HOME  HOME ExpoBrazil - Agaricus, herbs, propolis for health and beauty.  Nikkeybrasil  編集委員会  寄稿集目次  寄稿集目次  通信欄  通信欄  写真集  リンク集  準会員申込  em portugues




山下晃明のブラジルで損せぬ法(272)、(273)、(274) 8月、9月、10月号
山下さんの実業のブラジル誌連載の経済記事も大分遅れを取り戻して来ました。今回は、272-274(昨年8月ー10月号)です。毎月初めの収力は、来年初めには終了する事になりそれ以後は3ヶ月毎に収録して行くことになりそう。
今回は、ブラジルクストへの言及が面白い。税金、金利とインフレ、労働法を上げている。深海油田開発の為にペトロブラスが増資を実施しているが、『プレサルは2000メートルの海底からさらに5000メートルの岩塩層の下の油田開発で、技術的には未知の部分もあり、海底油田事故のリスクもあり、かなりコストが高くなる可能性がある。 』と警告していている。
『100歳以上の老人に思う』 と云う彼の提言も一考の価値がある。それにしても20数年間毎月原稿を書いて来た持続力に感心する。
写真は、数年前にリオの飛行場で撮らせて貰った写真が見つかったのでこれを使う事にする。


山下晃明のブラジルで損せぬ法(272)

サンパウロとマナウスの空港が麻痺
ワールドカップ特需だったかもしれないがマナウスとサンパウロ、特にサンパウロは空港も港もカーゴの取り扱い能力がパンクした。 
7月に入り、サンパウロのグアルーリョス空港は貨物が滑走路にもあふれ、到着便のMANTRAコンピュータ処理が5日も遅れるような事態になった。2014年や2016年のワールドカップやオリンピックの乗客対応も必要であるが、工業の方でも自動車や家電を初め各社増産、中国、韓国勢の新規進出も増えており、今でも空港のカーゴ取り扱いの限界を超えているから、今後さらに混雑することが予想される。空港施設公社INFRAEROを民営化の話はあるが、急遽、カーゴ専用空港を新設するぐらいの手を打たないと輸出入を増やすことはできない。このままではブラジルがBRICsで最悪の混雑し通関に時間のかかる国になるだろう。工業のオンタイムの部品供給など不可能になり、ブラジル・コストはさらに高いものになるだろう。
 ブラジル・コストといえば、ルーラ政権のばらまき政策で確かにC、Dの所得層が増え、相対的に国内金利も下がったので長期の月賦販売が可能になり、この層をねらった商品開発や販売強化が行われている。しかし一方で北伯、北東伯で不渡り小切手が増えている事実にも注目する必要がある。不渡り率は平均2.52%1991年以来の記録だが、特に北伯5.39%北東伯3.96%となっている。
自動車は各社ともに途上国専用の小型車の開発を進めており、国内では、米国金融危機以降の1000CC以下の小型車へのIPI免税2000CCまでは6.5%の減税など免税措置があったこと、先進国では考えられない高利子の取れる自動車長期ローンへの参入者が増えることもあって、販売が急増している。
ひとたび経済ショックが起きると、これら多くの低所得購入者が月賦を払えなくなる事態も想定しておかねばならぬが、少なくとも現時点では急増を続けている。
インフレ警戒
インフレ指数7月のIGP-DIが発表された。0.22%と低水準だが渦去12カ月では5.88%である。4月2.95%、5月4.38%、6月5.07%と増えている。年末まで増加が継続する傾向がありここしばらくは要注意だ。6月の支払い手段M1は1.7%増で、M1の過去12ヶ月累積は15.52%増と少し緩んでいる。
周囲を見渡すと、世界的な異常気象、天候異変で穀物農産物などの価格が上がっており、輸入食品は値上がりになる。ブラジルの消費市場をめざす企業進出が増えており、マネージャークラスや技術者などの人材不足が起き始めている。月収1万レアイス以下では入手困難といわれているが、さらに不足になる恐れがある。 
あまりにも多量の外貨が入るために株価は高騰し、不動産はバブル傾向だが、レアル高の影響も噴出すると思われる。
すでにレストランなどは米国や日本よりも高くなった。バス料金も日本の方が安いという人がいる。
不動産価格が潤沢な流入資金で値上がり、建設ブームでセメントも不足、関連産業に値上げの傾向がある。空港タクシーなどドル以上の調整を希望するサービス業からの値上げ圧力がある。外貨の引き上げがあると為替がレアル安にぶれ、これも輸入品の原価高になる。選挙後来春以降が危ない。
為替高で工業製品輸出が半減
ブラジル外国商業協会(AEB)によると本年のみで工業製品輸出を270億ドル失っており、2000年には輸出総額の58.91%あった工業製品輸出が現在40.52%に落ちている。加工度の高い技術を必要とする工業製品の輸出の減りは深刻で、10年は168億ドルの赤字が予想される。一方で、一次産品は22.79%から42.38%に増えている。
貿易収支の過去12ヶ月累積は2007年5月以降黒字が減り続けており、現在はわずか193億ドルの黒字で、輸出よりも輸入の方が増加率が高く来年中には赤字に転落の可能性もでてきた。
IMFが年次報告で通貨レアルは過大評価としているが為替水準を適正に保つ必要があるだろう。
工業製品の輸出を失うことは、付加価値を失い、それに伴う税収を失い、雇用を失い、開発技術、生産技術も失う結果となる。
BRICsの中でも工業製品の輸出努力が一番劣っている。新興国に必要なのはやはり工業力で、鉄鉱石など一次産品に頼っていると将来国土に穴のみが残ることになろう。
経常収支の赤字が危機ラインに
経常収支は238億ドルの赤字で、現時点では対GDP比がマイナス2.5%であるが、これが3.5%を超えるとIMFが警告を発するので注意して見守る必要がある。
現在は、経常収支の赤字額以上の資本収支419億ドルの黒字があるので均衡しているが、欧米の金融危機にたいする低金利援助政策は効果なしとする中期見直しの動きもあり、投機外資は先進国の出口政策で、いつ引き上げるか予想できないので不安定要素である。
6月の海外からの直接投資は25億ドル、過去12か月累積は6月まで372億ドルとなった。国内の外貨フローは、貿易で6月は8億ドルの赤字、ファイナンスは35億ドルのダブル赤字で差し引き43億ドルの流出になったが、6月の外貨準備高は2531億ドルと記録更新である。
100歳以上の老人に思う
日本では100歳の老人の孤独死や行方不明など悲しい社会現象が報道される。本来は家族が面倒をみないといけないのだろうが、長寿社会になって介護する人も高齢になる問題もあるのだろう。だが100歳以上の人数は限定的だし、人生の功労者でもあるのだから、地方自治体にまかせないで、やはり国が面倒を見るべきと思う。
たとえば100歳になると国から100歳クラブの背番号と首にかけるチップ入りカードをもらい、交通、病院など診察はすべて無料、どこを放浪しても、全国どこの病院へ行っても、どこかで倒れて介護施設に運び込まれても、誰がどこにいるかトレースできるようなシステムはできないだろうか。
自然界の毒を考える
メキシコ湾のBPの原油流出が問題になっているが、原油は別に人類が作り出した毒ではない。もともと自然界にあったものである。人間が掘らなくとも地震などで流出する恐れがあるものと思われるが、それとも今回のように大量流出は純粋に人間の失敗になるのだろうか。
自然化には常に薬も毒も平行してある。毒きのこ、毒草、毒果実、などいったい誰のために存在するのであろうか。生物が間違って食べて死ぬためにあるのであろうか。創造主がわざわざ作ったものであろうか、それともたんぱく質の右利き左利きのような単純な異質物質のいたずらだろうか。考えてみると自然災害も洪水の水も台風の風も大雨の雨も大地震も火山噴火も特殊なものではなく規模が大きいだけで自然現象である。異常高温も異常低温も、すこし過去の平均値より規模が逸脱しているだけである。温暖化のCO2も別に化学製品ではない。自然に常にあったもので、ただ最近は少し量が増えているだけである。
国会議員定数削減に思う
菅政権は衆議院の比例代表の180の定数を80削減、参議院の242の定数を40程度削減する方針で、ことし12月までに与野党の合意を目指すという。
定員を埋めるために適当でない人を選出するよりは定数を減らした方が良いとは思うが、民主主義の選挙で棄権、白票などを投じる人は投票すべき候補者がいないと意思表示しているのではないだろうか、すなわち「白票さん」に投票しているのである。定数が当選してしまうと選挙結果は投票者の意思に反映していないことになる。なれば投票の白票率に応じて自動的に議員数を調整すればよいのではなかろうか。
日本からの巨大投資はないものか
7月末ポルトガル・テレコムはVivoへの30%の出資持ち株をスペインのテレフォニカへ75億ユーロで売って、37億ユーロでOiに実質23%ほど出資すると発表した。
ややこしい持ち株会社経由の取得ではあるが、スペイン、ポルトガル両国は真剣にブラジルの通信業界に投資しており、リーマン・ショック以来のEUの潤沢な低金利資金をブラジルの通信業界に持ち込んでひと儲けしたように見える。日本からも数10億ドル単位の巨大投資の話はないものか。
ブラジルにおける日本は、市中銀行は総引き上げ、電話会社もない。乗り入れ航空会社もなくなるのではあまりにも寂しいではないか。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(273)

先進国の金融緩和はレアル高の原因に
米国や日本が金融緩和をする度にブラジルに大量の外貨が流入し、株価や不動産が値上がり、レアル高になるようだ。この迷惑関係になってから久しく、こちらの輸出業者やドル収入のサービス業者はあえいでいるのである。
外貨準備高は毎月記録更新、ブラジルは順風満帆で、最近は日本の中小企業の進出検討のための市場視察が相次ぐが、視察に来る人のブラジルに対する考え方が楽観的すぎるのではと不安を感じる。流入過剰の投機資金はことあると一挙に引き上げる恐れがある、株も皆が動くときはもう遅いというから、折角の企業進出ブームに水をさすようで申しわけないが、一人ぐらい警告を発していても良いのではと思っている。
ブラジルコストの雄=税金
恒久消費財に販売価格の50から60%の税と、酒たばこ並みの税金を払って商工業が正常に機能するであろうか。ブラジルの税制は世界一煩雑で、50何種類と数も多く、税率も高く、サービス業でさえ22%もの売上比例税が存在する。(ISS・PIS・COFINS・CSLL・IRなど計22%があり、コストを30%割増しする必要がある。)
ポルトガル王朝以来、外資には搾取されるの被害妄想意識と警戒心がブラジル側にあり、国は脱税されることを前提として税率税法を設定しているとみるむきもある。従ってきちんと納税する外資には不利な条件となろう。
当地の税金は、2重課税、3重課税といった巧妙な手法で徴収される。例えば卸価格でICMS、PIS/COFINSなどは売値に含まれてIPI税は売値に課税される。すなわちICMSの税額にもIPIを払う2重課税構造になっているのである。さらにちょっとしたエラーに莫大な罰金を払わされるシステムであることも忘れてはならない。
ブラジルコストの雄=金利とインフレ
肯定金利は10.75%で据え置かれたが、銀行の販売手形などの割引金利は月2%以上である。2.5%として60日の手形を割引くと5%の利子負担となる。これを売値に含めると、すべての税金が比例して上がるのである。
すでに年末にかけて昂進の気配が出ているが、怖いのがインフレである。ブラジルの利率にはインフレ率が加算されているから、例えば月に1%のインフレになると前述の割引金利は月2.5%から月3.5%になる。すでにインフレで値上った価格に、増えた利率の利子が加算され、その分またもすべての納税額が増加するという相乗効果損が発生するのである、月1%のときはそれほどでもないが、インフレが間違って月3%になるとどうなるか、純利益がふっとぶ恐ろしいことになるのである。
世界一高い実質金利は、外資の流入がなくては国家が維持できないの恐怖感で金利のインフレ目減りを補填する金利政策を引いてきた。貸す方と銀行には有利だが、借りる方の工業などは非常に高い利子を払わされ、長期融資など受けられないことになる。
ブラジルコストの雄=労働法
世界一労働者に有利な労働法、奴隷時代の農園主は利益をむさぼっていると考えられてきた時代には労働者保護も必要であったが、いまや企業主は世界危機下に借金して社員の月給を払っているのであり労働者過保護になっている。労働訴訟で労働者は虚偽の訴訟をしても罰せられることはなく、先進国に仲間入りするには、まずこの労働法の改正が必要である。しかしながら改正は労働党が反対するから実施は極めて難しく、労働党しか変えることはできないとルーラ大統領に期待していたが、誠に残念なことについに手をつけずに政権を終わりつつある。裁判件数が増えて労働裁判所のビルを新設するよりもまず労働法の改正が必要だと思うものである。
ブラジルが先進国の仲間入りには
ブラジルがBRICs通じて、世界の先進国に仲間入りして工業発展するには、最小限次の措置が必要である。
・金利のインフレ修正をやめる。
・為替を完全自由化する。
・税制改革をして単純明快かつ公平な税制にして税率を世界の平均レベルにする。
・労働法を世界の常識レベルに改正する。
・教育レベルの向上
最低この5つが実行されねば将来はないと断言できる。
以上ブラジルの問題点を述べてきたが、日本のエネルギーや資源不足など5つの不可避の条件とはことなり、ブラジルの場合は不可避ではなく、施政者全員がその気になれば、明日からでも改善可能である点がブラジルの未来価値といえるだろう。
アジアの工業化に貢献した日本
日本はだれもが知るとおり、エネルギー供給国ではない、資源供給国ではない、食料供給国でもない、この条件で教育と技術で戦後世界第2の工業国にまで発展したが、今はそれに少子高齢化、人口減少と、低賃金工業労働者不足のマイナス3条件が加わり、今の日本はこの条件で将来どうするかというアイデアが必要と叫ばれている。
現在の日本工業は中国、韓国が脅威というが、自動車と家電工業は元来、日本がアメリカから取り上げて自分なりに消化したものを、中国、韓国、台湾、インド、タイ、ヴェトナムなどとアジア全体に広めたと考えるべきではないだろうか。その意味では日本はアジアに対し太平洋戦争では欧米の植民地からの解放と、先方はそう思っていなくとも、アジアを工業国への転身させるための2度目の貢献をしたことになる。
日本に必要な未来計画
日本で記録的な円高が続いている。日本のマスコミは輸出企業など円高で困っている事象のみを報道するが、円高の国益、輸入品 値下がり、海外の資産購入、海外投資、海外投機をする人、海外旅行をする人などの話はあまり報道されない。
日本の施政者は、正しく、世界における日本の立場を理解し、日本の生きる道へ導く必要がある。円高を是正する必要があるのだろうか。かりに円安に誘導してもアジアへの工業移転の時代の流れが止まるだろうか。農業生産物の市場開放の外圧が弱まるだろうか。世界はすでにエネルギー、資源、食料などの獲得戦争に入っていると見るべきである。
時代の変化の流れを受け入れて、それを逆手にとるアイデアが必要である。現在輸入にたよっているそのエネルギーの代替案、その資源を輸入しない代替案、その食品を輸入しない領海内養殖や海洋資源開発など代替案、小子化老齢化を逆手にとる妙案的な社会構造、機械化自動化し極めて効率的な老人介護、中小企業の量産レベルまで効率化した医療制度、低賃金労働者を使わない工業政策などだ。方針をまず決めた後に、それに適応する法律改正、教育方針、施設建設、金融、為替政策などの環境を整備するために積極的な投資を行うのが役割ではないだろうか。
時代の大変革がおきると、時代の流れに乗れない犠牲者が出るのはいたしかたなく、これは新しい流れとは別に救済措置を設けるべきではないだろうか。
日本の政治の貧困さ
政治の貧困さは、政治家が個人的裁量で節約さえすれば日本が救えると思っていることである。実は節約では日本は救えないし、全体の計画なしのカットで裁量者の主観が入ると危険ですらある。
土木工事を如何に削減しても、天下り役人を如何に削減しても、予算を如何に削減してもだめで、将来のために使わなければならないのである。円安に誘導しても、小作農業を補助しても長続きはしない。
何度もいう。GDPは誰がなんといおうと、如何なる主義、経済政策、好不況とは別に、単純に国内で払われる給料、家賃、利子、利益の総和なのである。この4要素の総和を上げないかぎり、如何なる政策でもGDPは増えないし納税額も増えない事実を理解するべきである。
今の日本人は選挙で、精練潔癖で無為無策の人を選びだそうとしているように見える。昔マッカーサーが日本人の精神年令は小学生といったそうだが、平和日本はいまやそれ以下で、悪さもしないが何もしない赤子のような無垢な人を首相に選ぼうとしているのではないだろうか。
戦争であれば、まじめにがんばるだけの隊長に付いていくと玉砕するだろう。国のリーダーにはもっと運が強く、気転のきいた説得力、明るく愛嬌のある人材を置くべきではないだろうか。未来をどういう方向に誘導するか決められる人をリーダーに据えなければ、沈みゆく日本丸と運命を共にすることになるだろう。
選挙運動で、「私は非常に強運な男だから日本は私に任せなさい」という人が出てこないものだろうか。

山下晃明のブラジルで損せぬ法(274)
統一選挙1次選結果
統一選挙、大統領は1次選では決まらなかった。上院下院議員は、与党が順調に伸び、上院は81人中53人で65.4%が与党、下院は513人中、与党が352人で68.6%という与党大勝となった。
憲法改正に必要な票数は66.6%であるから新政権は労働法など改正できる最後のチャンスの政権となろう。労働法の改正は労働党に決行してもらわないと、他の政党が政権のときには労働党が反対するから実現できないことと、憲法改正の必要がある。
ブラジル・オペの最大のネックとなる労働者過保護の労働法を世界の常識的な労働法に改正してもらいたいものである。
一方州知事選は実に18州が1次選で決まった。興味深いのは商工業生産が上位のサンパウロ、ミナス、パナマ各州が野党のPSDB党の勝利となった。この3州のみで税収は全体の51.8%も占めるのである。
政権与党のPTはバイア、リオグランデ・ド・スル、セルジーペ、アクレ各州しか獲得できておらずそれらの税収は全体のわずか6.7%である。連結与党全体で11州を押さえたとはいうものの税収では32.3%、うちリオ州を除けば11.8%である。さらに決戦投票へ移行が首都10.2%と残り8州の2.4%がある。
以上より経済力で見ると知事選では与党は負けており、今後は野党の州知事発言が国会が暴走しないように牽制する唯一の勢力となる。
日系はリーダー不在
今回の選挙で、日系の連邦議員は3名を保ったとはいうものの、サンパウロでは18人が立候補し、現職の2人がそろって落選、新人が2人当選、経験ある連邦議員が再選されないと対ブラジリアへの発言力は高まらないだろう。日系コロニアのリーダーの不在と戦略のなさが浮かび上がる。
日本人老人の平均年齢は79歳とのことで、ほとんどがリタイヤ組、資金力も影響力も伴わないのだろう。
無茶苦茶なレアル高
実に対ドルレートは1.6レアイス台、ホテルの換金レートは1.50である。中銀が市場介入を続けているが一向にレアル高は止まりそうにない。為替はペトロブラスの増資、ヴァーレ・ド・リオ・ドーセ社などの起債が本年8月まで133億ドルなど猛烈な外資の流入が行われレアル高は進む一方である。中銀は金融取引の取引税(IOF)を2%から4%に上げたが、その効果もまだ出ていない。実際には短期の投機出入はその都度送金せずにある期間デビクレで行う投信もあるようで効果に疑問があるが、税金が上がるとそれをならすために投機の期間を延ばさねばならず、長期投機のリスクが大きくなるから嫌気で投資減の「風と桶や」的な効果はあると思われる。
中国元、円、レアルも含め世界の通貨は異常なレートになっている。自由経済市場は自由為替と、中央銀行の金利で管理されているのだが、現時点では世界的に管理不能になっている。為替はそれぞれの国が決めるのではなく、外から定めねばならぬのではないだろうか。それ以前に為替と利子のみで経済を管理する基本的考え方が間違っているのではないか。為替と利子以外に新管理手法はないものか。仮に世界の通貨が統一され、金利も統一されたとしたら、国力差はどうやって管理するのか。
国際分散製造の供給拠点国
新興国向け世界大衆車製造計画が各社で進んでいるが、製造拠点はタイ、インド、メキシコ、中国などで分担製造の計画のようである。だがブラジルは有名なブラジル・コストの弊害で、国内市場への販売は重要視されても、国際分散製造の供給拠点国とはみなされていない。
煩雑極まりなくかつ高率の税制、港湾や輸送インフラの絶対的な不足、最悪の通関の煩雑さと時間ロス、移転価格税制、長期融資が受けられない高金利など、あまりにも障害が多すぎる。新政権が積極的に改革に手をつければよし、でなければ国際戦略からとり残されるだろう。
興味あることは先進国が2桁上といったような極端な国による格差はなく、余り変わらぬ規模の製造となる傾向がある。
自動車生産量(百万台)
  2010 2016予想
中国 13 21
日本 8.5 9
米国 7 10
ドイツ 5 6
インド 3 5.5
ブラジル 3 4.5
タイ 1.5 2(急増の予想)
世界計 70 90
先進国と新興国の生産台数は2010年でほぼ均衡、今後は新興国の方が増えるから戦略の分岐点となるだろう。
大衆車はゲタになりつつある。品質も価格も下がる一方で、おそらく日本メーカーは大衆車にはついていけなくなるのではないだろうか。
また電気自動車製造は必ずしも自動車メーカーに向いているとは思えない。
ペトロブラス増資
ペトロブラスは海底油田プレサルの50億バーレル開発への1320億レアイス増資を9月30日に行った。9月16日既に株を所有する株主に34%の権利予約期限、さらに新規購入希望者予約期限9月22日と鳴り物入りで公募したが、昨年末から30%以上株価が値下がりしており、9月にはいってからも株価の値下がりが続き、公募価格よりも実価格の方が安くなり、予約は弱含みとなった。増資の結果は政府系が持ち株比率を39.8%から48.27%に増やして終了した。9月の金融為替は145億ドルの入超となった。
プレサルは2000メートルの海底からさらに5000メートルの岩塩層の下の油田開発で、技術的には未知の部分もあり、海底油田事故のリスクもあり、かなりコストが高くなる可能性がある。
 筆者の予想としては、世界中で今のピッチで毎年ガソリン使用車が増え続けるかは、サンパウロとリオを見るだけでも疑問があり、廃棄ガスの環境問題もあるから、世界的に大衆車はもっと小型の電気自動車になるとかの技術変化が起きると考える。従って2014年以降には急速に石油エネルギーの代替が進み、石油は余り始め、プレサルの生産が本格化するころはコスト割れになるシナリオもあると考えるべきである。
円レートが81円台に
円レートが81円台になっているが日銀の単独市場介入はまったく効果がない。これまで長年の超低金利政策は何か効果があったか、金融緩和策は効果があったか。これでアジアへの工業の海外移転の流れを1社でも止めたであろうか。円安に誘導することがはたして正しいのであろうか。
円安を永く続けると日本の価格が割安になり、アラブやBRICsの金持ちの投機資金が流入して、気がついたら都心の高級不動産は全部外国人が所有者になったりしないだろうか。
従来と大きく異なるのは、世界は大改革期であるから、今何が起きても不思議ではなく、各証券ディーラーは売りか買いのボタンに指をかけて市場を刻々見守っているのであり、政府が議会などで検討しておれば、即座にその結果を予想して対応措置をとられ、さらに大きく異なることはネット化で大金が即座に動くことである。
政策としては、ドルの目減りを冷静に判断して、日本円の未来適正レートを思い切って70円とか60円とか設定して、企業には社内レートをそれで採算とれるように業種か体質を変える指導をするべきではないのだろうか。
下手な対応策を取るよりは、円高を利用して積極的に外国の有名不動産や株式を買いまくれば、国際世論が「日本の円をあまり高くしてはならぬ」と変わるかもしれない。
今あればすぐ1台買いたいもの
壁掛けテレビでスイッチを入れると自動的にSKYPEにつながりテレビ電話が世界中どこからでもつながるもの。92歳の母が一人で住んでいるので様子を見るのに使うのだ。パソコンでも出来るのだが操作が難しく92歳の母には無理なのでボタン一つでつながるものが必要だ。これがあれば高齢者と医者との連絡にも使えるのではないか。




アクセス数 7493131 Copyright 2002-2004 私たちの40年!! All rights reserved
Desenvolvido e mantido por AbraOn.
pagina gerada em 0.0194 segundos.