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山下晃明のブラジルで損せぬ法(269)、(270)、(271)5月、6月、7月号
山下晃明さんのブラジルで損せぬ法のバックナンバーを『私たちの40年!!』HPへの掲載作業は、やっと1年間の遅れまで取り戻しました。8月初めに掲載するのが昨年の5月、6月7月号です。昨年の7月号の書き出しに下記記述がある。『この連載は本来警告調が目的であるから常に辛口ではあるが、いくら調子がよいからと手放しでブラジルの将来を見ていてはならないと思う。ブラジルを楽観視できる人は、今の時代に世界一高くて複雑な税金、世界一の実質金利、異常なレアル高と時代離れした労働法下でも世界の列強と競争できる大変よい職種をお持ちの方か、または大変な自信家である。もし基礎条件だけを冷静に見ると新規投資はおろか進出もすべきでないほど最悪なのである。』好景気だと云われるブラジル経済 への警告はまさに時宜を得ている。諸問題を内蔵している事は確かだがそれでもブラジルは伸びると私は信じたい。
写真は、山下さんが住むリオのコパカバーナ海浜にあった「砂上の楼閣」を使用する事にしました。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(269)
それにしてもヨーロッパはついていない。アイスランドの噴火、ギリシャの金融危機、これはサブプライム恐慌後のEUの対応の遅れであり、ヨーロッパに潜む証債券の全損害を税金などで埋めるまで収まらないだろう。噴火噴煙の影響で航空機減便の経済的損害と、今後農産物減産も起きるから、すぐに解決する見込みはない。
製造業システムの大きな時代の変化
戦後、日本が電子関連で世界に冠たる工業製品輸出国として成功してきたシステムは、高度技術力で高級品ハードの新商品を製造し、それに対応するソフトも製造し、まず新しいもの好きの金持ち層に売る。市場結果を見据えた後、格安モデルを製造して普及させる。日本のメーカーはこうしないと開発費が回収できないと思っていただろう。だが考えてみると、新商品がもし売れなかったときは、開発費の回収は高値で売り出してみても無理なのである。
ブラジルでも130億レイスをかけて5年間に3500万人にブロード・バンドを敷設する計画があるが、インターネット使用のFREE経済の時代には過去の開発システムが通用しなくなっている。
Skypeもそうであったが、YouTubeでもTwitterでも先に無料でソフトを提供している。シェヤーが世界一になった時点で、これらは強力な宣伝収入媒体に変わり、開発費以上のものが回収できるのである。
最近ヒットしたハード、iPOD、Kindle、iPhone、iPadなどは無線インターネットとその関連ソフトを使うために開発された単なる端末にすぎないが、発売前から列になるヒット商品である点は注目に値する。
 iPadは4月米国で発売され、すでに100万台売れて5月28日に日本でも発売というが、基本機能の一つである電子書籍は、元は日本のメーカーが始めたものである。日本モデルはハードが電子書籍専用で、インターネットからダウンロードできないし、ビデオやシネマの鑑賞には使えない、カーナビにも使えない消費者にとって不便な商品であった。 
アマゾン社がKindleというインターネットに常時つながる白黒表示の書籍用端末を発表し、新聞や雑誌の講読もできるようになった。
アップルがiPODというメモリ・チップをパソコンにつなげるようにして、ヘッドフォンをつけた商品を開発し、若者の消費者層を取り込み、瞬く間にCDやテープなどの音楽記憶媒体を駆逐し、音楽の著作権を無価値にしてしまった。
これの延長でこんどは映像、動画をカラーで見せるiPhoneというインターネットにつながるセルラーを発売し大ヒット商品となった。電話以外に、指先一本で写真の整理、カメラ、ビデオカメラ、ゲーム、メール、ゲーム、カーナビなどが使えるようになった。またあらゆる場所でTwitterも使え、一部新聞や雑誌の講読もできるようになった。
さらにこの大型画面版がiPadで、擬似キーボードもかなり大きくなり、クラウド・コンピューティングで仕事にも使える。 
いずれにせよiPad発売に刺激されて、Kindleの新型、iPhone 4.0などセルラーやクラウド・コンピューティングに備えたノート・パソコンの改良型などの新製品も続出するはずで、Twitterによる宣伝を含めた相乗効果で、今年末は一気に電子化が進みそうだ。
個人的な意見としては価格が300ドル程度に下がり、大量文章入力用の大型無線キーボードとTV画面か壁に端末を近づけると無線で大きく写せるようになれば、一挙に普及するものと思われる。
新聞、雑誌も欧米のほとんどの有名新聞雑誌がiPad版を準備しており、一気に電子化が進むと思われ、書籍の出版社、印刷業者や、書店は戦々恐々である。
今世界で今何が起きているか知る目的であればTwitterのニュースは24時間刻々入っており場合によってはTVより早い、新聞の電子版はいくら早くしてみてもニュースとしては2番煎じなのである。
特に読みっぱなしの傾向が強いマンガなどではほとんどが電子版に変わるのではないかといわれている。
個人的な感じではiPadは少し重い、駅や電車内で片手で使うセルラー・メールに慣れた日本人には少し大きすぎの感もある。
報道出版業界の大きな時代の変化
昔の映像報道はフィルムを現像し、ハサミで編集していた。原稿も音声も吟味され当然編集人が重要な位置をしめていた。
ビデオ・テープの出現で、現像時間が無くなり巻き戻し時間のみで再生できるようになると編集時間も大幅にカットを余技なくされた。デジタル映像になって、修正はソフト使用があたりまえ、巻き戻し時間が無くなってスポーツ実況のシーンの即再現が簡単にできるようになり、もはやカメラを設置してオンタイムで見ている状況とあまり変わらない時代になってしまった。
出版も写真を現像し、原稿は手で書いて、編集人が校正、写真はネガの細部に手修正(レトッケ)までしていた。版を作って印刷に回すまでに編集人の出番があった。だが編集校正行為も編集用ソフトで自動化した。印刷というアナログの世界も編集はデジタル処理になった。ブログなどから直接印刷も可能の時代になってしまった。
従来、ニュースは編集長かデスクが全部を見てからの選択であったので、新聞の見出しは編集者が感じる重要度で、読者はその思想を受け入れていたことになるが、Twitterでは生のまま刻々と発信するようになる。
映像やメッセージがそのまま送られ、見るほうが選択する時代になったことは、注目に値いするのではないだろうか。
今Twitterは片手で漢字入力がすばやくできる若もの層と、速読速筆を得意とする編集人やマスコミ関連者が支えているように思われるが、それでも情報量が多くなりすぎてどんなに速読の人でも全部は読めない時代になっている。この過去になかった即時情報発信の出現が将来どのような怪物に育つかわからないことに危機感を持つマスコミ各社や検索サイトはTwitter号に乗り遅れないように、今は刻々と1行ニュースを流している。タイトルは元の硬いものより大衆うけをするようにやさしい表現に変えている。
最初は、他のメッセージを見ながら世界の出来事が刻々目に入るので良いと思っていたが、特にGoogleはすさまじく、24時間休み無く送信してくる。ここだけで何ページも独占する時間帯がある。大手各紙の報道とそれを転送するポータル・サイトが1行ニュースを流すのであるから当然重複も多く、いいかげんにしてくれといいたくなる。 
筆者はニュースを別グループにして、メインでは選択しない形態いわばマイナスの選択をしたらすっきりした。将来、ポータルサイトがマスコミの報道しないニュースのみを流し始めたらまた見てあげることにする。
なおマスコミ発のニュースのみでも全部見るのはすでに不可能になっている。ではどうするか。検索で見たいテーマのみを選ぶか、情報量が増えると物理的に取捨選択はできなくなり、自分の使える時間帯に見えるもののみ、すなわち全部を見るのをあきらめて部分のみを見ることしかできないのである。
考えてみると自然界での人間はすべてを見ていない。実はその場所に行って眼を向けた方向にあるもので、注視したものしか見ていない、すなわち選択しているのである。
したがって、見せたくないものを法令で規制するにも検閲行為そのものが、たとえ中国の国家権力でも物理的に不可能になり、ナンセンスになったのである。これからの子どもには見るべきものの選択のしかたを教えるしかないのであろう。
YouTubeやTwitterという怪物
YouTubeやTwitterはまだ儲け方を見つけていないFREEで。現段階は世界一の市場獲得、既成事実に努力をしている途中というのだがYouTubeの方はGoogleが買収してから世界一のレンタル・ビデオに育ちつつある模様で、TV画面での再生と自らもインターネット・セルラーの発売を計画しており、多大なコマーシャル収入が期待できるとのことである。早く言えば個人通信の業界のグローバル経済で、Gmailでもすでに強力であるが、短編ビデオでも世界一になろうとしている。
YouTubeは1分後には世界中に映像を、Twitterは数秒後には世界にメッセージを送る。このスピードと一般人が無料で全世界へ送信できるのが革新的なすごいところである。メールは相手にデータを送信するがTwitterは送らない。サーバーへ送って相手が自分で選んで引き出すのである。サーバーが管理しているのか迷惑メールが少ない。
受取相手を自分で選べる。誰が見てくれているか知ることができるし、その人を誰が見ているかも知ることができる。140文字と制限があるので短い時間で入力できるし、一瞬で読める。インターネットにつながったセルラーか端末を持ち歩く人に最適である。じっくり読む人には向かないが、ブログかホーム・ページの所在を知らすことができる。
別の人の発言に同感であれば、レツイートをクリックするだけでよい。
小生がどれほどヒマであるか知りたい方はwww.twitter.comでlifeshizenを開けてみたらわかる。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(270)
ユーロ危機とレアルレート
 
危機発生時の経常赤字額について、バークレイズ・キャピタルのレポートでは1982年のブラジル危機のとき163億ドルでIMFからの支援額は98億ドルであったが、同年のメキシコ危機は58億ドルに対しIMF支援額124億ドル、1997の韓国危機のとき同82億ドル、IMF支援額226億ドルなどの過去の赤字額と比較して今回のギリシャ危機は危機発生時の経常赤字額が314億ドル、IMFの支援額は385億ドルと規模が飛躍的に拡大している。
この経常赤字規模より、ギリシャの事態はEUにとって、かなり深刻な問題と思われる。さらに現在の経常赤字はポルトガルが202億ドル、スペインが790億ドルというから、スペイン、ポルトガルに飛び火すると世界的な危機になる恐れがあることになる。
ユーロが対米ドル1.20以下になったが、ブラジルのレアルレート設定にウエートをユーロに置いているので、EUの危機でユーロ下げの影響でレアル安になる。
その場合輸入原価高でインフレを加速させる。4月のM1は0.3%減だが、過去12か月累積は16.9%増と少し緩んできた。インフレはFGVのIGP−DI指数で、4月までの過去12か月累積は2.95%となっているが今後しばらくはインフレ上昇の傾向だ。
iPadの日本での発売に遭遇した
5月末日本のiPadの発売に遭遇した。銀座の販売店で1200メートルの行列、前夜から並んだ人もいたようだが、思ったより少ない。
念のため2日後の日曜日に渋谷の量販店に行ってみた。iPadコーナーにはそれほど人が集まっておらず、売り切れにもなっていない。
世界でこれまで200万台売れたというが、日本ではそれほど売れないのではと思われた。なお世界でこれまで500万冊の書籍がダウンロードされたというが疑いたくなるほどの驚異的な数字である。
IPadのPCなどに比較したメリットは
*ソフトの立ち上げが非常に早い。
*操作が簡単、なにしろ取り扱い説明書はたったの葉書一枚である。
*電子書籍リーダーとしては非常に良い
*写真や画像を見るのには良い
*ゲームやアプリは豊富である。
同じくマイナス点としては
*カメラが内蔵されていない
*擬似キーボードは横にしても、両手の指で使うには指一本ぶん狭いうえにタッチが鋭敏すぎて長文の両手入力には向かない
*画面が大きくなったので、iPhoneやマウスより大きく手を動かさねばならない。
日本ではスマートフォンに慣れていて、猫も杓子も片手で親指漢字入力を電車の中や駅の列で器用に操作している。片手つり革だと携帯サイズの方が受けそうだ。その意味ではiPadは片手で持つには大きすぎすべりやすい。
以上より日本では米国のように爆破的な販売とはならないようだ。中間発表では今まで20万台程度とのことであった。
なお3Gモデルは通信料が高くつく。ただ、そこはよくしたもので、Wi-FiやWi-MAXの電波をだすアダプターが1万円以下で売られており、これを持ち歩けばWi-Fiで接続できる。
本体の取扱い説明書は、はがき一枚だが、使用法の豪華本がいっぱい売られている。手で持ったときすべりやすいから持ち運び用のプラスチック補強板、キャリイング・バッグが棚いっぱいに売られている。 
キーボードが使いずらいから別キーボードや別マウスも売られている。無線で使えるプリンターもEPSONなどから発売された。アップル社にあやかる周辺メーカーをもうけさせているようである。
米国の大学に思う
息子の卒業式でダラスの近くのデントンに行った。卒業生が多すぎて巨大な体育館には入らず、日に3回も式典を行うのを見ながら、今のアメリカで、各州の大学がかくも大量に大卒を生み出して、職があるのだろうかとちょっと心配になった。
デントンには学生数4万人の大学があるのだが、街に教育関連以外の大型産業が見あたらない。貸しアパートなど不動産、レストラン、自動車ディーラー、ガソリンポスト、家具、スーパー、コンピュータ店、書店、文房具点などすべてが学生または教授など教育関係者が消費者なのである。
米国の地方都市にはこのような計画都市が多く、大学にたよる都市、宗教にたよる都市などでサービス業にささえられている街が多くみられる。市内にそういう地区もあるのではなく、街全体がその産業に依存しているのである。
日本の未来モデル都市
横浜の港北センターを見学した。新しくできた地下鉄路線のブルーラインのセンター南からセンター北駅へ2駅にまたがる巨大な計画都市で、東急グループと阪急グループの巨大なショッピング・モールが3棟あり、量販店だけでも3店あり、ほかにも区役所、警察署、消防署、郵便局、図書館、博物館、銀行、病院、大学、老人ホームあり、成田、羽田空港へのバスターミナルあり、工業と農業以外はすべてそろった至れり尽くせりのきれいなセンターである。興味あるのはこの地区は少子化問題など無関係で、若者夫婦と子どもとペット多数とのことである。
見方によれば工業が全部アジアへ移転した後の日本の未来経済モデルであるのかもしれない。前述の米国地方都市の経済システムと極めて類似しているが、商業とサービス業のみの経済では成長は人口増のみになるのではないだろうか。ショッピング・モールや大規模量販店が増えると確かに商業の店頭や流通在庫が増えるが、日本は面積が米国ほど広くないので、店頭数も伸びず米国の内部需要と同じような消費はないと思われる。
日本の首相
日本の首相は毎年変わるのが恒例になってしまったようだ。先進国として極めて恥ずかしい状況である。なぜ老人の持ち回りのようなことをいつまでも続けるのか。いいかげんに止めるべきではないか。
この世界的な変革期で、日本は経済危機、政治危機でもあるのに、なぜオレにまかせよという若者がどんどん出現しないのか。なぜ迫力のない世襲政治家が当選するのか。
ゆとり教育と、一人っ子政策で、日本人は虚勢され、坂本龍馬が育つ環境がなくなってしまった。平和ボケで国際地政学的に日本と世界を見られる国際人が育たない。
マスコミも新首相が出るたびに落としに力を入れる非建設的な報道が続いている。日本の若者が元気を出し、産業が復活して再び世界のリーダーになるにはどこかで変えなくてはなるまい。
日本での興味ある観察2点
立体テレビをみた。映像が立体であるということには、たいして注目していなかったが、サッカーのテスト放送を見て、ボールの動きがよく見えるのに感心した。
サラリーマンと女学生という人種をべつにして、女性の洋服は2人として同じ服をきておらず、極めて多様である。一時のようにブランドものへの金持ち趣味はなくなったが多くの商店が閉鎖するなかで、地下商店街などでは女性の衣料店は逆に増えている。
はやぶさ衛星
故障で一度は見失った20億キロ遠方にある衛星を見つけだし、5年かけて、満身創痍の衛星を、だましだまし総延長45億キロを誘導して6月13日に帰還させるというニュースは注目に値いする。チーム全員に宇宙物理学の知識があり、一人も手違いをすることなく、理論的に的確な選択と処理をする。これは技術者の執念というか日本人の特技ではなかろうか。もちろん最初から見失うことも想定の内で、コンピュータを遠隔でリセットさせたり、見失っても衛星を自動的にゆっくり回転させて太陽を見つけ出しアンテナを地球に向けさせるような自律プログラムが準備されていたのであろう。「日本人をなめたらアカンデー、数年後にミサイルで火の海になるぞ」という戦争抑止力にならないだろうか。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(271)
手放しで喜べないブラジルの好景気
 
この連載は本来警告調が目的であるから常に辛口ではあるが、いくら調子がよいからと手放しでブラジルの将来を見ていてはならないと思う。ブラジルを楽観視できる人は、今の時代に世界一高くて複雑な税金、世界一の実質金利、異常なレアル高と時代離れした労働法下でも世界の列強と競争できる大変よい職種をお持ちの方か、または大変な自信家である。もし基礎条件だけを冷静に見ると新規投資はおろか進出もすべきでないほど最悪なのである。
米国発金融危機後の各国政府の多額の低金利融資は、ブラジルへも投機資金を異常に増やしレアル高にしているが、先進国が、幾ら注ぎ込んでもヘッジファンドを儲けさせるだけで、根本的な問題解決にはならないと悟ったとき、出口政策というか資金引き上げが起きるだろう。  
ブラジルは資源輸出、特に鉄鉱石の値上げなどで、貿易収支は棚ぼた的な黒字が続いているが、実態はどうであるか。ブラジルの基礎経済、政治力、技術力の弱さも知っておく必要があるだろう。
BRICsの1員ともてはやされるが、4者の中でブラジルのみが持たないものがいくつかある。国際競争力で対等というのは中国などからみると片腹いたいことであろう。
まず原爆を持たない。平和的で良いかもしれないが、裏返すとのは原爆管理能力がないと判断されていて米国が許可しないのであって、4者の中で極端に国際軍事対応力が弱いともいえる。
次に実用衛星打上げロケット、ブラジルは2003年8月にアルカンタラ宇宙基地で発射台ごと爆発し、死者21名を出す大惨事でロケットの開発プロジェクトが凍結され、出遅れている。新たに開発したVLSロケットの試験は2012年、2013年に初の打ち上げテスト、2014年にやっと初の衛星を打ち上げる計画の段階で、現在の世界宇宙資源獲得競争からは取り残されている。
むしろBRICsの文字の最後の”s”とされる南アの方が進んでいて、2006年に南アフリカ宇宙局の設立が承認され、民間企業が開発した9基の液体燃料エンジンを束ねた大型ロケットとして初めてファルコン9の打ち上げに成功したスペースX社の社主は南ア出身である。
インドは後発であるがすでに28機も打ち上げているし、中国とインドは月への無人探査機で土壌サンプルの回収を進めているという。インド宇宙研究機関(ISRO)はインド版スペースシャトル、再使用型宇宙往還機(RLV)の開発も始めたようだ。
これも技術力、宇宙開発力でブラジルが劣る証拠になる。
次に技術者養成力の差、中国は本年の米国ハーバード大学のみで入学者が300名とか、インドは世界も認めるソフト開発技術者の多い国で着実に大卒技術者を増やしている。残念ながらブラジルの技術者養成力は同じ土俵で勝負する水準にはない。
経済面より見ると工業製品輸出の競争力は現在の世界情勢でブラジルは劣るどころか欠如していると言えるだろう。もし資源輸出がなければブラジルの貿易収支は大赤字であろう。
依然として何も変わらぬブラジル
税制改革はどうなった。財政、年金、行政、労働法各種改革はどうなった。今年は選挙だから、国会審議もおざなりで、重要法案は通らない。ルーラは改革すべきことを何もしないで政権を終えようとしている。
金利にまだインフレ価値修正を乗せている。インフレになれば預金者も損をしてインフレ抑止力が働かねばならぬのに、なぜか預金者はインフレで儲かる仕組みになっている。最近公定金利を上げたが、今こそ金利の価値修正をはずさねばならぬのに、金利を上げてどうするのか、そうでなくとも過剰な投機外貨の流入が増えるだけではないか。
工業製品に6割以上も間接税を徴収してどうするのか、酒たばこではないのだぞ、外貨の流入過剰で為替もレアル高だから、輸入品の価格のほうが安くなり、部品も完成品も輸入が増える傾向がある。工業製品の輸出力は4者の中で極端にないといえる。
いずれにしてもGDPの平均4割の徴税は高すぎる、小さい政府にして2割程度にさげるべきだろう。
警戒としてインフレが徐々に進行しつつある。6月のIGP-DIは0.34%だが、過去12か月で5.07%になり、仮に後半に月0.35%のインフレが継続すると年末には7.71%になって6.5%のインフレ目標は達成できなくなる。
陰陽自然学の飯田先生にいわせると、時代の大変化は来年3月から9月にかけて本格化するとのことであるが、誰が次期大統領になろうが、まず改革が必要となる。
アップルのiPad効果
アップルのような音楽や各種ソフトの統合システムの端末としてではなく、極めて日本的な発想のハードのみの改良型ではあるが、東芝の2面タッチパネルで700グラムのPCはすばらしい。本が見開きで読める。これをアップル効果というなら、これからも続々と新商品が出現するのは頼もしい限りだ。
日本のGDPは増えない
訪日中に気がついたが、これは87円の円高に市場全体が調整中なのか、中国製品の安値効果か、今はやりのデジタル世界の限りなくゼロ効果なのかは知らないが、以前飲み屋で一人2万円使っていた人は1万以下に、食事で1万円使っていた人は5000円以下に、5000円使っていた人は3000円以下にレベルダウンしている。これでは日本のGDPは上がらないだろう。ハンバーガーなども値下がりしている。なお、そば屋の値段はあまりかわらない、これが歴史的にいかなる不況の時代でもそば屋は生き残る理由なのだろう。
また女性の衣料店が急増しており、駅の地下の商店街などでどこかの店が閉まると後は女性衣料品店か携帯電話の会社だといわれる。ほとんどが女性衣料品店の駅の地下街もあった。男性用の衣料品店はさがしてもなかなかみつからない。以前は高級ブランドものを買っていた女性が、3000円ていどの品を主に買っており、うすもの重ね着で他の人と同じにならない個性的な衣料に人気が移っている。高級品店やデパートなどの経営は大変だろうなと思われる。
菅首相はサミットで日本は社会保障関連を柱とした経済成長をめざす意味の発言をしたようだが、このようなことが実現可能か、社会保障関連事業のほとんどが免税ではないのだろうか。税収をどうやって確保するのだろう。どうやって付加価値を生みだすのだろう。サミット諸国は日本政府の真意が理解できないし巨大財政赤字の国にうかつに口をだすわけにもいかないから、共同声明で日本の意向は共同外の扱いになったようだが、付加価値はやはり産業から生みださねばならず産業報国の思想が肝要と思われる。



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