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ブラジルのペット(犬、猫)フード産業 麻生 悌三さんの寄稿です。
麻生さんの今年、第3弾ブラジルのペット(犬、猫)フード産業の原稿が送られてきました。勉強家の麻生さんには驚嘆します。それにしても世界中には犬猫で8億匹いるとの数字には驚きですね。アメリカ、中国、ブラジル日本、フランスの順に飼われている犬猫が多いとの数字が上がっていますが、ブラジルには46百万匹いるとの事。これは何と4.-5人に1匹犬か猫が飼われている計算となる。夕方の散歩に如何に犬が多く飼われているか驚いていますが数字から行くと当然なのでしょう。猫を散歩に連れて歩いている人は余り見かけませんが家の中で飼われているのでしょうか?我が家にはどちらもいないので良く分かりませんが子供を育てる以上に経費が掛かるのではないでしょうか?教育費はいらないと思いますが。。。ペットフード産業が存在するとのこと。アフリカの難民とは一緒に出来ないと思いますが本当に八億匹のペットの数には驚きです。
写真は、いつもの通りGOOGLEよりお借りすることにしました。
 


ブラジルのペット(犬、猫)フード産業

はっきりとした統計は無いが、世界中の犬、猫の総数は約8億匹ぐらい、いるらしい。犬、猫ともに家畜として飼われた歴史は古い。ユダヤ教とイスラム教では犬は余り重用されていなかったらしいが、猫は重用されていたらしく、ロンドンの大英博物館のミイラの展示ケースに猫のミイラも副葬品として、展示されている。世界中の国で犬猫を最も飼っている国はアメリカ(2005年統計)で、犬68百万匹、猫73百万匹、合計143百万匹。
その次が、中国らしく推定では、犬猫合計で1億匹はいるのではと推測されている。3位はブラジルで犬31百万、猫15百万 合計46百万匹(2007年)。4位は日本で、犬12百万 猫10百万 合計22百万匹。5位がフランスで犬10,2百万 猫9,5百万 合計 18,7百万匹。(全欧州で犬31百万、猫47百万 合計78百万匹いるらしい)。AKF(アメリカンケネルクラブ)によれば、犬の登録種類は約140種類位いあり、
大きさ(重量)により超小型犬(体重5kg以下。チイワーワー、ミニピンシェル等)、小型犬(5−10kg。テリヤ、スピッツ、柴犬等)、中型犬(10−20kg、ボクサー、セッター、紀州犬等)、大型犬(20−45kg、セパード、コリー、ドーベルマン、秋田犬等)、超大型犬(45kg以上、セントパナード、グレートデン、マチチフス、等)に分類される。又、用途により,愛玩犬(プードル、マルチーズ、ポメラニアン等)、狩猟犬(ポインター、セッター、等)、警備犬(セパード、ドーベルマン等)、等に分けられる。一般的に、都市部では、愛玩犬、小型犬の飼育が多く、又、犬より猫の数が多いいようだ。
ペットフードの原料は、トウモロコシ粕、大豆粕、フスマ、小米、コウリャン、肉粉、魚粉、羽毛粉、鶏肉残さいミール、血粉、動物性油脂、炭酸カルシューム、塩、第二燐酸カルシューム、ビタミン、ミネラル等であり、それらを混ぜ合わせ、加熱して、エクストウルダーと呼ばれる、成型押し出し機でビスケット状に形を整えたドライタイプ(水分10%程度)が全体の生産の90%を占める。残り10%は、ウェットタイプ、スナックタイプ(干し肉、骨等)である。
―ブラジルでは犬を番犬として飼う傾向が強く、中型、大型犬の比率が高いようだ。ブラジルのペットフードの本格的生産は、1980年代に始められ、1995年より発展段階に入り年率12%の伸びを示している。1995年の生産は420千トン、売上高4億3千万ドルから、2008年は生産2030千トン、売上高32億ドルに伸びている。
メーカーの数(犬、猫のペットフード)も58社あると云われ、過去15年間のブラジルの成長産業の中でも最右翼の産業と云われている。
ブラジルのペットフードの年間の生産量
年度     生産量      売上高
1995   420千トン   US$ 4,3億
1996   550         4,73
1997   750
1998    960
1999   1000
2000   1172
2001   1234         
2002   1295
2003   1425
2004   1500
2005   1568
2006   1680
2007   1800
2008   2030       32億ドル
ブラジルではペットフード(市販)を餌として与えている所は全体の40%と見積もられており、残り60%は家庭内の残り物か、調理したものを与えられている。従い、ブラジルのペットフード(市販)の販売潜在力は年間3,45百万トン、売上高55億ドルと見積もられている。因みに、日欧米では、市販のペットフードを与えているのは全体の80%、
家庭内の残さい若しくは調理したものは20%の比率となっている。
国内の地域別販売は、南西部75%、南部12%、東北部7%、中西部5%、北部1%の比率となっている。サンパウロ、リオを中心とした地域の販売が圧倒的に多いい。
―ANFAL―PET(ブラジルペットフード工業協会)の会員数は128社あり(熱帯魚、金魚。小鳥の餌のメーカー及びデイラーも加入)その内、犬、猫用フードのメーカー数は58社と云われている。主要メーカー10社の2003年及び2008年の月間生産量のランキングを下記に示す。
メーカー名   2003年月間  2008年月間  主要ブランド
1)Nutriara 24千トン     40-50千トン Criador,Dogui ,Dog,Dunga,Fos
  ter,Full og,,Pitty,Pilkao,Pillki
                          nha,Ringo,Gatto,Pitukats.
2) Effem 13 9 Pedigree,Frolic,Kitcat,Whiska
3) Total 12 5 – 6 Big Boss,Max,Nero,K^S,Lider
4) Guabi 8 10 – 12 Natural,Sabor ida,Faro,Heroi
5) Nestle Purina 6 6 – 8 Purina, Tidty,Cat,Alpo,Benzo,
Cat Chow,Fancy Feast,Gatsy,
Friskies,Gatsy,Kanina,ProPlan
6) Supra 6 5
7) Socil 3 0,5
8) Primor 2,5 3
9) Fri-Ribe 2 1
10) Cargill 1 0,5
Kowalsky    不明 6
Admix = 7
Alisul = 5
上記のメーカーの他に、月間500−1000トンを生産するメーカーが約40社ある。
世界のペットフードの代表的メーカーである、多国籍企業のNestle Purina (2000年に USAのPurinaをNestleが103億ドルで買収済)やEffem(英国のRoyal Caninの企業)がブラジルでは、振るわず、現地企業に水をあけられている。現地企業の健闘を称えるべきか(特にNutriara 社― PR 州Arapongasの地場企業)それとも、ブラジルのペットフード市場は競合が激しく、利益率も低く、外資が嫌気を起こすマーケットというべきか首をひねる現象である。国際穀物マーチャントの雄、Cargill社などは年々シェアーを下げている。(原因不明)。
―ブラジルのペットフードの輸出入(2004年及び2005年)
年度          輸出量       輸入量
2004        35602トン   4780トン
2005        39109     4593
90年代の輸入量は年間3万トン台であったが、国内生産が増えるにつれて、輸入は減少してきた。逆に、輸出は増加している。輸出先は(2006年)ウルガイ向け19%、パラガイ向け11%、コロンビア向け10%、チリー向け10%、ヴェネズエラ向け7%である。一方、輸入は、アルゼンチンより95%、アメリカより4%である。
―ブラジルの税金と金利
ブラジルの一般的な事業経営の難しさは税金と金利の高さに集約出来る。
A) ペットフードの税金
ブラジルには60数種類の税金があるらしい。ペットフードに掛る税金は以下の通り。
―IPI(工業製品税―連邦税)      10,5%
―PIS/CONFIN(社会統合税―連邦)   9,4
―ICMS(販売税―州税)        18,0
―其の他                10,0
合計                  48,9%
小売価格の約50%が税金であり、流通経費25%、工業側取り分25%(原料、人件費、一般管理費、等が含まれる)の配分である。因みに、アメリカの税金は7,5%、ドイツは17%でしかない。
B) 銀行金利
ブラジルの銀行金利はサラ金顔負けの高金利である。恐らく、世界でも最高の金利高だろう。公定金利(銀行間金利)は年率12,5%であるが、spread(銀行の資金調達金利と貸付金利との差)は、何と年率34,88%である。先進国のスプレッドの11倍である。
(アメリカは3,13%、日本は1,47%、一番高いと云われているスペイン、イタリーでさえ6,5%)それでも、下がった方で、03年のスプレッドは43,7%であった。
この銀行金利の内訳は、09年2月1日付けFolha de S.Paulo紙のDinheiro欄の記事を借用すると下記の通り(貸付金利を100とした場合の構成)
―貸し倒れ引き当て金      37,35%
―銀行の利益          26,93
―政府への強制積立金       4,54
―諸税金             7,81
―銀行の一般管理費       13,50
―其の他             9,87
合計             100%
貸し倒れ引き当て金が多いいのは、陽気と無責任が共存するブラジル人気質からか、借り倒しが極めて多い事に起因するがこれだけの金利をふんだくっていれば、銀行が儲からない筈はない。08年の政府系銀行banco do Brasilの利益は88億レアル(約38億ドル)、民間銀行ナンバー2のBradescoの利益は80億レアル(約35億ドル)、政府系の連邦貯蓄銀行の利益は35億レアル,(約15億ドル)と巨額の利益を絞り上げている。
サラ金が腰を抜かしそうな金利が許されている、背景は、1)インフレの抑制―キャッシュフローを締める。 2)海外から外資の呼び込みー高金利を目当ての外資を呼び込む。08年9月よりの世界金融危機からは外資の逃亡を防ぐ目的も加わる。然しながら、政権(ルーラ大統領率いる左翼政権)と銀行団との癒着(選挙資金の供出と引き換えに高金利政策の維持)の黒い噂も強い。(資本主義の権化の銀行が社会主義政権のパトロン)。
このような状況下、経営は自己資本が充実している事が不可決であり、又市場に強力な影響力を持たない販売力の乏しい企業の生き残りは至難の業である。
以上
麻生
2009年3月6日



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