ブラジルのビール 麻生 悌三さんの寄稿です。
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麻生さんがブラジルの主要産業(特に農業関係)の統計数字等を駆使して色々報告してくれていますが、今回はブラジルのビール産業についての報告をしてくれています。この原稿は7月14日に届いたのですが、その日、丁度暗礁に乗り上げていたINBEV社によるアメリカのバッドワイザーの買収が決定した日であり直ぐに収録すれば良かったのですが、適当な写真が見付からずそのままになっていました。『ビールの原稿をチェックしていたら、インターネットのニュースでInBevがアンヴァイザー(バッドワイザー・USA)を買収したとのニュースが飛び込んできました.相撲のTVを観るため早起きしていました(早起きは3文の得)』
バテパポの早川さんの報告も合わせて収録して置きます。
写真は、グアラナと共に私が一番好きなブラジルビール、アンタルチカです。以前アンタルチカの株を少し持っていたのですが世界1に改組される間にどこかに消えてしまったのですかね。この機会にCHKして見ます。
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ブラジルのビールの生産は1885年にリオでBOHEMIAブランドで市売されたのが最初で今尚AmBev社に受け継がれている。ブラジル人はビールが大好きで消費量は世界の5位以内にランクされている。特に近か頃は女性の消費が急増している。ビールと一口に言っても、手製の地ビールの銘柄の数は世界中に2万あると言われ、ブラジルだけでも、200種類あるらしい。此処では市販ビールのみを対象とする
―ブラジルのビールの生産量(2006)
年度 総費量 年間一人当たり消費量
1994 65億リッター 41,8リッター
1995 80 50
1996 80 49,3
1997 81 50,3
1998 78 50,2
1999 82 48
2000 84,5 49,5
2001 87,2 50,3
2002 85 48
2003 87,2 46,6
2004 85 47
2005 93 47,50
2006 97 48
2006年は世界のビールの消費量の5位にランクされている。95年以来ビールの
一人当たり消費量は横ばいだが、コンスタントにビールは消費されている。
―世界の10大ビール消費国(2006)
国 総消費量 一人当たり消費量
中国 35151千キロリッター 18リッターー年間
アメリカ 23165 84
ドイツ 10717 117
ロシア 9990 ―
ブラジル 9700 48
メキシコ 7816 50
日本 6339 56
イギリス 5376 101
スペイン 3360 78
ポーランド 3250 ―
一人当たりの年間消費量ではチェコがトップで158リッターと言われている。メキシコ(国民酒テキーラあり)とブラジル(国民酒ピンガあり)両国は中南米の代表的呑兵衛民族である。
世界の総ビール生産量は1億7千万キロリッターと言われ、東京ドームの137杯分である。1985年以来、消費は増加しており、特に中国の伸びが著しい。
―ビールとは
ビールは基本的に、水(ビール成分の90%)と大麦とホップを原料に発酵させた酒である.製造工程は大麦をタンクの中で水を加え、発芽させ、麦芽と言うモルトを造る。(発芽
させることにより澱粉を糖分に変える)大麦―発芽―乾燥−煎るー粉砕―麦汁―ろ過しホップを添加―煮沸―濃縮―酵母添加―発酵(7−10日間)−熟成(低温熟成と常温熟成の方法あり)−製品。この工程を経て製品となる。
1) 常温熟成=独特の苦味とアルコール(5−8%分の若干高いビールでSTOUTタイプ
2) 低温熟成=のど越しの良いラガータイプ。ブラジルではピルセンタイプ。
その他に、色,アルコール濃度、等による格付けがある。製品に掛る日数は凡そ30日間ぐらい掛り、ブラジルのビールの大半はピルセンタイプである。出て来た製品を冷却し呑むのが生ビールで、熱殺菌を終えて,容器に詰めたのが普通のビールである。
―ブラジルのビール工業
ビール工業組合の資料によれば、国内に大小合わせて、70箇所に工場がある.主な工場はAmBevが25工場(カナダからアルゼンチンにかけて47工場を有すKaiserが8工場
Shincariolが6工場を持ち、その他に1乃至2工場を所有するメーカーが27社あり。
生産量は年間1億7千万klである。販売のシェアーではAmBevがダントツの70%のシェアー。Shincariolが10%、Kaiserが8%である。ブランド別のシェアーではSKOL,
Brahma,Antarcticaの順序でSkolのシェアーは22%と言われている。
―AmBev社とは
1999年にブラジルの2大メーカーのBrahmaとAntarcticaが合併してAmerican Beverage−AmBevを創立した。その後、ベルギーのビールメーカーInBevと提携(合併に近い)し世界屈指のビールメーカーとなった。同グループの生産量は120億klと言われており、更にアメリカのバッドワイザーを買収するとの噂もあるAmBevはSkol,Brahma,Antarctica,Bohemia,Original,等のブランドを持ち、他社の追随を許さない
市場シェアーである。
―世界のビール会社の販売ランキング(2005年)
順位 社名 本社国籍 市場ェアー 主要ブランド
1) InBev Belgium 13,3% ステラアルトワ
2) アンヴァイザー USA 11,5% バッドワイザー
3) ミラー イギリス 11,1 ミラー
4) ハイネンケン オランダ 7,8 ハイネンケン
5) カールスパーク デンマーク 4,6 カールスパーク
12) アサヒ 日本 2,4 スーパードライ
15)キリン 日本 2,1 一番絞り
AmBevはトップのInBevの中に入っており、もし、独自ならば6位ぐらいのランキングの筈である。
―ブラジルのビールの価格構成等
1) ビールの価格の内主たる構成は次の通り。
税金 35,6%
工場卸値 26,3
小売 26,6
配給業者 11,5
合計 100%
2) 包装別の販売シェアーでは
500ml ビン = 70%
350ml 缶 = 27
long neck = 3
合計 100%
―Inbev社のアンヴァイザー(バアッドワイザー)の買収決定。
本日(7月14日)、InBev社はアンヴァイザー(USA)の買収を発表しました。買収金額は500億ドル(約5兆3千億円)。年間売り上げは300億ドルの見込み。
これでImBevはミラー(英)を抜いて、世界の市場の25%を握る巨大企業が誕生した。
今日から世界のビール市場の地図は新たな展開を迎える。
以上
麻生
2008年7月14日
バテパッポの皆さん <世界最大のビール会社誕生まで>
早川です。
この寒さでは<ビール>の話しは適宜ではありませんが……。
今週の雑誌”VEJA”はブラジル系世界最大のビール会社(Anheuser−Busch InBev)誕生までの経緯を掲載しています、それによると;
1885年: サンパウロ市に”Antarctica”ビール会社誕生、
1888年: リオ デ ジャネイロ市に”Brahma”ビール会社誕生、
1999年: 上記両ビール会社合併して”AmBev”が誕生、
2004年: ベルギーの”Interbrew”と”AmBev”が合併110億ドルの企業”InBev”が誕生、
2008年: InBevが北米のAnheuser−Buschを520億ドルで買収上記名の企業誕生。
新会社の製品は300種に及ぶが、その中でも著名なビール銘柄は: StellaArtois,Beck's、Budweiser,Brahma
年間売上: 370億ドル
年間販売ビール量:460億リットル
社長: ブラジル人 Carlos Brito(Carioca)
新会社総資産: 1140億ドル
因みにアルコール飲料、清涼水業界における、資産勘定の、世界7大企業
1)Protector&Gamble,2340億ドル、
2)Nestle,1640億ドル
3)A.B.InBev,1140億ドル
4)Coca−Cola,1110億ドル
5)PepsiCola,1040億ドル
6)Unilever、930億ドル
7)Kraft、650億ドル
新会社の世界市場占有率
中国、20%、北米、50%、ロシア、20%、ドイツ、10%、ブラジル、70%、全世界、35%
上記Carlos Brito社長は此処数年同業他社の買収は控えて、兎に角、450億ドルの銀行借金の返済に専念したい意向であるが、次回の戦略ターゲットはオランダの”Heineken”のようである。さて、さて日本のビール会社がブラジル資本に<敵対買収>される可能性はどうでしょうか?
以上
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