山下晃明のブラジルで損せぬ法(260)、(261)、(262)8月、9月、10月号
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山下晃明さんの【ブラジルの実業】紙に掲載している息の長い経済論評「ブラジルで損せぬ法」は、ヤコングループのホームページにも掲載されているので『私たちの40年!!』ホームページへの収録は何時でも出来るとの思いがありついサボッテしまいます。山下さんが書かれるブラジル経済評論は、タイムログが生じてもその内容が色褪せない所が凄い。1年半近く前に雑誌に掲載された内容が今、読んでもその内容が真新しく感じる。経済を見る目がしっかりしているからで有ろう。
自民党参議院選挙で大敗。リオオリンピック開催決定等は、如何にも古い話題ですがそれでも読ませる内容です。
少し収録のスピードアップを図り最近の話題に追いつきたい。飛び越すには如何にも勿体ないコラムですので頑張ってみます。
写真は、今回も昨年の忘年会で撮らせて貰ったものを使用します。
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山下晃明のブラジルで損せぬ法(260)
G20でなくG8が理想的と思う
世界の難問は、もはやG8の手に負えずG20になるといわれているが、私はそうは思わない。G20では途上国の意見が多くですぎて会議しても何もまとまらないし、20票の多数決ではG8の総意、8票が否決される可能性もある。どうしても増やすならG15にするべきだ。また緊急問題を即決するにはG8程度の小人数の円卓が理想的である。
ただし、何でも過去の同じG8メンバーが決めるのでなく、それぞれの問題によって、影響力のあるG8メンバーを決定し後はオブザーバーとする方法はないだろうか。
その問題の当事者か原因の責任者がメンバーでなければ、責任も感じないし、話し合っても何も解決しないからである。
例えば経済問題ならGDP順位の上から8国、貿易黒字問題なれば外貨準備高の上から8国、温室効果ガス問題であれば排出量順に上から8国、原子力兵器削減問題であれば兵器量の順に8国といった具合である。G8に洩れた国は不満だろうが、G20のメンバーは裁判員のような強力アドバイザーになればよい。
トップまで上り詰めたら辞めるべき
サルネイ上院議長の不正疑惑問題は2ヶ月の休職処分で留任と決まったと報道された。おかしいのは、議長に辞任を付きつけた4野党が、PTを取りこめず失敗したとみると要求を撤回して休職を容認した。仕返しを恐れてのことであろう。元大統領だから、マスコミに顔も利く、発言力も強く、どうしても汚職の誘惑も多くなる。対策として大統領経験者が政界内の要職に就任するのを禁止するべきではないだろうか。
同じことは日本でも言える。たとえば今の自民党には元首相、元幹事長が多すぎる。こちらも発言力が強いから、1つの組織としてまとまりがつかないだろうし、その意味で麻生さんは非常にやりにくいことであろう。
政界にはなぜOBが現職にいるのだろうか。企業で元社長が重役会に何人もいるようなもので、これでは新社長は改革的なことは何も決定できないであろう。
アルゼンチンは大丈夫か
2010年に132億ドルの借款返済の義務が生ずるがアルゼンチン政府が払えるのは80億ドル程度で不足分約50億ドルは国際市場から融通する必要があろうのニュースが流れている。
同国は2001年のデフォルト以後国際金融市場より締め出されている状態で、今回はヴェネズエラのチャーヴェス大統領が救済するかどうか疑問で、最悪、再度の債務支払い不履行宣言を行う可能性があるというものである。
ブラジルの経済、特に貿易と為替は陸続きの工業大国アルゼンチンに大きく左右される。貿易量では中国、米国につぐ世界3番目の相手国であり、貿易決済に35億ドルの為替スワップを提供しているが、昨年実績で往復309億ドルになる。
ブラジルの対アルゼンチンの本年上半期の貿易収支はアルゼンチン向け輸出が昨年計の176億ドルから49.4億ドルに、輸入が133億ドルから49.8億ドルに下がって、昨年の43億ドル黒字から赤字に転落した。
これはアルゼンチンの輸入規制によるとこが大きいが、皮肉なことにブラジルが減らした分を中国が輸出を増やしており、同国の貿易収支面での改善は見られない。
なお車両の場合、IPIの減税で、ブラジルの輸入が増え、本年上半期にブラジルはアルゼンチンの生産の約半分を輸入している。
ただし過去3年の経常収支推移でみるかぎりむしろアルゼンチンの方が比較的堅調安定しており、グラフに見るように2006年13.6億ドルの黒字から2007年1.7億ドルになり、2008年には28.2億ドルの赤字に急降下のブラジルの方が心配である。
経常収支(単位10億ドル)
ARG BRA MEX
2006 7.7 13.6 -4.4
2007 7.1 1.7 -8.3
2008 7.6 -28.2 -15.7
他の指数も見てみると
対外債務残高(単位10億ドル)
ARG BRA MEX
2006 61.1 172.6 160.9
2007 70.8 193.2 182.0
2008 64.9 198.4 194.2
外貨準備高(単位10億ドル)
ARG BRA MEX
2006 30.9 85.2 76.3
2007 44.7 179.4 87.2
2008 44.9 192.8 95.1
外貨直接投資(単位10億ドル)
ARG BRA MEX
2006 18.8 19.1
2007 34.6 27.2
2008 45.1 18.6
輸出(単位10億ドル)
ARG BRA MEX
2006 46.5 137.5 249.9
2007 55.8 160.6 271.9
2008 70.0 197.9 291.3
輸入(単位10億ドル)
ARG BRA MEX
2006 34.2 91.4 256.1
2007 44.8 120.6 281.9
2008 57.4 173.2 308.6
貿易や為替政策の推移には過去の歴史を分析することが重要となるが、参考までアルゼンチン、ブラジル、メキシコ3国の貿易収支の1985からの推移を見ると、
1987までは3国ともに貿易収支がほぼ同程度の黒字、当時は中南米の3大工業国として、事務機や自動車の3国分担製造の計画があったほどである。その後アルゼンチンとブラジルはハイパー・インフレになり、メキシコは89に貿易収支が赤字に転落、アルゼンチンも92年に赤字に転落した。
ブラジルは90年3月に突然預金を凍結し、物価も凍結した。コーロル・プランは結果的に失敗したが、この瞬間マジック的経済ショック療法は高インフレのアルゼンチンにも飛び火した。91年カバロ蔵相はアウストラルで予備期間を置いて物価を凍結し、92年に1万アウストラルを1ペソにして対ドル1ペソとした。ブラジルのカルドーゾ蔵相は94年にURVという架空通貨の助走期間を置き、7月に新通貨1レアルを約1ドルに設定した。
このアルゼンチンの対ドル1ペソ政策は、増え続ける貿易赤字をブラジルが永久に受け入れねばならぬ経済システムを意味していたため、貿易収支の大赤字急増を支えきれなかったブラジルは99年1月に切り下げで調整した。これらをきっかけにアルゼンチンの対ドル1ペソ政策も挫折し2002年3月には対ドル4ペソになり外債の75%がデフォルトとなったのである。
一方、94年にNAFTAに加入し、2000年にはEUともFTAを締結したメキシコは、98年以後貿易量は増えたものの、貿易収支は毎年平均83億ドルの赤字を続け、今回の金融危機で貿易赤字は再び過去最悪のレベルまで下がっている。
CDS残高下がる
ISDAによると、世界に2007末62兆ドルといわれ今回の金融危機の主因とされたCDS(Credit default swap)の残高が2008年6月末54.6兆ドルに下がり、2008末の残高は38.6兆ドルとほぼ2006年末の水準にまで下がっている。まだ地雷はすべて取り除かれてはいないがCDSの清算は思ったよりハイピッチで進んでいるようだ。
山下晃明のブラジルで損せぬ法(261)
CDS残高危機少し遠のいたか
米国発金融危機で、当時世界が驚愕したのはCDS(Credit Default Swap)の世界残高が2007年末で62兆ドルにもなっていたことである。OECD(経済協力開発機構)加盟国のGDPの総計が50兆ドルほどであるので、税収を2割としても年10兆ドル、CDSの62兆ドルが全部こげつくと、OECD加盟国の税金のすべてを数年注ぎ込まねばならないと恐怖観を植えつけられたものである。
その後財政出動が世界で12兆ドルほど実施されたとされるが、当時集計に時間がかかっていたが、2008年6月時点でCDS残高は59.6兆ドルに、12月末で38.6兆ドルにまで下がっていた。
最近ISDA総会で発表された2009年7月の残高は26.5兆ドルと、思ったよりも下がっている。
これは不良債券を買い集めて新債券を作って売った証券会社が安全のためCDSを買ったのであるが、その新債券を買った会社がさらに新新債券を発行するときに再びCDSで保険をかけたことが想定される。CDSの集計額は売り手、買い手次の売り手、買い手と重複していることになり、CDSで損害を蒙った保険会社か証券会社が政府基金を受けて不良債券処理をすると、その何倍かのCDSが同時処理される残高減少が進んだと想定される。
金利と為替の真の自由化を
ルーラ大統領、金利からインフレ価値修正を取り除くのはインフレ率の低い今がチャンスですぞ。インフレの予想率は誤差が多いから、これを上乗せした金利では利率による市場操作は大変リスクがある。
為替レートも、今が平価制定の絶好のチャンスである。
NYCのブラジル銀行の輸出業者の積み立て残高は1年前4億ドルが現在40億ドルになっていると聞く。仮にNYCの伯銀のドル預金残高がどんどん増えて、レアルを持っていけば無制限にドルに換金できるようになれば、米国にはヤミドルとか旅行ドル貿易ドルといった差別はないから、換算レートは一本になり今の国内貿易レートより高値になる。
これすなわち平価の設定、真の国際為替レートである。現在レアル高を防ぐために中銀がドルを買っているが、レートを一本化すればそのような操作は無用にできるのである。
アルゼンチンのペソが3.80と1ドル4ペソに近づいている。一方のレアルは1.80程度であるから、2倍強である。
両国の対ドル3ペソと3レアルのとき物価はアルゼンチンの方が半値であったから、いまや4分の1の安さになる計算である。
国境の為替差を放置すると、周辺の住民は家具、食糧、燃料、娯楽なにでも相手国へ行って買うようになり、このとき払ったレアル通貨はドルかペソ貨に換金され、外貨の流出となる。ここにもヤミドルとか旅行ドル貿易ドルといった差別はないから為替は一本化する。
NYCの伯銀、アルゼンチンやウルグアイ、パラグアイなどの国境含め、もし為替レートに差があると、ただ運ぶだけで無限の利益となるから、儲かる方向に大量資金の流出がおき、最終的には切り下げでもせぬと収まらなくなるのである。
プレサル開発
政府はプレサル開発石油関連法改正案を90日期限付きの最優先議題として議会に提出、骨子は公社「ペトロサル」を設立しペトロブラスに政府が50億バレルの採油権で出資する。従来のロイヤルテイのほかに特別参加料が連邦政府に50%、州に40%、市に10%が払われるが、これで政府がペトロブラスの筆頭株主に戻る。ただこの増資が行われた場合ペトロブラスの外国株主からの増資用出資金335億ドルの外資が流入し為替市場に悪影響をあたえると心配している向きもある。
プレサル開発は海岸線から数百キロメートル沖合いの水面下6〜7000メートルの岩塩下層の採掘で、現状では基本的な技術問題もある。これは本格掘削が2013-20年であるから、それまでに掘削技術革新が起きると楽観的に見ることもできるが、数千億ドルといわれる関連経済の権益やペトロブラス株の取り決めが先走りして来年の選挙運動に利用されている嫌いがある。
世界的な失業者増加
世界的に失業者増加が問題になっている。
失業率は、労働力人口に対する失業者数の割合である。先月号でも触れたが国内総生産は給料、家賃、利子、利益の総和であり、米国発金融代不況の対策が、申しあわせたように縮小均衡のリストラのみでは給料の総額が下がりGDPは決して増えず、市場が縮小し失業者がさらに増える結果となる。
日本
7月の失業率は5.7%、過去最悪であった。日本の場合製造業が2割程度の過剰人員を「雇用調整助成金」で230万人かかえている。電機業界や百貨店業界では今から人員削減の報道があるが、製造業の従業者数を全体の18%として、その2割減、3.6%の社内失業者をかかえており、これを加算すると実際の失業率は9.3%になる。
金融不況からは抜けたというが、日本の全国紙の広告が雑誌と書籍ばかりになっているのが気になる。
米国
8月の雇用統計による失業率9.7%、1983年6月以来の最悪の水準となった。金融機関の営業損益の状況はいまだ危機的の様相である。
フランス
3月の失業率8.7%、2002年の労働法で労働時間を週35時間に短縮しているが、それでも失業者が減らず、失業率は2004年10%を超え、週3日勤務を義務付けていたときもあった。
ドイツ
6月の失業率は7.7%、2004年の失業率は10%以上、旧東ドイツの失業率は18%台で同時期の西ドイツは9%台であった。
英国
6月失業率7.8%、なおEUの金融危機救済は財政援助が遅れており、金融機関危機を含んでいる。
ロシア
5月失業率9.9%
ブラジル
7月IBGE発表の失業率は8.0%(ただしサンパウロ市14.8%)
PT議員から労働時間を週44時間から40時間に下げるため憲法改正の緊急議案が出ているが、反対者も多くどうなりますか。
日本の衆院選の結果
自民党の完敗は、飯田亨先生の数年来の予測どおりで驚きではなかったが、今回は国民が、過去を一掃して再出発せねば日本の未来はないと考える人が増えたのであり、戦後の政・官・民癒着の官僚支配のシステムを嫌い、どことでも連立して数合わせの与党自民党に愛想をつかせ政権交代を望んだ選挙であった。天下り機関など古いシステムの撤廃を望んでいるが、国民は必ずしも民主党に過度の期待はしておらず、たとえ初期の運営にもたついたとしても、一応の政権運営能力を見せ真剣に改革に取り組む姿勢を見せさえすれば、旧体質の自民党には政権は戻らないと思うのである。
天下り廃止には、税金の使途の透明化、予算の見直し、企業献金の廃止を含め、先ずバックにある金の動きを止めるのが一番効果的であろう。
自民党もここで反省し、内部大改革をして強力な野党として復帰し、日本が真の民主主義国家になることを期待しよう。
日本人チームのスピード処理力
全国選挙の開票速報をTVで見ていたが、1日で完了したのには驚いた。日本の選挙は電子投票ではなく記名投票であるから、開票作業には時間がかかると思うのだが、基本方針が徹底されていて、ノウハウを共有して迷うことなく正確に実行できる人が全国の市町村に存在することを意味する。
8月11日の静岡沖地震で地盤が大きく崩れて無くなった東名高速道路上り線を2、3日で復旧させたのにも驚いた。テレビで事故現場を見たとき、これは突貫工事でも1ヶ月以上かかるなと思ったのだが、設計力、材料供給力、現場の工事施行能力、臨機応変の現場監督の能力、チームワークは戦闘力といえる能力である。
政治は3等国かもしれないが、技術力とやる気人間の豊富さは驚異を通り越して、周辺の国で凄さを感じたところもあるだろう。
日本の内需の海外進出
日本の市場が少子化で成長が見込めないから外食産業が中国進出の報道があったが、食品、雑貨、スーパーなどの東南アジアへの進出が盛んである。東南アジア16カ国のGDP合計は9兆億ドルを超え日本の2倍に成長している。中間所得層のみをねらってもかなりの消費市場になると思われる。キーポイントは日本や欧米市場向けの商品でなく、アジアの中間層向けの商品を開発し供給することと思われる。
山下晃明のブラジルで損せぬ法(262)
リオデジャネイロ2016年オリンピック
しかしルーラ大統領はついている。今までリオは、オリンピック歓迎の垂れ幕を空港などに掲げていただけだったが、「あと2499日」のカウント・ダウンとなった。
オリンピックの経済的効果は数100億ドル以上、直接投資150億ドル規模とのことであるが、この資金をどこから調達するかはこれからの課題として、2014年ワールド・カップに続き2016年オリンピックと国際的大イベントを2つ継続してこなすと、港湾施設、交通手段、通信、宿泊施設、警備体制、スポーツ施設などが整備される。新幹線もワールド・カップだけでは建設が間に合わない恐れがあるが、オリンピックには間に合うから推進されるだろう。建設や整備などすべてがワールド・カップへの投資がそのままオリンピックにも生きるのだから、リオを含めたブラジルが一大様変わりすることは間違いない。
治安面でも、前回の1992リオ環境サミットのときは、州知事が市内の公園に住み着いていた浮浪者を一掃したが、今回はすでにファベラのポリス・ボックスを2010年までに、現在の4カ所から47カ所に増やすと発表している。
期日の決まっている国際的イベントは、国家予算獲得や融資にもっとも説得力のある大義名分であり、リオの政治家は大喜び、空港や港湾施設、新幹線、メトロ、高速道路、競技場などの建設事業で建設業も大喜び、多数の訪問者や選手団を受け入れるホテルや観光関連業者も大喜び、もちろんスポーツ関連業者も大喜び、地デジを含むテレビ製造の関連業者はこの期間笑いが止まらないであろう。
国としては猛烈な資金が必要になり外国に頼る必要があるだろう。ただ、外貨獲得で中国と違うのは、世界の雑貨品製造を一手に引き受けるほどは、ブラジルの人件費も製造コストも安くはないから、工業品輸出で必要な外貨を稼ぐのは期待できない。
資源輸出と農畜産の輸出でうんと外貨を稼がねばならないが、例えば石油価格は今後上がるとは限らず、プレサル開発がうまくいくかどうかも不安はある。新幹線計画350億ドルなど大型建設事業に伴う外国からの融資が不可欠になるだろう。
いずれにせよ外貨が流入すればレアル高になるのだが、少し流入が増えるとすぐレアル高になるのは商業ドルなど、限定された市場で相場が決定されるためで。買い支えをするよりは先に複数為替を一本化して平価を設定し、価値修正を含まない金利にせねばならない。
ルーラ大統領どの、ブラジルが本格的な国際社会の一員になるには、オリンピックまでに実施すべきです。
株価が上がっているが
BOVESPA指数が64000を超えた。外国人投資残高(単位百万ドル)も増え続けている。ムーディーがソブリンの格付けを1ランク上げて投資適格国に投資対象国のランクに格上げした。プレサル開発へのペトロブラスが2020年まで1110億ドルの投資、これにワールド・カップとオリンピックが加わればまだまだ外資は入ってくるだろう。
BOVESPA 外国人投資残高 倍率
2008年5月 72,592 264,155 3.6
2008年6月 65,017 260,275 4.0
2008年7月 59,505 252,742 4.2
2008年8月 55,680 232,280 4.2
2008年9月 49,541 172,213 3.5
2008年10月 37,256 124,090 3.3
2008年11月 36,595 115,672 3.2
2008年12月 37,550 123,089 3.3
2009年1月 39,300 134,587 3.4
2009年2月 38,183 122,068 3.2
2009年3月 40,925 130,897 3.2
2009年4月 47,289 152,290 3.2
2009年5月 53,197 181,955 3.4
2009年6月 51,465 185,989 3.6
2009年7月 54,765 207,078 3.8
ペトロブラスのプレサル事業への増資を政府は採油権で投資するが、外国の株主は増資に応じないと持ち株比率が下がるので、増資額335億ドルほどを現金で応じざるを得ない。伯銀も外資に20%まで開放し近く増資の可能性がでてきた。
現在実に多くの企業がブラジル向け投資を計画しており、しばらく外資のブラジル流入が続き、株価は上がり、レアル高になる予想であるが、一方財政出動のための税収減、石油価格値下りによるペトロブラスの赤字など不安要因もあり、ひとたびインフレにふれるとレアル安になり投機資金は即引き上げるシナリオも考えられるから、順風満帆ではないかもしれない。
米国発金融危機はもう一度繰り返す
注意せねばならないのは、米国発金融危機がもう一度繰り返すおそれがあることである。赤字の投資銀行は破綻したが、なにしろ市中銀行がマネー資本主義の担当ディラー込みで吸収しており、危機再発防止策も具体的にはいままで何も施こされておらず、誰も処罰されず、丸秘の運用ソフトも破棄されていないのである。財政出動で銀行救済に出た資金は、いまや銀行内部にいる金融危機の張本人、すなわち旧投資会社のディラーたちの手によって、前より注意はしているだろうが、まずBRICsに投資して株価を上げ、これら市場が上がりすぎたので相対的に安くなった日本や、米国の株式市場にも流入している。株価はすでにバブル気味であり、これでは、もう一度大調整が必要となるだろう。
サブプライム債券ソフトとは
CDSの世界残高が26.5兆ドルに減ったとしてもリスクは、破綻率7%として1.86兆ドル、また20%とすれば5.3兆ドルが破綻の可能性があることになる。
債券ディラー間に健在しているサブプライム債券丸秘ソフトとはどんなものであるか。リスクの高い債権を、A社の債券B社の債券と特定しないで、例えば破綻率が20%とすると、20%に達するまで破綻した債券を切り離すと残りは優良債券となるの上澄み理論である。
例えば破綻率20%であれば、破綻20%を分離してCDSにスワップすると発行側はリスクなしになるの思想である。CDSを提供する側からすると破綻ほぼ確実の債券に付保することになるので、たまったものではないが、これでAIGなど保険会社を米政府が税金で救済することになったのである。
破綻率20%の債券を次々と追加しても、確立計算では、全体ではやはり20%のリスクであるが、だんだんエスカレートして、昨年後半のように不良債券が不足して破綻率のもっと高い債券を混入すると、実破綻率は20%より上がって優良債券として分離したものまで破綻することになる。
欧州などにはサブプライムの債券をまだ保有しているところが多いと聞くが、興味あるのは破綻率が高くとも必ず破綻するのではないことが債券の性質である。したがってすでに破綻した債券を政府資金などで補填してしまい、他のリスクの少ない債券を混ぜ合わせると破綻率は20%以下に下がり、20%以上の上澄みは優良債券に戻ることになる。
日本の温室効果ガス25%削減策に思う
鳩山政権は温室効果ガスを1990年の25%に削減を国際的に誓ったが、これまで各業界で、これほど努力しても全体では数パーセントも増えているのだから、各自が少しづつ減らした程度では25%の削減は不可能である。その内10%を海外クレジットで達成するとしてもその資金調達が必要となる。
国内では現状以上には減らない部門もあるから、部門によっては50%〜70%削減するような手も打つ必要がある。国民の意識作りには、年に何日か温室効果ガスゼロの休日をつくり、病院以外は、昼間だけでも電気も止め、電車も止め、車の走行も止める日をつくると、近所を散歩か読書しかすることがなく、温室効果ガスゼロとはどんなものか実感でき、空の美しさと大自然の良さを再認識するのではなかろうか。
また最初はどこかの小人口の島か村で、ガソリン車まったくなし、全ての家を風力か太陽光発電にした魔法瓶ハウス、徹底的なエネルギーの節約で、温室効果ガスゼロのモデル村を作って、マスコミや観光客に開放すると、温室効果ガスゼロが認識されやすくなるのではなかろうか。
なお円高は輸出産業にとっては致命的な出来事であるが、円高はどうしても輸入せねばならぬもののコストが下がるし、外貨でみると、日本国の資産の増加であり、GDPも増えるし、対外援助額も増やす効果があるので、むしろ甘んじて受けるのが国として得策と思われる。
民主党の政策で気になるのは、いかに税金の無駄使いを止めても天下りを廃止してもそれだけでは景気は良くならない。体制、地方との格差、好不況に関係なく、いかなる状況であろうともGDPは給料、家賃、金利、利益の総和であるからである。
地方の再生も、ふるさとの郷土食や民芸品、農産物の直販などをマスコミがよく取り上げているが、そうではなく地方にエプソンのような国際企業、GOOGLEやMICROSOFTのような新時代の国際企業を創設することをめざすべきであろう。
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