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「焼け石に水」? ブラジル金利政策から見たブラジル経済。
JETROサンパウロ事務所の所長さんとは、湯沢所長、吉水所長、桜井所長と歴代の所長さんに懇意にして頂いて来ましたが、今年着任された渡邉裕司所長にも先日サンパウロに出向いた際にJETROサンパウロ事務所を訪問してお話をさせて頂きました。
渡邉所長の書かれる経済評論は、お仕事柄からも興味あるブラジル経済の問題点を判り易くBATE-PAPOのMLで説明しておられます。
ブラジルの金利は、高すぎるとの指摘はどなたもしておられますが、思い切って8%まで下げるべきでありまたそれが可能だとの論拠を理路整然と説いておられます。赤嶺さん、早川さんのコメントと共に経済欄に掲載して置きます。
写真は、渡邉所長に送って頂いたものです。


日本に「焼石に水」という諺があります。高温で熱した石に水をかけても瞬時に蒸発してしまい冷却効果なんかない、という意味です。ブラジル語で言えばNao adianta.と言うことになりますか。8月30日の中銀の政策金利0.5%下げ措置(14.75%→14.25%)は焼石に水、どころか「焼石にお湯」と表現した方がいいかもしれません。
政策金利は私の見るところ@遅くとも2007年央には名目のドタで8%まで下げるべきで、またそれは十分に可能です。それとA民間預金の(常軌を逸した)中銀預託率51%を5%以下に下げるべきです。これを実行すれば2007年から6〜7%程度の成長過程に入りブラジルは名実ともにBRICs国家になります。
<名目8%まで下げるべき理由>
@過去起きたと同じモデルのインフレ再燃の心配は杞憂です。インフレは今先進国並みに低下。06年(1〜6月累計は1.5%)トータルでは多分、2%台か高くて3%、米ドルインフレ以下もあり、です。この低インフレはブラジルだけの現象ではなく世界全体がそうで、冷戦構造崩壊後の世界経済の構造変化が原因です。ここの基本認識が極めて重要です。共産主義は事実上、死滅し世界は東西ブロックから国境なき地球規模の大競争時代に突入して既に15年以上経過、この間、18世紀の英国に起こった産業革命に匹敵する歴史的「情報通信革命」(informaticaの技術革新)が起こり産業の生産性は信じ難い上昇を示しました。このことは経済学的に理屈っぽく言うと「供給サイド(生産面)から強い物価引下げ圧力があたかも重力のように全地球規模で働いている」ことを意味します。中銀のエリート・エコノミスト達の「インフレ恐いトラウマ」はアナクロニズム(時代錯誤)思想であり、現在の世界経済情勢をどう見るかの基本認識に根本的な誤謬があるのです。今は例外を除き殆どどこの国でもインフレは一桁、それも1〜3%程度です。あのかつて年率3万%を記録したボリビアでさえ年率2%前後です。もっと身近な例で言うと石油が上がった、と言って店の値札を簡単には今は上げられない、上げれば競争に、輸入品との競争に負けます。合理化、生産性向上でコストアップを吸収せねば生きて行けません。従いインフレ抑制を口実にした高金利政策は今や国際常識では説得力がありません。
A当たり前ですが、高金利下では産業投資に資金が回らず高利の国債など高利回り投資商品にカネが流れ経済は成長しません。すると市場は拡大せず外国企業もブラジルが期待する程、投資ができないのです。中国には日本企業だけで2万社が進出しました。ブラジルもかつて奇跡を演出した高度成長時代(1960年代後半〜70年代初期の軍政時代)、12%台の成長が続き日本企業はあの外貨の不自由な時にも拘わらず500社がブラジルに殺到したのを見ても分かります。ぐんぐん大きくなる売れるマーケットを座視する企業家はいません。
<8%まで下げられる理由>
8%に政策金利を下げろ、と言えば大蔵省は金利低下で国債が売れなくなると大反対するはずです。その心配はありません。何故かと言うとインフレは米国並みか以下なので、投資家はインフレ率を抜きに米国債金利(5%弱)と伯国債金利を比較できます。伯国債(政策金利連動型が45%占める)が仮に8%としても、世界一信用の高いトリプルA評価の米国債5%とはまだ3%もの開き(カントリーリスク・プレミアム)があり伯国債は売れます。おまけに大蔵省(国税庁)は外国投資家の国債利息に何故か06年2月、所得税非課税措置を講じており伯政府は自信をもって国債を売りさばくことができます。その証拠に実際の市場では今、伯リスクは200ベーシスポイント(米国債との利回り差が2%、の意味)です。伯国債に2%を超えるプレミアムがあるのに買わないバカな投資家はマーケットにはいません。
<預託率の下げ>
これも国際レベルの一桁にするのが当たり前です。銀行が大衆等から集めた預金を中銀が49%しか使わせないとしたら資金コストは急騰します。金利は高くなります。
以上のようなおかしな通貨政策を続ける中銀の考えが私には分かりません。以前、ここで中銀総裁人事がそもそもおかしい、と私が申し上げたことがあります。私は違いますが、何か別な目的で中銀は高金利政策をやっているんではないかと疑う人もいるかも知れません。大統領も早くこの異常事態に気付いてジウマにでも国家政策の抜本練り直しを新政権発足早々にでもにやらないと、2期政権でも結局、何もしなかったどころか一層巨大な汚職に手を染めただけ、という情けない結末を迎えるような気がしてならないのです。
渡邉裕司

渡邉さん 皆さん
赤嶺です。
<焼け石に水>を立て板に水の如く解説
  
 今、土曜(2日)の午後2時前で、空腹感に切実なるものがありますが、話し言葉の如く、立て板に水みたいな貴信を2回も繰り返し読ませていただきました。そして、良く理解できました。お首の周辺を良く洗って待っていらっしゃるのかどうか、不明ですが、よくぎりぎりの制限ラインと思しきところまで、踏み込み大胆にお書きになったというのが強い第一印象でした。併せて、こんなに今回の金利引き下げに関するご意見を今の内に披瀝なさったら、今月の異業種交流委員会の勉強会では、一体何をお話になるのか、他事ながら、少し心配になって来ました。ご指摘のように、政治経済両面、大統領選挙後の諸々のことが気がかりです。もうすぐ2時です。そろそろ昼食に参ります。

渡邊 さん /バテパッポの皆さん
早川です、『焼け石にお湯』のレポートお見事です、渡邊さんの経済に対する<薀蓄>を垣間見たように思えます。
されど渡邊さん<開発途上国>の経済の歯車は先進諸国の歯車の如く<確り噛みあって>動くとは限りません、要するに算術で(2+2=4)の結果は必ずしも出てこないと云う事です。

高金利、に就いては<大馬鹿者の副大統領>がいて何もやることが無いので<高金利政策>の批判と云う<家族の悪口>を就任から現在まで事あるごとに批判し続けております。
その他多くの経済学者、企業家、労働組合国を挙げて<高金利合唱>ですが中銀は聞く耳を持たない、<インフレ再燃が懸念>と表面的な事由を挙げております。
小生、今日までこの高金利背景は一体何か?この問題に就いて実態を解明したその道の専門家の論旨にお目にあかかったことがありません<べらぼうな高金利>、<世界一高い金利>等国内は<喧喧囂囂>と高金利交響曲が高らかに鳴り響いいておるにも係らずです。

渡邊さんお気を悪くしないで下さい、渡邊さんは日本の公的機関の現地代表と言う地位を活用されて政府経済関係分野の要人と直接面談、この辺の、背景を探ることも出来る筈です<方程式>を振りかざすことは安易な方法です、又この国の経済学者も馬鹿ではなく渡邊さんの論旨と同様のことは考えて居る筈です、もう一歩突っ込んで、論旨で述べられた<インフレ問題>、<銀行の強制預託金>も含めて、真実に限りなく近い情報の収集も又現地駐在に与えられた責務であるとは過言でしょうか?




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