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S・アモレイラ為広明さん渡伯70年の感慨 サンパウロ新聞WEB版より
サンパウロ新聞の連載《伯国の大地に生きる日本女性物語》が50回で現在小休止中で11月に再開される予定との事ですが、日本男性物語とも云える松本浩治記者の記事がサンパウロ新聞WEB版に掲載されていたのでお借りして紹介して置きます。『私たちの40年!!』の根幹に流れる私の気持ちは、同船者の1人でも多くが為広 明さんと同じように「ワシは(ブラジルに来て)悔いはないです」と云って呉れる事を願っていますが、果たしてどれだけの同船者がそう云い切れるか?人生の選択として選んだブラジル移住が同船者のそれぞれのその後の人生にどのように反映してきたか一人一人に聞いて回りたい気持ちで一杯ですが、それが果たせない焦燥感を感じます。これからもブラジルに移住して来た先達の為広さんのようなお話を拾い集めて行きたいと思います。松本さん有り難う。


S・アモレイラ為広明さん渡伯70年の感慨 サンパウロ新聞WEB版より



《ガソリンポストの正直親父さん 『移民して悔いなし』》

 「ワシは(ブラジルに来て)悔いはないです」―。パラナ州サン・セバスチャン・ダ・アモレイラの中心地で五十六年間にわたってガソリン・ポストを経営する為広(ためひろ)明さん(八三、香川県出身)は自らの人生を振り返って、こう語る。今週末には、渡伯七十年の祝いを先祖の供養も兼ねて、家族だけでこじんまりと行う予定だ。同地での市場競争もしだいに激化する中、娘たちに支えられながら今でも現役を貫き通している為広さんに話を聞いた。(サンセバスチャン・ダ・アモレイラ=松本浩治記者)

 《筋金入り信念で支えた人生 耕地で赫土との闘いの体験も》

 八人兄妹の五男として香川県丸亀で生まれた為広さんは、父母や兄妹ら八人家族で一九三七年十月二日、サントス港に到着。聖州リンスのウニオン植民地に入植した。十三歳の時だった。

 為広さん一家は、戦前ブラジルに渡った経験を持つ同県人の再渡航者に誘われた。当初は長兄が家長として家族を率いるはずだったが、諸事情により父親が家長となった。

 「自分らはまだ子供だったし、ピクニックにでも行くような気分で船に乗りました」

 ウニオン植民地では日本人のパトロンに世話になり、二十五町歩の土地でカフェ生産を行った。しかし、当時カフェはすでに生産過剰となっていた。一年間の義務農年を含む計三年間を同地で過ごした後、父親たちが事前に他の土地を探しまわり、四〇年十一月頃にトレス・バラス(アサイ)に土地を契約して購入、移転した。

 アサイまでの移動はカミヨンだったが、途中で雨が降り荷物の半分を汽車で送らざるを得ず、一週間の行程が二倍かかったという。テラ・ロッシャの赤土は、いったん雨が降ると道がぬかるんで車は動けない。

 「普通の靴で歩こうものなら、靴の裏に泥が数十センチもついて、滑ってとても歩けたものじゃなかった」

 契約当初の話では原始林の山焼きが終わり、整地されているはずだったが、実際に耕地に入ってみると、大木の枝などが無数に残っていた。仕方なく、入植当初は道端に作物を植えたという。山焼きも完全ではなく、耕地の奥で原始林を焼く火が点いた光景を見ながら、為広さんは家族の手伝いを行い、五〇年までの十年間にわたって農業生産活動を続けた。

 品物不足だった当時、為広さんはアモレイラの町に出て農作物販売を中心とした雑貨商を一年間営んだ。五一年には富江夫人(七七、山形県出身)と結婚して独立したこともあり、雑貨商は兄に任せてガソリン・ポスト(G・P)の経営に踏み切った。

 日本にいた時、長兄からはよく「これからは車の時代。運転免許を早く取れ」と言われていた。そのことが頭にあった為広さんは、戦後すぐの四六年にブラジルで運転免許を取得。戦争の影響が色濃く残っていた時代で、外国人として免許を取ることは珍しかったようだ。

 当時、G・Pはアサイに二つあっただけ。アモレイラではガソリンの販売人はいたものの、ポストは無かった。為広さんは車修理の技術者を雇い、修理からオイル交換なども行うようになった。商売をやっていくために、五〇年代後半にはブラジル人に帰化した。

 「最初は修理を行うバラコン(倉庫)もなく、道でやっとった。当時は結構売れたが、車の数も少なかったし」と為広さん。謙遜するが、一時は自身で三つのG・Pを持つなど、隆盛を誇った。 現在はアモレイラにも四つのG・Pがたち、市場競争も激しくなりつつある。他のポストが質の悪い安価なガソリンを販売する中、為広さんは品質にこだわり、顧客との信頼関係を特に大切にしている。

 現在は三人の娘たちと従業員四人を使って交代で運営しており、午前六時からの開業を前に午前五時半にはポストの準備を行う。日曜日は午前中だけの営業だが、今なお現役として、休みがない生活を続けている。

 今週末には渡伯七十周年の祝いを行う為広さんは「ブラジルの為広家のため、先祖の供養として家族でこじんまり行いたい」と笑顔を見せた。

 〔写真:現役でガソリン・ポストを営業する為広さん〕

 2007年10日11日




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