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≪「らぷらた丸」の船内新聞を読んでみました≫その2 神戸の出石さんからのお便りです。
前回ご披露した神戸にお住みの出石さん(通常お名前のおみちさんが愛称です)の戦前の移住船「らぷらた丸」の船内新聞の紹介文に続いて船内新聞の全13号の目次的な説明文を送って呉れていますので前回同様、私たちの40年!!のホームページの船内新聞の話題欄に残して置くことにしました。「らぷらた丸」船内新聞第2号の発刊日が4月1日になっており丁度83年前の4月バカの日に発刊されており、船内の皆さんがどんな思いで読まれたか?出石さんは、戦後のあるぜんちな丸と比較しながら変わらぬ赤道祭に焦点を当てておられます。船内行事では、赤道祭、演芸会、下船港での出来事を思い出していますが、我々の乗ったあるぜんちな丸は、アメリカ経由パナマ運河を通過してきましたが、らぷらた丸は、西回りで香港、シンガポール、アフリカ東海岸からケープタウン経由です。私も2度目のブラジルに戻るときは、西回りのテゲルベルぐ号に乗っているのでらぷらた丸の皆さんと同じ航路を経ているので懐かしいです。特にケープタウンでテーブルマウンテンに登り乗り遅れそうになったのを思い出しています。写真は、出石さんが船内新聞の表紙を送って呉れているので助かりました。有難う。


和田さん  みなさん いずしです。
40年の船内新聞の件、ありがとうございます。読ませてもらいました。
でも、記事の一部を抜き出してタイピングしたものと現物ではやっぱり違いますね。
「らぷらた新聞」の現物は(多分)ガリ版刷りで、書き手によって達筆なのに草字が混じっていたりで目を凝らし凝らししないと読めない旧漢字のものや、解りやすく読みやすい字など、書いた人の人柄が見える様で何とも言えない味があって面白いです。

★昭和13年3月26日(祝創刊号)※実際の横表示は右書きです。
・船長、機関長、一等運転手、事務長、医長、無線局長、水夫長、司厨長、次長、給仕長などから「らぷらた新聞」の発刊に当たり一言祝辞を呈す。としてそれぞれ順次あいさつ文がありました。
・「赤信号」として
A 香港を発つと外人も多数乗船します。一等国の日本人と誇る我々も自重致さねばなりません。
  〇公衆道徳を守れ!
 〇デッキに真昼間寝間着姿で現れるな!
 〇便所・洗面所・洗濯場を荒らす者は一等国人に非ず。
B 廿九日から小学校が開かれます。学齢児童にご通知願ひます。
C 投書歓迎!記録係へ。匿名自由。
・役員名報には・実行委員(胸章赤リボン)
       ・風紀・衛生係(胸章白リボン)
       ・運動談楽係(腕章緑色)
・船中日記23日、24日、25日の船内様子。など。

★第二号 昭和13年4月1日発行
・船内小学校開校式
遥か皇居に向かって最敬礼の後君が代2唱・・・で始まって
一同にて愛国行進曲を合唱し開校式を終える。・・とある。(愛国行進曲ってどんなん?)
・職員名 1年〜6年担任・・訓導。と高一〜高二担任・・訓導。
・「シンガポール案内」
・事務長による「船のABCその一」
・注意!
1、船室にやたらに水を撒かぬ事。
2、毛布を絶対に甲板に持ち出して敷かないこと。違反者は毛布を取り上げます。
3,甲板へ「タン・ツバ」を遠慮なくはく人が多い様だが衛生的に良くないから是非注意して止めて下さい。
・パ国移住地に行く人の投稿。
・文芸欄
・船中日記27日。28日。29日。30日。

・編集后記
皆様の傑作的各種の原稿をドンドン希望する次第です。(注、掲載原稿の取捨選択は班員に一任されたし。)と断っているのが面白い。

★第三号 昭和13年4月5日
・新嘉坡上陸問題
・各集会の報告
・事務長の「船のABCその二」
・投稿文 シンガポールのとて。南風。黒い顔。凪ぎ。望郷。雲。など

★第四号 昭和13年4月7日
・コロンボ上陸に就いて
 日射病、ペストが流行していますから一般の上陸は禁止します。など
・事務長の「船のABCその三」
・投稿 作文、詩、
・白熱的ピンポン大会 結果報告
・赤道祭予告

★第五号 昭和13年4月10日
・赤道祭について
・監督よりの注意
1.青年団員の一層の活動を要求し
2.上陸に関して起こる問題は、今後一般の中傷を許さず、監督に於いて適宜処分すなど。
・「注意」明日は赤道祭に付、洗濯物を干す事は一切御遠慮下さい。
・投稿 コロンボ市内見学記。春雨。大衆の声を聴け。

★第六号 昭和13年4月12日
・赤道祭りの記
・事務長による「船のABCその四」
・投稿文
・御目出度ニュース 男児誕生 移民一同より晒木綿三反。金拾円進呈す。
・船長より「南海夫ナミヲ」と名付けられる。

★第七号 昭和13年4月15日
・事務長の「船のABCその五」
・伯国に於ける我が移民の沿革に就いて
 昭和10年の時点で合計173,998名・・とある。

★第八号 昭和13年4月16日
・監督の人生観という長文の投稿があり
 (最後に)「私の土産の言葉として左記の項を申し上げ実行願います。
1.御互にツケモノ、ニギリメシを思ひ出しませう。
  2.御互に郷里出発の気持ちを忘れない様に致しませう。
  3.御互に相互扶助、共同一致を忘れない様につとめませう。
  4.御互に苦楽を共に致しませう。
  5.御互に衛生風紀に注意しませう。」
・事務長の「船のABCその六」
・壁ニュース など・・。

★第九号 昭和13年4月19日
・船側総動員 船客慰安演芸大会(船側主催の演芸大会)
・相撲大会観戦記
・佐賀県人 四歳男児訃報
・ダーバンのプロフィール
・文芸 「うんどうくわぃ」2編、短歌、漢詩、俳句、川柳・・など。

★第十号 昭和13年4月22日
・事務長「南阿聯邦に就いて」
・投稿文 「ダーバン入港」

★第十一号 昭和13年4月23日
・投稿文 「ダーバンを見て」
・洋裁講習会案内
・文芸 詩、短歌、俳句、作文・・など。

★第十二号 昭和13年4月28日
・投稿 ケープタウン駆け足記
・海興よりの祝電
・佐賀県人 六歳女児訃報
・4月30日終刊告知

★第十三号(終刊号) 昭和13年4月30日
・船長、輸送監督、事務長、医長、水夫長などの挨拶文
・お別れの御挨拶に代へて
・ブラジル語を覚えよ。
・閉校式の所感・・など。
・文芸 望郷夢想。終刊に寄せて。無題。懐かしき父母に逢ふ記。詩。短歌。俳句。川柳‥など。
・児童作文 多数。
・家庭療法(伯国)
1. 砂蚤の手当て
2. 細菌性赤痢
3. アメーバ赤痢
4. 丹毒
5. 敗血症
マラリア、アメーバ赤痢、胃腸病、ビッショ(砂蚤)、フェリーダ・フラボ、熱帯性下股潰瘍については特に注意されて高岡専太郎先生の「ブラジルの衛生」を充分読まれる様願ひます。
・「らぷらた新聞」終刊の辞

ざっとこんな感じでした。
和田さん達の新聞「さくら」(きっと桜が咲く頃に出航したので命名したのでは?)と違うなと思って面白かったのは
赤道祭に就いての案内です。
長くなりましたが「らぷらた新聞」での赤道祭の説明を転記して終わりにします。

「赤道祭に就いて」
 昔!それは黄金の夢を満帆に孕んで異国の港々で取引を続けた時代、海上冒険に痛快味を満喫せるマドロス達が一度、赤道地帯に入るや地理的関係と気象学上の事実とに依り、この地帯には無風の現象を呈するのです。
其の時こそ、地球の円いと云う事すら信じかねてゐた無知な船人達を乗せた船は、灼熱の太陽の下に、進む事も退く事も出来ないのです。
迷信的な信仰の念厚い彼等は神の怒り!海王の刑罰と誰云うと無く船中に静粛な気分が漂ひ、祭壇を設け、供物を供へ、船長以下乗組員が天を仰いで神の怒りに謝するのです。
時しも遥か水平線の彼方より黒雲現れ、南洋特有のスコールは暫し風雨の猛威をふるふのでした。
かうしたスコールが2・3回襲ふ中に不安の船は無風帯を通りぬけ、季節風の涼しい洋上を目的地へ急いでゐました。
マドロス達は今更ながら赤道領海の大王ネプチューンの名を賞へた事でせう。
赤道祭は此処から始まったものらしいです。
星移り、年代わり、文化華かなる今日に到っても尚、世界各国の客船は赤道通過の一日を祭日として昔の古典的な伝説をなつかしむと同時に、海の生活に一味の和やかさを与へてゐます。




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