麻生太郎外務大臣に聞く ニッケイ新聞WEB版より
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現在安倍首相は、インドネシア、インド、マレシアを訪問中ですが、次期総理大臣候補者の一人である麻生太郎外務大臣がブラジルを訪問している。現職の外務大臣の来伯は、9年前の98年に来伯した故小渕恵三外務大臣以来とのこと。小渕外相は、帰国後総理大臣に就任しており麻生外務大臣にも来伯が総理への道に繋がる事を願いたい。60年代に麻生セメントのブラジル進出?の切り込み隊長としてハイパー・インフレの始まった60年代後半に1年間実業家としてサンパウロに住んだ事もある知伯家で現在日伯国会議員連盟会長を務めており、2008年の日伯交流年実行委員会の名誉会長にも就任している。日本移民のブラジル100周年を迎える前年にあたる年に現職の外務大臣がブラジルを訪問しリオ、サンパウロ、ブラジリアで日伯の首脳陣、経済人、文化人との交流、コロニアとの連携が強まる事は非常に時宜をえており今回の来伯でブラジルでの麻生株が上がるのは嬉しい限りです。
写真は、麻生太郎公式ホームページよりお借りしました。
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2007年8月17日付け ニッケイ新聞WEB版より
麻生太郎外務大臣に聞く=日伯関係、百周年、デカセギ=本紙が単独インタビュー
麻生太郎外務大臣が今月十九日からブラジルを訪問する。九年振りとなる現職外相の来伯。両国の経済関係再活性化、来年に控えた日本移民百周年、日伯交流年の進展に向けた成果が期待されるところだ。ブラジルに住んだ経験をもち、現在は日伯国会議員連盟の会長もつとめる、〃知伯派〃の麻生大臣。ニッケイ新聞が実施した書面インタビューに対し、来伯を前に回答があったので、二回にわたり掲載する。
◎ニッケイ新聞(以下、編集部)=麻生大臣の過去のブラジル滞在についてお聞かせ下さい。○何年ごろ、どのような目的でブラジルに滞在されていましたか。○どの都市に、どのくらいの期間滞在されていましたか。○ご滞在当時のブラジル社会、日系社会の印象はどのようなものでしたか。○当時の出来事や、日系社会の人物に関する思い出話などあれば、具体的にお聞かせ下さい。
◎麻生大臣(以下、大臣)=一九六〇年代後半、実家の会社が経営の多角化を図りブラジルに進出しました。当時責任者だった私自身、サンパウロに一年近く滞在していました。当時のブラジルは、ハイパー・インフレに見舞われており、大変な時代でした。私はトヨタの自動車工場を見学したことがあり、その際、工場に勤務している日系の方から、現地職員に仕事を教え工場を立ち上げる際の様々な苦労話を伺ったことを記憶しております。
ブラジルでは、人種に関係なく、生活・社会が全体として国際化されていた国との印象を持ちました。日系人も大勢おられ、対日感情も悪くなく、日本にとってブラジルは非常に近い存在だと感じました。
当時の日本は現在ほど繁栄していなかったこともあり、日ブラジル双方とも、自信を持っているとは言い難かったものの、他方で、両国とも「これから伸びていこう」という気概を感じさせる国でありました。
◎編集部=現在、日本とブラジルはどのような関係にあるとお考えですか。また、将来の両国関係についてのお考えをお聞かせ下さい。
◎大臣=先般、私は「日本にとって中南米の意味を問う」と題し、スピーチを行いました、その中で私は、歴史的な転換期にある中南米と経済関係の強化、国際市場での協力強化を含め、一層のパートナーシップの進展を図るべきである旨強調しました。日本とブラジルは、これまでも、良好な関係を築いてきましたが、一層の関係強化を図る時期に来ていると考えます。
二〇〇四年の小泉総理大臣(当時)のブラジル訪問を皮切りに、両国間で政府要人の往来が続き、それらを通じて、両政府間の関係は近年、緊密さの度合いを深めています。
経済関係においても、ブラジルにおけるデジタルテレビ日本方式の採用や鉄鋼分野での協力関係の深化など、関係再活性化の兆しが見られます。七月には、両国の経済界の方々により構成される日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議が開かれました。両国間の経済関係の再活性化のために、ブラジルによる一次産品の対日輸出といった形の伝統的な相互補完関係に加え、バイオ燃料や油田開発といった分野でのより高度な相互補完関係と対等な協働関係を目指した21世紀型戦略的経済パートナーシップを構築すべしとの提言をとりまとめました。
文化面でも、日本ではサッカー、ボサノバ、ファッション等でブラジルへの高い関心がみられますし、ブラジルにおいては、ポップカルチャーや日本料理を通じて日本への親近感が高まっていると聞いています。
このような様々な面での両国の関係緊密化の動きが、来年の日伯交流年・ブラジル日本人移住百周年を契機にさらに活性化していくことを期待しています。 (つづく)
2007年8月18日付け ニッケイ新聞WEB版より
麻生太郎外務大臣に聞く=連載(下)=日伯交流年、移民百周年について
◎編集部=来年の日伯交流年、ブラジル日本移民百周年は、日本にとってどのような意味を持つとお考えですか。また、日伯交流年実行委員会の名誉会長に就任されたご感想と今後の抱負をお聞かせ下さい。
◎大臣=ブラジルの日本人移住者及びその子孫の方々は、その勤勉さからブラジルの発展に貢献するとともに、ブラジル社会において日本に対する評価を高め、両国の「架け橋」としての役割を果たしてこられました。これを踏まえ、日本人のブラジル移住百周年及び日伯交流年は、過去百年間の移住者の労苦をねぎらい、功績をたたえるとともに、未来志向で幅広い両国民の交流を通じて、日伯両国関係を更に発展させる重要な機会であると考えております。
日伯交流年実行委員会の名誉会長就任については、私は日伯国会議員連盟会長を務めており、日伯交流年に積極的に貢献したいと思っておりましたので、大変名誉に思っています。日伯交流年実行委員会は民間企業や地方自治体など幅広い参加を得て活発に活動しており、既に六十を超える交流年事業を認定しています。今後も是非、皆様のお力をお借りして、日伯交流年を盛り上げていき、それを日伯関係の一層の強化につなげていきたいと思います。
デカセギ問題について
◎編集部=在日ブラジル人社会が抱える子弟の教育、労働問題、犯罪などの問題についてのお考えをお聞かせ下さい。
◎大臣=三十万人に上る在日ブラジル人の方々は、勤労を通じて、日本経済の活性化に貢献しています。
他方、在日ブラジル人の方々は、年金等の社会保障や教育制度などで困難な問題に直面しておられます。これらの問題については、地方自治体と連携しつつ、両国が協力して取り組むことが重要であり、引き続き、積極的に取り組んでいく考えです。
教育について日本政府は、在日ブラジル人子弟の日本の公立学校への受け入れ、在日ブラジル人学校卒業生への日本の大学入学資格認定などの対策をとってきており、ブラジル側による在日ブラジル人学校への支援が望まれます。
また、在日ブラジル人による犯罪について、日本政府は「不処罰は許さない」との立場から、ブラジル政府と協力して、国外逃亡犯罪者に対する国外犯処罰を進めてきており、今後もこのような取り組みを続けていく考えです。
日本にとっての日系社会
◎編集部=現在百四十万人とも言われるブラジルの日系社会は日本にとってどのような存在とお考えですか。また、ブラジル日系社会に対するメッセージがあればお願いします。
◎大臣=日系人が移住当初より一貫して示してきた勤勉で誠実な姿勢や、協調の精神は、ブラジル人が日本人に対して抱く伝統的な信頼感を醸成する基礎となったと考えています。
日本人のブラジル移住は、来年で百周年を迎えます。移住者の方々は、幾多の困難を乗り越えて、今日百四十万人を擁するとも言われる海外最大の日系社会を築かれ、ブラジル社会から高い評価を受けておられます。また、日系人の方々は、日本からの進出企業を支援され、今日では、多くの方々が日本で働き、日本の発展にも貢献されています。
このように、日系社会は日伯両国をつなぐ太い絆となっています。日伯両国政府は、来年の日本人のブラジル移住百周年を日伯交流年と位置づけ、両国の歴史的絆を確認し、世界にも貢献し得るパートナーシップを構築する一つのきっかけにしたいと考えています。そのためには日系社会の支援と協力が是非とも必要です。ともに力を合わせて、日伯交流年・ブラジル日本移住百周年を成功させ、日伯関係のさらなる緊密化につなげましょう。
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