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商議所講演=ブラジルで損しない方法=社長の意識改革説く
『私たちの40年!!』HPでもお馴染みの神戸高校の唯一の同級生でリオに住んでいる山下晃明さんがこの度ブラジル日本商工会議所コンサルタント部会主催のセミナーで講演したとの記事がニッケイ新聞の9月7日付けに掲載されていることをMLのBATEPAPO欄で下記の通り伊豆山さんが教えて呉れました。『9月7日付け、ニッケイ新聞を今読みました。山下さんの講演の内容、よくまとめてありましたね。さすがはプロ、感心致しました。経済学の勉強ではありませんから、詳細な数字の行き違いは、問題にする必要はないでしょう。 誤差の内です。山下さんのご高説で十分と思います。
Parabens!伊豆山』関係コメントとご本人の纏めも一緒に掲載して置きます。
写真は、8月28日(土)にリオのボッタフォーゴのポルコンで夕食をご一緒した時に撮らせてもらったものです。


9月7日(火)
  ブラジル日本商工会議所(田中真会頭)コンサルタント部会(桜井悌司部会長)主催の第九回セミナーが三日午後四時から同会議所講堂であり、山下晃明ヤコン・インターナショナル代表が「ブラジルで損をしない方法」をテーマに講演した。講演会には会員約三十人が参加した。
 今年に入って日本やブラジルの持続的経済成長が見込まれ、七〇年代のブラジルブームが起きる兆候も見られるが、八〇年代に撤退した企業も多く、なぜ生き延びられなかったかの分析ができていない。これではたとえ新たに企業が進出しても、同じことを繰り返す可能性が大きい。
 山下氏は講演でまず、そうした状況に言及し、「撤退した企業のトップは税金、為替、インフレや金利のメカニズムを十分に熟知していなかったことが、(撤退の)大きな原因と考えられる」と指摘。「ブラジルの製造業では売上の四五%、サービス業の一七%が税金と非常に高く、会社のトップであっても、いつも肝に銘じて利益計算できるようにしておかなければならない」と強調した。
 また、九〇年三月のコーロル・ショックの預金封鎖で、通貨クルゼイロが市場から消え、翌日にシーザーパーク・ホテルの宿泊料二五〇ドルが七五〇ドルへと一気に三倍に跳ね上がったことを振り返り、山下氏は、今後はこのようなドラスティックな変化はないだろうとしながらも、為替の動向に注意する癖を付けるようアドバイスした。
 最近のインフレ率は一〇%弱で推移、今年は一〇%を越えると予測される。仮に年一〇%のインフレが続くと、ドル換算で七年後には、資本金が半減する。現在のブラジルの金利一六%は実質的に世界一、二位。ブラジルの銀行から借り入れる場合、金利の中にインフレ予想率も計算されており、借りる側に高くつくようになっている。
 これらの現実を踏まえ、経営者は、資本金を外貨で計算する癖をつける▼分散投資を心掛ける▼税金が売上の何%かを知る▼赤字になったら、即座に赤字経営方法に転換する――などと助言した。
 山下氏はさらに、経営者の心構えを語り、「ブラジルに社長として派遣されてきた人は最低五年の任期が必要。サラリーマン根性を捨て、従業員とその家族の生活を支える社会的責任があると肝に命じ、社長業をこなさなければならない」と結んだ。

【講演会に参加された赤嶺さんのBATEPAPO欄でのご発言】
<山下さんの講演会>
 本日(土曜)の午前中のサンパウロは、何かスッキリしない天気です。また、名残の寒さがくるのか、と気がかりです。病み上がりの身にとって、寒さこそ苦手です。
 昨日は、初夏を思わせるような気持ち良い午後、会議所コンサルタント部会(桜井部会長)主催で、ヤコン インターナショナル代表、山下さんの「ブラジルで損しない方法」の講演会が行われました。暇を見てそっと数えたところ、出席者が確か延べ35,6人に及び、(途中所用のため出たり入ったりがありましたが)この種の催しとしては、最近にない極めて盛会のように思われました。山下さんは、本欄で先に「ビールでも飲みにいらっしゃいませんか」と、テレ気味のご様子でしたが、どうしてどうして、話の内容の方が泡も立たずにはるかに上のようでしたよ。
 小生は、司会役の桜井部会長のご厚意につい甘えてしまって、5回も質問させていただきましたが、主観的に見て、一番印象深かったやりとりは「これまでいろいろとお話になった山下さんご自身のものさしで測ってご覧になって、合格点の付けられる日系企業は、一体、何社くらいありますか。」、「まだメダルを差しあげれるような日系の企業は、ないのではないか、と思います。」、「では、もう少し輪を広げて見て、ブラジル企業全体を対象として見た場合は、どうですか。」、「それですと、やはり、ベスト10にランクされているような大手企業じゃないでしょうかね。」といったところでした。
 <OBS> 山下さんのお話が終わって、自由ディスカッションの時間に入り、副部会長の末席を穢させていただいている者の一人として、でしゃばりついでに、コンサルタント部会の傘下にあるこのBatepapo欄でいつも健筆をふるっていらっしゃる伊豆山さんに「できればちょっとご感想を聞かせて下さい」と、少しお叱りを受けることも覚悟の上で、敢えて水を向けたら、お叱りを受けるどころか、満を持していた(?)かのように、しかし、至ってもの静かな口調で、とうとうと持論を述べられ、皆さん、熱心に聞き耳を立てている様子でした。いずれ、発言の要旨に就いては、ご本人から発信されてくることでしょう。
【赤嶺さんの追伸】
昨日、最後の寒波襲来を心配していましたが、どうやら、この時期の当地のちょっとした三寒四温みたなもので、もうひどい寒さはなさそうですね。山下さん、(至急電の形でお願いします。しかし、冗談半分に受け取って下さい。お忙しければ、ゆっくりで結構です)。3日(金曜)午後の講演会では、お話の後、特にBehave社の石田さんが箇条書きで要領よく感想(要点)をまとめて発表していらっしゃいましたが、もしできますれば、参加できなかったコンサルタント部会以外の方々のためにも、あの要領でおさらいしていただけませんか。それを、昨日の小生のメールに書き加えることをつい忘れてしましました。

【山下さんご自身が纏められた講演の要旨】
皆さん
昨日MIA向け出発の予定でしたが、飛行便がハリケーンでキャンセルになり、まだリオにおります。
下手な講演、要点にまとめようと思いましたが 長い文で送ります。すみません。
ブラジルで損せぬ8つの秘訣
1)事業が赤字か黒字かを見極めて、赤字のときは「計画赤字経営」を行って自分の城を守る。
2)自分の会社は「税金を売上の何%払う」事業か知って、為替か税金か金利に変化が起きたときは、それで自分の事業がどう変るかを見極める。
3)時々「ドーノの眼」で、決算書とは無関係に、資本金と準備金を「外貨」に換算して見るくせをつける。準資産の時価はどれくらいかを「外貨」で見る。
4)通貨は7年で半減すると思え。従って資本金を全額運転資本にしないで、インフレや為替の変動に強いものに分散投資しておくこと。
5)マーケット・シェヤー10%以上を目標とする。政府に軽視されない規模
6)外部から資本参加や合弁の増資のときは動きを外貨で見よ。
7)駐在のTOPの任期2年は短かすぎる。少なくとも5,6年のサイクルが望ましい。中南米の他の国と掛け持ちにしては如何。
8)ブラジルの時代の波に乗ること、今なれば例えば農業関連の輸出か。
「今日は「ブラジルで損せぬ法」という大変、生意気なテーマで、今まで会議所ではタブー視されていた「TOPの心構え」のお話しをいたします。
FGVの統計によりますと、一年前と比較して、輸出企業や、農産物関連の大企業の業績は かなり好転しています。9月には小泉首相もお越しになるようですし、また、来年には、ルーラ大統領の訪日も実現しそうで、日本・ブラジルの新ブームが起きることを期待します。アテネ・オリンピックの金メダルは、日本は大変良い成績です。ブラジルもバレーで金、柔道で銅2つ、メダルを取りましたが、柔道とバレーが強いのは、間違いなく、日本の貢献です。逆に日本のサッカーが強くなったのはブラジルの貢献でしょう。
ブラジルへの進出企業オリンピックでは 日本はまだメダルがありません。貢献度も低いようですが、ここらで少し頑張って、「日本人の会社だけ、どうしてあんなに儲かるんだ」とブラジル人が、会議所に秘訣を聞きに来るように、しょうではありませんか。」
以下その要約。
日系企業の状況
30年前にさかのぼって見て、生き残っている地場の企業が数えるほどしかない。進出企業でも撤退したところが多く、現存する企業も何度も危機に瀕し、本社の援助で生き延びたところが多いのが実情。また、過去の大成功の実例が少ないことが、現在日本からの新規投資が伸びない原因であろう。
90年のコーロール・ショックと94年のレアル・ショックに対応できないで、多くの企業が撤退した。そのとき生き残れた企業でレアル・プランになってから99年1月の為替ショックに対応できなかったところも出ている。
巧妙な赤字メカニズム
「釈迦に説法」をする気は毛頭ございませんが、ブラジルには釈迦も見落とす巧妙な赤字メカニズムがあると申し上げます。
「もしあなたの息子さんが「事業をしたいからオヤジ金を出してくれ、1000万円出してくれ」、数年したらまたやってきまして、「あの資金をすってしまったからもう一度金を出してくれ」と言ってきたらどうされますか。「今の仕事をスグ止めて帰って来い!アホ!」となりますね。
ところがブラジルでは それが繰り返されているのです。もっとも、進出企業の場合は、親会社が再投資するにしても、1000万円をすった長男は 懲戒免職で勘当していますから、こんどは、次男坊に2000万持たせてくるというような形態になるのです。」
原因は極めて巧妙な「インフレ」と「税金」と「金利」の巧妙にからみあった価格押し上げの赤字メカニズムがあって、損が級数的に増えること。ブラジルコストが問題といわれているが、知らぬ間にはまり込むメカニズムが出来上がっているのが問題。
過去に撤退した企業の殆どは、ブラジルの「インフレ」と「為替」と「税金」と「金利」の構築する「赤字メカニズム」に負けたのだと指摘する。
知らぬ間に、インフレと税金システムに負けて、資本金が 無くなってしまう状況におちいる。これは毎年きちんと経理監査もして、利益も出ていて、配当もしていても起きる。メカニズムの要素:為替
鳴り物入りでスタートしたレアル・プランを信用して、ブラジルに100万ドル投資した企業があるとする。当時の為替を1対0.85として、85万レアル。現在の為替が対ドル3.00とすると、単純計算でこの85万レアルは28万ドル程になっている。インフレ以上に価格の上がる商品か不動産を取得した人を除き資本は1/4に目減りしている。
これが仮にもう一回1/3規模の切下げでも起こると、9万ドルになり、本社の重役会に「資本金をすってしまいました、再投資をお願いいたします」と嘆願書を提出することになる。
メカニスムの要素:税金
ブラジルの税金の恐さは、利益に課税されるのではなく、売上の頭から取られる「間接税」と「基金とか変な名前の税」が大変多いことと其の税率が異常に高いことである。所得税など問題にならないほど間接税の比重が高い。例えば「売上の50%を税金に払っている企業」の例で、人件費か材料などが100値上がりしたとする。値上げしても、半分は税金に持っていかれるから、100ではなく200値上げをしないと元はとれない。
ある5%の新税が出たとする、ブラジルではこの税率を値上げしても大赤字になる。新税見合いの値上げをした瞬間に、他(ほか)の税金ISSもICMSもIPIもCPMFも納税額が上がっているからである。LUCRO PRESUMIDOの会社の場合は、所得税4.8%とCS 2.88%なども増額になる。
さきほどの「売上の50%が税金」の企業の例で、売値1000円のうち、実は50%は税金ですから、この1000円は、元値500円を0.5で割った1000円で
  500                   500
ーーーーー=1000  −−−> −−−−ー=1111.11 
  0.5                  0.45
この50%の税金に5%新税が加算されるのだから、税金合計は55%で、元値500円を今度は0.50でなく0.45で割り 1111.11 にする必要がある。ということは税金が5%上がったのを11.11%値上げしないと元が取れないことになる。
問題は これだけでは終わらない。すべての企業がこの増税分値上げをしたとすると当然インフレになる。インフレになると金利率はインフレの分加算されて上がる。金利率が上がると、またこのすべての納税額が上がるという悪循環が止まらなくなる。
メカニズム要素:金利
ブラジルの公定金利率は現在世界1位か2位と思う。ブラジル向けの金利には、ご存知のように、国際金融機関のスプレッドなど危険率を既に含んでいる。さらに中銀が予想インフレ率を上乗せして、率を修正する、めずらしい国である。これほどの経済規模では、世界で唯一、金利率にインフレ率を載せて取る国であろう。
現在、例えば日本やアメリカの金利は、インフレを勘案するとマイナス金利の時代であるから、完全に時代に逆行する政策で、預金者と銀行を過保護していることになる。インフレの時の物価は、インフレ分すでに上昇しているのですから、それに定率をかけると銀行さんの金利収入の額でみると、過去インフレ分は増収していることになる。
それに未来インフレを加算の金利率を適用すると、金利負担者はインフレ分を過去と未来と二重に払うことになる。
卸業などがサイト付きで売るとき、支払い金利額の倍の値上げをしないと、金利も税金も払えぬことになる。すなわちブラジルの金利にはインフレと販売税が上乗せされ級数的な効果となり猛列な負担となる。
いかなる業界でも、5%の純益を上げるのは、極めて大変なことである。金利は現状でも、割引金利率は月に2.5%は当たり前で、少しインフレが進むとすぐ跳ね上がる。
仮に儲けが5%とすると、60日のサイトで売れば、儲けの5%がふっとび、90日のサイトをつければ7.6%で儲け以上の負担になるから経営に著しい影響を与える。
メカニズムの要素:インフレ
インフレは相乗効果で昂進するが、それこそ大変な級数効果になって、金利率も税金納税額もはねあげる。
8つの秘訣の解説
1)事業が赤字か黒字かを見極め、赤字のときは「計画赤字経営」「自分の城を守る。
赤字に転落したときは、先進国以上、恐らく世界一経営が難しくなる。事業が赤字か黒字かで、あたかも経営者が変ったごとく、まったく運営の方針を変えて、それも早急に手を打たねばならない。これは雇われた社員に出来ることではなく、TOPのみが出来る経営判断で、ドーノ的 超法的判断で「計画赤字経営」に変更して、なんとしても「自分の城を守る」ことが必要である。自分の城とは自社の法人納税登録番号の会社の収支で、給料を正規に払っているときに、付帯費用の納税義務が発生する。解雇するときも多額の解雇費用が発生する。資金のある内に、正式解雇をしないと後では払えなくなる。
公的な納税伝票を受け取ってしまっている場合、発行してしまっている場合は、例え赤字でも、すべての税金を払う義務が発生する。払わねば罰金、延滞金利、最近は制裁や、経営者責任が追及される。
その意味では、ブラジルで 最も難しいのは「撤退」である。例えば、債務超過になるような赤字になったとする。本社の重役会で「これ以上赤字を増やさないように、すぐたたんで引き上げよ」と命令が出たとする。先進国ではそれが通用するが、ブラジルではこの命令を実行するのは極めて困難である。恐らくは、今ある赤字の倍以上の「資金」をつぎ込んでも、まだ撤退できずに、最悪の場合は本社の経営も揺るがす結果になる。
2)自分の会社は「税金を売上の何%払う」事業か知る。
会社の払う税金の一覧表を作ってみる。売上にかかる税金、諸税を原料仕入れ時、輸入時、製造時、販売時の税率とそれぞれの税金額を全部書き出す。仕入れ値や売値に比例する税金の支払いの額を全部加算して、最終売値の何%になるかを率で見る。
サービス業なればISSとPIS/COFINSやCSなどでLUCROPRESUMIDO(推定利益決算の企業)で17%程度、輸入卸商なればICMS 、IPIを払って、商品のIPI率にもよるが44%-60%程度、工業の場合も、一次生産工業は、やはり44%-60%程度の税金を払う。自分の会社のおよその対売上税金率を頭に入れておくと、例えば50%のときは売値の半分は税金と数的に理解しやすくなる。
3)時々「ドーノの眼」で見直す。
ブラジルの経営者は、雇われ社長であってはならない。「ドーノの 目」で見る人が必要。「ドーノの目」というのは、「オレが出した100万ドルは今いくらになっておるか」という見方である。金利以上の配当はあって当たり前、今ある資産を現在の価格で足してみて、最初に入れた資金が減っていれば、今の事業よりも、アメリカで定期預金でもしている方が良かったなと判断する。
4)通貨は7年で半減すると思え。
最近のインフレは、過去のハイパー・インフレ時代と比較すると低い率であるが、それでも年10%程度は深く進行している。今年も10%以上になる恐れがある。仮に、年率10%として、複利計算をすると、およそ7(なな)年ごとに通貨の価値が「半減」する。何もしないで アメリカの銀行に預金しておけば、ドルベースでは目減りはない。ブラジルの事業で、日夜努力した結果、目減りして無くなってしまうことになる。
5)マーケット・シェヤー10%以上を目標
存続のためには、意義あるマーケット・シェヤーを確保するのが良い。意義あるシェヤーとは全マーケットの10%以上と思う。政府がブラジルへの貢献度と 存在を認識してくれるシェヤーで、例えば、仮に100%のシェヤーでしたら、税制変更など、政策決定の前に、なんらかの打診があるはずで、ある町の100%従業員を雇っていれば市長が助けてくれる筈である。
6」外部から資本参加や合弁の増資のときは動きを外貨で見よ
インフレの目減りや、為替変化の問題は、外部からの資本参加があったとき、思わぬ大損害を受けることがある。メーカーで、まだ現在稼動中の製造機械の簿価が10円になっていたりすることがあり、このまま新しい出資者が加わると、10円で売ったことになる。
また、合弁の増資の資金は、同時に払い込まぬと、インフレ昂進時は、月始めに払い込んだ人と、月末に払い込んだ人では外貨で見ると差が発生する。過去には月インフレが80%の時もあったが、1,2の3で同時に払い込むか、相手より為替条件の良い日に払い込む用に心がける必要がある。
7」駐在のTOPの任期2年は短かすぎる
以上よりTOPとしての心構えは、事業として走り出す前に、今年は、税金と金利をどれくらい払って、どれくらい儲かるかを概念的に知っておく必要がある。能力的にはまず、すばしこくて、決断が早く、勝負運が強くなくては勤まらない。
進出企業のTOPが2年3年で交代する例が多いが、ブラジルの、この赤字 メカニズムは、欧米はもちろん、中南米諸国にも、これほどひどいシステムはない。従って経営は世界一難しいと言って良く、経験が非常に大切で、ブラジルの事情が ちょうど判りかけたころに、貴重な人材が2年くらいで、帰るのは、少々もったい。
8」ブラジルの時代の波に乗る
ブラジルで事業をするには、何よりも、まずブラジルの流れに乗る必要がある。まず、世界における ブラジルの役割と、ブラジルが何を望んでいるかを知ることである。新しい法令が出たときは、必ず意図する目的がある筈である。
最後に、どういう業種がブラジル向きかというと、ブラジルはなんといっても農業国、農業関連、輸出、以前会議所名を「農、工商工会議所」に改名せよと言う先生があったが、やはり農業だ。商業の場合は日々決済、日々決算の水商売的業種が向いている。工業の場合は、税率が低いか、中央政府や地方政府のインセンチブのある事業はブラジルが希望している事業といえる。
なお政府の考えも変化するので、常に政府の本音を知るために、複数の情報源も必要だと思う。それに逆らう事業の場合は、残念ながら、今日よりは明日に、それも突然 条件が悪化することがあると理解すべきだ。

【伊豆山さんのご発言】山下さんの講演会で、インフレの問題に加え、(売上に掛る)間接税の高税率の問題へのご指摘がありました。 通常、IPIを含む売上高の ほぼ50%が税金で、残り50%が我々の手元に残るネット売上高になります。 
講演会では、赤嶺さんの、ゲリラ的急襲で、シドロモドロの私は、いくら税金が高率でも、「皆が公平に払えば怖くない」的発言をいたしました。  税金があまりにも高いと、やって行けない者が出ます。 やって行けない者を、「死ね」とは云えないから、「じゃあ、軽くしてやろう」となる。 もちろん、初めから(合法的、非合法的も含めて)税金を払わない者もいる。 これでは、まともに企業の力が付く訳がない。 これが、企業にとって一番困る問題だ、と申し上げた訳です。 ブラジルから、オリンピックメタリストが出ない最大の原因はここにあるかも知れません。
世界中で、生産コストの数パーセントの引き下げに、日夜努力している、一方で、ブラジルは、生産コスト数%引き下げに血の滲む努力をするより、 下請への支払いを1−2ヶ月遅らせた方がよっぽど、努力なしにコスト低減の即効力となる。
色んな節税策で、5%コスト引き下げは、その道の専門家に云わせれば、そんなに難しいことではないと云う。 「ドーノ」としては、こう云った道に才長けた経営者の方が、生産コスト専門家より有難い。 ブラジル国内では、筋トレなんかやるより、如何に、審判の目を誤魔化すかの技術の方がトレーナーに課せられた最重点課題になっいる。  
これでは、オリンピックメダリストを、ブラジルで育てるのは至難の業です。
でも、このブラジルでもメタリストが居ないわけでは無い様です。 
私の知る限りでは、サンタカタリーナの田舎町にある、モーターのWEG社があります。 (政府の手厚い保護で育ったEMBRAERは別格としましょう。) 既に、世界中に製品を輸出し、売上高で業界世界第二位と聞いております。 堂々銀メタリストです。 
20年以上前ですが、創業者の Egon da Silvaさんにお目に掛ったことがありましたが、 田舎町のオッサン、と云った感じの、インテリのかけらも感じさせない、温厚な方でした。 我々、リオ、サンパウロをみて、ブラジルを判断すると、間違うかも知れません。 南部3州には、一味違ったブラジルがあるようです。
既に、南部もかなり汚染されているようですが、まだまだ、しっかりしたもの(ヨーロッパの田舎のコミュー二ティーの力に似ているもの)を残しているように思えます。ですから、ブラジルを一元的に捉えると、間違ってしまう可能性があるようです。




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