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山下晃明のブラジルで損せぬ法(266)、(267)、(268)2月、3月、4月号
山下晃明さんのブラジルで損せぬ法のバックナンバーを『私たちの40年!!』HPへの掲載作業のスピードアップを目指し必ず月初めに3回分を掲載すると決めているが7月分も少し遅れてしまった。
こうして1年以上前の記事を読み返しても取り上げている話題が目新しく古い新聞を読むような感じはしない。事実としては確かに過去のものであるが、その捉え方はしっかりしており時間の経過を感じさせない。確かな物の捉え方をする習慣を身に着けているようです。昨年の4月号の締めにはこう書いている。『確かにワールドカップやオリンピックを控え、向う4年間に2740億レアル以上のインフラ投資計画があり、プレサルの開発投資もあり、農業は豊作というが、労働法、税法、行政などの構造改革がまったく進んでおらず、今年は選挙に入る。レアル高で貿易収支の黒字は落ち続けているが、いまや物価は米国よりも高く、工業ではアジアの新興国に比較しても高金利などあまりにもブラジル・コストの障害が多すぎる。 』写真はお馴染みの山羊ひげの山下さんです。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(266)
今年のカーニバル前は特別暑い、連日40度を越えている。外に車を止めると、クーラーから熱風が吹き出し、しばらく入れない、聞くところによるとサンパウロもポルト・アレグレも40度に近いそうだ。一方でワシントンなどでは111年来の積雪というから、地球の回転軸が狂ったのだろうか。
リオの治安好転か
リオの殺人件数が減ったと報道された。人口10万人あたりの殺人数が、2002年の46.4人から2009年34.6人に減ったというのである。自動車盗難も2006年34491台から2009年25036台に減っている。たしかに交通の取り締まりは厳しくなっている。飲酒運転取り締まりのレイ・セッカもあるが、一例として、リオのバッラ地区の交通臨検などは、その前の信号のカメラで車の番号を調べてIPVAの滞納や罰金未納のある車のみを狙い打ちしているらしく、「効率よく」停車させてTAXIまで検挙している。止められたら、ほぼ確実にレッカー車で撤去され、引き取りに1日費やされると覚悟する必要がある。
カーニバルには豪華客船が3隻も入港しているが海外ではリオの治安が好転したと報道されているのだろうか。
ブラジルの政治経済にかげり
1月の貿易収支は僅かとはいえ1.7億ドルの赤字になった。レアル価値が下がって為替が1.8レアイスになっているが輸出が伸びるかどうかまだ未知数である。ブラジルの為替レート設定はユーロの影響が強いが、ギリシャやスペインが金融危機でユーロの水準が下がっている。
選挙前後から、金利の上昇(公共債務が対GDP比43%に増えているのに上半期に金利が上昇する可能性がある。)、インフレの昂進(1月になって多くのサービス料金がインフレ以上に値上がりしている。サンパウロの最低賃金が10.89%上がった。)、貿易収支赤字(1月は1.7億ドルの赤字)、税収の減少、経常収支の赤字(過去2年連続赤字で12月は59億ドルの記録的な赤字で2010年は400億ドルの赤字予想)、財政収支の赤字転落(2009年は3.34%の赤字、プライマリー収支は現在対GDP比2.06%の黒字だがIMFの推薦目標値の3.50%以下である。)外貨流入減(2009年直接投資額は対前年比29%減、金融投資は増加を続けているものの今後の状況によっては急遽引き上げの恐れがある。)、これらの結果として外貨準備高の減少、その他対外要因として、EUの金融危機、米国の金利上げ、中国のインフレ金利上げ、万博後の体制の変化などが同時に起きる可能性もある。2011年のブラジルの政治経済は油断できない。
リオの怪! 市の「音楽の殿堂」
2日のオ・グローボ紙に400日も放置されていると大きく報道されたバーラ・デ・ティジュカ地区のリオ市の音楽の殿堂(Cidade da Musica)今日通ってみたら、パワーショベルが入って何か始めたようだ。工事再開か。
ここは2002年に工事を始めてから、毎日前を通るので、特に興味があるのだが、まず、ラ米最大の1800人が入るミュージック・ホールである。当初の予算は 8千万レアイスだったが、5倍以上の4億3千万レアイス使っても完成しておらず、仕上げるには総額7億レアイス必要になるだろうといわれている。
2008年末、当時のCesar Maia市長(任期が12月31日まで)が12月17日に予定したオープン・セレモニーは消防署が、構造が安全基準に達していないの理由で許可しなかった。観客席が高い位置にあるのに、非常時の逃げ道が無く、急きょ非常階段を2つ建造した。何れも急な階段でこれにどっと押し寄せたら危険階段になる。クリスマスには間に合わず、メイン入口へのまがり道は工事中であったが、どうにか27日にオープンし、当日市長が挨拶のとき、転倒したのが各紙に大きく報道された。
予定より4年遅れて、今までに予算の5倍、5億レアイスを出費、Via Amarelaという空港へ行くハイウエイ建造より金がかかっていると物議をかもしだしている。なにしろ、この巨大な建坪8万7千平米の建造物を、下から足場を組んでコンクリートで天井を張る工法を採用、全体が鉄骨の足場で真っ黒になり、最初は軍艦でも建造しているかと思われたほどだった。
デザイナーはフランス人のChristian Pontzamparcで、曲線が多く殆どの柱は斜めに立っている。工事が如何に大変であったか想像いただけると思うが、天井の厚みはコンクリートで1メートル以上、バッラ地区は海岸に近いから砂地でこの重量を支えねばならない。
オ・グローボの創立者である故Roberto Marinhoへの敬意を表して当初“Cidade da Musica Roberto Marinho”という名前であったが、氏の遺族が名前を使うのを拒絶したといういわくつきの代物、果たしてどういうことになるのでしょうか。
本格的電子端末の時代に
米アップル社が3月にiPadを発売するとのことだ。ゲーム機、電子書籍、iPhoneなどのスマートフォン、iPodなどのデジタル音楽プレヤー、シネマ・ビューワー、ネットブック、ノートパソコンのすべてに殴りこみをかける商品で、価格も手ごろである。この種の発売時に品不足になるほど売れるヒット商品は、一昔前は日本の専売であったのが、今は米国製であるのは少々寂しい。この意味では米国の商品開発力はまだ廃たれていないようだ。
米アップル社はメモリー・チップに付加価値を付ける発想で2001年に音楽用iPodとして売り出し、大成功したが、今回はディスプレイに付加価値を付けた商品ともいえる。  
電池が実に10時間も長持ちし1回の充電でほぼ終日使える。3Gインターネットに7.2Mbpsでつながり、Wi-Fi802.11nにもつながる。サイズ24x19cm 重量700グラムのコンピュータというよりもゲーム機、電子書籍端末を合わせたようなものだが、iPhoneで使用した指先で画像を回転させたり、写真を拡大縮小できる操作簡単のすぐれものである。
最近GOOGLEなどの無料機械翻訳が非常に良くなっていて携帯でも使えるが、どんなに処理が多い重量級翻訳ソフトでも、中央のサーバーに置いて、入力と処理後の出力を表示するだけであれば、どの端末でも使えるわけで、これらの端末は言葉のハンディを超越することになるだろう。同様に、これからクラウド・コンピュータの時代になればOSもサーバー側に置くだけだから、通信端末のみで立派に仕事のパソコンとしても使えることになる。
なおディスプレイに付加価値を付けた商品といえば、最近シネマの館内ポスターが紙からディスプレイに変わって動く画像になっている。シネマはもともと画像だから、紙にカラー印刷するよりは映像で見せる方が簡単であるが、40インチのカラー・ディスプレイが割安になって、壁に縦にして埋め込むことで、このようなことが可能になった。下部に写真が並んで出る場面があって、子供がなでると連続写真が次々と走るではないか。iPhoneの機能そのまま拡大のポスターである。読めたぞ。未来のポスターは見る人と接点ができて、好みにより表示が変わるのだ。
伝統芸能や工芸の復活、ふるさと再生
戦後の日本の政治経済は、安保体制も含めて老朽化した。とにかく今までのやりかたではだめで、何か変えねばならないことを感じた国民は自民党に見切りをつけ、新政権民主党の大改革を期待している。改革・変革というがまだ方針が全然見えない。一言で言って未熟な外交、だが今からでも遅くない。国内外が快哉と叫ぶようなアイデアを発表するべきである。
最近、漆、織物、焼き物、その他伝統的工芸が何か現状打開の秘策のように報道されているが、何か勘違いしていなさる。江戸時代に戻ってどうするのか。これらはすべて過去回帰であって、未来の革新的なモノを見つけ出す能力がないからそのようなことを言っているだけだと思う。
東海道53次や浮世絵の版画は伝統芸能であったか、違うのだ、作成した画家は当時としては、もっとも進んだ考えの人たちで、新しい絵の具を使い、最も進んだ印刷方法で、革新斬新的なデザインと構図、筆のタッチで、世界一の美術に仕上げたのであって、過去を見習ったのでは決してないと思う。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(267)
リオ・カーニバルは「ウニーダス・ダ・ティジューカ」チームの4度目の優勝となった。今年のリオのカーニバルは特別暑く、連日40度を越え16日の気温は41.8度と本年最高で、観測開始以来の最高記録1984年の43.1度に迫った。
マイアミ
カーニバルを逃げ出してマイアミに行ってきた。不動産バブル時代に、ダウンタウンにょきにょきと建った下の階が商業で上がアパートの高層ビル群は、中止したもの以外はどうにか工事を終えていたが、ほとんどが月賦未払いとなり、入居者はなく、銀行が担保物件としてかかえているようである。さらに値下がりで不良資産になっており、銀行不況の根は深いようだ。
高級不動産は現在最盛期のおよそ半値になっている。今買えば一番高かったときの半値で買えるが、問題は将来値上がりするかどうかだ。
銀行サービスの微妙な時代変化四態
その1・銀行の顔が無くなってしまった
金融危機後、株主も経営者もマネージャーも何度も入れ替わる銀行で、口座の所有者に対する銀行の顔が無くなった。例えばキャッシュ・カードを受け取り、ACTIVEにしないでまた口座も入出金動かさないで放置しておくと銀行のコンピュータが口座を閉鎖するのである。従来は口座のマネージャーがいてお客の顔を知っていたが、今はよほどの高額預金者か借金でもしていないかぎり見知らぬ預金者として、コンピュータが自動切捨て管理をしているのである。
その2・担当者が近くにいない
銀行のクレジット・カードのサービスで、払い込みなどに問題が起きると電話してもラチがあかない、おそらく地方かインドかどこかで電話を受けているのだろう。
R銀行のカードをB銀行で払ったが、支払い督促の電話があって、入金していないことが判明した。カード会社に電話して、何回も同じことを言わされ、何回も待たされ、やっと担当者が出てきて、払った証拠書類をサンパウロのカストマー・サービスにFAXしろという。FAXした後にて電話確認したら同じ金額がまだ未払いとなっている。またもカード会社に電話して、何回も同じことを言わされ、何回も待たされ、やっと担当者が出てきて、48時間待てという。2日後に電話確認したが、まだ同じ金額が未払いとなっている。
怒り心頭、R銀行のマネージャーのところまで文句を言いにいったら、コンピュータを見て未払いになっているという、S銀行と統合中で処理が遅れているのだろうから心配ないというのであるが・・・
その3・トラブル対応に時間がかかる
T銀行の小切手をA銀行にDEPOSITした。明細書を見ると2日後に戻っている。A銀行に電話したら小切手の現物が戻るまで待てという。T銀行にも連絡したら預金した日に引き落とされているという。本件はまだ調査中だが、銀行の担当者もコンピュータを見るだけで、それ以上は何もできない時代になっている。これではサイバー銀行と同じことで、むしろそちらの方が人がいないだけ経費が安くて良いことになる。
その4・現金を受け取らない
AAのエコノミー・クラスは機内で飲む酒に金をとるのだが、今回驚いたのは、ドル札を出しても受け取らない、カードのみ受け付けるというのである。カードを渡すと無線で引き落とし、もちろんサインなど面倒な処理はない。
小銭の集金をカード会社に完全委託してしまったのであろう。現金を受け取るとつり銭やその保管、集計など乗務員の仕事が増えるが、カードのみになればその仕事をカード会社に完全にまかせることになるのである。
欠点はカードのない人は酒が飲めなくなるのであるが、日本でも道路通行料ETCの課金はカード会社からくるという。カード会社が銀行を超えた広域集金業務のプロになりつつあるのであろう。
実に奇妙な時代の変化、限りなく無料に
情報が限りなく無料の時代になりつつあるようだ。アップル社のi-Phoneを持っておれば、車のナビゲータとして使える。GPSの位置信号も受信するのである。ナビゲータは出始めは1000ドル以上もする高額商品であったから無料というのはどうも納得できない妙な感である。
興味あるのは買ったi-Phoneの機械の中にこのような機能が入っているのではなく、インターネットの方に地図の機能があり、それにGPS信号を受信できるから、ただで使えるのである。
今までは最初のソフトを買い、更新されるたびに改訂版を買いなおさねばならなかったのが、無料で更新するのである。
Google Mapなど世界地図にはその場所の風景、職種、店名、電話番号などが表示され、距離などの表示と、もちろん検索もできるがインターネットでただで使えるのである。それも刻々データは追加されるのである。思想的にはOSのクラウド時代のさきがけである。
また主な空港の発着便の掲示板がそのまま見られて、いつも話中で電話のかからない航空会社に何便は何時に着くかと問い合わせの電話をかけなくて良いのである。
もちろん航空券の購入や便や席の予約もできる。カメラやビデオカメラを内臓しており、その処理も指先で簡単にできる。
i-POD以後は音楽ソフトの版権は無くなったと同然になったが、4月に米国で発売されるというi-PADが出ると、ビデオ、シネマ、書籍、新聞、雑誌などもただ同然になるのであろう。それぞれの機能が、以前はかなりの使用料を払っていたものが、すべて限りなく無料に近づくのである。
今の時代の儲けかたが変わったようだ。今までソフトを開発して売り、その更新版を課金する商売をしていた人は、商売のやりかたも思想も根本から変えねばならないやっかいな時代に入ったようだ。
温暖化効果ガス排出に思う
日本政府は2020年までに、主要な排出国のすべてが温暖化対策の新たな枠組みに参加することを前提に1990年より25%削減する温暖化対策基本法案を閣議決定したが、ガソリンなど化石燃料に広く課税する「温暖化対策税」を平成23年度に導入、企業の温室効果ガスの排出に上限を設けて過不足分を売買する「国内排出量取引制度」、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーの割合を2020年までに10%に引き上げ、電力会社にこうした電力をすべて買い取るよう義務づける固定価格買い取り制度なども含んでおり、環境と経済の両立をもくろむとある。
またNHKテレビを見ていると三井化学は、自社の工場で排出する二酸化炭素に水素を加え、触媒を使ってプラスチックの原料となるメタノールを作り出す技術について、大阪・高石市の実験プラントで150トンの二酸化炭素から100トンのメタノールを安定して生産できることを確認したと報道していた。減らしたい二酸化炭素を原料にして大量消費するのは実にたのもしい案である。
業種別に量を一番多く温暖化効果ガスを排出するのは発電であるので、発電所の地中深くに二酸化炭素を埋める技術、世界で一番進んでいる製鉄所での廃棄ガス処理技術、電気自動車の電池のサイクル技術、海底油田の洋上で火をつけて燃やしている天然ガスを洋上でLNGにする技術、降り積もった雪を保存して冷房に使用するとか、日本には次から次へと削減アイデア技術が出ているようでたのもしい。鳩山さんは戦後のトランジスターではなくて現代の二酸化炭素削減技術のセールスマン宰相となるとよい。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(268)
多極体制を可能にするのは高速通信
 NTTのクラウド・コンピューティングのテクノロジー・トレンドの講演に参加する機会があって、大変勉強になった。興味あったのは、世界は従来、米日欧の3極であったのが、BRICs諸国や韓国、メキシコ、東欧を含めた多極体制になり、相互供給、相互依存になるがそれを可能にするのは高速通信機能であること。
多極体制になると経済の環境変化の急変に対応可能な伸縮性のある経営が必要になる。すなわちある事業またはある国の市場への参入や撤退を頻繁に決断することが必要になる。当然財務諸表も月次からオンタイムに変わっていく。
売り上げのピークや急なデマンドにも即対応するには固定費観念を捨てて、売上額に応じて出費し、従量課金制で臨機応変に対応する流動的な経営が必要である。
これらの対応にはクラウド・コンピューティングが最適で、従来企業のITシステムの構築に多大な投資と準備期間が必要であったのが、クラウド時代になれば、ある業界のプロセスや法規制はほぼ類似であるから、それほど特殊でなければ85分ほどで出来てしまい、巨額の投資の必要はなく使った時間の使用料で払うことになる。
この意味では大企業も小企業も格差がなくなっていくことになる。
 3月19日の日経新聞によるとNECも地銀向けの共同サービスの提供を始め、料金はデータ処理量に応じた従量制にして、メインフレームを自行で導入するより20%安く提供するとあった。
電気自動車でも電池のレンタル商法
米国のプライベート・ベンチャーキャピタルが、車体のみを売り、電池はレンタルにしてスタンドで丸ごと交換するシステムの実施をはじめると報道された。
電気自動車はガソリン車よりかなり高価だが、そのコストの約半分は電池である。
 電気自動車の欠点は充電時間の長さと走行距離の短さだから、充電に時間をかけずにスタンドで電池そのものを交換するのはひとつのアイデアである。この場合、車の所有者は電池が自分の財という感覚を持ちにくいから、車体のみを売り、電池はレンタルにするのは理にかなっている。バッテリーのリース料金は通常のガソリン代とほぼ同水準になる。タクシーなど一日に何度も交換する必要がある業種には最適だろう。
なおこれを実現するには、自動車メーカーとバッテリーメーカーの協力、バッテリーの規格の標準化が不可欠となる。
iPadの発売
4月3日米国で発売、初日30万台売れたというiPadはクラウド時代の端末として、極めて期待されている。当然アマゾンのKindleや他の携帯なども、これに刺激されて改良されるであろうが、使う側からすると、簡単な端末を持ち歩くだけで大型コンピュータを備えた移動事務所の時代になることである。
インターネットの通信スピードが毎秒10ギガビットになれば家庭でも壁テレビ会議は当たり前、プラスチックの光ファイバーが完成すれば毎秒40ギガビットが達成され、シネマ1本1秒で転送が可能になるといわれている。まもなく端末を送信施設に近づけるだけで新しいコンテンツの瞬時の受信転送が可能になり、将来は新聞や雑誌、書籍も紙に変わってこれで受け取って読むようになるであろうとされている。
世界の新聞や雑誌各社もiPad版の対応を、取り合えずは90日間スポンサー付きで提供するなどで、試行錯誤しながらも、カヤの外にならないよう努力している模様である。いまや検討している時間の余裕はなく走りながら考えるしかないのである。
例えば米Wall Street Journal紙はiPad版を月17.99ドルの購読料金を検討しており、ちなみに印刷版が月29.08ドル、Web版が月15.12ドルである。
New York TimeやNewsweek誌なども発売後90日間のCoca-ColaやFedExなどとの広告パッケージの契約もあり、iPad版には広告も掲載される模様だが最終的な位置づけや適正価格は模索中といったところである。
iPad版が印刷版やWeb版に対してどういう位置付けになるのか、どういう料金になるのかまだ不明だが、すでに印刷版またはWeb版を契約している購読者から見るとiPad版の月額17.99ドルは高すぎるの声もあるようだ。
他のiPad版の新聞/雑誌も強気の価格設定からスタートする可能性を指摘されている。現在有料の印刷版のコンテンツをWeb版では無料配信している多くの新聞/雑誌がiPad版をどのように課金するか、デジタル新聞市場は2015年に130億円といわれているが、Twitterなどで24時間刻々無料送信される1行ニュースの市場の受け入れ度も配慮する必要がある。デジタルのモノは遅かれ早かれ無料になる傾向があると予想されているからだ。
なお「iPad」が富士通が米国で2003年に業務用情報端末で商標登録していたという愉快なニュースがある。
株や商標で儲けるのは、本来は欧米側が先生である、師を上回る日本か、IT関連で文字数の少ない単語に「i」を頭に付けて商標登録しておけば将来儲かることまちがいなし。
アップルは07年にも高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の商標で、先に同名を登録していた米シスコシステムズから提訴され、両社ともに商標を使えることで合意した経緯がある。
実に奇妙な時代の変化、限りなく無料に
これを題材にした「FREE」という本が昨年末ごろから話題になっている。クリス・アンダーソン著で2009年7月英語版発売と同時に2週間限定で無料ダウンロードを許可した。30万人が無料ダウンロードしたが、有料の方もベストセラーになった。日本でも1万人限定で無料公開したがその後16万部売れてベストセラーとのことだ。
発売前の出版のプロの予想がこの種の本はよくて2万部とのことだから時代は変わったものだ。
無料の歴史は1895年にジレットが安全カミソリを発明したが売れなかったので、安全カミソリを無料で配ばり、替え刃で儲けることを考え付いたのが始まりらしい。
次に起きたのはラジオや新聞に広告を入れて、広告主に負担させる無料放送である。
近年になって、不正コピーを防ぎきれなかったマイクロソフト社を初めとするソフト・メーカーはブラウザなどの無料提供を黙認することになった。この思想は「どうせ不正コピーを使うのなればわが社のものを使ってくれ」である。
結果、有償の販売も増え、偽物の存在が本物の良さを証明し助ける結果になっている。
さらにデジタル世界ではメモリ・ハードと単位あたりの送信料が、年50%減という驚異的なコストダウンが起き5%のユーザーからさえ料金を取れば残りの95%は無償提供しても黒字にできることになった。
5%は少ないように思えるが、もともと自然界の成功確立は低いもので、タンポポの種やクロマグロは一回の産卵で1000万個の卵を産む。そのうち成体になるのは10個、人の卵子までたどりつく精子の数の割合も極めて少ないが、自然界とは無駄が多いものなのだ。
Wikipediaやアマゾンのブックレビューは無償である情報を得るために、無償で、まったく関係ない他の人のために情報を入力する労働を提供する相互システムである。
YouTubeやTwitterはまだ儲け方を見つけていないフリーで。現段階は世界一の市場獲得、既成事実に努力をしている途中というのだ。要するにデジタルのモノは遅かれ早かれ無料になる。この変革を拒む勢力はフリーの猛威に沈められるというのである。
株式とレアルは加熱しすぎ
JPMorgan とスイスのUBSの重役がブラジルの株式とレアルは加熱しすぎのバブル現象で来年は調整を余儀なくされるだろうと警告している。米国発の金融危機で日本を始め先進諸国がゼロ金利とか金融を緩めており、金融機関の余剰資金がブラジルやBRICsなど諸国の投信などに過剰に流入しているのは間違いない。
ブラジルは貿易収支の黒字が急減で経常収支は7か月連続月平均30億ドルの赤字であることを忘れてはならない。今は資本収支の黒字がそれ以上あるから収まっているが、インフレ傾向で公定金利上げの動きもありレアル安にぶれて、さらに先進国の出口政策が始まると投機外資の急きょ引き上げで株価が暴落することも予想される。
確かにワールドカップやオリンピックを控え、向う4年間に2740億レアル以上のインフラ投資計画があり、プレサルの開発投資もあり、農業は豊作というが、労働法、税法、行政などの構造改革がまったく進んでおらず、今年は選挙に入る。レアル高で貿易収支の黒字は落ち続けているが、いまや物価は米国よりも高く、工業ではアジアの新興国に比較しても高金利などあまりにもブラジル・コストの障害が多すぎる。
その意味では一部にいわれているように盤石とはいえないところがある。



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