6月18日は海外移住の日 光田 靖さんからのお便りです。
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神戸にお住みの光田 靖さんが【6月18日 海外移住の日】との書き込みを『私たちの40年!!』メーリングリストに寄せて呉れました。その中に福娘童話集の【ぼうけんしたリス】と言う示唆に富んだお話も紹介してくれています。海外移住の日に因んでの早川清貴さんんの【移民の詩】5首を紹介します。移住者としての目線で眺め詠った早川さんの詩には我々移民の心情が感じられます。又ニッケイ新聞の【白寿を迎えた日系社会】のニュースと共に記録して置きます。
写真は、神戸のOFF会で撮らせて頂いた光田さんです。
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私たちの40年のみなさん
Nagatano Micchanです
Webサイトより、【6月18日 海外移住の日】 をご紹介いたします。
1908(明治41)年、ブラジル第1回移民として158家族781人が笠戸丸でブラジルのサントス港に到着したのがこの日です。
それを記念日として、総理府(内閣府)が1966(昭和41)年に制定、国際協力事業団移住事業部が実施を開始しました。
ぼうけんしたリス 福娘童話集より
むかしむかし、ある森にリスが住んでいました。
夏が終わりに近づいたころ、リスはせっせとドングリを集めて、カシの木のすみかにはこんでいました。
「やあ、リス君。何をしてるんだい?」
さっきからようすを見ていた小鳥が、声をかけました。
「こんにちは、小鳥さん。冬ごもりの支度(したく)をしているのさ。冬は食べ物がないからね」
いそがしそうに答えるリスに、小鳥はわらいました。
「アハハハハ。そんなことしなくても、冬が来る前に、南の国へわたればいいのに。何もこんな雪にうもれる森で、ふるえてすごすことはないよ。南の国は木の実も果物もどっさりあって、お日さまはあついぐらいてらしてくれるんだよ」
「へえ! その南の国って、どこにあるんだい?」
リスは集めたドングリをバラバラと落として、目をかがやかせました。
「南の国はね、あの山のむこうだよ。まあ、二週間もあれば大丈夫」
「あの山のむこうかあ。それでさ」
リスがもっといろいろ聞こうとすると、小鳥はめんどうくさくなったのか、バタバタと飛んで行ってしまいました。
リスはボンヤリと、遠い山をながめました。
「寒い冬をあったかくすごせたらいいだろうなあ。木の実も果物も、どっさりだって。・・・いいなあ」
リスは、自分も南の国へ行きたくなりました。
やがて秋が来て、色づいた木の葉もちり、風がピューピューと冷たくふきながら、森をかけまわる冬がやって来ました。
リスはドングリを集めるのも、あたたかい寝床(ねどこ)を作るのもやめて、毎日、南の国でくらすことばかり夢見ていました。
そうして、カシの木がすっかり葉っぱを落としてしまうと、
「さあ、行こう。あたたかい南の国へ」
と、ほんとうに南へと出発(しゅっぱつ)したのです。
リスは走って森をぬけ、沼地(ぬまち)では何度も足をとられそうになり、木ぎれにつかまってわたりました。
走り続けて、やっと山のふもとにたどりついたのは、もう夕方でした。
足はクタクタにくたびれて、パンパンにはれあがっています。
「今夜中に山のてっぺんにのぼって、南の国に『おはよう』のあいさつをするんだ!」
リスは何度もそう言って自分をはげまし、一歩ずつのぼって行きました。
けれども、足が痛い上におなかもペコペコです。
風はリスをふるわせて、夜空の星もこおりそうな寒さです。
「ああ、もう、だめだ・・・」
リスは大きな石を見つけて、そのかげで丸くなりました。
そしてため息をついたとたん、気がつきました。
「そうか、小鳥たちは空を飛んでわたるから、くたびれないで南の国へ行けるんだ。・・・ああっ!」
そのときです。
リスはいきなり、背中をナイフでさされたような痛みをおぼえました。
そのとたん、体がうきあがり、あっという間に空高くつれさられたのです。
リスをつかまえて飛んだのは、恐ろしいトンビでした。
リスはこわくてたまりませんでしたが、もう、あばれる力もありません。
もっとも、本当にあばれたら、地面に落とされて死んでしまうでしょう。
「どっちにしても、ぼくは死んじゃうんだ」
と、そのとき、ビュー! と風がふいてきたかと思うと、一羽のするどいくちばしをもった別のトンビが来てどなりました。
「やい、そのエサをこっちへよこしな! 言うとおりにしないと、お前の背中を血だらけにするぜ!」
「じょ、冗談じゃねえ!」
リスをつかまえたトンビは逃げましたが、リスが重くて思うように飛べません。
たちまち、トンビとトンビが夜空でたたかいを始めました。
一羽が逃げるともう一羽が追いかけて、ツメで傷つけ、くちばしでつつきます。
リスは暗い夜空をツメでつかまれたまま、あっちへ飛びこっちへ飛びとふりまわされ、痛さとこわさで何度も気絶(きぜつ)しそうになりました。
そのうちに、リスをつかまえていたトンビが背中をやられて、思わずツメをゆるめたのです。
「うわぁー!」
リスはまっさかさまに、落ちて行きました。
「もう、だめだ!」
リスは、一瞬(いっしゅん)、気をうしないましたが、何かにぶつかって、ハッと目を開けました。
運がいいことに、リスは森の木の枝にひっかかったのです。
リスは最後の力をふりしぼって、枝につかまりながら、用心(ようじん)して木をおりました。
やっと地面におりて、リスが木を見あげてみると、
「ああっ、ここは!」
そこは今まで住んでいた森で、落ちた木はリスの家のカシの木だったのです。
リスは大喜びで、作りかけの寝床(ねどこ)に丸くなりました。
「ああ、なんていい気持ち! 冬は寒くても、やっぱり自分の家が一番!」
リスは心から安心して、グッスリと眠りました。
おしまい
光田 さん
何時もブラジル移民の私たちに気を付けて呉れて頂いており感謝しております。
BATE PAPOの仲間である歌人、早川さんから下記の通り日本移民を詠うとのお便りが届いておりますので皆さんにもご紹介させて頂きます。
バテパッポの皆さん <白寿を迎えた日本移民史>
早川です、今日6月18日は笠戸丸の先駆者移民から起算して99年目です、先駆者の偉業を称えて下記に拙作を紹介します、小生ことあるごとに日本移民に就いて拙作を手元の手帳に書き止めております。
1)夢果てし移民者多し異国(とつくに)の土に望郷の思い残して
(一攫千金を夢見て移り来た殆どが其の夢が果たせず望郷を頂いて異国の土となった)
2))マラリヤに倒れし同胞夜に昼に埋める場所無き開拓地なりしと
(日本人移民最初の平野植民地(カフェランジャ地区)の悲劇、移民70年史より)
3)三線(さんしん)を抱え爪弾く四世の声は祖父母の望郷歌う
〔或る日系の集まりの余興に沖縄県の家族一同が三線を引いて民謡を、中に四世の子供)
4)和太鼓の響く移民の秋祭り鳥居潜れば祖国の香り
(四月に行われたモジ ダス クルーゼス市の日本祭りの情景)
5)移民史を汗に描きし先駆者は白寿の祝い矍鑠と受く
(97年目の移民記念日に表彰された99歳の長寿移民者達の授賞式状況)
日本移民99周年を祝う=移民の日=白寿迎えた日系社会=今年も聖市で先駆者慰霊 ニッケイ新聞WEB版より。
六月十八日、ブラジル日系社会は九十九年目の移民の日を迎えた。聖市では今年も十八日にあわせ、サンゴンサーロ教会、イビラプエラ公園開拓先没者慰霊碑、文協大講堂で慰霊行事を実施。先人の苦闘と功績に思いをはせた。今年は月曜日だったことから、聖市以外にも近郊、国内各所で週末にかけて記念の行事が行われている。笠戸丸から九十九年、人間で言えば白寿となる伯国日系社会。日本移民百周年の記念日まで、あと一年に迫った。
主要日系団体共催による日本移民九十九周年記念開拓先亡者追悼法要が十八日午後一時半過ぎから、聖市のブラジル日本文化福祉協会の記念大講堂で行われ、約三百人が開拓先駆者の苦闘に思いを馳せた。「来年は百周年」との言葉が来賓の口々から聞かれ、一年を切った本番にむけ気持ちを引きしめていた。
壇上に設置された「開拓先亡者之霊位」を前に、釈尊讃仰会の斉藤正行会長が開会の辞を述べた。
ブラジル仏教婦人連盟、エスペランサ婦人会のコーラス部の約四十人が開拓先亡者讃歌「道の光」を合唱。その後、美和会(琴)や都山流(尺八)による献楽が行われている中、茶道裏千家ブラジルセンターによる献茶、生け花協会の献花が行われた。
同婦人会の「捧ぐみあかし」を合唱している中、華やかな衣裳をまとった稚児や諸僧・導師らが、入場した。
導師の焼香が終わると開拓先亡者に対しての敬白文が読まれた。その後、各宗派代表の僧侶らの焼香も行われた。
上原幸啓会長は「日本移民は現在の発展の基礎を築いた。先亡者たちに報告できるように日伯親善を深めていくことをここに誓う」と日伯関係のさらなる発展を約束した。
西林万寿夫在聖総領事は「長期に渡り日本移民は伯国内で信頼、評価を得ている。そのおかげで現在の地位がある」と感謝の意を表しな述べた。
野末雅彦JICA聖支所次長、松尾治県連会長、菊治義春援協第二副会長がそれぞれ追悼の辞を述べた。
各宗派僧侶により読経が行われる中、来賓・一般焼香が五カ所で行われた。列席していた人たち全員、焼香を行った。
佐々木陽明浄土宗南米開発教総務は法話で、追悼法要の始まりや始めた理由について話し始め、「現在や未来だけを考えるのではなく、過去に起きたことを正しく評価して将来に繋げていくべきだ」と改めて追悼法要の意味を日本人移民の功績を称えながら話した。
田中美枝ブラジル仏教婦人連盟会長が閉会の辞を述べ、無事閉幕した。
同追悼法要はブラジル日本文化協会、釈尊讃仰会、ブラジル仏教婦人連盟、ブラジル日本都道府県人会連合会の共催で行われ、東本願寺、西本願寺、曹洞宗、浄土宗、真言宗、日蓮宗、本門佛立宗の各派から僧侶が各三人づつ集まった。
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