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変わったスイスのカーニバル(ファスナハト)ハリー君を通じての犬聞録
神戸高校10回生の同級生岩岡 登代子さんの寄稿を何編か紹介していますが、今回ブラジルのカーニバルと違ったスイスの変わった雪のカーニバル、ファスナハトを紹介して頂きました。変わったスイスのカーニバルを可愛いワンちゃんのハリ−君とハリ君―の主人(岩岡さんのお嬢さん)を通じての沢山の写真と短い文章で飾っています。残念ながら写真は一枚しか紹介出来ませんが、興味のある方は【おしゃべりなしっぽ】ハリーの地球犬聞録を御覧下さい。
写真は可愛いハリー君の一枚です。
ハリー君のご主人のコメントも下記に紹介して置きます。
『ハリーの家族はハリーは犬の惑星からやってきた宇宙犬だと疑っています。
ふと気づくとハリーの思い通りに人間が操られていることがあるからです。
まるで交信でもしているかのように空を見上げてじっとしていることもあります。
そんなハリーの地球での旅の記録です。』


スイス犬聞録サースフェーのファスナハト編 2008年1月26日−2月2日

まだまだ日が短くて寒い1月下旬。
例年よりちょっと早めに雪山に出かけました。
今年のサースフェーのファスナハト(カーニバル)は1月最終週にあるからです。
写真は朝8時のアラリンホルン。
半分になった月がファスナハトの始まりを知らせます。

1月27日の日曜日からグッゲ(Gugge)とよばれるブラスバンドがサースフェーの村のあちらこちらでファスナハトの音楽の演奏を披露していました。
一番盛り上がったのは30日水曜日の夜8時。
サースフェーの谷間に設けられた広場で花火の音とともにグッゲが演奏を始めると村中から人々が集まって一緒に踊り始めました。

水曜日の夜のクライマックスは山の上からまぶしく光る飾りや衣装をつけて高速で滑り降りてくるスキーヤーやスノーモビールの出し物。
そして、たいまつを持ってそれを見守る村人たち。
最後は大きな花火で締めくくられました。
サースフェーのファスナハトは光と音楽の効果を上手に使う幻想的なお祭りです。

ファスナハトは花火で終わったわけではありません。
木曜日の朝4時、グッゲの音楽で人々は目を覚まします。
この日の朝に限って大雪が降っていたサースフェーでしたがグッゲはお昼頃まで村を練り歩き続けました。
写真は朝の7時半頃、ハリーの散歩中に撮影したもの。
ちょうど演奏をお休みして歩いていたグッゲでしたがハリーとハリーの主人がじっと眺めていることに気づくとワオーン!と犬の鳴き真似をしながら演奏を再開してくれました。

ファスナハトはまだまだ続きます。
木曜日の夕方は衣装を着けた人々がコンフェッティと呼ばれる紙吹雪を観客に投げつけながら村を練り歩きました。
バーゼルのファスナハトでは犬にはコンフェッティを投げつけたりしませんが、サースフェーでは人間だろうと犬だろうと猫だろうと容赦はしません。
みんな色とりどりのコンフェッティまみれになりました。

バーゼルのファスナハトではヴァッギスがパレードの主役ですがサースフェーでは真っ黒いお面に鮮やかな色の衣装を身につけ腰から大きなカウベルを下げた人たちが主役のようです。
馬のしっぽのようなハタキで人々のお尻をペンペン叩いたり頭や肩についたコンフェッティを優しく払ってくれたりします。
彼らが走ってくると大きなカウベルの音が響いてきます。

ファスナハトで犬も人間もちょっと寝不足気味になりましたが毎朝7時には飛び起きて村を歩きながらハリーのトイレを済ませ大急ぎでスキーに出かける準備をしました。

ロープウェイとケーブルカーを乗り継いで頂上に到着。
今回の滞在中も日中はとてもよく晴れました。
気温はマイナス5度前後と1月にしては暖かい方でしたが頂上付近では少しでも風が吹くと吐く息が凍りつきました。

昨年同様、リュックサックのポケットに使い捨てカイロとうんち袋と遭難したときのためのドライフード1日分を携えてハリーは主人の背中でスキーを楽しみました。

リュックサックの口がしっかり閉まっているかちゃんと確かめてから滑り始めます。
夏の間は青く見える氷河もこのとおり真っ白な雪で覆われていました。
途中、山小屋のテラスで休んで...
また出発!
ハリーはメッシュの間から高速で過ぎ去る山の景色をじっと見つめます。
通常のコースから少し離れたところではこのような奇妙な形の雪層も現れます。

スキーに接触して怪我をすることがないように人気ない所に来た時だけハリーは外に出て手足を伸ばしました。
雪の臭いをかいだり、地面を掘ってみたり、走り回ったり、満足するまで遊んだらまた自分からリュックサックに戻ります。
この1週間は毎日本当によく遊びました。

夕方の村の風景。
スキー場から宿に戻る人々を哀しく目で追っているように犬のうんち用ゴミ箱が雪の中で独りたたずんでいます。
うんちボックスさん、お役目ご苦労様です。
美しいサースフェーでこれからも犬が歓迎されるように犬のフンをしっかり片付けようと心に誓うハリーの主人でした。
さて、バーゼルに戻ったら今度はバズラーファスナハトが待っています(下記注参照)。どうなるかお楽しみに!

注:通常、キリスト教のカレンダーでは灰の水曜日の前の3日間がカーニバルとなっています。リオもベネチアも世界中のカソリック地域がこの週にカーにバルをお祝いします。しかし、バーゼルでだけは灰の水曜日の後の月曜日からの3日間がカーニバルです。バーゼルが1週間遅れでカーニバルを行うようになったのは16世紀の宗教改革でプロテスタントとなったことと関係があるようですが、それを証明する歴史的文献が残っていないため、はっきりとした理由は分かっていません。


スイス犬聞録 ファスナハト編 2007年2月26−28日

バズラー・ファスナハト (Basler Fasnacht)
バズラー・ファスナハトはスイス最大のカーニバル(謝肉祭)です。
14世紀に始まったといわれる伝統あるお祭りで、本来はレント(下記注参照)に入る前の3日間、断食に備えてたらふく食べてお祭り騒ぎをするのが目的でした。
その後、16世紀の宗教改革でプロテスタントとなったバーゼルではファスナハトの宗教色は薄れ「冬の終わりを祝うお祭り」となりました。
プロテスタントの人々がカーニバルを祝うのは非常に珍しいことです。
現在のファスナハトは灰の水曜日(下記注参照)の後の月曜日から3日間行われています。

ブラゲッデ (Blagedde)
ファスナハトの1か月前になると街中の人たちがブラゲッデと呼ばれる写真のような金属のバッジを左胸につけて歩くようになります。
ブラゲッデのデザインは毎年変わり、色は4種類あります。
銅が8フラン、銀が15フラン、金が45フラン。そして、ビジュ(宝飾)と呼ばれる銀に金メッキで模様をつけたものが100フラン。
このブラゲッデの売上金がファスナハトの運営資金となります。
写真は2007年のブラゲッデ。

モルゲンシュトライヒ (Morgenstraich)
月曜日(ファスナハト初日)の早朝4時。辺りはまだ真っ暗の中、ミュンスターの鐘の音を合図に一斉に音楽が鳴り始めます。
同時にバーゼル中心部の全ての家から明かりが消えます。
街灯も消されます。観客はカメラのフラッシュをたいてはいけません。
真っ暗の中をパレードの明かりだけがゆっくりと進んでいくのです。
この早朝の行事をモルゲンシュトライヒと呼びます。

メールズッペ、ツヴィーベルヴェヘ、ケーゼヴェヘ
(Mehlsuppe, Zwiebelwähe, Käsewähe)
これから木曜日の朝4時までバーゼル中に音楽が響き渡ります。
音楽を演奏しながら行進する人も沿道でそれを見る人もまずは腹ごしらえが必要です。モルゲンシュトライヒの帰り道では通りで売られているメールズッペ(玉ねぎと小麦粉のスープ)とツヴィーベルヴェヘ(玉ねぎパイ)かケーゼヴェヘ(チーズパイ)を食べます。
どれも決して美味しいとは言えない代物ですが、14世紀の人たちが同じ物を食べていたのであろうと想像してみるのは楽しいものです。

クリーク (Clique)
モルゲンシュトライヒの後、家に帰ってひと眠り。
早めのお昼ごはんを食べたら、早速パレードを見に行きました。
初日はあいにくの雨でしたが、大勢の観客が集まっていました。
まず、目に飛び込んできたのは真っ白いプードルのクリーク。
クリークとは笛と太鼓で伝統的な音楽を演奏するグループのこと。
どのグループも工夫を凝らした衣装で行進します。

グッゲ (Gugge)
グッゲとはブラスバンドの音楽隊のこと。
ポップやロックの曲をファスナハト風にアレンジして演奏します。
グッゲはモルゲンシュトライヒには出てきません。
グッゲはクリークのように古い伝統はありませんが、衣装が派手で音楽も耳慣れたものが多いので、グッゲのおかげでファスナハトがいっそう華やかになります。

ヴァッギス (Waggis)
バーゼルのファスナハトの主人公は、つきあがった大きな鼻にボサボサ頭、飛び出た大きな歯が特徴のヴァッギスです。
ヴァーゲ (Waage)と呼ばれるトラックに乗ってやってきます。
その昔、冬が終わるとフランスのアルザス地方からバーゼルまで農作物を売りにくる農民たちがいました。ヴァッギスはその農民の象徴なのだそうです。

レップリ (Räppli)
ヴァッギスはヴァーゲの上からお菓子、オレンジ、バナナ、ゆで卵、ミモザやバラの花、おもちゃなどを投げてくれます。
でも時々、レップリと呼ばれる紙吹雪を投げつけて観客にいたずらしたりもします。ハリーの後ろに写っている人は、ヴァーゲまでミモザの花束をもらいにいったら、腕をつかまれレップリを頭からどっさりかけられてしまいました。

春の訪れを告げるもの
ヴァッギスは冬の終わりにやってきます。
そして、春の訪れを告げる物を置いていってくれます。
写真はハリーの主人がヴァッギスからもらったもの。
黄色いひよこ(にわとり?)は、親切なヴァッギスが"Für d' Hundeli!"(スイスのドイツ語で「わんちゃんに!」)と言って、ハリーにくれたおもちゃです。

スジェ (Sujet)
ファスナハトのパレードは音楽と仮装だけが目的ではありません。
それぞれの音楽隊は、前の年に起きた出来事をもとにスジェとよばれる社会に訴えたい意見をかかげて行進しています。
「アメリカの戦争反対」といった政治的な意見から「学校にブランド品の服を着せてこないように」という小学生の親たちの意見まで様々なものがあり、音楽隊と一緒に進むカンバス製のランターンに意見の趣旨が絵に描かれています。
写真のランターンは「喫煙が健康に及ぼす害」を訴えています。

案内係さん
どの音楽隊も必ず通るのがミュンスターの広場。
ここには大勢の観光客がつめかけるので案内係さんがいます。
ミュンスターの入口で兵隊の格好で立っていました。
休み時間、衣装を脱いだ案内係さんはお面にそっくりのまんまるほっぺに口ひげのちょっと太ったおじさんでした。
あの重たいお面は必要なかったかも・・・

子供のファスナハト (Kinderfasnacht)
火曜日は子供のためのファスナハトがあります。
この日、子供たちはアメリカのハロウィーンのような衣装を身にまとってパレードに参加します。ヴァッギスの他、お姫様、騎士、動物の着ぐるみが人気の仮装のようです。
ハリーもてんとう虫の衣装で行ってきました。

子供たちはパレードで大はしゃぎ。
フロートに乗っているのも子供、沿道の観客も子供。
子供はヴァッギスと違って、お菓子や果物よりもレップリばかりを投げたがります。
道はあっという間にレップリで埋め尽くされました。
ハリーもレップリまみれになりそうだったので、この日は早めに退散したのでした。

夜のパレード
月曜日の朝4時から3日3晩パレードは続きます。
真夜中に街の中心に出ると、ショーウィンドウだけが明るく光る閉店したデパートの前を音楽隊が練り歩いていました。
いつもなら夕方6時を過ぎると店は閉まって街は静かになるのにファスナハトの間だけは夜中も街に人が溢れているのがちょっと不思議な感じです。

最終日
曜日が水曜から木曜に変わった真夜中に、今年のファスナハトの最後を見届けようと夜の散歩に出かけました。
まだまだ元気にパレードを続けているグループ、脇に寄ってビールを飲みながらひと休みをしているグループ、それを面白そうに見ている観光客が大勢いました。
バーゼルの街の中に暮らすハリーとハリーの家族は、この3日間、昼も夜もパレードの音と共に過ごしました。
寝る時はうるさいなあと思っていた音楽もファスナハトが終わりに近づくと不思議と名残惜しくなりました。
来年のファスナハトが今から楽しみです。

注:レント(四旬節)とは、イースター(復活祭)前にキリストの受難を思いながら、肉や卵、乳製品などを断って祈りを捧げる46日間のことです。レントが始まる日を灰の水曜日といます。通常、キリスト教のカレンダーでは灰の水曜日の前(レントに入る前)の3日間がカーニバルとなっています。しかし、バーゼルでだけは灰の水曜日の後(レントに入った後)の月曜日からの3日間がカーニバルです。バーゼルが1週間遅れでカーニバルを行うようになったのは16世紀の宗教改革でプロテスタントとなったことと関係があるようですが、それを証明する歴史的文献が残っていないため、はっきりとした理由は分かっていません。




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