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麻生悌三のブラジル不思議発見 33 アマゾン河とネグロ河
麻生さんのブラジル不思議発見8月号は、アマゾン中流のマナウスで合流するアマゾン河とネグロ河についてです。マナウスに出かけると飛行機から見下ろしたり船でこの合流点を観光に行きますが、両河の水速、水温、密度、PH、年平均流量、魚類の種類、河の色、マラリア等熱帯病等を比較して分かり易く説明している。またアマゾン河の支流ネグロ河、マデイラ川、タパジョス河、シングー河、トカンチンス河等に付いても比較しておられる。これでアマゾン河に付いて大分分かった気がしてくる。麻生さんは、実際にアマゾンに入植し住んだ経験があるのでそれなりの愛着を持っておられるようです。
日本アマゾン移民80周年にサンパウロ県連主催の故郷巡りの慶祝団に加わってマナウスを訪問して以来出向いていない。またのんびりピラニア釣りにでも出かけて見たいものです。おまけというか、附録のネグロ河上流に棲息するモウドク矢毒ガエルの話も面白い。この金色のかえるの写真はBLOGでみて下さい。
写真も麻生さん提供のアマゾン河とネグロ河の混じらない合流点の写真です。


ブラジル不思議発見―33 アマゾン河とネグロ河
ネグロ河(black river)はコロンビアのアンデス山脈を源流とし、支流でヴェネズエラのオリノコ河とも繋がっている。河口のマナウスでアマゾン河と合流する地点まで全長は
2250kmある。合流地点からネグロ河を720km位遡れるが、それ以上は砂州が多く、大型船舶の航行は不可能。リオネグロの意味は黒い河だが、河の色は、厳密には黒くなくコーヒー色に近い。但し、遠方より見ると、黒い色に見える。この色はジャングルに堆積した落ち葉が染み出した、タンニンが染めた色である。河の上流のコロンビアの土壌は、アマゾン河上流のソリモンイス河の土壌と比べて、古く無機質も少なく、土壌流失も少なくて、川水は容易に落ち葉に染まる。落ち葉のタンニンが抽出され、其の分、酸性が強まる。PH3,5はオレンジ並みの、強酸性水である。イガポと呼ばれる、冠水した低地の水中林の冠水のピークは6月頃で、例年、マナウス近辺でネグロ河の水位は10m位上がる。2009年7月は1955年以来の大洪水で水位は29m上昇した(2010年は逆に大渇水で水が引き、例年より10m下がったと聞く)。飛行機でマナウス付近を上空から見ると、イガポが見渡す限り広がり、木々の間から、反射光で光る水が見えた。タンニンで染まった強い酸性の水は、生態系にも影響を与えている。棲息する魚種もアマゾン河の3分の1で個体数も少ない。魚の体色も鮮やかで蛍光色の強い観賞用熱帯魚ネオンテトラはネグロ河の特産である。はっきりした、統計はないが、ネグロ河では固体が巨大化する傾向があるようで、世界最大の淡水魚といわれている、ピラルクーも体長3mが最大といわれているが、かって5m位の電柱並みの大きさのピラルクーが獲れたらしい。英人探検家が体長18mの大アナコンダを射殺したと云う記録もある。酸性水の影響であろうか、蚊の発生が少なく、マラリヤ等の蚊が媒介する熱帯病は他地域に比べて、少ない。又、河の黒い色が太陽光線を吸収し易いのか、水温はアマゾン河に比べて高い。マナウス近辺では5度Cも高い。マナウスのアマゾン河とネグロ河との合流地点では河水が水質の違いから混じらず、下流6−10kmまで、水の層が境界をくっきりと、別けて、続いている。
両河の相違に付いて下記列挙する。(アマゾン河はブラジル領内)
項目            ネグロ河          アマゾン河
水源地よりマナウスまでの  2250km        2000km
流速            2−3km毎時       8−9km毎時
水温            25−31度C       21−23度C
密度            少ない           大きい
PH            3,5−4,9       6,0−6,5
年平均流量 毎秒      2,9万トン        22,2万トン
魚類の種類         約700種         約22上の00種
河の色           茶黒色           黄褐色
マラリヤ等の熱帯病     少ない           多い
1850−1852年にかけて、英人探検家で博物学者のウオーレスがネグロ河上流を調査し、魚類、動植物の標本数千点を収集したが、惜しくも、船火事で全焼している。ネグロ河の自然については、まだ手つかずの未知の分野も多いい。
(写真はアマゾン河とネグロ河との合流地点の河色の違い。色の違いが10kmも続く))

付録 アマゾン河に注ぐ5大支流の概要
支流        延長        平均流量―毎秒    流域面積 km平方 
ネグロ河      2250km    29300m立法     691000
マデイラ河     1450      17300     1420000
タパジョス河    1784      22000      764183
シングー河     1870      22000      521200
トカンチンス河   2600      11364      764000

アマゾン河本流   6500km以上  222000    7050000
尚、水源地はアマゾン本流がペルーのアンデス山系、ネグロ河がコロンビアのアンデス山系、マデイラ河がボリヴィア、タパジョス河とシングー河がマットグロッソ州、トカンチンス河が首都ブラジリヤ近郊。 河の色は、上流の土砂、岩盤等により異なり、アマゾン本流の河の色は、黄褐色、マデイラは白褐色、タパジョスは透明、シングーとトカンチンスは清水。アマゾン本流との合流地点では河色が鮮明に分かれ、数キロも帯状に平行して
混じらず流れる。特に、ネグロ河とタパジョス河の合流点は有名である。アマゾン河に流れ込む、支流は大小1400を数えるが、ブラジル領内の主要支流は上の5大支流である。
又、アマゾン盆地の水量はアンデスからの川水(元はアンデスの融雪水と降雨)とアマゾンに降る雨量により構成され、その比率はアンデスからの水量20%、アマゾンの降雨が
80%と云われている。 
カエルの背中から毒液を分泌する矢毒ガエルは数十種類あるらしいが、ネグロ河上流のコロンビヤ領アマゾンに棲息するモウドクヤドクカエル(英名Golden Poison Frog,ポ名Ra de Dardo Dourado)の毒は、生物中最も毒性の強い猛毒と云われており、その致死量は1回の分泌量(19mg)で大人10数人をイチコロにする毒性である。原住民はその毒を弓矢の先端に塗り、狩猟に使用する。ヤドクガエルは体長2−5cmでいずれも、派手な赤色、紅色、黄色、コバルトブルー、緑、等警戒色の体色を持っているが、モウドクヤドクガエルは体長5−7cmで黄金色の体色である。毒はパトラキシンと呼ばれる毒でガラガラ蛇と同じ神経毒で体内に入ると、神経を麻痺させ、呼吸神経を麻痺させて、窒息死させる。この毒性はどうも、自然の食性(餌となるダニ,蟻、甲虫等)に起因するらしく、人工飼育した場合の餌である、ウジ虫、昆虫等を与えていると、毒の分泌がなくなり、無毒化する。鮮やかな警戒色がペットとして人気があるが、食性により無毒化しているから危険はない。毒性はカエルの体内で合成されるが、そのメカニズムはまだ解明されていない。派手な警戒色で天敵の小鳥、ヘビ、トカゲ等を遠ざけけているが、日本のヤマカガシに似た蛇、ノハラツヤヘビ属の蛇は猛毒パトラキシンに耐性があり、このカエルを食べても何ともない。このヘビ、モウドク矢毒蛙が大好物らしく、天敵となっており、自然の摂理は何とも不思議である。尚、どうやって、このカエルの毒を回収して毒矢に使用するか、文献を探しても記載は見つからないが、聞き及ぶ処によると、捕獲した、モウドクヤドクガエルを壺に入れ、棒で突くと、怒って、毒液を分泌する。その体液に乾燥して粉末にしたコケを振りかけ、毒液をしみこませる。弓矢の先に樹液を塗り、それに毒液を染み込ませたコケ粉末を振りかけ、乾かして、毒矢に仕立てるらしい。棲息している森林には繁殖の為の水溜りがどこにでもあるとは限らない。多くは、木の祠、窪み等の水溜りに産卵しオタマジャクシをそだてるが、当然そういう所はオタマジャクシの餌となるバクテリヤや有機物がすくない。親ガエルは、無性卵を産み、オタマジャクシの栄養源とする本能を持っている。数十年前、リオ国立大学の研究者が誤って、このカエルの毒液に接触し、引っ繰り返り、この毒の解毒方法と薬草を知っているインジオのシャーマンが呼ばれ、薬草服用と薬草の煙草を顔に吹きかけて、解毒治療を行い組成させ、救命した逸話が残っている。
(写真はモウドクヤドクガエルと弓矢を構える原住民)
2012年8月1日
麻生




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