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山下晃明のブラジルで損せぬ法(245)、(246)、(247)/5月、6月、7月号
神戸市灘区上野台に学舎を置く名門校、元神戸一中の新制神戸高校10回生のリオに住む同級生山下君は、もう48年ブラジル在住のブラジル通ですが、彼が書いている『ブラジルで損せぬ法』は、ブラジルの経済誌『ブラジルの実業』の超ロングセラーの経済論表である。5月、6月、7月号を収録して置きます。
彼が説く飯田流の陰陽学によれば『世界大変化の時期』に入っているとの予言が当たっているような感じがする昨今の世界の動き、陰陽学に耳を傾けて勉強する価値がありそうな内容です。「あらゆる領域で一度崩壊して新生出直しとなる。」との陰陽学のご宣託。その方向に進んでおり怖ろしい気もする。
写真は、神戸高校卒業50周年記念式典に参加出来ないのでリオで一緒に写真を撮ろうと集まった時に撮らせて貰ったアメリカのポートランドにマスターコースを取得の為に留学しているお嬢さんと幸せそうな一枚です。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(245)
世界の貿易資金の流れ
図を見ていただきたい。現在世界ではこの矢印の方向に貿易決済資金が流れている。世界の貿易量(出所:IMF、大和総研)の2007年のデータを参考に、輸出額から輸入額を引いた差額のみの動きを表にしてみたものだが、この矢印方向に貿易決済資金が流れていることになる。
 米国からは年間総額5729億ドル、EUよりは1925億ドルの決済金が流出、この2地域で世界貿易の輸入を支えている。一方のアジアは米国から3942億ドル、EUから2374億ドルを受け取っていることになる。
 現在は地球グローバル経済の時代だといわれるが、この図でみるかぎり地球上にそんなものは存在せず、単に中国、日本をはじめとするアジアから米国と一部欧米に一方的な物流があるだけで、米国が買うのを止めるとたちまち機能しなくなる世界システムということになる。
 なお現在、原油高もあって余剰マネーが中東に集まりつつあるが、政府系ファンドなどイスラム・マネーが1兆4000億ドル以上あるとのことで、これが如何に巨大な額であるかが理解できる。
 それに比べて最近発表された日本、中国、韓国、ASEAN・東南アジア諸国のアジア諸国連合で連携の融通資金800億ドル構想は規模が一桁小さい。

 ブラジルが投資奨励国に格上げ

 4月末Standard & Poor'sがブラジルの投資奨励ランキングを"BBB-"(Investment Gradeの最下位のランク) に格上げして、ADRや株高、レアル高となったが、数兆ドルの外資導入まで予想されて沸いている。ブラジルにとっては非常にめでたいことではあるが、審査機関が過去の数字、貿易収支の黒字や外貨準備高、対PIB債務率、プライマリー収支などと農産物や資源の国際価格上昇を重視しすぎた結果と思われる。
 現下のブラジルの状況は、下記の4条件の変化で経済が大きく変動することと、一方税制改革、年金改革、労働法改革、財政改革、教育改革など遅々として進まぬ現状で、今評価すると何も改革を実施していないルーラ政権を安心させてしまう結果になることが危惧される。総合的に将来の安定性がなく、格上げは少し早すぎたのではないかと思っている。

1)為替が自由化されておらず、現在3つもレートがあり10%も差がある上に送金は自由にはできない。
2)金利が実質7.1%と世界一高率の上に、さらにインフレ価値修正が加算された異常な利子である。
3)売り上げにかかる間接税が世界トップ・レベルで、Pis/Cofinsなど税金ではないとする違憲性の疑いのある強制基金もあり、極めて煩雑な税法で管理されている。
4)公的出費が増えつづけ、現在インフレ管理を失敗しそうな状況にある。

 2008年4月からの大変化

 陰陽自然学の飯田亨先生の唱える2007年4月からの世界大変化の時期に入った。
 「それまでの90年間、世界を支配してきた政治経済、文明、イデオロギーのすべての鎖が崩壊を始めて根底から変わる。すなわち近年における歴史大変換の革新期と考えられる。世界の政治経済と技術文明の近代化、システム統合画一化を続けてきた長い旅路が最後の加速をし、2008年4月〜6月にその画一化の鎖が解け始め、10月に完全崩壊する。旧潮流の事実上の終焉である。しかし、それは次の時代への強烈な新分裂解体の芽を宿している。」(地球核力激震10年 P22)
 何が変化するのか
 「過去の常識、既成概念、価値観の一切である。人為の激動、強制的天変地異を通じて、政治経済、文明の常識、規制概念、価値観の一切が通用しなくなって生まれ変わり、天地自然の様相さえも激変する。
 一部が壊れるのではなく、あらゆる領域で一度崩壊して新生出直しとなる。」(同P21)

 おこり始めた時代の大変化

 最近のニュースから追ってみよう4月(4/4〜5/4)に見せた明らかな歴史大変化だ。

 *日本の政治が大変化
 朝日新聞社が(4/30と5/1)に行った世論調査で福田内閣の支持率が20%に落ち込み、政党支持率でも民主党が自民党を上回った。
(4/9)の白川新総裁任命までの日銀人事で前代未聞の騒動に始まり、(4/30)のガソリン値上げにつながる税制改正関連法を56年ぶりに強行再可決で成立させた。後期高齢者医療制度に対する反対など、つぎつぎと福田内閣の指導力のなさが浮き彫りになっている。
 政府の権威失墜は明治以来の日本官僚支配の城であった財務省が弱体化、戦後の復旧をなしとげた財と政の護送船団システムの時代が終焉し新しい時代に変っていくことを意味する。

 *世界の温暖化対策が大変化
 原油価格高記録と、(4/10)の米国の排出量取引法案の6月採決発表以後、米国内の動きがこれまでと違って非常に活性化した。京都議定書に抵抗していた米国が動けば中国やインドも動かざるを得なくなる道理で世界のエネルギー地図と経済成長に影響を与えること必至である。
 技術対策にも日本でCO2吸収量が多い松の開発、CO2 地下貯留技術、強力磁石モーターの電気自動車 実用化試験、バイオ燃料初の大規模工場、メタン生産の商業化技術などつぎつぎと発表された。米国、中国、インドなども危機を認識し具体的な行動を開始しだした。

 (5/3)  CO2地下貯留で日中合意へ
 (4/26) CO2吸収量が多い松を開発
 (4/23) 米 燃費の30%向上を提案
 (4/21) CO2 地下貯留技術を開発へ
 (4/20) 電気自動車 実用化試験始まる
 (4/19) 米18州 温暖化対策を要請へ
 (4/17) 米 温暖化対策で中期目標公表
 (4/17) バイオ燃料 初の大規模工場
 (4/8)  メタン生産の商業化技術 成功

 *食糧危機
 食糧価格高騰でベトナム、インド、エジプトがインフレ防止の為、米の輸出を禁止した。ロシア、ウクライナ、カザフスタン、中国、パキスタン、アルゼンチンが輸出税や輸出枠、輸出特典の廃止などを実施している。一方世界的な食糧危機が政治危機に波及しだした。
 (4/12) ハイチでは、米や豆などの食料品の値段の高騰に抗議するデモが続き、ハイチ議会が首相免職を可決した。
 (4/12) フィリピンでは、コメの値段がこの3ヵ月で30%上昇し、政府に抗議する初めてのデモが起きた。
 (5/5) ソマリア 食糧高騰で数千人の市民が暴徒化。
日本の技術力でアフリカでの米の生産を倍増させる計画や野菜の大工場など具体的な対策が出始めた。

 *中国の大変化
 4月に人民元が1ドル7元を割った。
 05年7月の固定相場制を止めた時点の8.1元から、じわじわと、すでに18.4%の切り上げ率になっている。
グラフで見ると明らかに切り上げのピッチは加速している。このほかオリンピックの聖火が世界各国で反対デモとなったチベット人権と中国問題、台湾との関係、北朝鮮との関係、世界最大の外貨準備、主な輸出先の米国の不況、オリンピック開催などすべ中国を大きく変える動きが集積を始めた。

 *その他の歴史的変化
 歴史的に旧勢力の崩壊、政権交代が世界でも起き始めている。
(4/20)パラグアイ大統領選挙で61年ぶりの政権交代が起きた。
(4/10)のネパールでは制憲議会選挙の結果、主要政党が共和制に移行で、240年続いたネパールの王制が廃止された。
(4/15)の韓国李明博新大統領の米国と日本訪問は、韓国と対北朝鮮の路線が変わる。
(4/10)イスラエルが最大規模の戦時訓練周辺のアラブ諸国からはイスラエルが戦争の備えを始めたと警戒、一触即発。

 * その他天変地異や異常気象
 (5/1)のチリのチャイテン火山噴火や(5/3)の犠牲者が1万人以上のミャンマーのサイクロンを始め実に多くの異常現象が発生している。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(246)
インフレが12%を越えた
5月の物価指数FGV-DIは1.88%で、過去12ヶ月累積が12.14%となった。穀物相場で米は150%、とうもろこしは100%もの値上がりで、食料品は平均50%値上がりしているが、公式インフレはまだ数パーセントである。最低賃金も上がっており、上がっていないのは輸入品だけである。家賃がFGV-DI指数で調整されるので、20%に近づくと心理的にも全体値上げのムードになる恐れがあり、インフレが極めて警戒となってきた。
FGV-DI指数月インフレと過去12ヶ月累計
Jun-07 0.26%  
jul-07 0.37%  
Aug-07 1.39%  
Sep-07 1.17%  
Oct-07 0.75%  
Nov-07 1.05%  
Dec-07 1.47%  
Jan-08 0.99%  
Feb-08 0.38%  
Mar-08 0.70% 9.18%
Apr-08 1.12% 10.24%
May-08 1.88% 12.14%

 6月以降の予想、かりに月2%が継続した場合の過去12ヶ月累積は下記となる。
Jun-08 2.00% 14.09%
Jul-08 2.00% 15.94%
Aug-08 2.00% 16.64%


 世界一高い利子にインフレを加算する国

 ブラジルの政策金利(Selic)が12.25%に引き上げられたが、現在のインフレを差し引いた実質金利6.9%は2位のオーストラリアの5.5%より1.4%も高く、世界ランキングではダントツだ。トップ10は以下トルコ、コロンビア、メキシコ、オランダ、英国、ポ−ランド、ドイツ、ハンガリーと続くが、BRICsでランキングに入っているのはブラジルのみで、それも世界一というのは非常に問題ではなかろうか。
 ブラジルの公定金利にはインフレが加算されているが、先進国のそれには加算されていない、従って先進国ではインフレが進むとマイナス金利になるからインフレが警戒されるのである。
 インフレを加算している国の思想は預金者に損害を与えないで外資の流入を減らさないためというわけだが、これは逆の見方をすると預金者や銀行に対してインフレを奨励し、商工業のコストを上げてインフレを助成することになるので、これではインフレは絶対に止まらない。オムツをしていてはお寝小はいつまでたっても止まないのであって、ブラジルもいち早くオムツを取り去るべきである。
 なお政策金利からインフレ率を引いて実質金利がいくらかを見るのはよいが、インフレは毎月変動するから、金利を定めてそれにインフレを加算して利子率を設定すると金利が必要以上に高くなる恐れがあり、その意味はまったく異なるのである。

 2008年6月からの大変化

 陰陽自然学の飯田亨先生の唱える本年4月から6月期は2009年からの世界大変化の兆候が出る期になる。4月期には死者行方不明13万人のミャンマーのサイクロンと水害、死者4万人、けが人は24万人以上、被災者500万人以上の中国四川の大地震など大災害が発生しているが、この6月も油断できない。
 最近増えている若者の凶悪事件や厭世自殺など、グローバル社会の非適合者、すべての商品サービスの債券化とダブつく外貨により、投機で価格高騰が起きて、世界的な社会不満が重なりつつある。
 おちこぼれ者の不満の爆発や社会問題が深刻化する。これから思想面を含め大きな歴史大変革のきっかけとなる事件が続出することになるであろう。ブラジルではインフレが高進し、まず為替が動きそうだ。

 資源や食料不足の極限は

 とことん事態が悪くなると、おざなりの対応では解決できず、根本から変えてみようの動きが出てくる筈である。
 資源や食料が完全に不足し、高い値を払っても売ってくれないとき最終的にどうなるかを考えてみると、過去の歴史では供給源を獲得のために他国を占領する軍事作戦も起きている。当然ながら敗戦国は悲劇だ。
 戦時体制では価格高騰や買占めを禁止するための政府の強制介入、需要を一定にするため配給制度などが起きたが現在でも考えられる。
 人類生存のための公共資源である「空気」の供給をどこかの企業か政府が独占するのは、アマゾンの酸素供給をブラジルが独占するのと同じで、誰も許さないであろう。ただし地下水は世界のかなりの部分が土地の所有権を有する私企業のものになっている。水は生命維持には絶対に必要だから本当に不足したら、世界公共資源になるだろう。
石油がそこまでなるかどうかは、代替燃料があるかどうか、燃料に閉める石油の率にもよると思われる。世界のエネルギー別依存率は2005年で全体を100として石油35%、石炭25.3%、石化ガス20.7%新エネルギー10%、原子力6.3%、水力2.2%とのことであり、石油は1973年の46.2%から見ると依存率は急速に減る傾向があり、全体の30%を切るとそれほど重要視されなくなるのではないだろうか。石油の価格がかくも高騰すると、北海道などでも、過去に不採算で放棄した炭鉱がペイラインに戻るようなことが注目され始めており、自動車の新エネルギーなどの技術革新が一層加速するから、今後は値上げをねらう産油国の思惑どおりにはならないと思われる。

 スペキュレーションの上限4倍説

 原油価格が139ドルを越えて、G8でも原油高騰対策を議論サミット・G8エネルギー担当相会合が、中国やインドなど、初めてアジアの新興国も招いて青森市で始まり、8日午前中は、一向に歯止めのかからない原油高騰への対策として、産油国に増産につながる投資を要請することなどで各国が一致したとNHKで報道された。
 原油高がどこまで進むか疑問だが、単純にスペキュレーションと見れば、経験的に2倍まではいとも簡単に進み、3倍で事態の変更が起き4倍で収束する。
 例えば第1次オイル・ショックはバーレル3.29から11.58ドルで収束、3.52倍。第2次オイル・ショックは14.02から36.83ドルで収束、2.63倍であった。
 今回を第3次オイル・ショックとして2005年開始とすれば38.27から3倍の115ドルで事態変化、4倍の150ドルで収束だ。
 為替ショックの場合も、非常に興味あることは、政府が介入をしようがすまいが、短期であろうが長期であろうが、3.5から4倍の変化で一応事態が収束している。逆の見方をすればスペキュレーションで何か起きると最高4倍までの変化はありうることになる。
1990年のコーロル・ショックでドルレートは一夜にして7.2から2.5に下がった。約3倍である。1994年のレアル・ショックは1から最終的に約3.99レアル弱まで上がった。4倍である。2001年末のアルゼンチンのペソ・ショックは短期に大統領が数人交代し、無政府状態になったがそれでも1ペソから4ペソ弱の切り下げで収まった。4倍である。古くは円高で360円から最高値80円になった。4.5倍である。
 スペキュレーション的に見ると、売り手も買い手もリスク取引であるから、最初から4倍でしかけるのではない。常識的には3割程度、高くとも5割増し程度を上げて様子を見る。3割としたのは1割、2割高では投機とは言えないからである。それで止まらぬようであればさらに3割程度上げてみる。これを5回ほど繰り返した時点で、「これ以上は危険、そろそろ引き」という思想が全体に働くのであろう(1.3の5乗は4.162)。または5割増で3回(1.5の3乗は3.375)。もう一つはトイチと言われる個人ヤミ金融の年間利率は3倍強である。(1.1の12乗は3.138)スペキュレーターといえども商売人であるから、この水準を超えると嫌気で「そろそろ手仕舞いだな」の心理が全体に働いても不思議ではない。

 米国人から電子商品のみやげをもらった

 娘の遊学先のアメリカ人の娘さんがリオに遊びにきて、PANDIGITALという中国製造の米国製品の写真フレームをみやげにもらった。昔はカシオの電卓とかソニーのウォークマンとか日本製の電子機器を外国人にプレゼントすると大変よろこばれたものだが、今は逆のようだ。この商品は電子写真の額で、メモリーを内臓していて、数100枚の写真を連続にみせる市価$100ほどの品だが、感心したことは操作がいたって簡単というより操作するところが無いのである。どうもこの機械の開発は日本人の発想ではなさそうだ。
最初に写真をメモリーに入れるのさえ誰かパソコンに強い人にやってもらえば、後は電源につなぐ、スイッチをONにする。これだけですぐ使えるのである。調整するボタンなど一切なく、アクセサリーなど不要のものもない。ためしに90歳の母親に写真を入れて宅配便で送ってみたら、自分ですぐ使えて「これはいいわ」とおほめをいただいた。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(247)
自動車の燃料問題

 洞爺湖サミットの、食糧問題の特別宣言で、穀物高騰の原因となるので、食糧を原料としないバイオ燃料の開発を急ぐことが盛り込まれたとのこと。とうもろこしからエタノールを製造する米国へのあてつけであろうが、ブラジルもサトウキビが食品とみなされるとルーラが頑張っても風あたりが強くなる。中国でも大根か芋の類の主要食品にならない植物からエタノールを製造する計画のニュースがあったが、ブラジルはサトウ・キビを繁殖力があって効率的にアルコールを作るネンリョウ・キビの種に改良をすればよい。
 現在ブラジルではガソリンに20%ほどアルコールを混入しているが、国産アルコールをガソリンに混入することで、今の原油高対策に貢献していることになる。
 ブラジルにはアルコールのみでも動く車、ガソリン・アルコール何れでも動くフレックス車、石化ガスも含め3種燃料の何れでも動く乗用車がある。
 ブラジルはエンジンを更に改良して50%まで混入できるようにして、その技術とアルコールを世界に輸出すると良い。世界一の生産量を誇るアルコールの生産を更に増やし、ロジスチックの改革で輸送料を下げて、価格を下げ、原油高になればなるほど世界でアルコールの混入率が高まるように仕向ければよいのである。
 日本では超強力磁石発明に伴い、モーターの軽量化では世界をリードしている。リチウム・イオン電池の軽量化も進んでいるが、固体電池や金属空気電池など新電池の研究開発も進んでいると聞いた。日本は得意とする電気技術と生産技術を生かして、徹底的に電気自動車の効率を上げ、価格を下げると良い。水素燃料電池のテスト車も600キロメートル走行ができるようになったそうだが、独立電動四輪駆動でまったく斬新なデザインの従来と異なる発想で車を製造するべきだ。
 日本でガソリン価格が180円になったと騒いでいるが、アルコールの混ざったブラジルの2.60レアイスとほぼ同じである。一方の原油は、1バーレルは159リットルだから、もうすぐ原油原価がリットル1ドルになろうとしており180円では安すぎるのではないだろうか、原油高にあわせて値上げすれば、ガソリンの消費が減って電気自動車の普及が加速すると思う。
 世界中の国が得意の分野で代替エネルギーの開発を、過去にとらわれずに、OPECやメジャーに遠慮せずに本格的に進めるのが良いと思われる。
 自動車というよりロボットの範疇かもしれないが、ゴルフのカート、身体障害者の車椅子に始まり、倉庫のフォークリフト、空港などの構内移動車はすでに電池車であるが、市内配達車、市内タクシー、市内バスなどの斬新的な新車を開発すれば電気自動車の実用技術革新に大きく寄与すると思われる。

 伯銀CENTRO CULTURALの日本展

 百年祭のおかげで日本の移民資料展や文化展が多数開催されている。皇太子も訪問したリオのブラジル銀行のCENTRO CULTURALの日本移民百年記念日本展は実に良くできている。実は日本のロボット実演があるというので、軽い気持ちで見に行ったのであるが、ロボットよりも百年展の方が良かった。
 デニーゼ女史というブラジル人が展示全体をコーディネートしたとのことだが、日本の伝統文化をよく勉強しており、展示は伝統、道、移民以後の日系文化、現代JAPOPの4部に分け、大きな壁に年表的に歴史的背景を図示しながらの展示が実に良くできているのである。「伝統」では武士道から武具、武器、日本刀、小袖まで関連展示、「道」では書道、茶道、いけ花から折り紙実演まで、「移民以後の日系文化」では笠戸丸の乗船名簿から移民の画家など芸能人の紹介、「JAPOP」では鳥獣戯画から浮世絵、マンガ、からくり人形、ロボット実演まであって、7月半ばで終了するのが惜しいぐらいである。 
 この後8/5からはブラジリアのCENTRO CULTURALに移して展示される。歴史的背景は州立大学日本文化研究所が協力したとのことであるが、ブラシル銀行やヴァーレなどブラジル大企業の本社があるリオならではの資金援助もあったようである。まさに産学共同の作業だ。これと比較するとサンパウロのLUZ駅前美術館の日本文化展は展示物の数は多いが、歴史的表現では劣る。大都市は日系人が多すぎてまとまりがなく、大学に協力を依頼していないのであろう。そういえばリオやクリチーバなど日系人が比較的少ないところはまとまりやすいようである。

 日本の自衛隊を皇太子が閲兵

 百年祭の記念行事で海上自衛隊が行進した。コロニアには大変好評で、期せずして2世の人と3世の人から、自衛隊の行進がスマートで列がまっすぐで感動したという声も聞いた。日系人以外の人がどう思ったかは知らないが、ブラジルに日本の海軍の兵隊が来て、皇太子の前を軍艦マーチで進軍するという状況は実は大変なことなのである。例えば同じことを中国や韓国で許されるだろうか。友好国でも難しいことと思う。はたして世界にこのようなことが許可される国がいくつあるであろうか。移民の百年祭のディスフィーレの会場内とはいえブラジルの寛容力の深さに改めて脱帽である。

 滞納税支払いを容易に

 税金の罰金と金利を下げる法案を議会に送る計画を蔵相が発表と各紙で報道されたが、今までの懲罰的な過酷な税金では左前の会社は払えば本当に倒産してしまうから絶対に払わないだろう。
政府の滞納税の支払いを容易にする法案は2002年末までの1万レアイス以下の滞納税債務を時効にし、また支払いを促進するために罰金や金利の引き下げをする案である。
 また、分割額を滞納者の資金状況に応じて交渉が出来るようにし、既に分割された滞納税の未払いの分を含めて、滞納額を再分割する事も可能にする。
また2005年末までの1万レアイス以下の滞納税を現金または6回までの分割払いをする場合、罰金の全額を控除する事と、金利を30%引き下げる。さらに30回払いだと罰金の60%、60回払いだと罰金の40%と追徴金を免除。何れも分割払いの際の20%の追加料も免除する。
 滞納者にとっては良い措置だが。これに適用される滞納税額は36億レアイスとなりまだ政府の確定債権(DIVIDA ATIVA)になっていない全滞納税1.3兆レアルの0.28%に相当する。
 これで11.6百万件の訴訟のうち2.1百万件を削減できるとのことであるが、実現すれば性悪説是正の第一歩になるだろう。

 インフレ進行が不穏な状況に

 ルーラ大統領の支持率は高いが、実際の経済指数ではFGV-DI指数が6月1.89%で、過去12ヶ月累積が13.97%となった。このまま継続すると年末には20%になる。FGV-DIは家賃修正などに直接影響するので心配の種だ。
 5月までの国際収支の経常収支が147億ドルの赤字と大きく報道されたが、問題はその内容で貿易収支も、配当、旅費などのサービス収支も、市場の為替の取引額もすべてが悪化している。今後の動向が少々心配である。
2007年5月迄 2008年5月迄
貿易収支 16754 8656
サービス収支 -16509 -24905
金利 -3928 -2669
利益配当 -8081 -15596
旅費 -707 -2014
移転収支 1651 1532
経常収支 1897 -14717


 中銀管理の外貨流出入も輸出入為替決済、外貨の市場売買でも何れも外貨流入が大幅に減少している。
2007年5月迄 2008年5月迄
輸出入為替決済差 36480 24850
外貨売買差 -1395 -9039
合計(流入) 35066 15811
出所:中銀(単位100万ドル)

 リベルタドーレス杯、惜しくもかなわず

 2日、満席のマラカナン球場でリベルタドーレス杯の決勝戦が行われた。夜10時車通りが途絶えた。フルミネンセ対エクアドールのLDU戦。LDUが勝てば優勝であったが、最終戦でフルミネンセが3-1で勝って勝ち点で並び、あわや優勝かとカリオカを喜ばせたが、30分の延長決勝戦で勝負がつかずペナルティー戦で敗れるという手に汗にぎるショー的なシナリオとなった。マラカナンに入れない人はカーニバルのサンボドロモでも大勢が大スクリーンで観戦した。
 なおリベルタドーレス杯とは南米のクラブチーム・ナンバーワンを決める大会で。この優勝チームがヨーロッパ・サッカー連盟優勝チームとトヨタ・カップを戦うこととなる。試合中は道路の警官もいなくなるが、小僧っ子強盗もいなくなるのがリオの非常に不思議な現象である。



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