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麻生悌三のブラジル不思議発見 35 ブラジルの国民スポーツ サッカー    
麻生悌三さんのブラジル不思議発見は、皆さんお馴染みのブラジルの国技とも云えるサッカーに付いての考察でブラジルサッカーの強さの源泉を個人技、黒人の身体能力、ハングリー精神、サッカー文化、リズム、フジョアーダと6項目を取り上げ分かり易く解説しています。麻生さんはサッカーに付いての専門家筋のコメントは先般のロンドンオリンピックに付いて語る≪バーチャル座談会≫の場ででも如何なく発揮しておられます。2014年のブラジルで開催されるワールドカップでの地元開催国が過去6回優勝している事実からブラジルが最有力優勝候補と占っており是非そうなって欲しいと思います。
附録の【下顎に歯があるカエル,フクロアマガエル】の記述も面白い。良く色々調べて来るものだと驚嘆しますが、連載が始まり11月で3年になります。まだまだ継続して欲しいですね。



ブラジル不思議発見―35 ブラジルの国民スポーツ サッカー
ブラジルでサッカーが始まったのは、そう古い時代ではない。1894年に発祥の地
英国留学から帰国した、イギリス人Chales Millerが帰国して、サンパウロのブラス区
で始めたのが、ブラジル最初のサッカーである。1895年には英国人従業員がチームを創り、最初の試合がサンパウロガス会社とサンパウロ鉄道会社で行われた。FIFA(国際サッカー連盟)が創設されたのは、1904年であり、最初のワールドカップが1930年に
ウルガイで開催され、ウルガイが優勝している。ブラジルでは1930−1945年のゼツリョウ ヴァルガス大統領時代、サッカーを国民的スポーツとして振興し、ナショナリズムの高揚と国民融合を図った。ヴァルガス政権のサッカー振興の目的の一つに、独裁政権の国民の不満を、サッカーで発散させる狙いもあった。1950年ブラジルにワールドカップ(WC)を誘致し、ウルガイと決勝戦を行ったが、惜しくも、2対1で敗れた。この時の悔しさをバネとして、ブラジルのサッカーを更に飛躍させた。1958年の第6回WCスエーデン大会、初勝利以来2002年の第17回日韓大会に5回目のWC優勝を勝ち取っている。ブラジルのサッカーの強さの源泉はなんだろうか、思いつくままに、述べてみる。
―個人技
ブラジルでは物心がついた幼児期より、ボールを蹴る遊びに馴染出す。至る所で、ボールと裸足で遊ぶ。ボールも新聞紙を丸めて、ボロ布や破れた靴下で包んだ物、何でも活用し
玩具とする。10歳ぐらいまで、試合でも、靴を履かない。この裸足でボールと戯れる遊びが、ボール感覚を養い、足にボールが吸いつくような、ボールさばきや華麗なドリブルを習得する原点ではなかろうか。ブラジル選手のシュート能力の高さは、ボール感覚の賜物であり、高度な試合運び、戦術も個々の個人技の能力があってこそ活かされる。
―黒人の身体能力
ブラジルの格闘技カポエラを見るまでもなく、黒人系の体の柔軟性、バネ、瞬発力、運動能力は卓越しており、耐久力もある。アフリカより、奴隷で連行されて来て、劣悪な環境の船内で航海中、体力のない奴隷は3割ぐらい死亡しており、着いた砂糖農場でも、過酷な労働、栄養失調、病気等で、体力のない奴隷は容易に生き残れない歴史があった。生き残った奴隷は、淘汰をパスした、より優りの体力の持ち主で、耐病性も高い。それに、白人,インジオとの混血した黒人が殆どで、雑種により、優れた体質を持つ者も出やすい。
同じ黒人種でも、西アフリカ出身者は短距離競走で名選手が多く、東アフリカ(ケニヤ、エチオピア)出身者は長距離競走で名選手が多く、両者は全く別人種のような感すらある。
ブラジルに入った黒人は殆ど、西アフリカ(ナイジェリア、アンゴラ)出身者で短距離型である。 黒人全般に云える事だが、黒人が得意なスポーツは動きが速く、リズム感を必要としているスポーツで、ボクシング(特に重量級)、バスケットは、アメリカのプロをみると黒人の独断場である。同じ格闘技でも相手と密着する、レスリング、柔道では名選手は見当たらない。音楽でも、リズムの早い、ジャズ、等では黒人の独断場であるが、
テンポのゆっくりしたクラッシック等では不向きのようである。又、どういう訳か、水泳、
スケート、卓球、重量挙げ、馬術、野球のピッチャー、キャッチャー,体操、等に黒人の名選手が少ない。サッカーは黒人の持つ素質が活かされる競技である。
―ハングリー精神
素質だけあっても、努力しなければ活かされない。素質だけで決まれば、オリンピックの短距離メダリストは全て西アフリカ諸国の選手がなるが、実際はアメリカが主流になっている。 素質は充分とは言えない、アジアの選手の方が、西アフリカの選手よりタイムはむしろ良いのではなかろうか。ブラジルの所得の最下層の階級の70%は黒人系が占める。
又、文盲者の40%は黒人系である。黒人系の子供の夢は、男の子はサッカーのプロ選手、女の子は歌手になる事だそうだ。夢に向かって努力する姿勢が成功に導く。アメリカの
短距離、アメフト、バスケット、ボクシング、ブラジルのサッカーは低所得層から出た選手が極めて多い。日本の人口の0,5%に過ぎない、半島系の男子のプロスポーツ(野球、格闘技)での活躍、女子の歌謡界での活躍、皆、実力主義での自由競争で勝ち抜いた賜物である。国の人口僅か450万人のモンゴル出身者の大相撲での活躍は云うまでもなく活躍の原点はハングリー精神である事は疑う余地はない。
―サッカー文化
ブラジルにはプロサッカーチームが800あり、選手の総数は1,8万人を数える。
他に、1,3万のアマチュアチームがあり、ブラジルの人口の15%、2千万人がサッカーをやった経験者と言われている。層の厚さは飛びぬけており、素質のある、優秀なプレイヤーはプロチームからスカウトされ、プロの階段を昇る、環境は整備されており、これがブラジルサッカーの強みの一つである。又、旧宗主国の欧州の白人にライバル意識が強く、白人を負かすことにより、優越感と歓喜を感じる国民性もある。
―リズム
国民的な歌と踊りのサンバのリズムは、サッカーに不可欠な動きと、連係プレーを涵養する。ブラジルの有名プロチームの一つは、サンバの楽器を選手に渡し、移動中のバスの中や、選手溜まり等で、サンバを演奏させ、歌わせ、リズムに酔い、チームの一体感を醸し出すのに利用している。相手のデフェンスを巧みに、かわし、華麗なドリブルとパス、渙発を入れぬ、シュートはリズム感の賜物である。欧州系のチームはこのリズムに翻弄される傾向がある。しかし、ブラジルチームにも弱点はある。攻撃している間は強いが、守備に廻り、組織的に相手の攻撃を守る段になると、もろさを露呈する場面もある。2012年のロンドンオリンピックでの決勝戦でメキシコに2対1で負けた試合は、その典型的な例である。
―フェジョアーダ
ブラジルに黒インゲン豆と豚肉、牛肉、干し肉、ソーセージ、豚の耳,皮、足、等を煮込んだ、スタミナ料理がある。アフリカから連行された、黒人奴隷が考案した料理らしいが、支配者の白人が食べ残した、肉を利用した料理で、塩分補給の意味もあり、一寸塩辛いが
ハイコレステロールのスタミナ食である。ポルトガル及び旧植民地(アンゴラ、サントメ、
チモール等)には各地で特色のあるフェジョアーダがある。このスタミナ料理で育った
ブラジル人のスタミナは驚異的で、菜食料理で育った選手の比ではない。
サッカーWC2014年大会はブラジルで6月13日―7月13日の期間に開催される。
1930年以来20回目の開催である。19回開催までに、開催国は6回優勝しており、
開催国は有利である。ブラジルは優勝の最有力候補であり、油断さえしなければ、リズムを崩されなければ、ブラジルは6回目の優勝を勝ち取ると予想する。
(写真はボールを蹴る少年)

附録 下顎に歯があるカエル,フクロアマガエル
アマゾン河上流のペルー領にフクロアマガエル(英名Marsupial Frog)と云う,体長4cm
位のアマガエルが棲息している。このカエルの雌は背中にV字型状の袋を持っており、尻を持ち上げて、産卵するが、卵が袋にこぼれ落ちる寸前、オスは精液を振りかけ受精させる(魚類に似た受精)受精卵は袋に収容され、2ヶ月後オタマジャクシに孵化する頃、メスは水場に移動し、後ろ脚で袋の卵をかき出し、水に放つ。このカエル指の先に吸盤を持っており、樹上生活に適した指を持っている。カエルには上あごに歯を持っているカエルはいるが(アマゾンの牛ガエル、アフリカのゴエスカエル等)、下顎に歯を持っている蛙は
この蛙と最近インドネシヤで発見された蛙の2種類しか今のところいない。蛙は舌から粘着性のある粘液を分泌し、舌で獲物を巻き取り、丸のみする故、歯は餌を獲る上では必要はないが、メスを巡って、繁殖期にはオス同志で闘争があり、それには歯が役立つ。
蛙の種類は約6千種類ほどあり、2,5億年前に現れた、両生類(幼生の時は魚と同じ、鰓呼吸で、成長すると肺と皮膚呼吸に移行する卵生の生物)で、その当時は化石のデーターから,両顎に歯があったことは確認されている。実はこのフクロアマガエルは500−1500万年前に、失った下顎に歯が復活してきて今日に至っているらしい。
進化生物学の常識では、一度、進化の過程で失った物が、復活することはない。進化非可逆の法則(ダーウインと同時期にイギリスにドローと云う古生物学者が唱えた学説で、一度失った体の構造は2度と復活しない)に反する実例である。人類には太古の頃、尾が生えていた痕跡で尾てい骨を持っている。ドローの法則通り、2度と尾は戻ってきていないが、何かの、原因で尾が戻ってくる、可能性も皆無ではない、と云う実例がこのカエルの
下顎の歯である。(このカエルだけ下顎の歯を無くさずに進化したと云う、反論に対し、
170種類の同系統のカエルのDNA、化石を調査したが、その形跡は無かった)
(写真は下顎に歯が生えたフクロアマガエル)
2012年10月1日
麻生



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