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麻生悌三のブラジル不思議発見 34 アマゾン上空の空飛ぶ川
麻生さんのブラジル不思議発見、9月号は、先月のアマゾン河とネグロ河に続いて今度はアマゾン上空の空飛ぶ川と若い頃に住んでおられたアマゾンの話題が続きます。アマゾンの上空2-4千メータに幅400Km、長さ数千メーターに及ぶ空飛ぶ川が存在するとの事、初めて知りました。アマゾン河は、地上の河と空飛ぶ川の上下2つの川が存在しこの空飛ぶ川は5000km離れた私の住む南大河州にまでその影響を及ぼすとの事大変興味深い話題です。
付録も豪華です。【アマゾンの森林伐採の影響】と【現存している古代爬虫類 ワニ】の
2本立てです。今日のワニは凡そ8千万年前に進化し、姿、形とも全く変わっていない生
きた化石とのこと。写真も選んで送って頂いているのですが、1枚しか使用できないのが
残念です。残りの写真はBLOGの方に掲載して置きます。
麻生さん毎月有難う。


アマゾン上空の空飛ぶ川
アマゾンは地球の肺と云われ、大ジャングルの炭酸ガス吸収と酸素供給は良く知られている。流域面積は705万平方kmでオーストラリアがすっぽり入る膨大な面積である。
その大アマゾンの上空2−4千メーターに幅約400km、長さ数千kmに及ぶ、水分をたっぷり溜めた、湿潤なジェット気流が存在し、それを空飛ぶ川(flying river/rio
Voador )と呼んでいる。空飛ぶ川の水量は、アマゾン河の水量に匹敵し、その空の大河の影響による降雨範囲は5千km離れたリオグランデ州にも及ばす。水分を多量に含んだ水は、巨大な送水ポンプと云えよう。年間に空飛ぶ河に水分を供給する水源(水蒸気)は次の現象からと、考えられる。
(アンデス山脈からアマゾンに流れる融雪水と降雨による水量が源だが、融雪水も降雪による)
―大西洋の海水の蒸発(50%)−7,5兆トン
 アマゾン沖の海面は1平方メーター辺り、1日1リッターの水を蒸発させている。
―ジャングルの樹木の蒸散作用(25%)− 3,75兆トン
 樹木は根から水を吸い上げ、葉から酸素と水蒸気を発散させる。根から吸い上げる水分
 の75%を蒸散させる。アマゾンの原始林の大木は1本は1日あたり300リッターの
水を蒸散させるといわれている。
―地表面、水面よりの蒸発(25%)−3,75兆トン
 アマゾンの水量は年間合計15兆トンである。
15兆トンの中 アマゾン河の大西洋への排出量5,5兆トン。9,5兆トンは水蒸気に
なり空中に還元又は地中に浸み込み、地下水となる。空飛ぶ川は西にすすみ、アンデス山
脈にぶつかり、南下する。尚、地球は水の惑星と呼ばれるが、97,5%は海水であり淡
水は2,5%しかない。アマゾン河は地球上の河川水量の60%を占めていると云われて
いる。地球の総淡水量2,5%のうち、2,49%は氷、氷河、地下水であり、表面の水,
は僅か0,01%しかない。これで農工業用水、飲料水を賄っている。
―地球温暖化によるアマゾンへの影響
アマゾン沖の海水温の上昇は、対流が活発化し、蒸発した水蒸気が海上に雨を降らせ陸地
に雲を運ぶ風が弱くなり、内陸部が乾燥化する。2006年もアマゾン河一帯が旱魃で、
河の水位が10−20m下がり、河川の河底が見られた川も多数あった。。2009年は
ネグロ河の水位が29m上がり、洪水現象が凝り、2010年ではネグロ河が上流の降雨
不足(ペルー沖のエルニーニョの影響)により10メーター水位がさがった。
旱魃地帯の東北伯で2010年6月は洪水が起こり、被害が出た。高温多湿の熱帯雨林で降
雨不足とか,旱魃地帯で大降雨とか、異常気象が起こっている。イギリスの研究所が行っ
たシュミーションでは温暖化が続けば、2100年までに、アラビア半島並みの面積のサ
バンナや砂漠がアマゾンに現れるだとうと述べている。
(写真はアマゾンの熱帯雨林上空の空飛ぶ川の水蒸気)

附録 アマゾンの森林伐採の影響
農業面積の拡大、木材搬出の為の伐採による森林破壊が急ピッチに広がっている。
伐採面積は毎年2,2万平方kmと云われており、1970年の原始林の面積は4,1百
万平方kmあったが、2006年には3,4百万平方kmに減少し、17%も減っている。
森林の減少は、蒸散作用の減少から、湿度に影響を与え、乾燥化を招く。
最近の例では雨期に降雨が減り、乾期に降雨がある、異常気象が目立ってきた。
もし空飛ぶ川が干上がり、アマゾンがサバンナ化したら、ブラジルの経済に及ぼす影響
は計り知れない。空飛ぶ川の降水に依存している、マットグロッソ州の農業は壊滅するだ
ろう。電力の80%を依存している水力発電にも影響が大である。アマゾン沖の大西洋の
海面水温が地球温暖化の影響で上昇し、対流が盛んになり、上昇した水蒸気が海面に雨を
降らせ、貿易風が内陸に湿潤な気流を運ばなくなったら、空飛ぶ川は干上がり、アマゾン
のサバンナ化、砂漠化は進行する。アマゾンの森林の表土は浅く、樹木は直根を深く入れ
ず、横に根を伸ばす傾向にある。大木の根が板状になる板状根は大木を支える為、に起き
る現象である。2台のブルドーザーに大型船が使うイカリ用の鉄の鎖を固定し、引っ張れ
ば大抵の大木は、根こそぎ倒れる。今日、アマゾンの森林伐採に使用されている方法で
最も効率の良い伐採方法である。アマゾンの森は壊れやすい、ガラスの森である。
アマゾン河の4千m地下に大地下水川(湖)が存在する事が確認されている。水量はア
マゾン河に匹敵するのではなかろうか。アマゾン河を挟んで、立体的に、4千m地下に大
地下水脈、4千m上空に、水蒸気の大気流の三層が立体的に流れている。
(写真は板状根と船の碇が木に巻きついているところ)

附録 現存している古代爬虫類 ワニ
ワニは恐竜と同じ2億5千万年前に現れた、プロトスカスが祖先であり、今日のワニは
凡そ8千万年前に進化し、姿、形とも全く変わっていない生きた化石である。
6500万年前、ユカタン半島に落ちた、直径10kmの巨大隕石による,大津波、舞い
上がった塵埃による日光遮断、植物の光合成不可、寒冷化等による、地球環境の変化は、
恐竜も含め、70%の生物を死滅させた。しかし、ワニは生き残った。ワニは半水生
動物であるがゆえに生き残ったと云う説があるが、海洋性の恐竜、首長竜は死滅している。
ワニは大きく分けて、クロコダイル科(口が細長く、閉じても歯が見える。主として、ア
フリカ、東南アジアに棲息)とアリゲーター科(口が丸く、閉じても歯が見えない。主と
して南北米に棲息に分かれ、23種類しかない(亀は400種類、蛇は2300種類あ
る)。クロコダイルの方が体も大きく、どう猛である。アリゲーターの最大の種類はジャ
カレアスーで体長4m、体重300kg位だが、クロコダイル科のイリエワニなどは体長
6,5m、体重1トンにもなる巨大ワニがいる。小さいワニでは南米のジャカレアニョン
やアフリカのコビトワニのように体長1−1,5m位のワニもいる。ワニは卵生であるが
性染色体を持たずに産卵し、孵化期間中の温度により、雌雄が決定される。ワニの妊娠期
間は2か月で、孵化期間は60−90日である。孵化期間を4等分して後期の温度により
雌雄が決まる(亀の場合は前期の温度が決定する)。ワニは水中で交尾するが、産卵は
陸上で行う。産卵は岸辺に草木、泥を盛った塚を作り産卵し、草木の発酵熱も関係する。
その塚の温度が、31,6度C以上ならオス、以下ならメスが標準であり、人工孵化器を
使用すれば、雌雄は随意に操作できる。(ワニの種類によって、32度Cでオス、それ以
外の温度では全てメスと云うワニもいるが、相対的にメスの方がオスより数は多いい)
産卵は40−50個生み、メスは孵化期間、巣のそばで付添い、外敵(トカゲ、猿等)か
ら守っている。孵化した仔ワニは口に入れ、安全地帯に運び、オス、メス共同で1年ぐら
い仔ワニの面倒を見る。ワニは他の爬虫類と違い、聴覚も発達しており(蛇は聴覚ゼロ)、
鼻覚、視覚もあり、発声による伝達(危険の知らせ、メスを呼ぶ求愛の声等)も行う。
知能もあり、群れを作る社会性もある。ハレムを作る程ではないが、メスの群れに近ずく
オスを追い払ったりする。寿命もオウム類と同じで60−100年生きる。ワニは変温動
物であり、岸辺で日光浴をして、体を温めている光景が見られるが、ワニが口を開けてい
るのは、外気の熱を取り入れているのではなく、汗線がないため、体内の熱を放出する為
である。潜水時間も無呼吸で1時間位いもち、泳ぐときは、手足を腹部に密着し、板状の
縦型尾鰭を左右に動かし進行する。餌も数か月摂取しないで、体内の栄養で活動できる。
ワニの咬む力は強力で、1平方センチ260kgの力であり、ライオンが70kg、人間
がステーキを噛む力が10kgであり、いかにワニの咬む力が強いかわかる。歯は鋸状の
歯を50本位い持っているが、悪くなれば、抜け落ち、直ぐに新品が生えてくる。この
遺伝子を人間に移植出来たら、世界中の歯医者は廃業の憂き目となろう。
獲物の肉を引きちぎる時は、体をスクリューのように,まわす。ワニの舌は下顎に固定し
ており、上下に波打ち、食物を喉に運ぶベルトコンベヤーの役割をなす。胃の消化を
助ける為に小石を呑み込み胃石とする。ワニの特質すべき特色は、血液の抗菌作用であり、
傷を負っても、敗血症にもならず、自然治癒してしまう。HIV(エイズ菌)を無力化
する効力もあり、いずれ、ワニワクチンでエイズ予防が出来る時代がくるだろう。どこの
国か知らないが,すでに、ワニの脂肪を製薬化したワニ軟膏はペニシリン軟膏の代用とな
っているそうだ。ワニの肉は淡白で鶏肉の感じである。オーストラリヤでは養殖により年
間30万匹のワニ肉が流通し、ワニステーキを出すレストランもある。
(写真は1トンのイリエワニとワニを締め上げているアナコンダ、ボートを襲うワニ)

2012年9月1日
麻生



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