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山下晃明のブラジルで損せぬ法(226)(227)2006年9月号、10月号
お馴染みの山下さんの【ブラジルで損せぬ法】の第226回と227回を収録して置きます。山下さんの超ベストランの経済コメントは何時も変わらず一つの評論家の目で万象世界の動きをまな板に乗せてコメントしている。飯田流の陰陽学的見方も面白い。もう既に20年以上続いているロングランの秘密は何なのか?その創作意欲には何時も感心させられる。
先日リオに出向いた際にセントロの一角に上海料理を食べさせる日本人の店があると云うので奥さんにもご一緒していただき4人で中華料理を楽しんだが夜の治安も問題のなのか水曜日の夜であったが我々4人だけのお客で結構広い店を貸し切りで珍しい本場の料理を作って貰った。家具、食器、食材等も上海より取り寄せた本場の料理を堪能したが夏場のこの入りでは継続してくれるのかどうか心配になった。
写真はその時の記念写真を使用する事にしました。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(226)
『実業のブラジル』誌に好評連載中(2006年9月号)

映画「弓」を見て思う
 韓国の鬼才といわれるキム・ギドクの12作目、あらすじとポスターだけで15カ国に売り込んだという映画を見た。
この映画は沈んだボロ船一艘にしかお金がかかっていない。主役は一言もしゃべらない。だが何かを訴える迫力があり、退屈しない。
ブラジルのタイトルは「Arca」これ以上内容は言わないから、とにかく一度鑑賞してみられると良い。
以前に中国映画アン・リー監督の「グリーン・ディスティニー」のカ メラの構図と色の見事さに感激し(ビデオ版にはその迫力がないが)、チャンバラ・アクションも楽しく、娯楽性で日本の時代劇はもう負けだと思ったが、韓国にも鬼才が出現した。日本の映画界は新人監督の人材発掘からやり直す必要がありそうだ。
 VEJA誌の中国特集
 VEJA誌8月9日号、なんと106ページの特集である。一国にこれほどのページをさいたのはこれが初めてであろう。万里の長城、秦始皇帝兵馬俑に続いて3番目の見開きが南京大虐殺か日本軍の中国人捕虜斬首後の写真であるのが日本人としてちょっと気にいらぬところだ。
 面白いと思ったのはブラジルと比較している。ルーラ政権は改革に何も手をつけず、相変わらずの高レアル、高税金、高金利で国際競争などやる気がないのかと思っていたが、取材記者にはBRICsの一員として中国に対する対抗意識がまだあるのだろう。人口は中国がブラジルの7倍、PIBが3倍、海外投資額3倍、輸出額6.2倍、国際特許数5.5倍、一人当たり所得はブラジルの方が2.5倍とある。
 年間技術者卒業数 中国100万人、ブラジル9.4万人という数字もある。うりざね顔(たまご型)のモデルに価値があり、西洋風へ変身の整形手術も進んでいるとのこと。
 特集としては十分にブラジル人に中国の発展ぶりを見せているが、ブラジル人投資家に対し、いまだ中国は共産主義国家でこのまま自由主義的経済成長が続くと何れは政治体制の大変化が起きるだろうというマイナス面に触れていないのが気になるところだ。
 VWの反抗
 最近のVWの反抗、工場閉鎖をちらつかせた一斉休暇で新聞紙上がにぎわっている。トヨタやホンダに押されている説もあるが、本音は、これほどレアル高、税金高、金利高では多すぎる従業員を抱えているより、解雇して工場を閉めた方が得だと思っているトップもいることであろう。
 ドイツ人もラテン系政府との折衝はあまり上手な方ではなく、まともに喧嘩するが、たとえ工場を閉めて引き上げても、これを機に政府が動いて労働法改正か、レアル高か税金高を手直ししてくれる結果にはならず、外資企業の場合は単にブラジル市場に2度と入れなくなるだけだろう。
 関税は下げたけど輸入PIS/Cofinsを新設
 一例として、世界の関税がFTAなどで下がり始めた時期に、少し関税をさげたが、政府出費の削減は一切せず、それ以上の税収となる輸入PIS/Cofinsを平気で新設した。
非関税障壁という言葉がある。輸入税以外のコータ管理、品質管理や衛生管理などで輸出入を制限することだが、ブラジルの場合はそれ以外に、非関税・税金がものすごい。例えばCIFでUS$1000の関税20%、IPI税15%の物品を輸入したとする。税関から引き取る時点で払う税金は、
関税 US$1000 x 20%=US$200
工業商品税(IPI) US$1200 x 15%=US$180
商品流通税(ICMS) US$1380 x 18%=US$248
社会統合計画・社会保険融資負担基金(PIS/Cofins)US$135.84
合計US$763.84
なんと関税20%の筈がその約4倍の76%の税金を払わないと税関から品物が引き取れないのである。もっとも工業商品税や商品流通税は販売時にかかる税金であるが、輸入商が節税しないよう取れる税金は常に前取りしようの方針である。
 また2004に新設された輸入のPIS/Cofinsは厳密には税金ではなく基金であるが、払わないと通関できないし罰金もある。現在「輸入PIS/CofinsをICMSに払うことになるのは違法である」と訴訟をしている人もあるが金額的には些細な問題であって解決にはならない。
 ブラジルを変える法 
 なんとかしてブラジル・コストを下げねば外資にとってこの国は永久つぎ込み国になると思われるが、ブラジルではうかつに日本人的正論を述べてはならない。
 日本人は一億総評論家であるから客観的に分析し一般的意見を述べるのが好きだが、ブラジルでは「誰が何のために発言しているか」が重要視され、たとえ建設意見でも逆に解釈されて批判とみなされる場合が多い。
 例えば「チリの近年の変化はすばらしい、ブラジルも見習うべきだ。」は禁句である。相手がニコニコしていて聞いているように見えても実は「あなたはこの大国ブラジルがチリに劣るとおっしゃるのですね。」と解釈される場合が多い。困るのは、これが当事者の耳に「XXの社長が大統領を訪問してこんなことを言った」と伝わると、必ず何らかの形でその会社へ反応が出ることである。
 正しいことは正しい、だから正論というのだろうが、「アー言うてやった」と溜飲を下げてみても、結果がマイナスになればやはりマイナスである。当地の新聞など報道も、直接ブラジル・コストを批判するようなことは避けている。言いたいことは外国の調査機関や大学の教授の学術レポートなどとして掲載する。XX大学のYY教授がブラジルの税金は高いと述べている。ZZ調査機関の統計によればブラジルの金利は世界一高いと言った具合である。時にレポータが威勢よく批判記事を書くことがあるが通常2,3ヶ月で沈黙する。報道機関といえども、免税の新聞用紙の輸入通関が原因不明で滞ったり、テレビ局も電波割り当ての認可が遅れるのは困るのである。
 現時点で最も効果があるのは、黙ってブラジルの劣る部分の世界ランキングをマスコミに掲載し続けること。時間はかかるが、ブラジル人の学生や民衆が「ノー・モア現政権」と騒ぎ出し、ブラジル人政治家自らが「チリや中国は一体どのようにしているのだろう」と疑問を持つように仕向ければブラジルが変わる。
 Youtubeをご存知か
 昨年2月に米国で始まったビデオ・ショットをネットに無料で発信できるサービスだが、わずか1年半で、世界シェア60%、この7月に観覧ヒットが1億になった。まずはwww.youtube.comをご覧あれ。日本のテレビの番組の一番面白おかしいところのショットから個人趣味まで、なんでもある。なにしろ1日の投稿数が6万本以上とのこと、建前は各人がアップしたビデオを保存するだけのサービスであるので、ビデオの内容にまでは感知せず、著作権の問題は、事前にチェックするなど、手間のかかる方法はせず、そのままアップして侵害申し立てがあれば直ちに削除する方針のようである。
 音楽ファイルの無料交換サイトやiPODが出たとき、司法に保護されたCDの著作権は無意味になるなと思ったが、youtubeも一日の投稿数が6万本以上、ほぼ毎秒新作がアップされるというのだから、訴訟手続きなどできたものではない、まして時間のかかる裁判では物理的に裁ききれない。コピーされたテレビ局の方も、毎日6万本を知らべて一々眼に角立てるよりは、あれは当局の放映作品ですと宣伝に使った方が良いぐらいである。自然法則学界の飯田先生の言う、「法の権威が落ちて著作権などが無意味な時代になる」とはこのことだろう。
 9月に起きることは2008年から本格化
 飯田先生によると、この9月に起きることは2004-2013年の10年期の後半2008年からの大激変につながるとのこと。何が起きるか眼をさらにして見てみよう。
 陰陽学の暦では8日から9月節に入るが、大災害とか悪い変化は別にして、新聞報道で最初に目に付いたのは日経ネット8日のシリコンバレー全域に高速無線ネットの記事、米IBMや米シスコシステムズなどで構成する企業連合がハイテク企業の集まるカリフォルニア州シリコンバレー地区全域を網羅する高速無線インターネット網の構築を同地域の公共機関などから受注した。同地域の住民約240万人が無料でネットに無線接続できるようにするとのこと。おそらく2008年からは世界的にこのようなインターネット時代になり世が変わるだろう。もう一つは「跳びはねる1本足ロボットをトヨタが開発」の記事、ロボットの高さは約1メートル。従来の2足歩行ロボットの足につま先の関節を加えた。人と同じように曲げたひざを伸ばすときに跳ぶ。跳ね上がる高さは約4センチで、人が走るときに浮く高さと同じ程度。という記事だが、日本の技術でロボットが一歩一歩実用化に近づいている。足払いを感知して飛び上がって避けるとか、剣道の足さばきで絶対に転ばないロボットが出来てくると面白い。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(227)
『実業のブラジル』誌に好評連載中(2006年10月号)
日系議員と移民百年祭に思う
 リオの商工会議所昼食会で鷲頭氏が何回目かの退会の挨拶で、「ブラジルには5回、延べ25年駐在したが、段々ブラジルが分からなくなってきた。"悪女の深情け"みたいなとこがあって、いつも気になる国」と言われたが、うまい表現と感心した。気候も良いし、人も友好的で気安いし、食事もうまい、居心地が良いからとつい油断するとインフレや切下げや法令の変更や罰金などで思わぬ出費が出る国だ。
 日系議員と移民百年祭に思う
 日系の顔をした連邦下院議員が4名になった。うち一人は日本で教育を受けた中国人だが当選したのは本当に良かった。めでたいことだ。百年祭にサンパウロには日系連邦議員が一人もいないのかと残念に思っていたが最後につじつまを合わせた。州議員の方はパラナ州議員2名、マット・グロッソ州議会2名、ミナス州議員1名は良いが、日系人が一番多いサンパウロの州議員当選者がゼロというのは一体どうなっているのだろう。立候補者数のみは多かったが、5人集まれば会長をつくる1世移民の欠点をそのまま継承して自滅してしまったのか。最低何名の議員を送りこもうと指導するリーダー格が2世層に育っていないのだろう。
 百年祭の方は船頭が多くて大変だが、いよいよ最後、制限時間いっぱいとなると、うるさ型の中から必然的にリーダーが出てきてなんとかするだろう。日本人は最後につじつまを合わす。心配しなくてよい。
 ブラジルの総選挙
 27州、550万票の投票結果がその日に出る集計の早さは世界に誇れる。一次選挙でルーラは勝てなかったが、非常に面白い現象が見られた。ルーラ支持の州とアルキミン支持の州でブラジルが南北2分したのである。それも僅差ではなく1位対2位が5対3程度と好き嫌いの差が極めて明確に出ているのである。
 よく見るとこの差は納税率の差かも知れない。南部は商工業も活発で納税額も多く、過酷な高税に音をあげている。北部は税金を使う方の側で免税や補助や年金暮らしが多い、また働かないでお金をもらった層にとってルーラは神様である。
 予断であるが、ブラジルを南北に分離してルーラとアルキミンの二人の大統領にやらせたらと冗談を言う人があったが、そうなると北グループのルーラ王国にはリオ、ミナス州が入り、イグアスを除くほとんどのブラジルらしい観光資源がある。石油を含めたほとんどの地下資源、アマゾンの地球酸素資源などが入っている。税金など徴収しなくても食っていける楽園になるだろう。
 今年から電柱に選挙ポスターを貼るのが禁止され立候補者はサンドイッチマンのように看板を人間に持たせたり、新聞に宣伝を出したりしていたが、資金のある候補者が大きい宣伝をしているようだ。日本の場合は定められた広報の場所があって同じサイズのポスターを貼るが公平で良い考えである。
 面白いことにブラジルの選挙ビラやポスターには政党名と投票番号はあるがほとんどは公約がない。テレビでも顔が出て投票番号を読むだけの宣伝が多い、おそらく当選しても何もしないのだろうが投票者の方はどうやって候補者を選ぶのだろう。
 もうひとつブラジルが誇れることはスローではあるが選挙を通してブラジルには民主主義の是正機能が働いていること。過去にPMDBの知事が異常に多く当選した選挙があったが次第に是正された。前回もPTが異常に強かったが完全に是正された。今回少々汚職の匂いがしても、マルフやコーロルのような行動派議員が当選したことは、ルーラがあまりにも何もしないことへの反動であろう。有名な議員でも何もしない人は落選している。
 一次選挙直前にPSDB候補の中傷情報を入手するために労働党が準備したとされる大量レアルとドルの押収札束のカラー写真を主要新聞の一面に半分を割いて報道したのは、誰の策か知らないがみごとなマスコミ効果であった。字など読めない人でも新聞売場の一面のお金の写真は目に付く、これで少なくとも2%は得票を減らし、ルーラの一次選当選を食い止めたと言えるだろう。
 もしルーラが1次選で当選していたら、ますます調子に乗って後4年何もしなかったかも知れないが、これで決戦投票に当選しても少しはまじめに政治をするだろう。
 原油自給近し
 ブラジルの原油生産は順調だ。上半期は自給に4%不足したが、7月単月ではANPの統計で石油生産53.48百万バーレルで消費の48百万バーレルを超えた。本年1〜7月累計生産361百万バーレル、同消費369百万バーレルと完全自給まであと2%不足に迫った。
 ルーラ政権になってからブラジルの変化
 ルーラは旅行ばかりしていたので改革の方は遅々として進まないが、ブラジルを数字で見るとこの4年間にかなり好転している。
石油自給率 87% 98%
外貨準備高 384億ドル 715億ドル
貿易収支黒字(12ヶ月) 112億ドル 461億ドル
インフレIGP(12ヶ月) 14.28% 2.79%
最低給料 56ドル/月 159ドル/月
外債残高 1956億ドル 1435億ドル
ドルレート 3.78 2.15
リスク指数 2058 231
所得配分(Gini指数) 0.563 0.544
株価指数(bovespa) 9573 37057
長期金利 10% 6.85%
Selic 金利 25% 14.75%
輸出額(1-8月) 370億ドル 882億ドル
輸入額(1-8月) 316億ドル 585億ドル
電話稼動数 75百万台 126百万台
大学入学 3.5百万人 4.5百万人
TV稼動台数 60百万台 75百万台
パソコン稼動台数 3.1百万台 5.5百万台
自動車稼働台数 23百万台 26百万台
 アルゼンチン経済極めて順調
 経済成長年7.9%の快進撃である。7月時点の過去12ヶ月累積で輸出425億ドル、輸入313億ドル、輸出は記録の連続、輸入は過去最高の1999年水準に戻って回復は本物である。
 なお対ブラジルの貿易収支は40ヶ月連続赤字で、9月にアルゼンチンからの輸入が増加してやっと赤字幅が減ったということだ。
 9月のブラジルの輸入は81億ドルで過去最高記録だが、アルゼンチンからの輸入に注目しよう。1999年ごろジュース、ミルクまでがアルゼンチン製になったら、ブラジルの貿易収支が危機水準に陥って為替が大きく動いた例がある。
 税金大国とミクロ企業
 IBPTの調査によるとブラジルの個人と企業がもれなく納税したら納税率はPIBの実に59.38%になるとのことだ。冗談ではない。6割の税金である。本年上半期の納税額の対PIB比は同じくIBPTの発表で39.41%とのことだから、電子ノッタなどで強制的に徴収されると現行より50%納税額が増える計算になる。
 一方ミクロ、小企業の新法令が下院で審議中であり、州税も市税も連邦税に含めて一括簡易納税システムとSESCなど各種サービス基金を免税にする動きがあるから、注目すべきである。税金の負担にあえいでいる企業は税制改革が進まぬ場合はミクロや小企業に分散して事態の改善を待つ方法もあるかと思われる。なおミクロ企業は現行年商12万レアルまで連邦一括税5.5%程度、小企業は年商120万レアルまで連邦一括税16%程度である。株主などの制約もあるが新法令がどうなるか見守る必要がある。
 北の原爆実験強行と世界が制裁の動き
 9月に起きることは2008年に結果が出る。原爆実験宣言の金正日政権は2008年自滅に向かうの陰陽自然学飯田先生の予測だが、北朝鮮は今でも外貨獲得にミサイル、麻薬、ニセ札を輸出しているようだから、原爆が完成すれば当然売るだろう。ミサイルに搭載する技術は無いにしても自動車で運べれば危険極まりない。
 テレビによると、ヒズボラがイスラエルに打ち込む小型ミサイルの破壊力は畑に穴を開ける程度であった。本体を飛ばす燃料にスペースをとられて火薬の量はそれほどでもないのだろう。やはりテレビだがイラクの画面全体がドカンと真っ赤になる自動車爆弾の威力の方が凄いように思う。重い爆弾を空輸するよりは自動車で運ぶほうが大型の火薬を運べるのではないだろうか。ここで危険なのは、小型ミサイルの効果があまりないとしたら、テロはもっと強力な爆弾を求めていることである。
 Youtubeが16.5億ドルで売却
 ウォール・ストリート・ジョーナルよれば、先月号で紹介したYoutubeがグーグルに16.5億ドルで買収されたとのこと、創立わずか1年7ヶ月の企業がこの価格で売れるとはITはやはり革命市場である。




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