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『私とハカランダ』 鹿児島に御住みの有隅健一さんのお便りです。
『私たちの40年!!』関連BLOGに掲載しているポルトアレグレの風車公園に咲き誇る背丈が低く横に大きく広がるジャカランダの花に下記書き込みをされておられBLOGのコメント欄を通じて懇意にさせて頂くようになりましたが、この度、掲題の『私とハカランダ』と題した一文を送って下さいました。嬉しいですねHP、画像掲示板、BLOG、メリングリスト等を通じて交際が広がっていくのは。。。
有隅さんは、アルゼンチンでJICAシニアーボランタリーとして1997年から4年間、アルゼンチン園芸開発計画を手掛けられ魅惑のハカランダに接し日本でもその新種普及等の専門分野で活躍されているとのことでこの写真のジャカランダの種を拾って送ってあげたいと思います。昨年の花から付けた実が既に固く黒く乾いて来ており口を開けて落ちる寸前に採集したものを選んで送りたと思います。
写真は、有隅さんに送って頂きたいと思ってますが、一先ず有隅さんのコメントがあったジャカランダの写真を使用して置くことにします。


ブログに始めてお邪魔致しました有隅健一です。鹿児島市に住んでいます。4/28にIN逍遥をしていましたら、思いがけず和田さんのブログに出会い、いやもうすっかり感激してしまいました。

実はJICAの仕事で、1997年2月より4年余りアルゼンティンに滞在いたしました。仕事の内容は日亜間のプロジェクト「アルゼンティン園芸開発計画」の立上げと前半の運営に関わるというものでした。1977年に日系農家支援のために設立された「アルゼンティン園芸総合試験場」(栽培が主体)の亜国政府への譲渡に際し、育種部門の事前の強化を狙ったプロジェクトで、現地の若い研究者に花の育種の手ほどきをしてきました。
亜国原生の花卉に付加価値をつけて、というのが至上命題でしたので、ハカランダ、ラパーチョ・ロサード、ラパーチョ・アマリージョ、パロ・ボラッチョなどの花木の稚樹開花性や耐寒性の賦与などを、育種計画の一環に取上げていました。

ところでお隣の宮崎県では観光立県のため、かつてハカランダやパロ・ボラッチョなどが南米(ブラジルが主体だったと聞いています)から精力的に導入された経緯があり、日南海岸を中心に点々とその植栽が見られます。世界中に広く流布したハカランダはJ.mimosifolia(成木で樹高15m)ですが、宮崎への導入種の中には私が今まで見たこともない小型のハカランダが含まれていました。その選別種の中には、開花特性抜群の系統が2系統ほどあり、早速その花粉を私のミモシフォリア(帰国後の選別)に配して見ました。その結果、後代に種子を播いてから丸2年で開花、接木をすれば1年で(翌年に)開花する系統を創り出すことが出来ました。

この宮崎の来歴不明の小型種について、私はミモシフォリアの故郷のYungas雲霧林を北に伸ばせばペルーに到達しますが、そこに分布するJ.acutifolia(分類学では樹高3〜8mとされる)がこの来歴不明の小型種ではないかと推測していました。しかし宮崎へのハカランダの導入がブラジル主体だとすると、その樹高からしてブラジルの原野に広く分布するとされるJ.brasiliana(これも樹高3〜8mという)の可能性もまったく否定するわけには参りません。この数年来その何れなのかに、思い悩んでいました。

コメントをつけた写真にアッと驚きましたのは、高木のミモシフォリアにしては丈が低すぎる、本来が(遺伝的に)丈の低い素質のものだからあれだけの横張になれる、だからこれはひょっとしてブラジル特産のJ.brasilianaではあるまいか、と思ったわけです。何れにしても、宮崎の小型種がJ.acutifoliaなのか、それともJ.brasilianaなのか私には謎の植物で、何とか本当のところが判ればと願っています。

この宮崎の小型種とは別に、私は幸いにブラジル原生の超小型種、J.oxyphylla(樹高1m前後でアダルトになる)と、このJ.oxyphyllaとJ.puberulaとの間の種間雑種(日本で作出)の2つを入手することが出来ました(2006年5月、関西にて)。この仲間は、ミモシフォリアの仲間(宮崎の不詳種を含めて)とは本質的に異なる長所を持っていました。それは (1)枝が伸びると、先ずは間違いなく頂端に花が来る (2)それ故春の一番花以降、枝の伸びに応じて花が来るので四季咲きになり、霜で花が痛むまで開花が続く(ミモシフォリアも二番花までは開花しますが) (3)開花した後の遺存花穂軸から新しい花穂が形成されて開花するので、花期の長期化に繋がる(四季咲き性にも寄与)――といったことです。

このJ.puberula・J.oxyphylla系列は、J.mimosifolia系列とは遺伝的にかなり遠縁なようで、交雑非常に困難ですが、それでも現在何とか10数個体の雑種実生を獲得することに成功しました。しかしこれらが一体どんな花の咲かせ方をするのか、未だ初花を見ていませんので判りませんが、両系列の良いとこだけを集積できれば(そのためには雑種第二代までの追求が必要でしょうが)、究極のハカランダ園芸種が実現できるのではあるまいかと、夢を描いているところです。

和田さんのハカランダの写真を見ていましたら、つい私のハカランダのお喋りになってしまいました。かつて亜国時代にブラジル、サンパウロを訪れましたときに、日系花農家の若い青年(大久保さんといっていました)で「サカタから導入したデルフィニウムが旨く咲かない。自分の腕が拙いからだ」と嘆いていましたが、実はそれは気候の所為なので、「貴方はまたとない気候の所にいる。その気候を存分に活用したら、日本では到底不可能な育種がここブラジルだったら出来る。だから貴方独自のデルフィニウムの改良をして、その種子をサカタに高い値段で売りつけなさいよ」と激励したことがありました。南米とは、そんな魅力を持ったところなのですね。

アルゼンティンでも、例えば夏から秋に開花・結実する白菜や大根(日本から移入)があることを実見、腰を抜かさんばかりに驚きましたが(その機作についてはベラニージョが原因だと、私なりの仮説を立てました)、とにかくアルゼンティンという異質の土地で、異質の数々の植物に出会い、「一身にして二生」のほんとうに楽しい、そしてまた贅沢な想いを致しました。その延長線上で、今なおハカランダの夢を追いかけているというわけです。

お伺いしたいことがまだまだ沢山あるのですが、次の機会にでもお願い致します。冗長かつ手前勝手なお喋りばかりで申し訳ありませんでしたが、南米の植物に対しこんな夢を描いている老人がいるとお知りいただけたらと思い、筆を執りました。ご厚誼をいただければ、幸甚です。今後ともどうか宜しくお願い申し上げます。

有隅さんのBLOGへのコメントは下記です。
沢山のハカランダの写真、堪能させて戴きました。有難うございました。ところでこの3枚の写真に限りますと、高さに比べ凄ーく横張の樹形で、アルゼンティンで見ていたミモシフォリア(もともとア国からボリビアにかけジュンガスの森林に原生、樹高15mに達するとされています)がこんな姿をするものなのか、ひよっとしてブラジル原生のJacaranda brasiliana(樹高3〜8mとされる)なのではあるまいか、と思ったりしています。JBは私にとっては未だ見ぬ夢のハカランダなのです。

和田BLOGへの返信
有隅 さん
コメント有難うございます。この公園のジャカランダは、ブラジル南部のポルトアレグレに咲いている物としては標準の大きさです。
最も電柱が通っている街路樹としてのジャカランダは、幹を二手に分けてもっと背丈が高くなっているものが多いです。公園のこのジャカランダは横にも自由に幹を伸ばしており樹高より横幅が目立っていますね。ブエノスの街路樹としてのハカランダも余り変わっていないように思いますが、種類が違うのでしょうか?チリのサンチアゴでもハカランダを見ました。



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