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コレラ発生のはわい丸で1歳のとき着伯された坂本三郎さん。
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中公新書１４４１の山田廸生著の 『船にみる日本人移民史』141ページにはわい丸コレラ事件との表記がある。この記載事項は別途転載ささせて頂く予定ですが、このサイゴン寄港中にコレラが発生、シンガポールに1ヶ月停船し3月17日に神戸を発ち６月にサントスに到着したはわい丸に家族と共に1歳で乗船していた坂本三郎さんがおられ、今回縁があって話を聞く機会がありました。
10月19日(土)にバスでサンパウロ州奥地のオウリニョスという町までバスで6時間掛けて40年前より音沙汰が途切れていた亀川さんの家族を尋ねる旅に出かけました。尋ね人亀川さん一家に付いても別途記載したいが今回は、コレラ発生事件のはわい丸で着伯された坂本三郎さんのお話を紹介したい。写真は、娘さんご夫妻とお孫さんに囲まれた坂本三郎さんです。19日のよる地元オウリニョス体育文化協会主催の慈善夕食会に御一緒させて頂いた時に撮らせて貰ったものです。
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坂本三郎さんは、1927年生まれの現在75歳で1928年2月に完成した神戸の国立移民収容所が送り出した第1回目の移民で家長の坂本安太郎さん1995年に96歳で亡くなられた母親タマさんとご一緒に1歳の時にコレラ発生のはわい丸でブラジルに来られた。年齢からいって移民船はわい丸の事を直接覚えておられる可能性はないが、神戸出向が3月でシンガポールで1ヶ月停船、サントスに着いたのが６月だったと良く覚えておられるのは、ご両親と兄の一郎さん達から何度も何度も聞かされた事実であるからであろうか。ブラジルで生まれた弟さんの十郎さん妹さんお二人もお元気との事で坂本一郎、三郎、十郎の3兄弟は健在との事。亡くなられた奥様の君江さんは尋ね人の一人シヅ子さんの妹さんに当たるとのことでお宅に立ち寄り話を聞かせて頂くと共に同夜オウリニョス体育文化協会主催の慈善夕食会にも一緒に参加させて頂きました。お孫さん二人が青年会の会員として接待に駆け回っている中、何とか皆さんが揃った所で写真を撮らせて頂きましたが坂本さんのご家族は大分県の出身でお母さんが別府温泉を思い出しよく話を聞かせて呉れたとの事です。長女の恵美さん(39歳)と明美さんのお二人のお嬢さんがおられ恵美さんのご主人は古賀進さん(42歳)でお孫さん直美さんとみどりさんがおられます。坂本さんは一度も日本に帰国しておられず恩給生活に入ってから日本に行って見たいという希望を表明し計画したこともあるそうですが丁度娘さんの恵美さんとご主人の古賀さんが90年代の初めからつい最近まで約10年間日本に出稼ぎに行き坂本さんはブラジルに残りお孫さん二人の面倒を見ておられたとかで機会をなくしてしまったとのことです。そばで話を聞いていたお孫さんの直美さんが学校が終わったら日本に働きに行きお金を貯めておじちゃんが元気なうちに日本に呼んで上げたいと言い出し坂本さんを喜ばせていた。坂本さんのお父上安太郎さんはカチカチの勝ち組みで日本の敗戦がブラジルで伝えられた日に大きな豚を２頭屠り｢日本は負けていない。敵国の策略だ！｣と住んでおられた東洋植民地の日本人の人たちにお弁当を配り日本が敗戦した等の噂に惑わされないようにしようと説いて回ったとのことでした。1979年に８２歳で亡くなられたそうですが戦前、戦中、戦後とイタリア系のコーヒー農場での農作業から始め、綿花、落花生、雑作、果樹、蔬菜、養豚、養蚕可能性のある農作物は何でも試みて見たが最後まで農業での成功を見るに至らず苦労の末亡くなられたとの話は、多くの平均的移住者の代表とも言える方でしょう。オウリニョスの人口１０万人の町に日系人が４００家族(2000人程度)が立派なオウリニョス体育文化協会を建設、日本語学校を運営しており婦人会の皆さんが１日がかりで６００食の夕食を準備し青年会の皆さんが接待を担当し慈善夕食会を盛り上げていました。これが日系人の集まる日系コロニア（集団地）の基盤を作っているのだと思いました。来ておられた多くのお年より移民の皆さんがそれぞれ語る移民史をお持ちだと思いますが一つでも多くその一部なりともお聞きして語り継ぎ、書き残して行ければと思いました。坂本三郎さん有難う御座います。
(２００２年１１月４日タイプアップ)
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