麻生 悌三のブラジル不思議発見 (15) アマゾンのポロロカ
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麻生さんのブラジル不思議発見の2月1日号は、有名なアマゾン河河口に起こるポロロカと呼ばれる川の表面の逆流現象を取り上げています。これまでポロロカは、大爆音を上げて河そのものが逆流すると思っていたのですが、川の表面だけの逆流現象で本流が河口に流れている上を凄いスピードで(時速15km−60km)600キロ上流まで波の形で駆け上った記録があるとのこと。このポロロカ現象を利用した世界サーフィン大会が毎年3-4月に行われているとのことです。アマゾンの珍現象も麻生さんが説明すると科学的な現象として理解できる。ラプラタ河の河口(ウルグアイ側とアルゼンチン側)の砂の違いの解明も面白い。
写真も麻生さんが送って呉れたものです。
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ブラジル不思議発見 −15 アマゾンのポロロカ
アマゾン河の川の表面の逆流現象でポロロカと呼ぶ、潮汐により河の水が600km上流まで、遡る現象がある。現地のインジオの言語、ツピー語で大きな騒音と云う意味だそうだ。大潮の時に、河の水が膨張する海水にせき止められ、河の水が逆流する現象である。其のとき、発する、騒音をポロロカと呼んだ。地球は太陽と月の引力の影響を受けている。月の方が距離が近いため、月の引力の影響の方が大きい(太陽の倍)。一方、地球は自転しており、其の速さは、赤道上で毎時1666kmの猛スピードである(秒速約472m)。(赤道上の距離は約4万kmで24時間で1回転するゆえ、時速は1666km。南回帰線上のサンパウロ州では時速は、赤道の約半分ぐらいか)。 振り飛ばされないのは、地球の引力による。此の為、遠心力が働く。自転により潮の満ち引きは半日周期で変わる。遠心力により同じ重量の物体でも、南極で測った重さと、赤道直下で計った重さは異なる。南極で体重60kgの人なら、赤道では59,4kg程で約1%軽くなる。
海水面が最も高くなるのを、満潮と云い、低くなるのを干潮と云う。
一方、地球は月の引力の影響を受けて、月の正面の海面は盛り上がる(満潮)と同時に、地球の自転の遠心力の力により、月の真裏の海面も盛り上がる(満潮)。地球の両サイドの海面は下がる(干潮)。
1ヶ月に2度干満が起こり、新月(太陽、月、地球が直線に並ぶ)旧暦で月の初め及び満月(太陽、地球、月が直線に並ぶ)旧暦で月の半ば、のときは大潮(干満の差が大きい
)になる。
例年3月―4月にアマゾン河が雨季で増水した折、満潮が重なると、大きなポロロカが起きる。満潮で膨張した海水が、河口で河の流れを止め、膨大なエネルギーが衝突し、海水
が盛り上がり、表面水が逆流して河を上る。波の高さは、1−4m、速さは時速15−60km、到達距離は600km上流まで到達した記録があると云われている。(川底、川幅、物理的条件等、諸条件により波の大きさと速さは場所により異なる)。べレン市(海岸より200km上流)より130km南西にSao Domingo de Capimと云う名の人口4万の街がある。そこにGuama川の支流,Capim川が流れ、ポロロカ現象が起きる。(南緯1度40分、西経47度46分の地点)アマゾン本流を逆流した水が波になって支流に押し寄せる。
1999年からポロロカを利用した、サーフィン世界大会とめいうった、サーフィン大会が3−4月に催される。2003年に34分間に亘り川を12km逆上った記録も出ている。(川には流木等が多くサーフィンに危険もある)ポロロカは数波の波が時間を置いて連続的に押し寄せ、数kmの幅の高潮の壁が、アマゾン河を上る光景は壮観である。ポロロッカでの、サーフィンの難しさは、波だけが逆流しているのに反し、川水はその儘、流れている事である。波からはずれれば、たちまち、押し流される。
写真はポロロカとサーフィン及び月と干満の関係
付録 ラプラタ河の河口の砂の違い
地球の自転と遠心力の関係で、白い重い砂はウルガイよりに、粘土質の軽い砂はアルゼンチンよりに、振り分けられる現象が起きる。ラプラタ河口は幅220kmあり、自転の影響は、巨大な遠心分離機となり、河の流れはアマゾンと同じ茶褐色の上流のテラローシャの土砂の色が溶けた川水だが、川岸はウルガイ側は白い粒子の重い白い砂丘が続きます。しかし、アルゼンチン側の岸は粘土質の粒子の軽い茶褐色の砂浜となる。同じ川水が地球の自転と遠心力の影響で、遠心分離で砂の重さが分けられる現象である。
遠心分離の巨大な渦巻きは、南半球では、時計回り、北半球は反対の左巻きである。従い、ラプラタ河口のリゾート地は砂浜の白いウルガイ側に多く造られる。以上
2011年2月1日
麻生
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