HOME  HOME ExpoBrazil - Agaricus, herbs, propolis for health and beauty.  Nikkeybrasil  編集委員会  寄稿集目次  寄稿集目次  通信欄  通信欄  写真集  リンク集  準会員申込  em portugues




新春編集部座談会=「ざっくばらんでいこう」=取材記者が大いに語る=百周年をぶった切る!
ニッケイ新聞の新年特集号に面白い新春編集部座談会と言うのが掲載されている。新聞そのものを購読していないのでWEB版でこの特集を見付けた次第ですが、流石毎日足を使い頭を使って取材しておられる深沢編集長以下の取材記者7人の皆さんが『百周年をぶった切る!』『ざっくばらんていこう』と語り合う座談会は、語り合う議題がしっかりしており毎日の取材を通じての発言だけに少なくとも『私たちの40年!!』のバーチャル座談会よりは面白い。又6月に皇太子殿下を迎えての祝典会場のサンボドロもが雨でも降ればどうなるか、日本語が出来ない2世、3世で固められている百周年執行委員会の弱体、金集めの下手さ。それに比べてパラナ州、リオ州、ミナス州、南マットグロッソ州等地方の行事が目立つ現状。残り5ヶ月待ったなしに遣って来る百周年祭。何とか恙なく日本とブラジルを繋ぐ形での日伯交流年として生かされて行くことを願いたいものです。
写真は、ニッケイ新聞のWEB版新年特集号の見出しに使われている『こんな立派な鳥居があちこちに!』を使用させて貰いました。


2008年1月1日付け ニッケイ新聞新年特集号より
新春編集部座談会=「ざっくばらんでいこう」=取材記者が大いに語る=百周年をぶった切る!
 ブラジル日本移民百周年、日伯交流年がついにスタートした。堀村隆彦前大使の言を借りれば〇六年は〃加速の年〃、西林万寿夫在聖総領事によれば昨年は〃仕上げの年〃だったのだが、現況はいかがなものか。本紙編集部はコロニア最大の関心事である百周年に関して、綿密な報道を行ってきた。もちろん紙面に出せないニュースや裏話も数多い。そこで、七人の記者が取材の裏窓を開け放って、前後左右、縦横無尽に一文字署名で大いに語る。さあ、ざっくばらんでいこう――。

■松尾氏の手腕やいかに
〜就任一年半を振り返る〜
剛 師走は先生だけでなく、会長さんも忙しかった。年末に県連執行部が大モメ。大西博巳副会長が、松尾治会長と加藤恵久副会長に対する不平不満を全県人会にFAXで流した一件。松尾さんから「犬みたいな扱いをされた」とか書いてたね(笑)。
神 一世だったらあそこまでやらない。やっぱり二世は激しいね。
剛 その批判のなかに松尾さんが百周年協会の執行委員長をやることで、県連の方が疎かになってるという指摘があるんだけど…。
ま 県連代表者会議と同じ日に百周年執行委員会を開いて、代表者会議の方は挨拶もそこそこに執行委員会の方に、さっさといってしまうこともある。
坂 確かにほとんどいないですね。
剛 松尾さんって一世と二世の橋渡し役って意味でも執行委員長になったわけだけど、小松雹玄さん、川合昭さん、二世だけど一世の感覚持ってる田中洋典さんとかみんな出て、新しい人も入らなかったね、結局。
深 一応、一世を呼ぶための会議は何回かやったけど、それでおしまい。実質的な繋ぎ役にはなってない。
ま 日本祭りを百周年と一緒にする話もあったけどね。でも何故、百周年協会には一世が入らないんだろう? 協会が呼ぼうとしないのか、一世が入ろうとしないのか。
深 やっぱり、二度にわたる文協会長選挙の余波があるんじゃないかな。どちらも二世らが擁立した上原体制VS戦後移民派という基本的な図式があった。とくに戦後移民からすると、なんとなくあそこには入りにくい、自分たちの活躍の場はない、と感じているんじゃないかな。
ま 小山昭朗さん(ブラジル・ニッポン移住者協会会長)、谷広海さん(ブラジル日本語センター理事長)、中沢宏一さん(宮城県人会会長)などなど数えきれないぐらいたくさんの元気の良い一世たちは、実動部隊として動けるわけじゃないですか。その気もあったわけだし。
深 本来はね。
ま でも、実際に入っても協会の中でどの位、発言権を持てるのかっていう不信感があると思う。
剛 松尾さんが執行委員長になったとき、サ紙なんかは「ブルドーザー」とか表現して、牽引役を期待したけどね。
深 松尾さんを口説いた渡部和夫・百周年協会顧問のアイデアでは、全権を任せるって話だった。
ま 松尾さんがどれぐらいの決定権、裁量を持っているのかがはっきりしない。
深 いや、本当はあるはずなんだけどね…。
ま 決められるなら、もっと色々なことがスムーズに動くはず。でも途中で物事がひっくり返ったりとかするわけでしょ?
剛 松尾さんは豪腕を発揮するというより、調和型。
でもそれが百周年に到っては反作用してる。例えば、「金のことは中谷レナトさん、広報のことは遠山景孝さんがやってるから、自分は口出さない」って姿勢。約束してた記者会見も「遠山さんの体調が悪い」って理由でやらない。意味不明だけどね。だから結局コロニアからは、「何やってるの?」ってことになる。全体を動かすゼンマイにはなってない。
■目処がつかない資金源
〜遅れてきた指導者〜
ま で、一番大事なお金の話ですけど。
深 全然集まってないんだよね、これが。免税口座団体(中谷レナト会長、OSCIP)に宗教団体などからの寄付金六十万レアル(三十万ドル)がすでにあるが、まとまったお金としてはこれが唯一。個人寄付も多少あるみたい。〇六年末に寄付すると発表があったインターナショナル・プレス・ジャパン(本社東京、IPC)の百万レアル(五十万ドル)も、免税措置を取って国際送金しようとしたらしいけど、まだ許可が下りていないみたいで、実際には振り込まれていない。
ま にも関わらず、主催事業の最終的な総予算は、約一千四百八十万レアル(七百四十万ドル=約九億四千万円)になってる。どうしようっていうんだろう(笑)。
剛 そして、その予算が猫の目のようにころころ変わる。それを理事会が何の疑問もなく承認するんだから、完全に機能不全に陥っているといっていい。
深 一番お金のかかる式典の予算を、二月の時点でたしか四億円まで抑えたのに、いつのまにか六億まで膨らんでいる。ただ、ルアネー法への申請は承認されたようだけど。それさえあれば、とりあえず、式典には某銀行が半額出すらしい。それに、某日本進出企業が百万レアル出す、という気前の良い噂話もあったけど、こちらの方はどうも確定してないみたいだね。
ま つまり、全部見込みなわけでしょ?
深 そうそう。見込み見込みでやっているから、もう最後の土壇場で色んなことが決まるんじゃないか。日伯交流年が始まった現在でも、すでに振り込まれているのは総予算の五パーセントもないぐらい…か。
ま 免税口座団体の登記にあれだけ時間をかけたのに、できたと思ったら、百周年協会からの個人向けの寄付の呼びかけは聞かないしね。あっ、登記できた直後の記者会見で、一回だけあったか。
深 でもね、器だけ作ったらお金を投げこんでもらえると思ってる感じがする。器を持ってお願いに回るプロセスが必要。
ま それがパラナ。
深 そう。ロンドリーナの重鎮、沼田信一さんなんか式典費用三百万レアルを集めるのに、パラナをもう八千キロ回った。八十九歳よ!? 器だけ立派なものを作って、あとは入れてくれるのを待っているのとは、えらい違いだよね。
剛 百周年協会の上原幸啓理事長も八十歳になった。家族からの祝いを「百周年が忙しいから」って理由で断ったらしいよ。忙しいって何をやってるんだろうね(笑)。
ま (笑)不思議だね。
深 パラナ勢は今までと同じ伝統的なやり方、つまり頭を下げて膝をつき合わせてやってる。サンパウロとパラナのこの差はなんだろう?
神 パラナが昔の方法でやれるのは、一世も力をまだ少し残しているし、二世たちは親孝行だからね。サンパウロはまったく壊れてる。
ま 上原さんってよく地方に行くけど、各地の代表者や会長とそういったことを話しているようには見えない。教え子何千人とか自慢してるけど、何か頼むわけじゃないし。
神 そういう融通とかセールス感覚が全くないんじゃないの。人の話を聞くとか。これは個人の素質の問題でもあるけど。
剛 長年教壇にいた人だから、頼んだり、教えを乞うことが体質的にできない。
神 本当は上手く世代交代をして、初の二世文協会長になった山内淳さん(76、任期九一〜九九年)あたりから若返った層でやらなければダメだった。今の幹部たちは七十代後半だから見えないんだよ、世の中の動きが。いつも言うんだけど〃遅れてきた指導者〃だよね。上原、渡部は。
ま 年齢的にも山内就任と同時期に動きださなきゃいけなかった、と。
神 一世の力を借りるなら借りることもできた。でも全くないのね、そういうのが。山内さんがパッとしなかったから俺たちならやれると思ったのかな、そのへんが分からんからね。
深 四十六年間、文協の事務局長だった安立仙一さんも亡くなって(〇三年)地方とのつながりが一気に途切れた。
神 つまり、根回しの仕方も知らない。
深 以前の仕切りが一度分断されてしまった。全くゼロからの状態で上原体制が始まって、足腰がしっかりしないまま百周年に突入してしまった。大きな祭典をこなした経験のある人材もいない。
剛 そういう意味では、引き継がなかった安立さんの功罪も大きい。
神 彼らが上手だったのは選挙だけ。それも押されて勝ったんじゃないと思う。やっぱりこういう組織の上に立つのは押されて立たないと後が動かない。選挙上手だから勝った。非常に不幸。文協も百周年も。
ま その選挙で相手として戦った他の候補者は今どんな感じなんですか。
稲 日本語センターの谷さんは何もしてない。センターに集中してる。百周年の話は一切ない。
神 白けたんだよ、確か。
坂 完全に冷めてますよ。忘年会でも言ってましたね。
剛 一方、小川彰夫さんは、独自にネットワークを作って動いてる。百周年は別にしろ、虎視眈々…。

■機能不全の百周年事務局
〜日本語対応能力ゼロ〜
ま あんまり行ったことがないけど、百周年協会事務局の雰囲気はどうなの?
剛 会議室にぱっと行ってすぐ出てくるならいいけど、あの事務局の中で働こうと思ったらちょっとね。雰囲気が違う。一世が入れる感じではない。
池 対応がそっけない。全然行かないですよ…。
深 本来、色んなボランティアの人たちがひっきりなしに出入りしてないとおかしい時期だよね。
池 田中洋典さんがいた時は結構行きやすかった。日本語の読み書きができるから助かった。
神 事務局がね、本来は事務局長が一世、二世構わず根回ししないとダメ。
深 九十周年までは文協が中心になって祭典委員会を作って、文協の事務局=祭典事務局だった。つまり文協のネットワークがあった。INSS罰金問題で全く別組織にしてしまったうえに、新しい何のコネも経験もない事務局長を据えてしまったのが問題。
神 でも、今の文協じゃできない。
深 ただし、今の百周年よりはまだ良かったかも。十二月初旬の文協統合フォーラムでも連絡はできていた。今の百周年にはどうか…。
剛 今の百周年事務局に読み書きはもちろん、日本語出来る人がいない。以前も領事館関係の内部文書をメールで一斉配布したのには驚いた。日本語が読めてない証拠だけど、その前に分からないものは送らないのが基本(笑)。
ま あったねそういうの。
剛 一つ声を大にして言いたいのはね。文協も時々あるけど、電話の対応。日本語で「もしもし」って言っても、「ポイス・ノン」ってくる。「チョットマッテクダサイ」って言って、分かる人に変わるのが最低の良識。日本からの問い合わせもあるわけだから。「ブラジルなんだからポルトガル語で話せ」っていう二世得意の理屈は、一理はあっても二理はない。
深 この間、(神)さんが本紙コラム「樹海」に書いてたけど、名古屋のブラジル銀行は日本語で対応してる。やっぱりああいう団体はバイリンガルであるべき。日本語でもそれなりのシステマチックな対応ができることが大事。
神 あれ企業的センスっていうの言いたかった。今はずばりできるのがいない。

■着実に進む地方の百周年
〜どうなった四大事業〜
深 ブラジル政府が今回パラナ百周年の目玉事業「夢テーマパーク」(ローランジャ)に一千万レアル(五百万ドル)、ロンドリーナの中川トミ広場に対して百五十万レアル支援することを決めた。モジのパルケ・センテナリオ、クリチーバの百周年公園、アサイの城などは申請中。つまり、伯政府が日本移民を観光資源、町おこしと捉えているのに関わらず、日本側からは今のところ国際協力機構(JICA)からの五百万円だけ。二桁まるまる違う。日伯交流年と言いながら、全く対等ではない。
ま それは、日本政府から出すに価する受け皿ができなかったサンパウロ側の責任でもあるのでは。
剛 元々、渡部和夫さんも日本からもらう必要なしっていうスタイルだった。
深 そのわりには二〇〇四年時点では、統合センターとか四大箱物プロジェクトに総額百九億とか莫大な予算つけて、日本側に提出したよね(笑)。

ま 他にあったのは、サンタクルス病院増築、新アルモニア日伯学園、アラサツーバ文化センター。
剛 センター案をブラジル側で諮ってもないのに上原さんが日本で配布した。抗議の意味で二世にも分かるように邦字紙初?のポルトガル語で見出しを作りましたね。(〇三年十月十日付け)
深 そうそう。「決定したの? 百周年事業」「Qual e a opiniao da colonia ?」って両語でね。明らかにおかしいよね。コロニアに紹介される前だもん。
剛 あの時くらいから、一世と二世の対立が激化したような気がする。
深 箱モノに対しては、外務省も予算つけないって当初からはっきり言ってた。
剛 けど、取らぬ狸の皮算用で諦めらめずに大騒ぎして結局ダメ。最近も「棚上げ」ですかって聞いたら「先送りです」ってまだこだわってる。
ま アラサツーバは結局中止。アルモニアだけは自分たちで集金活動してる。
深 唯一残った箱モノ主催事業なのに、百周年協会からはお金はでない。ほんと看板だけの状態。
ま サンタクルスは?
池 この前、取材に行きましたけど、すでに主催事業からは下りてて、話にも出てこない。横田パウロ理事長が病院の基金を作るために、自分で本二冊書いて、寄付してくれた人にその本をお返しする企画がある。
剛 何の本?
池 昔イタリアに戦争で行った有名な医者の手紙をまとめたらしい。
剛 …もらって嬉しいのかそれは。日本にも百周年にも関係ないし。
池 つまり、援協と同じような基金を作りたいと。神内良一さん(プロミス名誉会長)の支援がある援協に、サンタクルスは対抗してる感じ。
神 当初発表したプロジェクトの中に基金作りは入っていたよね。あと老人福祉施設と。
深 増築工事みたいのはやらないの?
池 増築も聞いたんですけど、具体的な進展はとくにない様子。
深 統合センターは完全に休眠状態。土地をブラジル政府がただでくれたら、またそこから始める、と。
ま 夢は捨てていない、とそこでリベルダーデに土地を持ってる天野鉄人が再浮上してくる(笑)。
剛 そういえば、十二月中旬に一週間来てたね。さすがに例の公演会はしないけど、文化財だった建物が火事になって崩れて、今は更地になってる。
ま すぐ急工事はじまりそうな感じでね。不気味な動き見せるな、天野氏は。
剛 今まで百周年の流れの中で非常に稀有なキャラクター。役者だしね。

■イメージ湧かない式典
〜皇太子殿下もビックリ〜
剛 百周年は式典と記念史があればいいんじゃないかとの声は根強い。
ま あと百周年記念碑、この三点セットがあればカッコがつく。でも、なぜか今のところサンパウロでは記念碑の話が出ていない…。忘れているのか、いらないと思っているのか。
剛 そういえば、そうだね。パラナは立派な記念碑を建立しようと、九十周年のときから場所を確保していたが、サンパウロでは話題にも上らない。あと、百年史に関して委員としてはどうですか。
深 主催事業にも関わらず、やっぱり、いつまでたってもお金が出てこない。昨年二月の執行員会で百年史プロジェクトの詳細が承認されており、それを元に今まで一年近く日本語出版の話を進めてきたのに、十二月も半ばになって急に、「スポンサーがポ語を先に出せといってきた」からといって、一部の二世幹部がひっくり返そうとしてきた。それが、今まで積み重ねてきたものを無視して一からプロジェクトを作り直すことと同じってことが、分かっていない。本来、プロジェクトが先にあって、それに賛同したスポンサーが協力するのが筋。スポンサーが言うように企画を一から作り直すなら、百周年の主体性はどこにあるのか、と思うよ。百周年の主役は、あくまで移民本人や日系人でしょう。
神 式典だけど、小さくやればすむ話。なきゃないでいいし。たぶんそうなるんじゃないかと思ったよ。最初から。
深 サンボードロモ(サンバ会場)で式典って、本当に雨降ったらどうするんだ。まあ、パラナのローランジア会場も屋根がないのはいっしょだけど…。
ま サンバ会場では、来賓が来るようなところは屋根つける、と。スクリーンつけたり、席増やしたり。
深 だから、お金がかかるんだろうね。知っている人はみんな同じ指摘をするけど、あそこは行進するパレードを見るためだけに特化した作りだから、来賓や主賓が一カ所に集中している式典のような状況では使いづらい。本来、式典目的で作られていない施設を使うから、余分な費用がかさむ。本末転倒だよね。はっきりいって、あそこを選んだこと自体が間違い。でも、今から会場を変えるには時期が遅すぎる。文協会長選挙の時点がタイムリミットだった。豪雨が降ったり、南極おろしの寒風が吹き抜けたりしないよう、天に祈るしかない。
剛 「会場がどうなるかイメージできない」って芸能団体も盛んに言ってる。最近、百周年協会が当日の式祭典をイメージするためのCG映像をどこかの会社に委託して作った。州政府の百周年委員会でも発表されたんだけど、完全に中国のイメージが混じってる。ほんとにあんな風になるなら、皇太子殿下もビックリですよ(笑)。
ま 誰が作ったの?
剛 それが面白い。その映像を非日系人の中年男性が説明してる。誰だろうって思って、百周年理事に聞いたら、「知りません。僕も初めて見ました」って首捻ってる。もう無茶苦茶。
ま (笑)ひどいね。裏を返せば、とことん一世を入れたくないのかなって思っちゃう。
剛 それでいうと、式典映像のなかで「ルジラブ」って文字が出てくる。「ブラジル」の逆ね(笑)。もう何を伝えたいのか、というより、何を伝えられるのかという根本的な問題ですよ、ここまできたら。
深 一世アレルギーみたいなものが、相当あるんだろうね。
神 だから〃遅れてきた指導者〃なんだよ。さっきから言っているように。

■遠くて遠い地方との関係
〜仕切れないサンパウロ〜
ま サンパウロ、パラナ以外の州はどうなんですか。
神 みんな身の丈に合ってると思う。
深 ミナス・ジェライス州も日本庭園造っている。ルアネー法はだめだったけど、あそこウジミナスを始め企業が多いから。
坂 移民史料館建設の話もある。
ま 南マット・グロッソ州カンポグランデは、老人共生センター。
深 下手したら、サンパウロより地方の方が結果を残すかもね。冗談抜きで。百周年協会が創立した当初はブルーツリーの青木智栄子女史が頑張ってたけど、その後外れちゃった。
ま 初期のイベント委員長。小原彰元少将とか総務委員長で〇六年に亡くなった柳沼啓一郎さんとかいたけど、皆離れているよね。
剛 青木さんで思い出したけど、〇五年六月に彼女がかなり力入れて、百周年晩餐会やったの覚えてる?
深 「かもめが飛んだ日」で有名な歌手の渡辺真知子さんが来てたよね。
剛 そうそう、当時の州知事アルキミンも来て、三十の各地方から日系団体の代表、全体で六百人が出席した。そのとき上原さんに言ったんですよ。「地方と百周年の具体的な話をするいい機会ですよ」って。そしたら、「まあまあ、始まったばかりですから。Podemos comecar!」って言ってた。いつも協会がおかしいと思うのは、地方との連携が大事ってお題目みたいに唱えながら、考えや行動が伴ってない。今年七月にサンパウロであった汎米日系人・海外日系人大会しかり、十二月の文協フォーラムしかり。例えば、一日早く来てもらって会議するとか、サンパウロが日系社会の中心とかいうなら、夕食会でも主催すればいいのにやらない。だから、百周年への全伯的意識統一なんてできっこない。上原さんいつも「estamos trabalhando」っていうけど、百周年が何かしたことってまだなにもない。

■ソツが無い? 援護協会
〜百周年に滑り込み〜
ま そういえば、援協福祉センターが百周年事業になった裏話はあるの?
池 元々、〇六年までは、百周年の事業にする予定はなかった。何故かと言うと、百周年と一緒では、資金面で糞味噌にされる心配からだと思う。でも、昨年七月に設計図ができた段階で、OSCIPへの寄付金の用途が指定できるようになった。そこで森口イナシオ会長が百周年事業にすることを強く推したんですよ。
ま 援協は、百周年、福祉センター、〇九年の援協創立五十周年と目白押し。
池 「だからこそ、福祉センターは身の丈に合ったものを」っていう他理事を押さえて、森口会長は「立派なものを」って主張。結局、理事らの意見が通ったけど、それまでは取材するのも大変だった。
剛 援協は最終的に百周年と一緒になったわけだけど、結局みんな疑心暗鬼の目で協会を見てる。足を踏み入れたら危険な伏魔殿。それが各地方の気持ちっていうか、一緒にやりたい思いは山々だけど、どうも信用できない。もう今更だし、結局ご覧の通りだから「入らなくて良かった」って胸撫で下ろしてるんじゃない?
ま 自分たちでやっているところは、結果出してる。アルモニア、サントス日本語学校にしたって。自分たちで政治家たちと交渉して色々動いて、実現に向かってる。
神 妙に中央から離れたね、そうなったらわが道だもんね。
剛 サンパウロの百周年協会は、裸の王様。
深 本当だよね。ある程度機能する団体になってほしい。かつ影響力のある。もう遅いか。

■距離ある商工会議所
〜160万レの使い道は〜
深 九十周年とか修好百周年との一番の違いは、会議所との距離感。修好百年のブラジル側実行委員長、橘富士夫さん(南米銀行会長)もいて、会議所と一体だった。
神 「協力はやぶさかじゃない」って、確かに熱心だったよね。
深 現在の田中信会頭は、最初から二歩も三歩も距離置いて「応分の協力を」と繰り返してるだけ。
神 肌で感じるんだろう。今の体制は、ちょっと違うな、と。
深 違和感は相当あると思う。それにしても、修好百周年の余剰金は百六十万レアル。その基金を今さらちょこちょこ出して、百周年記念事業に使ってくれっていうのはどうか。十年前のお金を今出して、あたかも今集めたお金であるかのようにばらまくのはおかしい。やっぱり百周年のために、お金を集めて、日伯交流のために使えるものを作ってもいい。それこそ百周年協会ができないんだったら、会議所が独自の記念事業を作っても良かったわけでしょう。
剛 田中さんはまた会頭に再選されたから厳しいか。
ま ちゃんと説明することが大事。中矢ヘナットさんが企業への協力依頼のため会議所の昼食会に行った。でも三分間スピーチでワーっと話すだけ。それもポルトガル語で。また行くかと思ったらそれっきり。よっぽどマリンガの市長のほうが熱心。企業単位で面白いと思った事業には、会議所がそれを推薦して紹介しますって言ってるんだから、行けばいいんですよ。
深 中矢さんは、ちょこちょこと回ってるという話は聞くけど。最初こそ、日本企業、ブラジル企業、コロニアの一般個人、日本のデカセギ・コミュニティなど、それぞれを担当する小委員会をつくって寄付金を集めて回る計画を語っていたが、一体あれはどうなったんだろう。一口一万ドルの奉加帳もあったが…。
神 ただ例によって、企業の場合は、何に使うかが大事。
深 そうなんですよ。いくつかの企業は、それなりの心づもりをして待っているという話も聞きます。別に消極的な企業ばかりではない。でも、企業からすると選択肢が欲しい。これなら出しても良いという幾つかのプロジェクトの中から選ぶプロセスが必要。しかし、いつまで経っても百周年記念事業の全体像が提示されないから選びようがない…。企業にしても、その日だけで終わる式典なんかには使われたくないところは多いでしょ。ブラジル政府しかり日本政府しかり。

■百周年ノンガランチード
〜結局、最後は何頼み?〜
剛 しかし、百周年協会もすごいよね、この信用のなさ加減。今まで日本移民は「ジャポネースガランチード」って言われるように、いわば信用が売りだった。それなのに、移民百周年を祝う協会自体が信用されていないっていうのは、すごい皮肉。
ま ま、そういうわけで(笑)、今年の明るい展望を見出すとすれば、どうでしょう。子年ですし。
剛 最後に「窮鼠猫を噛む」ってことで一世が暴れるとか。
深 いいねえ。そして、ねずみ小僧に現れて欲しい。「このプロジェクトはいい!」って言って、金銭を置いていく(一同爆笑)。
(十二月十七日収録)




アクセス数 7912421 Copyright 2002-2004 私たちの40年!! All rights reserved
Desenvolvido e mantido por AbraOn.
pagina gerada em 0.0204 segundos.