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【神戸市のイペー植栽の件について】 有隅健一先生の御提案
ポルトアレグレに咲くブラジルの国花、イッペーの花を日本、特に私の郷里神戸に咲かせたいとの個人的な思い入れもあり鹿児島の有り隅先生に実生の種の播種から1年半近く育て頂きこの4月にポットに移植〜鉢上げをして6月には指定の場所に送って下さることになっておりますが、この度有隅先生から神戸には既にその気候に合った立派なイッペーの花が咲いているのでそれをベースに種の採集、播種、苗の育て等を遣って呉れる同士を探すのがイッペー普及の最善の方法であるとのご意見で2度に亘って貴重なメールを頂いております。これをベースに今後の活動に生かし指針とするべく寄稿集に全文を収録して置く事にしました。
願わくば有隅先生のご指導を生かしイッペーを育て、普及してくれる同士が現れんことを切に望む次第です。
写真は鹿児島でイッペーを育てておられる前田久紀さん提供のイッペーを使わせて頂きました。


【神戸市のイペー植栽の件について】 1

和田好司 様

永らく失礼致しておりました。お許し下さい。

神戸市のイペー植栽の件について、本質的なことをひとつ申し上げておき
たいと、筆を執りました。

(1)これまでお引き受けいたしています6月時点での神戸市への苗の引き渡し
の件については、現在育苗中の苗を4月に入ったらポットに移植〜鉢上げをし
て、6月の期日までに指定に場所にお届けいたします。

(2)その最終時点でのポット数は、100本を目標にしていますが、現在は未定
としか申し上げようがありません。

(3)この1年間、和田さんの系統を育苗してきて、どうも遺伝的に脆弱なよう
な気が致します。少なくともこちらの気候の洗礼を受けたものは、同じイペー
でも、もっと丈夫です。

(4)それで、これからが私の新しい提案ですが;

(i)この4月、神戸市の有志の方に、すでに神戸市に植栽され、現に開花して
いるイペーのこの春の開花状況を個体別に観察して戴き、その中で最も見事
な開花をしている「数個体」を選んで戴く。

(ii)イペーは前年枝の頂端に花房を作って開花しますが、下枝などには花蕾
のない無駄枝があったり、また逆に1本の前年枝に3花蕾〜5,6花蕾もの花を
付ける場合もあります。

(iii)1本の前年枝にそれぞれ1花蕾が着生、かつ無駄枝がない場合、その株の
着蕾枝率は100%ということになりますが、1本の枝に数花蕾が付く場合、
着蕾率は100%以上がありえます。

(iv)着蕾率100%以上ということは、現実には中々難しいかもしれませんが、
とにかくこの4月、神戸市に現に植栽されているイペーの中から、上記の観
点から出来るだけ豊かに開花している個体を、何個体か選別して戴く。

(v)開花後2ヵ月もしますと種子が成熟しますので、これらの個体から採種し
て直ちに播種、苗を養成して、神戸市に植栽するようにする。

以上のようなことを、おやりになっては如何でしょうか。この方式ですと、生
態的には神戸市の気候にすでに馴化した系統を使うことになりますし、また
開花特性も最高のものを選んでいますので、我々がこの1年間企ててきた
計画よりも、遥かに優れた成果が得られるものと確信いたします。

この方式を、是非にとお勧めする次第です。

有隅健一


【神戸市のイペー植栽の件について】 2

和田好司 様

10日の前便には、舌足らずのところがありましたので、足りなかった分を補足
いたします。

この6月を目標に進めています現在の計画は、私の尺度(和田さん提供素材の
遺伝的素質)からしますと、とても十全とは言えません。

そのような中で、神戸市にイペーをという、和田さんのたっての夢を叶えて
いく一番よい方法は、前便で書いた方式が最善だと思ったのですが、その裏
には花蕾の耐寒性を無視するわけにはいかない、という問題がありました。

実は南国鹿児島でも、少し内陸部に入りますと、沢山の花蕾が着生していて
も冬の寒さのために総てが焼けて、春の開花皆無ということがあるのです。
つまり樹体よりも花蕾は耐寒性が弱いのですが、その樹体も日本のもっと
北の方になると、それ自体がやられてその土地には定着出来ないという
事態にもなります。私がこれまで何故口を酸っぱくして耐寒性のことを言っ
てきたか、お判りいただけたでしょうか。

神戸市でこの花蕾の低温障害がどの程度起っているのか不明ですが(この
花蕾の低温障害にも、遺伝的変異があるので、極端に弱いものはいかれて
いるはずです)、それはそれとして、現に豊かに開花する個体が神戸市の
街路で見つかれば、その個体は花蕾の低温障害耐性もあり、開花特性自体
もよいという、両方兼備の優れた個体、ということになります。

これが神戸市の現地で素材探しをお勧めした、最大の理由です。またその
ような素材探しの中から愛着も生まれるでしょうし、以後の育苗や現場への
植栽などの事業もスムースに進むようになる、と思います。このような適任の
方と育成場所を、神戸市における和田さんの人脈の中でお探しになる――
これが和田さんの一番大事なお仕事ではないでしょうか。

この4月の開花から優秀個体探しを、是非お始めになって下さい。

なお、イペーの種子には多胚現象という現象があります。その利用法も非常
に大事ですので、この新計画が進み出したら、その内ご教示いたします。

最後に、これは最初から申し上げていたことですが、私の余生の総てを打ち
込みたいと願ってきた夢の実現に全力投球したいので、この6月の苗の引き
渡しをもって、このイペーの件に関しては総て終り、ということにさせて戴き
ます。ご了解をお願いいたします。

有隅健一



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