「あきたこまち」は夢の味 中国新聞 世界の街角から 2006年4月14日版
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ブラジルの最南端国境の町シュイから27キロウルグアイ側に入った所にコロニージアと言う綺麗な海浜と湖に囲まれた場所に広島県の沼隈半島に拠点を置く神原汽船、常石造船が所有する大農場がある。このウルグアイにある弥勒農場で出来る水田日本米のブラジル市場への売り込みを目指した弥勒輸出入有限会社と言う会社を常石グループと合弁で設立3年間日本米のブラジル市場での販売活動をしました。初年度日本米1000トンの輸入販売実績を上げ売り上げ100万ドルの会社でしいたが為替リスクを被り12万ドルの赤字を計上し整理した経緯がありますが、今もこの弥勒農場から出てくる弥勒米はブラジル市場で美味しい日本米として愛されている。当時一緒に仕事をしていた仲間の一人田村君が中国新聞の『世界の街角から』に紹介されているのを見付けた。ウルグアイに残り今も水田米を生産し牛飼いとして頑張っている好漢田村君の今後の活躍を期待している。
写真は、中国新聞掲載の『自分が育てた稲が実る農場に立つ田村さん』を使用しました。
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「あきたこまち」は夢の味 広大OB・田村さん ウルグアイで稲作 −大使館の紀井さん報告
ブラジルとアルゼンチンにはさまれた南米の国、ウルグアイ。ここで今、広島大卒の男性がコメ生産に取り組んでいる。その様子を、在ウルグアイ日本大使館経済・通商担当の紀井寿雄さんにリポートしてもらった。
■日系人向けに生産 将来は日本市場目指す
南半球はこれから秋を迎え、今がコメの収穫期である。ウルグアイは、小国ながらも世界第七位のコメ輸出大国である。ただし、国民の主食はコメではなく、生産量のほとんどを輸出に充てている。ちなみに、一人当たりの年間コメ消費量は十キロ程度と、日本人の六分の一ほどである。
ウルグアイの北には一大消費国であるブラジルが存在する。同国のコメ生産者がブラジル国境付近であるウルグアイ北部及び北東部の肥沃(ひよく)土地に関心を示し、一九五〇年代から彼らの一部が移り住んで生産を開始したと聞く。現在、輸出の六割ほどがブラジル向けといわれている。そのウルグアイで、日本の有力ブランド米、「あきたこまち」が生産されている。
▽650ヘクタールの農場管理
首都のモンテビデオから東北東に三百キロほど車を走らせるとコロニージャという大西洋岸の小さな保養地がある。夏には海を求める観光客でにぎわう場所の一つであるが、その近郊に六百五十ヘクタールに及ぶ広大な農場がある。
そこには延々と続く大地の上空を多様な野鳥が飛び交い、ニャンドゥ(南米ダチョウ)がたたずむ牧歌的な風景が広がっている。
その大農場を管理するのが田村繁直さん(34)である。鹿児島県出身。広島大で畜産学を専攻し、一九九五年に卒業した後、指導教授の紹介で、福山市にある常石造船が当時ウルグアイに所有していた農場で一年間研修した。
それが縁となり、現在は現地法人の副社長および現地マネジャーとして四十人を超える従業員を従えている。ウルグアイ人の奥さんと結婚し、お子さん二人を含めて、家族四人で暮らしている。
田村さんによれば、今年の収穫は三月中旬から四月末まで続いており、白米にして二千二百トンほどを見込んでいるとのことである。
現在、田村さんのコメは主にブラジル・サンパウロなどの日系人社会向けに輸出されている。また、それらの一部は酒米としても用いられ、ブラジル産ブランドの日本酒が生産されている。
昨今の日本食への関心の高まりによってブラジル人の間でも、ストレートの日本酒としてだけではなく、カクテルの材料としても愛用されていると聞く。ブラジルにおける日本食文化に花を添える役割を果たしている。
▽1キロ当たり1ドル
一般的に、日本人が海外生活をする際に困ることの一つは、おいしい米を食べることが難しい点である。ウルグアイの場合は、田村さんが生産したコメが首都モンテビデオにも流通しており、店頭価格では一キロ当たり一ドル程度で購入できる。
日本の反対側で味わうことのできる「あきたこまち」は格別である。毎年この時期になると、我が家では新米を購入して、食卓でいただくことを楽しみにしている。
田村さんの将来の夢は大きく、自分が生産した「あきたこまち」を日本の市場で試したいと語ってくれた。日本とは反対側に位置する南米ウルグアイの地で、一人の青年が夢に向かって挑戦する姿は、これから農業を志す若者に一つの選択肢として夢を与えるのではないかと思う。
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