているの?との疑問に答えて呉れる。
12月17日のサンパウロに置ける『私たちの40年!!』の忘年会に参加されて2011年は、3月から11月に大きな変動が起きる年、縦の上下関係が崩れ横の平坦な関係に移行するとの陰陽学飯田亨先生の予言だそうでどんな変動、大きな事件が話題になって行くのか楽しみで有ると共に心配でもある。
写真は、忘年会で撮らせて貰った山下さんの山羊ひげ面です。良く似合う風貌です。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(257)
デフレ・スパイラル
 1929年の世界大恐慌のとき世界貿易が4年連続縮小した例があり、これを円グラフにすると中心に向かう渦になる。これがデフレ・スパイラルである。
 今回の米国発金融不況で、企業は一斉に収支均衡の縮小リストラ、政府は減税、低金利、救済融資、補助などの財政出動が世界中で実施されているが、次に確実に起きることは、税金の減収、財政赤字である。
 ブラジルも、財政出動以外に、金利を高くとりすぎていたブラジル銀行の頭取が更迭されたり、公定金利SELICも過去最低の10.25%に下げた。インフレ指数もFGVのIGP-DI指数が3月にはマイナス0.84%と下がっている。消費の急減はリストラと金利を下げただけでは食い止められない。不況のデフレ・スパイラルに陥いらないように注意が必要である。

 GDPは給与、利子、家賃、利益の総和
 ちょっと解説的になるが、GDPは国内の給与、利子、家賃、利益の総和である。経済学の基本の単純理論だが案外知られていない。景気の動向には自動車や電機メーカーなど主要業種、有名ブランドや不動産価値や株価などが注目されるが、実はこれらと無関係にGDPとは単純に前述4要素の総和である。
 簡単に説明すると、材料供給社や下請けに代金を払ったら、下請けも給与、利子、家賃などを支払い、国に税金を払ったら国も給与、利子、家賃などを支払い、銀行に金利を支払ったら銀行も給与、利子、家賃などを支払い、サービス業に支払ったらサービス業も給与、利子、家賃を支払うのである。集約するとGDPとは給与、利子、家賃、利益のみの総和にすぎないのである。
 労務の提供は給与や口銭で受け取り、資本の提供は利子を受け取り、不動産を貸して家賃を受け取り、商品や不動産株式債券などを売買する人は利益や配当を受けとるの意味であるが、収入で集計するのは申告したくない人がいたりして技術的に難しいが、逆に支払った金額のみを集計すれば簡単に計算できるのである。
 専門知識も不要で、投資や消費や税金や業界別の動向、輸出入の動向、不動産、株式動向、融資、インフレ、為替などの難しい経済問題を一切考慮せず、単純に支払い額を集計だけすれば良く、これを使用すると状況の判断がしやすくなる。

 現在の金融不況を4要素で見る
 これで現在の金融不況を見ると、リストラ解雇で給与減、利子は下がり、家賃不払い多発、大損害マイナス利益の状態でGDPの4要素は下がりっぱなしである。
リストラで企業が人員削減、規模縮小で収支均衡しても、解雇した従業員の給与が削減されており、部品メーカーや下請けへの支払いも減り、この削減分を誰かが補填しない限りGDPは絶対に増えないのである。
 したがって今の危機を収支均衡のみで対処すると、消費マーケットが縮小して、更に売りが下がる悪循環、すなわちデフレ・スパイラルに陥る。

 対応には先ずGDP減の推計が必要 
 まず、給与、利子、家賃、利益の総和がいくら減ったのかを推計し、元の水準に戻す政策をとる必要がある。
 現在の金融危機に対応するには、大銀行救済、自動車メーカー救済、失業対策事業、貧困者へのばらまき政策、ニューディール型大型公共事業大いに結構だが、どの規模で行えば効果があるのかを知るのに、まず給与、利子、家賃、利益の総和の減少額を把握する必要がある。
 政府も対応に特定の企業や業種のみを意識すると判断を誤る恐れがある。全体を見てこの4要素の総和を基に戻す努力をする必要がある。その一覧を見ながらいくらの資金をどこに注入するか検討すべきで、注入額が少なすぎると、何度も追加対策をせねばならなくなる。
 時代は大変革期であるから、従来方式の継続は無理なことは誰でも理解できる。ただし従来の業種を一挙にゼロにすることはできないから、従来型の製造業は赤字にならぬよう収支均衡を保ちつつ、それ以外のまったく新しいシステムで過去以上の利益を創出する必要があるのである。
 リストラに苦心している経営者に、声を大にして伝えたいことは、平行して新しい事業の起業も行いなさいということだ。

 4要素で分析すると事態はわかりやすい
 アジアへ製造拠点が移転は、「給与、家賃、利益」を外国に提供することになり、その額以上の本国の「利益」が増えないかぎりGDPは減少となる。余剰設備機械の処分などは「利益」の減少となる。
 証券会社のトレーダーに巨額の口銭を払うのは、それにより会社利益を増やしているときはGDPにはプラスになり、赤字のときは払った口銭分さらに「利益」が減ることになる。
 リストラで「給与」総額を下げたとき、それ以上に「利益」が増えないとGDPは減る。
 工場閉鎖や失業者たちが「家賃」を払わねば「家賃」の総和も減るだろう。昇給は一人に集中しようが、みんなに均等に払おうが総額のみを見ればよい。問題はどちらが「利益」を増やす結果になるかである。
 利下げが行われると、それ以上に貸付額が増えないかぎり「利子」の総和は減少することになる。さらに金利減以上にどこかで利益が増えないとGDPは減少する。
 増税して公務員「給料」を上げるのは、給料が上がるが民間側の「利益」を下げるから意味がない。
 「利益」は不動産、物品などの購入や投資以外は現預金で所有することになるが、この資金が他国に流出し資産勘定を減らしたときは国内の「利益」の減少である。
ウラ経済を取り締まり、麻薬売人や歩道商人を追放すると、その分オモテ経済の誰かの利益が増えない限り、ウラ経済で払っていた「給与、利子、家賃、利益」の総計分のGDPを減らすことになる。
 ルーラのばらまきは消費増につながらねば政府の税収の「利益」を減らすだけ。
同様に金融危機発生で利益の本国への資金引き上げも利益の減少である。不動産の価値が下がるのも、利益の減少である。金融機関の不良資産の増大と保有株価下落は「利益」の減少。
 
 大国の保護主義は世界大戦の原因に
 先進国や大国での保護主義の動きがあるが、これが極限に達すると、大量生産に投資した国は売る市場がなくなり、市場獲得戦争になり、保護貿易は世界全体のマイナスになるので注意が肝心だ。市場獲得競争は第二次世界大戦の主要原因でもあった。
 金融危機のはじまりは、製造業のアジアへの移管で、米国が双子か三つ子の赤字になり、対外経常収支の赤字が持続可能なレベルを超えて拡大したのが原因である。製造業以外の産業の成長が期待され投資銀行がITを利用したグローバリゼーションの不良企業買収や不良債券やサブプライム債券を買い取り、モーゲージ債の金融商品として売り出し競争をしたのが始まりである。
 米国では住宅消費者ローンで市場の現金が増え消費増バブル経済となった。
 IT革命が膨大な証券発行を可能にし、証券会社が一夜にして数億ドル単位の資金を入手でき、さらに資本移動もITで瞬時に全世界で取引きできるようになった。額の巨大さもスピードも旧来のインフラでは金融市場を支えきれず管理不能となった。
 なお今後の見通しとしては、この先進国間の巨大な資本取引は21世紀型グローバリゼーションの要で、現在規制の動きはあるが、流れは止められないだろう。 

 日本は従来型からの脱却を
 日本の場合は戦後のシステム、すなわち従来型の輸出産業を援助するため、極端な円安にし、円安を保つため公定金利はマイナス金利にした。本当は日本は為替金利政策の失敗を認識し、対米輸出主導型の成長経済から脱却し円高経済システムに変える必要があった。 
 円安で輸出は増え、貿易収支の黒字で日本政府は米国のTBを買っている。一方金利 安で多額の円資金が海外に流出し、現在円高に戻ったため為替差損を生んでいる。
なお現在は円高に戻ったが、欧米が一斉に金利を下げたので、今は日本が金利を下げても極端な円安にはならない状況である。
 米国財務省の統計によると米国TBの保有残高ランクは1位中国、2位日本、3位石油輸出国、4位カリブ、5位ブラジル、6位英国、7位ロシアとなっている。英国は中東のオイルマネーが中心で、西側諸国で買っているのは日本だけであり、後の殆どは共産諸国と中東オイルマネー、鉄鉱輸出マネーであり、ドルは依然として世界の基軸通貨なのである。
 政治に関しては、明治維新を見習って、世襲政治家や疲れた老人の代わりに適材の起用、才のある若者を起用し現システムを一度リセットする必要がありそうだ。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(258)
ブラジルの株価回復は本物か
 ブラジルのBOVESPA株価指数が昨年9月の米国発ショック以前にまで回復した。これはブラジル経済の回復を意味するか。それとも投機筋外資の流入によるものだろうか。
 今回の米国発金融ショックの原因とされるマネー資本主義の経済システムを何ら変更せず、世界中で実効12兆ドルとかの減税や利下げ、援助補助を実施し、各国政府が財政出動して米国の7000億ドルを始めとして税金を市場に注入しているのであるから、流動性のある資金は当然、今までと同じスペキュレーションの動きに出る筈である。
 したがって今の株価の上昇は、その国のファンダメンタルズもあるが、短期の金儲けが目的で、投機筋からの資金が、まずはBRICsに向かってそこの株価をすでに上げ、日本などが割安になったので、米国や日本の株式市場やヘッジ・ファンド、石油市場にも資金が戻り始めたと見るのが正しいであろう。
 金の先物相場1000ドルなどはバブルでなければドルの切り下げが近いとみる向きもあるのではないだろうか。この状況が継続すればバブルの再発をまねき、原油高でドバイの夢の未来都市工事も再開し、再び金融ショックを繰り返すことになろう。
 今のブラジルの場合、海外投資家株式購入残高とBOVESPA指数が連動しているので、外資の大きな引き上げが起きれば再び暴落することになる。なお海外の投機筋で12月にドルを持ち込み2.50で換金し、6月に1.95で戻したところは為替だけで28%の儲けとなった。その間にBOVESPA指数が47%も上がっているから、投機した外資はボロ儲けをしたはずである。BRICsの株はおしなべて30%程度上がったから、米国の金融機関が政府の緊急助成金を前倒返済するのも納得できる。

 外貨の流入とレアル価
 昨年8〜11月のレアル安への変化は市場が動かしたものである。従来ブラジルは経済危機があるたびに政府が通貨の切下げを行い経済に大きなショックを与えたが、今回始めて8月の1.63から11月の2.33まで為替の市場力で38%切り下げたことになる。
 このお蔭で更なる外貨の流出はまぬがれたと見るべきだが、投機資金が入ってきた。
中銀によれば本年の株式市場での外国人の買いは45億ドルとのことだが、外資から見ると海外投機は持ち帰っていくら儲かるかの勝負であるので、レアル高の傾向が終わると見ると、当然株を売ってドルを送金するので、さらにレアル安への圧力になる。
 しかし比較的規模が小さく管理された為替マーケットでは為替の変化が異常に増幅され、これを利用する外資に翻弄されるきらいがある。
 ブラジルの自由為替相場はまだ完全ではなく、商業ドル、旅行ドル、平行ドルとか複数レートであり管理された変則自由為替市場である。これもルーラ大領領が一挙に、本当の自由為替に踏み切り、レートを一本化して誰でもどこでも大量にドルの売買をできるようにするなら、大いに評価できるのだが。
 今回の経験より20億ドルの流出があると為替がR$0.27ほど上がった(切り下げ)。これは理論的裏づけがなくとも経験則として、現時点で、政府が予期せぬ状態で突然外貨の大量流出が起きた場合は、20億ドルの流出があると為替レートがR$0.27ほど上がる規模の商業ドル市場が存在する可能性があることになり、当面の参考になる。

 SELIC 金利9.25%に
 SELIC公定金利が6月のCOPOM会議で9.25%になった。実際の金利を2%として、ブラジルのことだから4%程度はスプレッドがあって当然とし、インフレを4%とすると合計10%となるから従来方式では9.25%はすでに十分低いことになる。
 しかし外国からみたブラジルへのスプレッド設定は、もともとインフレ・リスクであった筈である。
 前にも書いたが、金利からインフレを差し引いて実質金利を計算して状況を見るのは結構なことだが、逆に金利に未来インフレを加算する方式は、誤差の出やすいインフレ率予想が金利を必要以上に高くするし、インフレを奨励することになるから、ルーラ大統領はこの際、思い切って利子の価値修正を取っ払って、未来インフレを加算しない純粋金利にするべきである。
 またこうなると目立つのは、実際の銀行の金利で特別小切手利子が年150%とか高利貸しが脱帽するような利率はなんとかならないものだろうか。日本のように、消費者から年20%以上の利子をとると罰せられるような法律はできないものだろうか。

 税金の楽園への直接投資
 ブラジルへの直接投資国はルクセンブルグやカイマンなどが世界ランキングで米国やオランダにつぐ2位3位の上位に入り、ブラジルからの直接投資先国も税金楽園諸国が上位を占める不思議の国である。
 ブラジル人の海外貯金は中銀登録額で220億ドル以上とのことだが、楽園地区だけで600億ドルを越える説もある。

数字を見てみると、ブラジルへの直接投資(全体の順位、国名、投資額:単位百万ドル10位内のみ) は次のようになる。
2006年 3位カイマン1974、10位ルクセングルグ246
2007年 3位ルクセンブルグ2857、6位カイマン1604、7位バーミューダ
2008年 2位ルクセンブルグ5937、7位カイマン1556、10位バハマス1101
20094月まで 7位カイマン240、9位ルクセンブルグ189
ブラジルから海外への直接投資(全体の順位、相手国、投資額:単位百万ドル10位内のみ) は次の通り。
2006年 2位カイマン3176、3位バハマス1418、6位バージン諸島990、9位ウルグアイ233
2007年 2位カイマン2701、3位バハマス995、4位バージン諸島954、8位バーミューダ362、10位ウルグアイ229
2008年 2位パナマ3079、3位カイマン2137、4位バハマス806、5位バージン諸島712、9位ウルグアイ483
2009年4月まで 1位カイマン283、5位バイジン諸島108、8位ルクセンブルグ52、10位バハマス31

 今回の米国発金融危機でも、例えばバンク・オブ・アメリカがバハマスに子会社を6社も設立しサブプライム派生商品の債券を販売していたとか、先のロンドン・サミットで46カ国の税金楽園に情報開示の必要があるなどの話し合いがなされたように、この諸国は金融危機に重要な役割を果たしているが、ブラジルとの関係も尋常ではない。
 ブラジルから楽園諸国へは隠し預金や債券投資、貿易のアンダーやオーバー・インボイスの決済、ウラ利益の送金、政治家のレアル高を使用した隠し金送金などが考えられ、一方楽園諸国からブラシルへは預金や債権投資の戻り、サブプライム関連資金のブラジル向け投融資、貿易のアンダーやオーバー・インボイスの決済、政治隠し資金の戻りとか中銀か許可しない送金をすべて引き受けている。
おおまかな動きを見ると、この期間、楽園諸国の総額で205億ドル出て236億ドル入っているから、差し引き31億ドルの流出、同様にカイマンへは83億ドル出て54億ドル戻り29億ドル流入、バハマスへは33億ドル出て18億ドル戻って16億ドルの流入となる。

 ブラジル景気の回復
 昨年第4四半期と本年第1四半期と2期マイナス成長でリセッションとされるが、第2四半期にはプラスに転じるの声もある。しかし株価は別にして、状況はかなり厳しい。政府は2010年までの投資計画を2012年までに延期して21%の投資率を達成したい様相である。
 まず輸出だが、昨年より30%落ちている。世界の先進諸国はおおむね不況で輸入を削減している上に、今のレアル高では回復は非常にむつかしい。
 失業率が9%だが7%台に戻らないと国全体の給料は増えない。大手各社が縮小リストラをしている状況では困難である。
 工業の遊休率が70%に落ちているのが90%に戻り、鉄鋼生産も40%減が10から15%減に戻り、工業生産の20%落ちが戻り、工業電力消費の10%落ちが戻るまでは本物とはいえないだろう。

 豚インフルエンザ
 今月は期限すぎて原稿を書いていたらWHOがフェーズ6に引き上げのニュースが入った。 
 感染者74カ国3万人以上、日に5%程度コンスタントに増えているから、7月始めには10万人を突破する。  
 新型インフルエンザのワクチンが大量生産され、全世界で接種されねば、今後50日毎に1桁ずつ増えて行く計算で数の脅威になるだろう。弱毒性ヴィールスでよかったが、1918年には4000万人も死亡している強毒性の前例があるから注意だ。
 陰陽自然学の飯田亨先生の予想は、「人生ガイドVol.85」(14ページ)に「新型インフルエンザの猛威、三月が口火となって2011年十月に終息へ」とある。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(259)
外資依存のブラジルの株価
 先月号の「ブラジルの株価回復は本物か」を分析していて興味ある関連項目を発見したので読者には特別にお教えする。
 中銀の公表する(Estoque de Carteira de ativos de investimentos estrangeiros)とBOVESPA指数が連動している。片や外国人が株式を購入した金額の残高統計で(単位百万ドル)と一方は株価指数で、なぜ相関関係があるのかはわからないが、グラフにすると、とにかくきれいに連動している。 
普通、相場経済の動向は2ヶ月も経過すると人為的に変化されるもので、かくも長期に相関関係を示すデータにはお眼にかかったことがない。

グラフを信用しない人のために、米国発金融ショックの昨年9月から今年3月までの倍率を見てみよう。どうですか。まるで誰かが外国人投資残高を見てBOVESPA指数を算出しているかのようである。
外国人投資残高 BOVESPA  倍率
Sep-08 172213 50742 3.4
Oct-08 124090 37447 3.3
Nov-08 115672 36470 3.2
Dec-08 123089 37069 3.3
Jan-09 134587 39636 3.4
Feb-09 122068 38177 3.2
Mar-09 130897 41062 3.2
Apr-09 152290 47235 3.2
これで分かるのは、もちろん単純に決めつけてはいけないが、今のブラジルの株価を上げ下げしている原因として、外貨の流出入の影響が極めて強く、もし外資が一斉に引き上げたら株価が暴落する可能性があるということになる。(株式に投資している人はこれを使用すると儲かるかもしれませんよ。儲かったらコニャック一杯です。ただし損しても責任はもちません、念のため)
 外貨が株に影響を与えるのであれば、当然為替レートにも影響を与える筈である。そこで為替レートと貿易以外の外貨の流出入残高を比較してみると政府が意図しない突然の流出が起きたときの2-3ヶ月間は明らかに逆相関関係が見られる。
 外貨の流入出の状況は貿易・サービス収支と資本収支の合計収支動向で判断されるのが普通だが、それは国に一つしか銀行が無くて、そこですべての為替が月末の同じ日に決済される場合の話しであって、実際は通常の貿易取引と株式や金融投機のための外貨は別の銀行で別の日に売買されるもので、短期に高額の投機資金が流出入すると、それにより為替相場が動くと見るべきであろう。ただし為替は中銀など多くの監督機関が見守っているから、今回のような米国発の金融ショックによる突然の大量外貨流出でも2〜3ヶ月すれば人為的に政策調整される。

 先月号でふれた経験則、現在20億ドルの突然の流出があると為替レートがR$0.27ほど上がる傾向が上記グラフである。
 金融為替取引の今後の予想は、貿易為替収支が黒字を保ち極端な黒字や赤字にならないものと仮定して、極端にの収支が動くと当然為替も動く、ブラジルの子会社が利益を出し始めると、不況とレアル安で止まっていた親会社への利益送金が再開し流出が増えるだろう。またレアル安と金利高のため確定金利付証券への外国投資家からの資金流入が増えるだろう。
 差し引き大きな変動がなければ為替もあまり動かず、今後も金融市場為替の流出入残高の推移を見守る必要がある。

 ブラジルの5月の失業率8.8%
 参考まで、米国の失業率は6月で9.5%とのことで、2007年末の4.9%の約2倍であり過去28年間の最高値である。金融ショック以後に増えた失業者数が650万人で失業者合計1470万人とのことである。
 ヨーロッパもユーロ圏で5月の失業率が9.5%で過去10年間の最高値で過去1年間に340万人が失業したとのことである。
 国のGDPは給料、家賃、利子、利益の総和であるから、失業者が増えることは給料の総和の下げになりGDPを下げることになる。
 ただし給料を全国民に同じ額を払うよりは、生産(利益)を上げる才のある人に多く払う方が、国のGDPは高くなるものであり、給与総額が上がれば失業者が増えても関係ないことになるが、といって失業率が7%を越えると、平均家族数を5人として両隣の誰かが失業していることを意味し、社会不安になるだろう。大衆消費財やサービスの売りも下がるが、窃盗、強盗などの犯罪も増えることになる。 
 やはり失業率は数パーセント以下にまで下げるべきであろうし、ブラジルの場合も昨年末の6.8%まで下がらねば回復とはいえないと思われる。

 PAC(経済成長加速計画)
 2010年までに総額6460億レアイス(3200億ドル)を投資し2014年までに完成予定の41件の計画で、GMの2年分の売上げ規模だが、種々の問題があって一向に進んでいない。 
 ベージャ誌によると今まで3.5%の225億レアイスが払われただけで、完成したのはペトロブラスの石油プラット・フォームP-52の1件のみ、今年中の完成はウルク・コアリー・マナウス間の661kmのガス・パイプ・ライン、今の出資傾向で1年以内に完成は、南北鉄道の北部分719km、リオ・グランデ港、ペトロブラスのP-53、P-51、ベロ・オリゾンテの地下鉄6.6kmの5件のみ、2年以内に完成は東北泊のBR-101街道、ツクルイ・ダム2箇所、バイア-エスピリット・サント間の954kmのガス・パイプ・ライン、エストレイトの1087メガ・ワットの水力発電所、サルバドールの郊外列車鉄道13.5kmの5件のみで後の29件は2010までの完成は無理で、まだ開始もしていないものや10年以上かかるものが、22件もある。
 PACは政府主導の民間投資を刺激する計画で、大半は民間投資の計画であるが、金融危機で企業の資金獲得が困難の上、政府側の環境ライセンスの審議の遅れ、法的問題による競売の遅れ、連邦会計検査院会計検査院の予算審議の遅れなどで、前途多難である。

 豚フル累積感染者11万人を突破
 世界の累積感染者数11万を超え、ブラジルでも感染者1000人を越え死者2名となったが、冬の南半球各国で増え続けており、引き続き注意が必要である。
 1918年のスペインかぜでは感染者6億人、死者4〜5000万人とされる。当時の地球人口が18億人で世界人口の3割が感染したことになる。
 その後も地球人口は増え続け現在67億人、2011年には70億人、2050年には確実に90億人を越えるということである。
 90億人となった場合、世界第2の工業国である日本でもせいぜい人口1億人であるから、年間に世界で増える人口に対しては、日本はおろかG8全体でも、とても面倒を見切れずお手上げになるだろう。
 一体地球号の定員は何名だろうかと言い出す友人がいた。地球には無限に人が住めるわけではなく、有限だろう。食糧生産、水汚染、大気汚染、スペースなど全部を勘案して、科学的な根拠によりこれ以上住めないという上限の数字が出たらどうなるだろうか。何10億人も月や火星に移住させることは不可能であろう。ではどうするのか。国別に人口を割り当てるのか。
 先のG8での温室効果ガス削減の問題も煎じ詰めれば、地球人口割り当てと同じ性質の問題である。温室効果ガス削減は、即実行の必要があるのに、途上国のどこも削減に協力しないのであるから、当然将来の人口制限も認めないであろう。
なれば人類は大量発生したバッタのように滅亡するか、新ケインズが出現して食糧や資源の均等配給制になるのか、戦争など力で相手を従わすことになるのか。その意味での未来は絶対に現在の延長線上ではない。



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