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厳しいルール課して地球の旅 感動の一期一会の出会い サンパウロ新聞WEB版より。
サンパウロ新聞に古屋宏貴さんご夫妻の全世界踏破を目指す旅に付いての報告がWEB版に掲載されていました。40数年前の学生移住者として中南米7ヶ国を回った頃の事を思い出す。同じ場所に1週間以上滞在しない。原則ホテルには泊まらない。飛行機を除く有りとあらゆる乗り物に乗っての旅、砂糖黍畑の中のトロッコ、牛車、カヌー、雨でバスが走らなくなり27kmの泥道を歩いて到着した移住地。アビアドールと呼ばれるアマゾン川の行商船、鰐皮をトラックの荷台の下に敷いて隠し上にピラルクの乾し肉を乗せたベレンーブラジリアの国道14号線の旅(途中で道を直し橋を造り一部はブルドーザに引っ張って貰う箇所もあった)、若いから出来た、耐えられた忘れられない旅を古屋さんご夫妻が思い出させて呉れた。二人だから出来る残りの旅、行き残しの国にはお子さんを連れての旅を続けたいとの意気込みに幸あれと祈りたい。
写真もサンパウロ新聞のものを使わせて頂きました。


《古屋宏貴さん夫妻聖市で充電中》
 移動に航空機を使用しない、同じ地を二度通らない、ルートも交差させない。自ら課した旅の掟を守り世界を旅する若夫婦が今、サンパウロでしばしの休息をとっている。リベルダーデ区の日系安宿で羽を休め古屋宏貴(三一)、絵美(三二)夫妻が日本を発ったのが二〇〇二年四月。中国、アジア、インド。中近東、南欧、アフリカと、これまで訪れた国は九十三か国と四地域。

 《すでに93か国の大地に 二世が誕生したら三人で未訪問国へ》

 九月二十二日、アフリカのターバンからコンテナ船でリオ・デ・ジャネイロ近くのセペチバ港に入港、そこから東北伯を周って、一週間前にサンパウロ入り。日本語と日本食、漢字の看板が溢れ、袈裟を着たお坊さんも目にするサンパウロ。「このようなところがあるなんて想像もしなかった。嬉しくて嬉しくて・・・」と声をつまらせる夫婦。毎日、日本食を食べまくり太ったそうだ。 街角で地図を広げていると「どこに行きたいの?」気軽に声をかけ、言葉がわからなくても身振り手振りで助けてくれるブラジルの国民性、短期間ですっかりブラジル贔屓になった。

 美しい風景や美味な料理も感激するが、旅の醍醐味は人との出会い。

 ブラジルに渡る前の地、アフリカでも色々な出来事があった。レンタカーでナンビアのナミブ砂漠を走行中に横転事故を起こした。幸い怪我もなく、横転した車を残して、自分たちが走ってきた車のワダチを唯一の目印として灼熱の砂漠を歩き通し、一日に数台の車両が通る幹線道路にやっとでることができた。もし、レンタカーに積んでいた水と食料がなければ、二人は砂漠でカラカラの乾燥死体となっていただろう。 一つでも多くの国をと、旅費を切り詰める二人の一日の最後の仕事は安宿探し。アフリカのある街での夕方、手ごろな値段の宿を見つけ、数日間宿泊する交渉をするが、宿の主人は「泊まるのか?」と怪訝そうな顔をし、続いてニヤリ。後でわかったことだが、ここは、男女が愛の時間を過ごすラブホテル。泊り客はめったになく、全てが時間休憩。主人のニヤリは『長逗留する好き者の日本人』と勘違いしたもの。勘違いはまだある。中国の経済進出著しい西アフリカでは中国人の売春婦も珍しくはない。夜、二人で街を散歩していると「いくらかね?」と、男性の通行人から引っ切りなしに値段を聞かれた。絵美さんを『夜の女』、古屋さんを、客との交渉役の『ヒモ』と間違えたのだ。

 南米には一年の滞在予定。その後は中米、北米、カナダ、北欧、ロシア、豪州、南極と先はまだまだ長い。

 旅にまったく興味なかった古屋さんに、長期の世界旅行を「三か月だけの海外旅行」と偽って連れ出した絵美さんの目論見は当り、旅の面白さに目覚めた古屋さんが今では逆にリードしている。古屋さんが途中で変わったのと同じく絵美さんも変わってきた。

 日本出発時は世界完全征服が夢だったが、今は「子供が生める年齢までに帰国したい。やり残した国は将来、子供連れで・・・」。

 これからも旅は続く。これまで周ってきた九十三か国・四地域の中で、サンパウロほど気持ちが落ち着く街はなかった。しかし、二人が課した「同じ地を二度と通らない」の掟で、このお気に入りのサンパウロを二度と訪れない。

 日本帰国までのバス、汽車、ヒッチハイ、船の地を這う旅はまだまだ続く。

 〔写真:古屋宏貴、絵美さん夫妻〕



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