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ブラジルの米事情の概略 麻生 悌三さんの寄稿です。
東京農業大学のOBでブラジル三菱商事の食糧部長をしておられた麻生 悌三がブラジルの米辞譲の概略として纏めて呉れました。『私たちの40年!!』関連BLOGにサンタカタリーナ州の水田の写真を掲載して置いたのに触発されて纏めて呉れたものです。
私も弥勒輸出入有限会社と言う広島の常石造船(神原汽船)のウルグアイの大農場で採れるコシヒカリ、秋田小町をブラジルに輸入販売する会社を農場側90%、私が10%の出資で3年間営業しましたが、為替で叩かれ弥勒米の輸入販売権を麒麟麦酒のブラジル子会社である東山農工(酒造)に無償譲渡手を引きましたが今も弥勒米がブラジルで一番高く良く売れている日本米として市場に残っておりその苦労も報われているかと満足しています。
写真は、サンタカタリーナの色着いて来た水田の景色の一枚を使用しました。
麻生さん寄稿有り難う。 


ブラジル人の主食は米である。他の南米諸国は米も食べるが、小麦、トウモロコシ等が主食だが、ブラジルだけがアジア諸国と同じ、米食民族である。米栽培の発祥は印度ベンガル地方と言われており、トルコ、アフリカを通して、8世紀頃、イスラム教徒とともに、イベリヤ半島にも入ったらしい。アマゾンの低湿地帯には、米の原種とも言われる、野生米がある(増水に合わせて、茎が2メーター位い伸び、稲穂は水面に浮かぶように開花、結実する)。インヂオがそれを食していた言う説もあるが、確かではない。米栽培は,砂糖
栽培の労働力として、アフリカから移入された、奴隷が持ち込んだ作物と云われている。
(導入作物はコーヒー、タロイモ、野菜のオクラ等多数あり)最初の米栽培(陸稲)は
1,548年にバイヤ州で行われた記録がある。又、1745年に最初の米精米所がマラニョン州に建てられた記録もある(今日でもマラニョン州は北伯屈指の米の生産州で年間70万トンの米を生産する)。
今日ブラジルは年間1100万トン(2006年)の米(籾米)を生産する世界9番目の生産国で生産量は日本と大差ない。世界の生産量は6億1800万トン(2006年度)で生産国トップは中国(1億8600万トン)、2位が印度(1億2400万トン)。10位以内の
国は9位のブラジル以外全てアジアの国である。ブラジルの栽培面積は370万Ha、一方、日本は160万Ha.反収は倍近く劣る、この理由はブラジルの場合、陸稲栽培が主流だからで、水田栽培の行われている地域、RG、SC州では反収は日本と大差ない。
籾から精米して白米に換算する歩留まりは68%が標準であり、これから換算すると、ブラジル人は年間一人当たり46kgの消費がある。(日本の場合は白米で年間一人当たり
62kgではなかろうか。)
一方,副食の小麦とマンジョカ粉の消費は次の通り。
―小麦=ブラジルの年間消費は小麦で950万トン(2006年)がある。しかし、国内で収穫される小麦は30%位いで、70%は輸入小麦である(USA、カナダ、アルゼンチンより輸入)。年間10億ドルの外貨が支払いされている。年間700万トンの小麦粉が精選され、用途の内訳は、50% がパン、15%がマッサ類、15%がビスケット等、10%が家庭用に分けられる。
―マンジョカ粉(マンジョカ芋をすりつぶし、乾燥した粉と澱粉に分けられる)=栽培も
消費も北伯が主流。北伯の低所得者の主食である。栽培面積は170万Ha。年間収穫量
は芋塊で2600万トン。生産は年間マンジョカ粉で75万トン。澱粉で20万トン。
―フェジョン豆=この生産は年間300万トン(2004年)

ブラジルの米栽培。
世界の米栽培の75%が水田によるものだが、ブラジルではRG、SC、の殆どの栽培と
PR、MT州の一部を除いて、陸稲栽培である。総栽培面積の40%が水田。60%が
              −2−
陸稲栽培に大別できる.水稲栽培のトップはRG州で主要4州の州別の収穫量は次の通り。
州名                 収穫量(2006年)―籾
RG Rio Grande do Sul 5883 千トン
SC Santa Catarina 1099
MT Mato Grosso 899
PR Parana 709
その他の州合計             2560
ブラジル              11.150千トン
ブラジル全体のHa当たりの収穫量は3600kgだが、水田栽培のRGは6350kg、
SCでは7050kg/Ha(日本のHa当たりと大差なし)。陸稲栽培のマラニョン州では、1415kg/Ha.ゴヤス州で2800kg/Haと水稲との反収に大差があり。 

栽培方法と栽培コスト概略
水田栽培は大きく分けて、水田直播方式と苗移植方式(田植え)があり、ブラジルの場合は直播方式である。水稲栽培と陸稲栽培のコスト概略は次のとうり。(2004年度)
コスト            水稲(RG州)       陸稲(MT州)
種籾と播種=         R$ 171−Ha     R$  30,−Ha
肥料                257           106
農薬                230           370
灌水                560             0
収獲費               195           150
合計                1413          656
水稲(RG)の収穫量は約6300kgに対し陸稲(MT)の収獲は2720kg−Haであり、コストは水稲は倍掛かるが、収獲は倍以上である。売値も水稲米の方が高価。
尚、ブラジルに於いては、奥地の開拓前線では焼き端農業が零細農民の主流で、森林を伐採、焼き、1年目は雑草も茂らず,灰分が肥料となるので、米を栽培する。2年目から雑草に
畑は占領されるので、栽培を止め、他の土地の焼き端に移る.旧耕地は再生林復活まで待つサイクルである。

ブラジルの米の輸出入
輸出=2007年はアフリカのセネガル、ガボンに295千トンの輸出を行っている。
輸入=2005年の主要国別輸入量(籾換算)は次の通り。
輸出国             数量
アルゼンチン          249,4千トン
ウルガイ            291,8
パラガイ             41,4
USA               2,7
スリナミ             不明
米のデイラー筋の話では、日本人が好む短粒米は白米でUSAより年間1500トン,
ウルガイ(弥勒米)年間1千トン、アルゼンチンから5千トンぐらい輸入されていると
聞くが、統計では確かめず。

以上
麻生
2008年1月28日                    



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