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40年前の奉加帳見つかる。早稲田大学海外移住研究会実習研修生派遣。
古い書類、書籍等は、引越しの度に処分され殆ど残っていませんが、今回の『私たちの40年!!』発刊計画もあり探していたら黄色く変色した40年前の奉加帳が見つかりました。これは私があるぜんちな丸第12次航の一員として移住船に乗り込みブラジルに渡る際に旅費の一部を浄財として理解ある人達に援助して貰う目的で書かれたもので五百円から壱萬円までの寄付者の名簿が残されている。今見ても署名者がどの様な方達なのか定かでないが、多分顔の広かった母親が息子自慢も兼ねて協力を頼んで回ったのではないかと想像する。その母も私が2度目に渡伯した1965年の年末に亡くなったので問い質すことも出来ない。歴史に埋没した黄色く変色した当時の奉加帳の私の写真だけが若々しい。


一 主旨
都の西北早稲田の杜には、3万の学生が集い、勉学に、スポーツに、サークル活動にと有意義な学生生活を営んでおります。私達、早稲田大学海外移住研究会は、三百近くもあるサークル中特異な存在として、種々の研究と実践活動を行って参りました。私達は、戦後移住再開と同時に、単に海外事情を机上の学問として研究するのみでなく実際に海外進出を主たる目的として活動を始めたのであります。そして今日まで海外移住に関する研究と啓蒙を行って参りましたが移住に関する無知、偏見に驚かざるを得ません。国際社会がますます緊密度を深めているときに当り、貿易振興と共に日本の活路である海外移住に関する正しい知識を広く一般国民に浸透させる必要を私達は高く評価するものであります。
かかる観点から海外移住研究会では毎年春の休暇を利用して移住に関する知識の啓発、広報活動を目的として全国各地を遊説して参りました。この遊説は、私達と同世代に生きる若い青年男女、特に農村青年に対する移住思想啓蒙活動、即ち国内活動と云えましょう。
右のような国内の研究及び広報活動をより充実させ、幅広いものとするためには、研究会員の中から鋭い新鮮な感覚を持ち真剣味溢るる実習調査員を現実に派遣することが不可欠であり、それに対し私達は、並々ならぬ希望を持っております。
もしこれが実現した暁には現地に於ける生活は、勿論物見遊山的な気持ちでなくあるときは、コロノ(農業雇用者)としての生活に励み、あるときは一パイオニアとして、開拓最前線に挑み、あるときは緑の魔境アマゾンに日本青年として恥ずかしくない日々を過ごし、併せて海外移住の実態を見聞し現地農業の知識と技術の習得に励む覚悟であります。
又帰国後は、その成果を広く社会に発表し我国に於ける移住思想の啓蒙、海外発展の促進を計る所存であります。 
何卒、私達の海外発展への熱意を諒とせられ今後とも御支援、御鞭撻を賜りますよう御願い申し上げます。
      昭和三十七年一月二十日
早稲田大学海外移住研究会

二 期日行程予定表
自 昭和三十七年三月十三日
至 昭和三十八年八月末日 
昭和三十七年
三月十三日 ローヤルインターオシャンライン ボイスビエン号にて横浜発
三月二十一日 香港着
三月二十八日 シンガポール着
四月二十九日 ケープタウン着
五月八日 リオデジャネイロ着
五月十日 サントス着 
五月中サンパウロにて生活 
六月―七月―八月―九月 南米実習調査 サンパウロ州、パラナ州、リオグランデドスール州、野村農場、東山農場十月―十一月−12月−一月 北伯農業実習 アマゾン中心(トメアス−植民地)
二月 ウルグアイ及びアルゼンチン
三月 パラグアイ
四月 ボリビア
五月 ブラジリアを中心とした中央ブラジル調査旅行
六月 リオデジャネイロ、サンパウロにて都会調査
七月 初旬 サントスより乗船予定
八月末 帰国予定 

三 実習調査内容
一. 移住地の住民の飲食物、衣服、住居、農業労働、保険衛生、教育、娯楽、社会等具体的条件の調査
二. 農村経済と農家経済
イ. 農村経済概要
ロ. 土地利用と交通機関(農産物と市場の関係)
ハ. 農業経営状態
ニ. コロノ生活
ホ. 今後の移住の方式
三  工業方面の調査 日系企業の実態調査
四.  商業方面の調査
イ. 日系商店と外国商店との差異
ロ. 今後商業分野に於ける日本青年の移住の方向
 
四 派遣員紹介
 彼は美しい六甲の山脈と内海の静かさに囲まれた港、神戸に生まれ神戸市立山手小学校、生田中学校、更に神戸高等学校でその多感な夢多き成長期を過ごしました。彼の海外雄飛の志は、この彼の育った港、神戸の持つエキゾチズムと明るさ、力強さと活発な息吹に培われたのあります。彼は早稲田大学に入るや私達の早稲田大学海外移住研究会に入会し以来海外進出の為、中南米の政治経済を中心に一般事情、今後の移住の在り方等を研究、又ポルトガル語習得等地道に準備をして参りました。昨年の九州地方遊説では副団長としてよくその任を果たし海外移住研究会の主力メンバーの一人として活躍しております。また一方、彼の郷里神戸高校稲門会の幹事長として種々の事業を成し遂げその政治手腕は、各界より高く評価されるところであります。彼のもつユーモラスな人間性は、日本と外国との掛橋として活躍するに全くふさわしい資質であると申せましょう。
 彼の最終目的はあくまでブラジル移住者としてブラジルに骨をうずめることであり帰国後は、二年間啓蒙活動を指導し、その後は必要準備をなし、再度渡航するとのことです。
 何卒、彼の海外発展への熱意と世界に日本青年を代表せんとの壮意を諒とせられ、御協力賜わらんことを切に御願い申し上げます。
早稲田大学海外移住研究会

 
上記の奉加帳(当時学生が何か事業をする際に関係者への協力要請の為に書いた趣意書)に記載されている内容は現在では大分「時代錯誤」の感を免れませんが当時の学生気質を伺える資料として敢えて掲載させて頂きました。当初の計画ではあるぜんちな丸の一船前のオランダ船使用を計画していたようですがこの船に乗る予定の者もすべてあるぜんちな丸第12次航にまわされる事情があった様で皆さんとご一緒出来た訳です。
(平成14年3月30日タイプアップ/和田 好司)



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