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清潔日本とは大違い! 【ブラジル社会ありのまま】 駒形 秀雄
サンパウロの邦字紙に何時も投稿しておられる元丸紅ブラジル会社現地役員をしておられた駒形 秀雄さんが≪ブラジル小話(実話)≫として私たちの50年!!メーリングリストに投稿しておられますので2014年度の師走のこの時期にブラジルの現状を理解する恰好の読み物として面白くホームページに収録して置く事にしました。
ご本人のコメントは、≪ブラジル小話の続きみたいになりますが、『時事小話』=実話=として御紹介申し上げます。皆さまのご意見、ご感想などをお寄せ下さい。 歓迎します。FEILZ NATAL !≫とのこと。
写真は、駒形さんが送ってくれた3人の話題の人の唯一の女性マリア ロザリオ元人権大臣の写真を使わせて貰いました。
駒形さんによると≪MARIA ROSARIOは元学校教師。 食指が動かないほどの不美人ではないですね≫とのコメントが付いています。


日本ブラジル国交開設120周年を迎えて日本ではブラジル重視の雰囲気が高まっているようです。 しかし、肝心のブラジルでは経済の不振、汚職スキャンダルの止まる所のない拡散で、国民の関心はもっぱら自分の身を守る方にいき、まだ120年祭までは、というところが実体でしょう。 T V などを見ても、日本のNHKは天気がどうのこうのとか、どこの何が美味いとか平穏無事な話しが主体です。が、一方、ブラジルでは人命無視の凶悪犯罪、けた外れの汚職事件がニュースの中心で、こんな話しは聞きたくも無い、もう沢山だという声が多数です。
「あんた、難しい話とか気が滅入る話しはいいから、たまには面白い話、私達の井戸端会議のタネになる話題を取り上げてよ」とこれは日系の妙齢のご婦人(70才台)からの要望もあります。今回は少し面白い話、ブラジル社会の本音の話をこの地に住む日系人用に御紹介いたしましょう。

ー 金が重くて ずり下がる ー
先日の日系の川柳会の会合での話しです。投句の中に『ずり下がる お金で重い カルシーニャ』と言う一句がありましたが、これは良いという票は一票も入りませんでした。参加者に『何を言ってるのか分からん』と言われた投句者が説明を加えました。「先日ガルーリョスの空港で日系女性が法令違反で逮捕されました。その女性は‘コダマ ミツエさん‘ 47才でカルシーニャの中に外貨20万ユーロを隠し持っていたのが発見されたのです。
ミツエさんはサント アンドレー市で外貨両替、送金などの仕事をしていたのですが、空港からイタリア向けに出国するところでした。『カルシーニャが下がるほどのそんな大金を何で?』と思われるでしょうが、彼女は例のペトロブラスの大スキャンダルの中心人物の一人、ユーセフと働き、その仕事の一部(お金の外国への不正送金)を担っていたのです。彼女は日ごろから「わたしそんじょそこらのちんぴら両替商じゃないよ」とお高く止まっていたとの事で、今回のような全国民注視のスキャンダルに「日系女性ここに有り、ガンバッテますよ」と名乗りを上げたくなったのかも知れません。これを聞いていた川柳参会者が言いました「これが本当の臭い金だね」と。

 『そんなまずいの 喰う気もしないわ』
今度は12月の国会が舞台です。演壇にいたジャイール ボルソナーロ議員(リオ選出)は元人権省大臣のマリア ロザリオ議員に対してこう言い放ったのです。「私が強姦者だとしても お前なんかにゃ目もくれないよ、お前にはそれだけの値打ちもないからな」マリア議員が怒り心頭に発したのは勿論ですが、居合わせた女性議員達も柳眉を逆立てて口々に抗議、議場は混乱しました。           こういう事態になったのは実は前からの伏線があったのです。ボルソナーロ議員は元々軍人上がりで、こわもての議員、以前から「刑法の未成人年齢を引き下げて、16才でも悪い奴は成人なみに処罰しろ」「犯罪者、強姦犯、汚職野郎などをもっと厳しく罰せよ」と主張していたのです。対して、ロザリオ議員は「犯罪者にも人権がある。これを尊重すべきだ。刑を重くすれば良いというものではない」と対立していたのです。数年前ロザリオが『世界人権デー』宣言などと人権尊重を強調したのに対し「ブラジルに犯罪者がなくならないのは お前のような青臭い者が犯罪者の人権、人権と守ろうとするからだ」と叫び、冒頭のような言葉とともに前にいたロザリオの胸を小突いたのです。この争いは議場の外でしたが、丁度居合わせたTVカメラに全部撮影、放映されたのです。
この時はそれで済みましたが、今度は議会内での正式の場での発言です。さすがに「議会(下院)の品位を汚す」と批判され、懲罰委員会が設置されることになりました。ボルソナーロは進歩党 (PP)、ロザリオは労働者党(PT)議員で、ペトロ汚職では共に多額のプロピーナ(不正納付金?)を受けたと指摘されてる与党所属です。さてこの結末はどうなるのでしょうか? 皆様なら、どちらの肩を持ちますか?

     『ブラジルには汚職の土壌がある』
今回、汚職事犯が暴露され始めたころ、ある被疑者の弁護士がTVのインタービューにこう言い放ちました。「便宜を与えて貰った人にお礼ープロピーナを出すのは当たり前じゃないか。大体この国の役所でも公社でもプロピーナなしでの納品、入札などがあるのか」と。さすがにこれは問題にされて、批判を浴び「お役所でも真面目にキチンとやってるところもある。ただ、プロピーナの例もあると言うことだ」と訂正釈明されました。発言者が被疑者の弁護人ということで、これはそのまま終わりになったようです。
ところで一体誰が企画したのでしょう。汚職問題で大騒ぎしているブラジルで先日「汚職撲滅国際会議」というのが開催されました。この会議でブラジル検察代表は『汚職不正は厳正に捜査処罰されねばならない。今問題のペトロブラス社などは総裁以下、幹部連中は全員入れ替え(罷免)するべきだ』などと発言しました。カルドーゾ法務大臣もこれに引きずられたのか「公社ペトロブラスには権限を利用した不正が行われている相当強い兆候がある。それは法に基づいて厳正に調査し、不正はキチンと処罰する」と発言しました。ただし、この発言は誰かに注意されたらしく、直ぐ後に開いた記者会見で「ペトロブラスは正常に運営されている。多くの幹部は真面目に、犯罪行為とは無関係に働いている」という風に修正されました。ここまでは公式発表だったのですが、その後で気が緩んだのでしょうか?『いや、ブラジルには帝政の昔から公私の区別があいまいなところがあり、プロピーナなどを問題にしない風潮がある。例えば、アパートの管理人だ。入り口の靴敷きなどを買うのに、その値段を少し上げて請求するなんて例がある。(別に文句も言わない)』と語りました。
これが県人会の会長あたりの言葉ならともかく、社会の規律を司る法務大臣の言葉ですから、これは大きく報道されました。日本では自分の似顔絵を描いたウチワを選挙民に配っただけで法務大臣が職を失うことになりましたが、ブラジルは大違いです。或いはこの言葉を聞いた人も「大臣は正直なんだ、本当のことを言っている」と思ったのかも知れません。そのまま問題にされませんでした。カルドーゾ自身は別に、自分の党(PT)内部から「余り警察に{汚職摘発の手加減などで}影響力を行使していない」などと批判を受けて、一時辞職するなどとの噂を立てられましたが、12月現在その責を全うしております。

     − 汚職度も中くらいです おらが春 −
「何億ドルという不正な金が動きブラジルを代表するトップ企業の株価は何分の一かに大暴落だ。一体この国はどうなっているんだ。不正のドロドロは何処まで深く、広がるのか」心配になるのはあなただけでは有りませんよね。
ところがこれには又、ピッタリの答えがあるのです。よくも調べた人がいるもんだと思うのですが、『世界汚職度ランキング』と言うのが先日発表されています。これは各国のプロピーナ方式の普及度や不正に対する処罰の適用度・不正を知らんふりする公共団体(社会}などを検討し、点数で表しているものです。ですから本当はその社会の清濁(透明)度指数と言うべきものですが、ここでは分かりやすく、‘汚職度‘と表示して置きましょう。ブラジルは調査対象国175カ国中、上の方から数えて 69位{43点}です。きれいな方の1位はデンマーク{92点}、我等が日本は15位{76点}でした。米国が17位、気になる中国は100位でした。この国は官僚だけでなく、企業でも汚職についての認識があいまいだ{つまりブラジルと似ている}と指摘されています。 で、ドン尻の175位は? ソマリアと北朝鮮{8点}でした。
社会的不正、汚職度を改める様努力して、もっときれいな社会を目指すべきか? それとも、「世界的に見れば中くらいでまあまあじゃないか、そんなに目くじら立てて住みにくくすることもないさ」とゆっくりいくか? ここまでお読みの皆さんは、さて、どうお考えになりますか? {ご感想をどうぞ=>komagata@uol.com.br



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