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<ブラジル人の友達>吉田 文彦さんの寄稿。
寄稿集165番目に<工業移住者協会のホームページ立ち上げました>との吉田文彦さんの寄稿を掲載しておりますが、今回また吉田さんから<ブラジル人の友達>という題で寄稿を頂きました。1966年4月あるぜんちな丸で渡航(私たちより4年遅い)され、移住する動機となった友人の日系ブラジル人山村さんと甲板で36年前に撮られた若き日のスマートで紅顔の美少年?だった頃の写真を掲載しておりますが、今回は、ラフなランニングシャツ姿でご自宅?の裏庭らしいバナナの葉っぱの前で撮られた写真を頂き、はやはり36年の時の流れを感じさせる「これが吉田さん?!」と思わず声がでそうな写真に親しみを感じました。寄稿集191番に全文を掲載しておきます。また内容の一部はバーチャル座談会でも使用させて貰う積もりです。吉田さん有難うございます。毎年年末にはカラカタツーバの別荘で山村さんのご家族と集うとのことですので是非36年後のお二人の写真を撮って送って下さい。


ブラジルに来てサラリーマンばかりやっていた。クビになったこともある。忘れもしない1984年1月勤めていたヴィラレス製鋼所を首になった。家に帰り妻に首になったことを告げるとただ”そう”と言っただけで黙っていた。その晩ブラジル人の友達全員に電話をかけクビになったことを知らせた。日本人の友人には知らせなかった。ブラジルでは首になった場合出来るだけ多くの友人に知らせるのが定石だ。しかし、日本人はどのような反応を示すかわからなかった。クビになるなんてバカな奴と思われるのだろうか?
友達にばかり頼るのでなく、自分でも新聞の求人広告を見て履歴書を送ったりした。しかしどこからも面接に来いと言う連絡はなかった。もう40才を超えていたから難しいことは確かだった。一ヶ月ぐらい経過したとき、エムブラエル(航空機製造)に勤務しているウリシスという友達から電話があり、空きがあるから面接に来いと電話があった。ウリシスとは空軍省の技術研究所で1974年までいっしょに働いた。1974年彼はフォードに移り、1975年私はジェネラル・モータースに移った。そのとき以来彼には会っていなかった。
会社に行き面接、知能テストを受け家に戻った。3日で結果を連絡すると言われたが、10日経っても、何の連絡もなかった。そしてウリシスから電話があった。私はうれしくなり合格の知らせだと思った。ところがそうでなかった。私は不合格になったというのだ。その理由は知能テストに通らなかったというのだ。ウリシスは自分の課の社員の配置転換までやって空を作り私を入れようとしたのに知能テストに通らないとは何事かといって怒った。彼はこれからどうすればいいか考えるから時間をくれと言って電話を切った。しかしなにぶん大きな組織の会社であり、人事課の決定を覆すのはほとんど奇跡に近いことだともいった。私も知能テストに通らないなんてなんということだと思い悲しくなった。
そして一週間たった。ウリシスが電話をかけてきた。彼は笑いながら奇跡が起きたといった。かれは人事課に行き私の選考書類を全部見せてもらったという。その書類を分析すると、人事部長も技術部長も面接結果で私を絶賛していたという。そこでウリシスは両方の部長のところへ行き、2人とも面接で吉田を絶賛しておきながら、知能テストが通らないというだけの理由で不採用にするのは不条理で、新卒じゃあるまいし、少なくとも吉田のように実務経験の長い技術者には現在の知能テストは免除すべきだと進言した。両部長ともウリシスの見解に同意したのである。かくて私はエムブラエルに勤務することになった。
ここで私が思うに、こんな親切な友達が世界中のどこにいるのだいうのだ?おそらくブラジルにだけだと思う。
でも彼は2001年の5月肺ガンのため逝った。私はブラジルいや世界で一番の友達をなくした。運命というものがあるのだと思った。

(続き)ご意見有難うございます。義理人情という言葉でウリシスの行動を解明しようとされたことを感じ、驚きました。確かにあの当時ウリシスの善意の根源を解明しようと考え込みました。日本では洋画ばかり見て日本映画は観ず、日本にいるうちに義理人情などというものを体験しないうちにブラジルに来てしまい、ブラジルでもこれが義理人情だと教えてくれる人もいないまま今まできました。
私はその時までウリシスに特別に親切なことをした訳でもなく、普通の友達として付き合い、何も貸しを作ったわけではありません。ですから義理などなかったわけです。
ウリシスの行動を私は次のように解釈しました。ご承知のようにブラジルの人口の80%はカトリック教徒です。カトリックの教えに拠れば、人間は皆神の子で兄弟である。だから隣人を愛しなさい。と教えられます。(この場合の神とは宇宙の創造主としての全智全能の神で、あなたがたが信じている神とはちがいます)ブラジル人の思考の根底にはこのバックボーンがあります。隣人を愛すなどと言う言葉は理屈ではわかっても、なかなか理解できないでしょう。(日本のような温帯の国で熱帯が原産の米を主食とし何度も米が出来なくて飢饉のため大勢の人々が死んだ国では、隣人を愛せよなどと言う思想は育たないでしょう)ブラジルは食料があったのでそのような思想が定着したのでしょう。
次に考えなければならないのはブラジルは階級社会だということです。上流階級、中流階級、下層階級とはっきり分かれています。この3つの階級の間には対話がありません。各々の階級のなかでグループを作り助け合います。ウリシスの行動はこの2つの思想上また社会的な要因から出たと思われます。日本では80%が中流階級と言われ、キリスト教徒が5%以下だと言われていますが、そのような国の人にいくら説明してもわからないとおもいます。
ただはっきりしていることは、日本人は失業したこともなければ、新しい仕事をどのようにして探せばよいか知らない人が多いのではないでしょうか。その点ブラジル人はクビになることが多いので、どうやって仕事を探せばよいか心得ています。どこにどのような仕事があるか情報も豊富に持っています。




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