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『実業のブラジル』誌掲載の南伯便り 【南の国境から見たブラジル】(その10)
【南の国境から見たブラジル】を実業のブラジル誌に掲載し始めて丁度5年になりました。地元紙から南伯ポルトアレグレを中心とした動きを簡単に拾い纏めるだけのコラムですが、私なりに気に入っており楽しんでいます。今回は、55回から60回までの掲載予定でしたが、7月号に特別寄稿として2ページのスペースを増やして頂き「南伯日本商工会議所6月例会は、ぺロッタス、リオグランデを訪問。」として南伯日本商工会議所の概要とペロッタス、リオグランデの町の訪問時の報告を掲載して頂きました。RS州の南半分として経済開発に力を入れている地域の中心地でかっては州内第2の都市として繁栄していたペロッタスの町と一体になり州内で一番活気がある町、ぺトロブラスの深海油田用の大型プラットフォムを製造する造船所とその付属工場で賑わうリオグランデの港町を紹介させて頂きました。
何時もは、実業のブラジル誌の表紙を掲載写真として使用していますが、今回はリオグランデ港の造船所のドックヤード前で撮ったペトロブラスから送られて来た公式写真を使用する事にしました。


南の国境から見たブラジル 2011年3月号 連載55 

RS州内の最低給料をR$610に
タルソ知事は、州の最低給料を11.6%調整し610レアイスに設定すると決め州議会に承認を求めている。連邦議会で決められた最低給料が545レアイスであり、州内の最低給料が11%以上高く設定されることになりその経済効果が問題視されている。州工業連盟のチグレ会長は、ブラジルの連邦最低給料は、十分に労働者の購買力を回復させる標準まで達しており特にRS州での最低給料を設定する必要はまったくない。州最低給料を採用していない州との比較でRS州は、大きなハンデイを追い新規投資の機会を失い失業増大につながる経済政策だと強く反発している。

タルソ知事も世銀より融資を受ける
イエダ前知事は、BIRD(世銀)より11億ドルの融資を受け州財政の立て直しを実施したが、タルソ知事もBIRDより4億ドル(6億7千万レアイス)の融資を受け社会福祉計画および州経済開発計画にこの資金を注ぎ込むことを目指している。この融資実現には、企画省の海外融資検討委員会の承認、上院議会の承認、最後に州議会による承認が必要で、お金が入るまでには大分時間がかかりそうです。

スペインのINPEL社が巨大風力発電所建設
2年前から計画されていたスペインのINPEL社がパットス湖の湖畔の町、タッペス市に1万3千ヘクタールの土地を使用して12億レアイスを注ぎ込み588メガワットの発電をする風力発電所建設を具体化する。過去1年間の観測結果ではタッペス地区は、すでに風力発電所があるRS州北部海岸地域より10〜20%の風力があることが証明され14塔をベースにする20の風力発電地区で合計280の電力発電塔が出現することになる。資金面ではすでに中国のグループ、EUの経済協力の申し出も受けており心配はないとINPELブラジル会社のモンテイロ社長は発言している。
一方、インドのSUZLON社は、世界で3番目の風力発電機製造会社でブラジルに設置されている42%の発電機は同社製といわれており今回IMPEL社のタッペス地区に独自に2.1メガワットの発電機2基、合計4.2メガワット発電の施設を30日以内に建設するとSUZLONの本社のTULSI TANTI COEがタルソ州知事を表敬訪問して通達している。

日本企業藤倉がRS州内に工場建設か
RS州電力公社(CEEE)と提携しているサンパウロのPROCABLE社が日本の(株)フジクラと合弁でRS州に特殊送電線用ケーブル、光通信用のケーブルを建設する事を検討している。初期投資は2千万レアイス程度で最終的には5千万レアイスを考えており150人の直接雇用を生み出す見込みで主要市場より南に偏り過ぎており製品の運送など不利な点をカバーする意味で土地の提供、ICMSの優遇措置などを州政府に要請している。ぜひ実現して欲しいプロジェクトです。

ポルトアレグレの市内地下鉄が具体化
ポルトアレグレから国道116号線沿いに現在サンレオポルドまで地上を走る地下鉄が開通しておりこれの終点ノーボ・ハンブルゴまでの延長工事が進んでいるが、PACIIの計画案にポルトアレグレ市内の地下鉄建設が検討されており大都会市内交通網開発計画案の全ての必要書類を提示した。計画が承認され予算が着くと2016年にはポルトアレグレ市内に真正?地下鉄が走ることになる。
(著者:さわやか商会主・元南伯日本商工会議所会頭)


南の国境から見たブラジル 2011年4月号 連載56 

ポルトアレグレ生誕239年
私の住むポルトアレグレは、1772年3月23日にアソレス群島から渡って来たポルトガル人の到着を持って町の創設日と1971年の市条令で決められており、239年を迎えました。2010年度のIBGE国勢調査では1.409.939人の人口を記録しています。主にポルトガル、イタリア、ドイツ、スペイン、アフリカ諸国、ポーランド、リバノンなどの移民により構成されています。メルコスールの中心都市としての位置付けは期待していた程機能していないようで残念です。

RS州は、輸出州としては第6位に転落
2011年度の1月、2月の輸出統計では、RS州は前年度比33.6%の伸びを示していますが、全国の州別輸出総額では、サンパウロ、ミナス、リオ、パラー、エスピリトサント州に次いで第6位に転落しています。長年、サンパウロ、ミナスに次ぎ第3位の輸出州として君臨して来たのですが、最近は、リオの原油、パラ―、エスピリトサント州の鉱産物の輸出増大でその後塵を拝しています。大豆関連などの輸出時期が来れば4位の定位置に戻る可能性もある。

BRASKEMブタジエンのプラント増設
 BRASKEMは、COPESUL域内でブタジエンの現在の年間10万トン生産から2012年末稼働の予定で、さらに10万トンの新規増設を3億レアイス投下して実現させるとタルソ知事に報告した。環境に優しい緑のポリプロピレン年間3万トン生産計画も2億レアイスを注ぎ込み実現させる見込み。

50万足の革靴、国境で足止め
RS州の軽工品輸出の主力の一つである革靴のアルゼンチン向け輸出が国境のウルグアイアーナの保税倉庫で50万足、1千万ドル分が輸入許可が下りず足止めされている。 
2009年5月に4百万足の革靴が60日以上足止めされ両国で話し合って決めた年間1500万足の枠内でも60日以内に輸入許可が下りずすでに127日間、国境で輸入許可を待っている会社もあり改善を求めている。
靴だけなく州内で生産された1000台のトラクターと収穫機も国境で輸入許可を待っている。RS州の輸出先国としてのアルゼンチン経済の安定化が切に待たれる次第です。

グアイバー工業団地にFEPANの環境許可
グアイバー市では、FORD自動車の工場建設予定地だった960ヘクタールを工業団地として開発しており3000万ドル投下予定のアメリカの部品工場TEREX社に初めてのFEPAN(州環境保護局)の環境許可書が下りた。続いてアルゼンチンのFATE社との合弁で農業用トラクターなどのタイヤ―を生産するVIPAL社とNEUGEBAUERのチョコレート新工場にも同様の環境許可書が下りる見込みでやっと工業団地が動き出すことになる。

リスボンへの直行便が7月12日開始
ブラジル南部の都市、ポルトアレグレとリスボンを直接つなぐTAP社の直行便が6月12日より往復799ドルで飛ぶことになった。現在TAP社のサンパウローリスボン間の往復運賃が1267ドルで有ることからアルゼンチンを含むブラジル南部とポルトアガルが時間的にも短縮され運賃が格安とうれしいニューズです。これはタルソ知事が就任前の昨年11月にポルトガルを訪問しブラジル南部とポルトガルをつなぐためにぜひ開通して欲しいと要請した結果だといわれている。
(著者:さわやか商会主・元南伯日本商工会議所会頭)


南の国境から見たブラジル 2011年5月号 連載57 

RS州の最低給料はR$610に設定
4月5日に州議会でRS州の最低給料は、11.6%の調整にもとづき610レアイスに絶対多数で議決され3月に遡及して実施されることになった。州内で一番高給のカテゴリーである鉄鋼、機械、電機関係などの労働者は、R$663,40の最低給料が設定されたが、企業家サイドからは、各カテゴリーの最低給料を公機関で決める必要はないと反発している。

RS州、輸出州として4位に戻る
2011年度の1月〜3月の輸出統計では、RS州は38億ドルを記録、サンパウロ州23.7%、ミナス州16.6%、リオ州11%に次ぎ7.4%を占め定位置ともいえる4位に帰り咲いた。輸出先国は、アルゼンチン、米国、中国となっている。 
一方輸入は、96.2%が工業製品で前年度比4.9%の増加を示し31億ドルを記録、出超は、7億ドルとなっている。

ドイツのKMW社サンタマリア市に工場建設
世界的な軍用ジープの製造会社KMW社は、ブラジル陸軍に軍用車LEOPARD1A5を220台納入し、そのメンテナンスをするブラジル国内の修理工場をRS州のサンタマリア市に設置を決めた。いずれブラジル国内での軍用車を生産販売することになるが、先ずは、修理工場を2012年より稼働させる予定。ラテンアメリカ諸国向けの軍用車販売には、80%の部品を国産化させるとのことで特殊車の工場が誕生することになった。

SAMSUNGリオグランデ港に造船所建設
韓国のSAMSUNGは、1986年にマナウスに進出以来、電子機器部門では大躍進、2003年には売上3億ドル、300人の従業員だったのが2010年には50億ドルの売り上げと8000人の従業員を抱えるに至っており今回、新規投資先としてRS州を選び、リオグランデ港に造船所建設計画をタルソ知事に伝えている。造船所以外にもリオグランデ港でGNLのガス化設備と火力発電所建設計画を検討している。

ウルグアイ国境リブラメントに風力発電所
2009年にELETROSULが取得していた90メガワットの風力発電許可がドイツのWOBBEN社との合弁で4億レアイスを注ぎ込み、このほど第1号機の風車据え付けが終わり5月初めには4機、合計45機の風車が稼働、国境周辺の環形を一新することになる。州内では海岸地域を遠く離れた地域での初めての風力発電所となる。

ポルトアレグレ港湾倉庫開発計画が具体化
2014年のワールドカップ開催準備の一環としてポルトアレグレ港の倉庫群をショッピング、レストラン、レジャーランド、ホテル、事務所建設など総合開発計画が具体化し4憶5千万レアルの倉庫改装の予算がついた。25年間の年間250万レアルの賃貸料を州政府に支払い港湾施設を借り受ける「マウア港湾開発」というコンソルシアムが計画を実施する。港町ポルトアレグレの市民の憩いの場所となってくれるとうれしい。
(著者:さわやか商会主・元南伯日本商工会議所会頭)


南の国境から見たブラジル 2011年6月号 連載58 

タルソ知事、韓国、スペイン、ポルトガルへ
5月29日から6月4日までタルソ知事は韓国を訪問し、その後スペイン、ポルトガルにも立ち寄り6月12日のリスボンーポルトアレグレのTAP航空の直行便の処女航空で帰国する予定。州知事一行の随員は、州工業連盟傘下の企業、大学総長、市長、局長クラスの70数名からなり韓国企業のRS州への投資を誘致する。具体的なターゲットをHYUNDAI、SAMSUNG、DAEWOO、LG、HANA MICRONなどに絞り各社を訪問する予定と伝えられている。

HYUNDAI、RS州にエレベーター工場を建設
韓国を訪問しているタルソ知事に対しHYUNDAIの本社社長がRS州にエレベーター工場を建設すると伝え30日以内に工場規模と投資総額を決めると断言し生産開始は6か月後には実現させるとの事で、同行していたサンタマリア市、ペロッタス市、ノーボハンブルグ市の市長、長官が工場用地提供を申し出ている。儀礼的な訪問でなく韓国からの具体的なRS州への投資が活発化することは確かなようでHANA MICRON社はすでにHT MICRONという合弁会社を通じて年内に半導体を生産販売予定である。

RS州の4月の輸出総額は15億ドル
ブラジル全体では前年度比33.1%の伸びを示しているのに対しRS州ではわすか7.9%の15億ドルに留まっている。RS州の輸出会社が2007年から2010年度には平均2800社あったのが現在は2500社に減って来ている。これは国内の生産コストは上昇するが輸出のドル価格は国際競争により上げる事が出来ずレアル高の影響を受け輸出を断念する企業が増えて来ている事による。輸出高は、全国の7.2%を占めサンパウロ、ミナス、リオに次いで第4位をキープしている。

AZALEIAの本拠地パロベ工場を閉鎖
一時は、8000人の従業員を抱えていたパロベ市の靴工場AZALEIAは、2007年にVULCABRASと合併後、工場を海外のアルゼンチン、インドなどに新設、東北伯のセアラ、セルジッペ、バイヤ州に工場を移しついに残っていた本社工場も閉鎖、800人を解雇、州内での靴生産を完全停止した。27工場を持ち日産25万足を生産、国内3万9千人、海外に6千人の従業員を持つブラジル最大級の靴屋AZALEIAがRS州での靴生産を停止した。

Carmen SteffensRS州で靴生産開始。
AZALEIAは、州内での靴生産を停止したが、サンパウロ州のフランカに工場を持つブランド製品Carmen Steffensは、スパニオール社長がガウショである事から生まれ故郷に工場の一部を移すとのことで年内に生産を開始日産2千足を生産、2012には5千足を目指し1200人程度の従業員を確保するとのこと。

ジルマ大統領ウルグアイを訪問
ジルマ大統領は、1月に就任後最初の訪問先としてモンテビデオ訪問を計画していたが諸事情により延び延びになっていた。5月30日にモンテビデオをわすか5時間の滞在で訪問しムヒカ(MUJICA)大統領と会談、10数件の議定書に署名した。ウルグアイの北部とRS州と結ぶジャガロン河の第2の橋建設計画、リベイラ市を通じての両国鉄道の連結計画、電力の相互利用計画、ラゴアミリン湖を通じての水路による交通計画などを推進することを確認したとのことでRS州とウルグアイ間のより密接な経済協力が実現することになった。
(著者:さわやか商会主・元南伯日本商工会議所会頭)


南の国境から見たブラジル 2011年7月号 連載59 

RS州タルソ知事韓国訪問の成果は
5月29日から6月4日までタルソ知事は韓国を訪問し、具体的な話としてHYUNDAYがエレベータ製造工場を建設することが決定しているが、それ以外のも20社近い韓国の企業とコンタクトを取りリオグランデ港への造船所建設希望企業としてDSME社、SAMSUNG社、STX社、HYUNDAI社など4社が名乗りを上げている。HYUNDAI MOTORSは、ブラジルでの新しい自動車工場建設も視野に入れているとのことでRS州への進出の可能性もあるとタルソ知事を喜ばせたようです。電子部門のHANA MICRON社は年内に半導体生産を企てておりLS MTRON社100馬力内のトラクター生産、KOREAN FOOTWEARは、製靴部門でのジョイントを希望しているとのことでタルソ知事は、これらの20%が実現すれば大きな成果と考えると韓国訪問を締め括っている。

ワールドカップまでに工事が間にあうか
2014年のワールドカップ開催地のポルトアレグレでは17工事が計画されているが、すでに着工している工事は、わすか2工事。サッカー場は、アンドレグチエーレと組んで何とか2012年末までに終わらせ2013年のコンフェデラソン大会(W杯の予行演習)の会場になる予定。 
飛行場の滑走路延長、現在の年間旅客数650万を倍の能力に拡張する工事、飛行場とメトロを結ぶモノレール建設(これはわずか998メートルで来年初めには稼働する見込み)、市内の交通網(バス専用線を含む)完備の為の諸工事は、最終設計案が10月に出来る予定とのことで間にあうかどうか心配されている。飛行場の整備を除いて全て2013年末までに終了予定で工期として残り30か月、はたして間にあうか?ブラジル式「ダール・ウン・ジェイト」を見せてくれることを期待したい。

TAPのリスボン行き直行便が就航
ヨーロッパへの玄関口としてTAP航空がポルトアレグレーリスボンの直行便を6月12日から飛ばしている。10時間20分でリスボンまで直行で飛びヨーロッパ各地への道が開けた。現在の所、週4便だが近い将来毎日飛ばす予定とのこと。一方、6月16日からCOPA AIRがパナマに週4便の直行便を飛ばし始めている。ポルトアレグレから中米、北米が近くなる。すでにTACAがリマに直行便を飛ばしており、GOLがサンチャゴへの直行便を検討しておりモンテビデオ、ブエノスアイレス、コルドバ、ロザリオと飛んでおりサンパウロ、リオでの乗り継ぎなしにヨーロッパ、中米、北米、南米諸国に直行便が飛び観光客誘致、ビジネスの緊密化が期待される。

アルゼンチン、ブラジル製品輸入を一部許可
アルゼンチンは、ブラジル製品の輸入許可を60日以内に出さず国境地帯の倉庫、トラックの上で待機している状況が続き5月中旬にブラジル側がアルゼンチンの車の輸出をストップさせ2国間の緊張が増し解決策が話し合われていたが、ブラジル側がアルゼンチンの車1100台の輸入許可を下ろしたことからアルゼンチン側もブラジルの靴430万ドル分、農業機械200万ドル、430万ドル分のタイヤ―、300万ドルの自動車部品(ブレーキとクラッチ)の輸入許可を認めた。アルゼンチン側は今後も輸入許可取得制度を続けて行くと譲らずブラジル企業のアルゼンチンでの生産、または輸入コッタ内での貿易を検討して行くべきであると主張している。メルコスール市場として期待されていたアルゼンチンとの貿易が頓挫しておりRS州の輸出先の重要市場としてのアルゼンチンの経済回復、正常化が待たれる。
(著者:さわやか商会主・元南伯日本商工会議所会頭)


(特別寄稿)
南伯会議所、ぺロッタス、リオグランデを訪問。

ポルトアレグレには、1974年サンパウロの大口総領事の誘拐事件後、西川総領事の発案で日本からの進出企業の連絡網完備を目指して、関係者が総領事公邸に集まりました。これをきっっけに月曜会、三水会といった名称で日本からの進出企業の主管者が月に一度昼食会を持つようになりました。
そして、1989年に地元の日系企業と合同で南伯日本商工会議所が設立されました。1994年にメルコスールセミナーと会わせ全伯の日本商工会議所の年次会議を開催、マナウス、べレン、リオ、サンパウロ、クリチーバの各商工会議所から代表者とメンバーの皆さんが来られ、バス2台でコペスール、リオセル、ゲルダウ、倉敷紡績等の工場見学とワイン工場訪問、グラマードでの対抗ゴルフ大会等を実施しました。
その後進出企業の撤退などで活動も低調となり、月例会議もなくなり必要に応じて集まる程度と会議所は有名無形の存在になっていました。ところが昨年4月、当地に根を張り54年の歴史を持つ倉敷紡績の白井康弘重役を会頭に迎え、タバコの都、サンタクルスに新規進出して来たJTI(JAPAN TABACO INTERNATIONAL=日本たばこ事業の海外たばこ事業部門=本社ジュネブ、山本城史重役)、靴の都ノーボハンブルゴの近くに工場買収の形で進出して来た大塚化学(本社大阪、奥村 肇社長)の御三家の形成が可能となり、工場見学などを含む月例昼食会を定期的に実施復活されています。
昨年11月のRS州と滋賀県の姉妹県提携30周年の慶祝団((団長:米田耕一郎副知事)の歓迎夕食会を地元コロニアの皆さんもご招待して実施しました。そして6月27日(月)、28日(火)の1泊2日のバス旅行を実施しました。今年で一番寒い日に暖房がないバスでで文字通りピコレー(アイスキャンデイ)に成りながら、サンパウロ総領事館から着任間がない後藤 猛領事を団長に白井会頭以下総勢20名弱でRS州南部のぺロッタスとリオグランデを訪問しました。
ジルマ大統領の中国訪問、RS州のタルソ知事の韓国訪問と日本列島を頭越しに外交、経済交流が進んでいます。しかしこの2都市では、日本の領事、商工会議所のメンバーの訪問通知に期待も膨らみ、市役所、市議会、商工会議所、大学などから大きな関心で迎えられ歓迎を受けました。団長の後藤領事がブラジル在勤15年以上の流暢なポルトガル語でその役割を果たしてくれて心強く感じました。

ぺロッタス市
ここはRS州南部の中心都市で、RS州内第2の都市でしたが、近年カシアスドスール市にその地位を譲り、現在の人口34万人ほどで第3位にあります。伝統的な農産物の集積地で、州内唯一の外洋港リオグランデとセットになって州内南部地域を盛り立てています。
1963年9月17日に石川県の能登半島の突端の小さな町、珠洲市と姉妹都市提携を結びましたがこれがブラジルと日本の姉妹都市提携の嚆矢となっています。1967年には州都ポルトアレグレと石川県の県庁所在地金沢市がブラジルで3番目の姉妹都市提携をしています。 
ペロッタスにあるペロッタス連邦大学で新しく日本語講座を設ける機運が持ち上がっており、ポルトアレグレの連邦大学との提携を模索しています。姉妹都市、珠洲市の酒蔵に大学生を派遣、杜氏の修業をさせた3人の内、農学部の教授として残っている先生もおられ、近い料来日本酒工場の建設を検討して行きたいとの総長の発言がありました。コメどころでもあり水も上質なのでひょっとすれば実現の可能性もあるのかもしれません。期待は持てますが果たして実現するでしょうか?

リオグランデ
この港町は州内でも一番古く唯一の外洋に面した港町として歴史的に重要な位置を占めています。
リオグランデの町で特筆して置きたいのは、1956年の8月18日に23人の青年移住者初めてリオグランデ港に下船したところです。RS州議会ではこの日を記念して『日本人の日』に決め、毎年お祝いをしています。5年前の50周年の際に町の中心地の岸壁に日本人下船記念碑を立てました。55周年を前に一行はまずこの記念碑を訪れ、市長以下と会談しました。55年前にこの地に降り立った23人組みのお一人である栗原隆之さんが奥さま同伴の参加でした。初めてのリオグランデ訪問だと云う奥様が感慨深げに記念碑を見つめておられたのが印象的でした。記念碑には日伯議員連盟事務局長の川村建夫衆議院議員が『青雲の志』を揮毫されています。RS州の戦後移民であるわれわれの心に沁みる言葉です。
70年代に輸出回廊計画で日本が融資した大豆積み出し施設は7万トンの倉庫型サイロと共にポルトノーボに忘れされており、これを見ると心が痛みます。スーパーポートに町のシンボルとなる高さ69メートルで600トンを釣り上げる大型クレーンがあります。これはペトロブラスの水門式造船所(DIQUE SECO)の中で稼働しており見学させてもらいました。これまでは古いタンカーを引っ張って来て船体を改造、内装を施しプラットフォームとして使用する方式でした。この方式で製造されたP53はすでに生産拠点として海上にあります。見学させていただいた造船所は、現場で船体から生産するもので、深海用プラットフォーム8基が継続生産に入っています。この深海油田用のプラットフォーム建設計画は、巨大なもので、リオグランデ市長は、「10年で町の経済規模を倍増させる」と州内最古の町の新しい街づくりに大きな期待を寄せていました。これからのプレサルの開発の波に乗り、リオグランデの町が州第一の町を目指して経済開発を実現させる鎚の音が聞こえて来るような気がしました。
午後からもう15年以上日本向けにアカシアネグラのチップを輸出しているタナッキ社のチップヤードと輸出施設を住商ポルトアレグレ出張所の門馬忠雄さんに案内していただきました。来週入ってくる日本船が167隻目で、年間平均60万トンのアカシアネグラのチップを日本に輸出しています。日本では日本製紙と王子製紙が引き取っておりタナッキ社の日本の窓口を住商が握っていますが投資、融資などは一切なく、3万ヘクタールのアカシア林は、タナッキ社の自社所有、世界一のアカシアネグラの栽培会社と組んでの商権は、住商ポルトアレグレの大きなベースカーゴとなっているそうです。

RS州は、メルコスールの中心地としての位置付けで、日本からの進出企業誘致を待望して来ました。しかし日本の企業がブラジルに目を向けるとしてもサンパウロ、リオ、ミナスの南東経済圏が中心で南伯のRS州には関心が薄い。『なんでポルトアレグレ?』との質問に答えられるものをわれわれは用意して行く必要があります。ドイツ移民、イタリア移民が主流を占める南伯で幾らかでもブラジル南部に関心を示す日本企業があれば是非南伯日本商工会議所として全力を挙げて支援して行く体制を構築して行きたと思う次第です。
(著者:さわやか商会主・南伯日本商工会議所専務理事、元会頭)





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