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期待される『ガイジン2』−再び塚本恭子さん−ブラジル関連企業家でも活躍【ニッケイ新聞より転載】3
塚本恭子さん主宰の「クルーベ・ド・ブラジル」HPにある山崎監督からのメッセージを転載して置きます。

GAIJIN 2〜山崎監督からのメッセージ
 日本で目の当たりにした「出稼ぎ」という現象には、ふたつの面がありました。ひとつは、日系ブラジル人が日本で高賃金を得ることができるということ。もうひとつは、彼ら自身がブラジル人であることを再認識したことです。「GAIJIN〜自由への道」でも、日系人のブラジル人としてのアイデンティティーはひとつのテーマでしたが、私は再びこのテーマで映画を制作する時期を迎えていると実感しました。
 すでに過去の話ですが、私自身ブラジルで生まれ、GAIJINと呼ばれていました。それが私をどれだけ傷つけたかは、自分でもはかりしれません。本当に、いろいろな意味で傷つきました。いまでこそ、私はブラジル社会においてブラジル人であると認められていますが、自分自身でもよく説明できない気持ち、つまり自分の生まれた国でGAIJINと呼ばれてしまう気持ちを表現したいと考えてきました。
 こうした「よく説明できない気持ち」とは、日系人にかぎらず、より多くのブラジル人が感じているものです。ブラジルでは、それほど多様で多彩な文化が入り交じっているのです。裏を返せば、そうした文化的な多様性がブラジル人を魅力的にしているようにも思えます。
 私たちブラジル人はいろいろな文化から少しずつ影響を受けています。それこそブラジルの文化であり、私たちにとって財産であることを確信するべきです。いろいろな文化が混じりあうことによって、私たちは区別が不可能な存在なのであり、それが私たちのオリジナリティーなのです。


期待される『ガイジン2』(6)−再び塚本恭子さんーブラジル関連企業家でも活躍

3月22日(金)
 山崎監督は前作「ガイジン」の主演女優を決めるオーディションを日本で行った。会場は二百人を超える女優たちで埋まっていた。最終選考まで残ったのは二人。一人は樋口可南子、もう一人が塚本恭子だった。
 熟考を重ねた結果、監督は塚本を選んだ。決め手となった理由は「(樋口よりも)ブラジルを好きになりそうだから」。塚本によれば、監督はその後、「でも、あなたの方がブスだけれど」と付け加えたというが。
 塚本は十八のときから、俳優座の流れを組む。青山杉作記念俳優養成所に所属し、「年間二百ステージはこなしていた」。「ガイジン」への出演が決まったときには既に五、六年のキャリアを積んでいた。 
 それでも何か満たされていなかった、と塚本は当時を振り返る。「ずっと海外で仕事をしてみたいと思っていた」からだ。
 願いは山崎監督との出会いによって、主役という最高の形でかなうことに。上映後はその甘い容姿と舞台で培った演技力で悲劇のヒロインを見事に演じ切り、評判を呼んだ。
 念願だった海外での仕事もこなし、周囲からはこれからの活躍が期待されたが、塚本は帰国後しばらくして俳優業から身を引く。
 「『ガイジン』の公開前に日系のお年寄りの人を無料招待して試写会をやったのですが、泣いて喜んでくれる人の姿を見たとき、『ああ、これでもう女優を辞めてもいいかな』と思った」。 
 次の目標は漠然とだが、心に描いていた。「とにかく日本とブラジルの間で何かやりたい」。出稼ぎブームが始まると、塚本は早速、出稼ぎブラジル人の駆け込み寺を立ち上げる。『クルベ・ド・ブラジル』。日常生活の相談などを請け負う非営利団体だ。さらには日本で初めてとなる、ポルトガル語放送のラジオ局も続けて開設した。
 クルビの会員は現在千人。日本人とブラジル人の構成比は半々だという。「日本にブラジル関連のクラブはいろいろとあるが、日本人が主催して、日本人がこんなに関わっているものはない」と塚本。四万人ほどの在日ブラジル人とすぐに連絡が取れるネットワークを築いていることを誇りとする。
 このほかに塚本は広告代理店「セルビ・ブラス」(本社=東京都青山)を経営している。在日南米人マーケットの分析調査、広告作成が主な仕事。「ブラジルのものを日本にもってくるさまざまな企画にも携わっていて、九人の社員はブラジル人かペルー人のどちらか」だという。
 八面六臂(ろっぴ)の活躍ぶりで女優時代と同じく、多彩な顔を演じ分ける塚本だが、「ガイジン2」では役者として出演するだけではなく、プロデューサー業も兼ねる。
 実は日本でロケを行うための予算がまだ不足している。一度は日本ロケを断念する方向で動いたが、市が協力を約束してくれている神戸の港や元移民収容所などで最低二週間、撮影したい、との思いが監督の頭にはある。
 塚本は「前作のときは一切、日本側の資金協力がなかったので、今回は六、七千万円は集めたい」と迫りくる期日を前に、記者会見の翌日すぐに日本へトンボ帰りした。口には出さないが、自信はあるようだ。運命を切り開いてくれた監督のためにも、きっとやり遂げるだろう。
 「あなたの方がブラジルを好きになりそうだから」。山崎監督の直感は当たった。(小林大祐記者)

期待される『ガイジン2』(7)―女性移民2人も挑戦―自身の人生経験重ねる役
3月26日(火)
 「ガイジン2」の出演者が密かにおびえていたりする。意気込む監督の叱咤を想像して、ではない。素人ながら抜擢された二人の女性が漂わせる存在感に、だ。
 小野あやさん(七三)と吉村展子さん(六九)。実際にブラジルで長年生きてきた日本人移民として、移民の役に挑戦する。芝居の経験はまったくないが、その役柄には自身の半生と重なる点も多い。
 「いるだけで雰囲気がありますよね。人生がそこににじみでていますから。一緒に出るシーンではきっと緊張してしまうと思います」と出演者の一人。
 小野さんには準主役級の役が与えられた。前作の主役チトエの老後を演じる。塚本恭子が四、五十代を、小野さんがその後のチトエを任された。「夢にも思わなかった」。
 山形県出身。三三年に渡伯した。ロンドリナ市には四七年から。二十歳から七十歳までの五十年間、フェイランテとして働いてきた。「だから何もほかのことを知らない女です。娘が応募したことからこんな未熟なわたしが出ることになって、恥ずかしい」と打ち明ける。
 年輪が刻まれた深いしわ、褐色の肌。その笑顔が形容しがたいほどの魅力を放っている。小野さんと面会した塚本は「本当はわたしがずっと九十代くらいまで演じたかったけれど、あやさんを見たら仕方がないと思った」。 
 初期移民の家屋のセットを訪ねた小野さんは旧式のミシンなど家財道具を見つけては、「うちにもあった」と喜ぶ。仏壇の前に立つと、そこに仏がいないのを分かっていても、生活の習慣からか、手を合わせ始める。こうしたそこはかとない振る舞いが、役者には脅威だったりする。
カラオケのステージにさえ立ったことのない小野さんだが、監督の粋な計らいから共演することになった孫のチエミさん(二一、学生)はカラオケ大会ではちょっと名の通ったアマチュア歌手。自慢の孫だ。「夫は六年前に亡くなりましたけれど、子供七人、孫十四人は元気です」。
 もう一人、別の設定でおばあちゃん役として出演することになる吉村さんは人前に立つことに慣れている様子。ブラジルでNHKのど自慢大会が開かれたときに出場したことも。「滝廉太郎の『はな』を歌って、カネを三つもらいました」。
 自宅で歌を指導している。主にニュー演歌が専門。「歌を歌うということはその言葉にのめり込むこと。だから台本を読んで人物の気持ちをつかむことも出来るような気がします」とほのかに自信を見せる。
 昨年五月、亡くなった吉村さんの伴侶は手相を見るのが得意だった。生前、「君は少し有名になるかも知れないね」としきりに言っていたことを思い出す。「わたしは歌が上達してなにかあるのかな、と考えていたのですが、この映画に出演することだったのかもしれませんね」。初めは忙しいから断ろうと思った出演だったが、夫の形見となった言葉が背中を押してくれた。福岡県出身、四一年渡伯。現在はサンパウロ市に在住。(小林大祐記者)

期待される『ガイジン2』(終)―意欲的な日本の役者―大作出演で活躍の場広げる
3月27日(水)
 隈本吉成、尾崎英二郎、杉本隆吾。今回「ガイジン2」への出演をきっかけに、活躍の場を広げたい、と一様に願う日本の役者たちだ。 
 年齢はそれぞれ四六、三二、二九。キャリアも違う。しかし、撮影開始を目前にした心境を尋ねると共通点の方が多かった。
 まず、外国映画への出演は全員が初めて。その緊張感に変わりはない。期待と不安が入り交じる。「ビデオソフト向け映画が全盛の日本で、総予算九百万レアルもの大作に出演するなどめったにないこと」と口をそろえる。
 ものをじっくりと作ろうとする制作現場での空気にも驚いた。二十年という構想期間、繰り返されてきた綿密な打ち合わせ、制作に携わるスタッフの数にも刺激された。
 「創造するとはこういうことだよね。日本はそういう点で貧しい。待てないんだ。いいものを作るには当然時間がかかる。ブラジルはそのための環境があるし、エネルギーもある。ブラジルは本当に豊かだ」と隈本は代弁する。ロケ地からの帰りの車中、三人はそんなことを話し合っていたという。
 ブラジルでの仕事をこれで最後にしたくないという気持ちも一緒だ。「ガイジン2」で国内外に顔を売りたい。海外配給も予想される映画だけに、世界にアピールするチャンスでもある。
 一番若い杉本は、「ブラジルで初めてのアジア系アイドルを目指したい」と張り切る。三十路が目の前だが、「ブラジルならば年齢を二十歳くらいにしてもいけそう」。大阪芸術大学舞台ステージ科を卒業。日本では舞台やナレーションの仕事をこなしてきた。塚本恭子の推薦がきっかけとなって、今回の出演に結び付いた。マリアの娘ヨウコの恋人役。
 隈本は小沢昭一さんの弟子に当たる。俳優業だけでなく、舞台の演出も手掛け、音楽にも関心が強い。真剣なまなざしで、「恭子と出会って以来、ブラジルのことが気になっていた。今後につながるきっかけを探しにきた」と将来を見る。早稲田大学文学部を五年間かかって、「退学した」、個性派。世界の映画マニアに根強い人気を誇る一六ミリ・フィルム「100%の女の子」の主演俳優としても知られる。「この映画、実は同じ年の東京国際映画祭で『ガイジン』と一緒に上映された」。チトエの娘シノブの夫役。また、夫婦にできる子供の成人時代も演じる。
 アメリカ、ニュージランドなどで舞台に立った経験もある尾崎さん。英語は堪能、スペイン語の素養も。「ニューヨークで『ザ・ウインズ・オブ・ゴッド』という日本の特攻隊を扱った劇に出たし、日系アメリカ人の移民史にも興味があった。オーディションでは監督に移民や戦争に関係する話はぜひやりたいと、売り込んだ」と話す。
出演決定後は、取材のため、出稼ぎのいる工場に出向くなど、準備を進めてきた。今作ではブラジル移民史を知らない現代日本の青年役を任される。
三人もまた、約二カ月の撮影期間中に「ブラジルを好きになりそうな」気配を見せる。来伯早々、ブラジルの空気が肌にしっくりと合っているような気がした。来年、劇場のスクリーンでもう一度それを確かめたい。  (小林大祐記者)



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