日伯を「大国」へ導く懸け橋 玉井 義臣 読売新聞6月26日付け遊友録より
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あしなが育英会会長の玉井義臣さん(日本ブラジル交流協会会長)が読売新聞の関東版に毎週火曜日に《遊友録》と言うコラム欄を執筆しておられますが、既に日伯交流協会関係として私も紹介して頂いていますが、今回6月22日付けの第46回に日伯青少年交流協会4期生の浜口伸明君に付いて言及しておられる。浜口君初め4期生の研修生には懐かしい思い出が重なる。中間研修で南伯に旅をしてポルトアレグレに来られた。インテルのサッカー場を案内したり我が家でのカレーライスの昼食会に総勢20名近い若者用に何度炊いても白米が間に合わず泣き出しそうだったけい子の奮闘振りを可笑しく思いだす。その後レリフェーに家族で出向いた時に4期生の山口達郎さん、蝋山はるみさんに浜口君の3人が揃い皆でBOA VIAGEMの海浜でムケッカを楽しんだ事もあった。
写真は、もう20年以上前の我が家でのカレーライスパーテイーでの記念写真です。
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「日本とブラジルは21世紀の大国」(「超大国日本の挑戦」1970年)という、米国の未来学者ハーマン・カーン博士の予言は法螺にも聞こえた一方で、日本とブラジル両国を知る私は期待に胸を膨らませたものだ。
私が初めてブラジルを訪れたのは、その本の出版から間もないころだった。「21世紀の大国」と言う言葉は心地良く感じる反面、「石油の出ないブラジルがそこまで成長するの?」という気分だった。その後、「失われた10年」と呼ばれる時代(ブラジルの80年代、日本の90年代)があり、それまで熱いものだった日伯の関係は冷えていった。
先日、日伯青少年交流協会の理事会が開かれた。協会はそれまで、外部の理事や監事が多かったが、今回ようやく、その半分以上をOB・OGが占めるということになり、うれしい理事会となった。
その場で、20年ぶりに会った懐かしい顔があった。浜口伸明き君(43)。ブラジル研究の気鋭の学者である。アジア経済研究所やリオデジャネイロ連邦大学を経て、現在は神戸大学経済研究所の准教授を務める。
「ブラジルは今、BRICSという政治経済で最も注目されている新興国グループの先頭を走っている。今に日本を追い抜くの?」。私が尋ねたところ、彼は控えめな口調ながらも「天然資源の重要性が中国やインドなどで高まり、通貨も国際的評価が高まりました。投資も増えていますよ」と答えた。
第2次石油ショックのころ、ブラジルがサトウキビのエタノールをガソリンに混ぜてつかっているのを、私たちはバカにしてみていたが、今や世界中がバイオエタノールの増産に血道を上げている。耕作面積の圧倒的に広いブラジルを追い抜く国はないだろう。
アマゾンのカラジャス鉱山は、空から見ると赤く、豊富な鉄が露出している。無いと言われていた石油も、2006年に完全自給を達成した。これに対し、日本は少子社会になり、生産や消費が小さくなって国家がスリム化している。今は「大国」と言われているが、日本の未来はどうなっていくのだろうか?
浜口君のように、協会を通じて日伯両国で活躍している人材は何人も登場している。網の目のように人脈が広がっていくのを、大きな喜びとして感じざるを得ない。人植え稼業、益々繁盛。こうした懸け橋をつなげていくことが、日伯両国がともに真の「大国」となることにつながるはずだ。
(玉井義臣・あしなが育英会会長)
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