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麻生悌三のブラジル不思議発見 26 省エネのチャンピオン ナマケモノ
『私たちの40年!!』HPの2012年度の最初の寄稿集収録は、麻生さんのブラジル不思議発見、26です。この1月から3年目に突入です。ブラジルは大国、探せば幾らでも不思議は発見出来るのかも知れませんが良く続いたものと感心しています。1月号は、省エネのチャンピオン ナマケモノです。アマゾンに行けばどこででも見かける動物ですが、抱きつかれると大変だと聴かされています。歩き方は鈍いが泳ぐのは結構早いそうですね。1日に20時間は寝ているとの事、毛には苔が生える程で保護色にもなっているそうです。スローライフの代表の生き物で白亜紀から生き延びて来たそうですが、ナマケモノだけにはなりたくないですね。生きている間は、しゃきっとして生きたいものです。
付録のフクロウ蝶は、べレンの海浜公園で実際に見た事がありますが見事な擬態に感動さえ覚えたのを思いだします。写真はBLOGに貼り付けて置きます。
寄稿集にはナマケモノの写真を使用しました。
麻生さん今年も宜しくお願いします。


ブラジル不思議発見 −26 省エネのチャンピオン ナマケモノ
南米起源の哺乳類で白亜紀(1億5千年―6500年前)の南米大陸とアフリカ大陸(ゴンドワナ大陸)が分裂した、太古の昔に出現したらしい貧歯類は、全く歯が消失したアリクイと歯が退化しているナマケモノとアルマジロの3種がある。
ナマケモノ(ポ命Preguica,英名Stoth)はフタユビナマケモノ(指ガ2本)とミツユビナマケモノ(指が3本)の2種類がある。フタユビの方が体も若干大きく、尾がある。ミツユビは尾がなく、動きも若干早い違いがある。成獣で体長は60−80CM、体重は6−9KG位で前足は後足より長く、指にはカギ状の鋭い爪があり、爪を枝に引っ掛けてぶら下がる。 1万年 位前までは南米には地上性の大ナマケモノ(メガテリューム)で体長5−6m、体重3トンの巨大獣が棲息していたが、絶滅している(サンパウロのUSP自然博物館に大ナマケモノの巨大な骨格の模型が陳列してある)。このナマケモノと云う動物は、動作は極めて、緩慢で徹底したスローライフである。1日のうち、20時間ぐらいは、睡眠しており、余りに動かないので、体毛に苔が生えて、樹木と似た色になり、保護色となるぐらいである。必要なだけ、少量木の葉を食べ、1週間に一度、地上に下り、排尿、排便を行う以外、樹上で生活し交尾、出産、育児も行う。地上で排便を行った後、必ず土を糞や小便にかけ。痕跡を隠す習性があり、これは、樹上の居場所を隠す意味に違いない。猿のように移動性の樹上生活獣はタレ流しでもかまわないが、居場所が決まっている場合、排便の位置によって、居場所を害獣に見つけられる。ある種の小鳥は、雛の糞を巣から、遠方に棄てにゆく小鳥もいる。又、狸の溜め糞のように、排便場所を居住区域の数箇所に決めて用をたし、その場所を、数群の狸が、共同使用する習性の動物もいる。樹上で苔が生えるぐらい動かないナマケモノは、基礎代謝が少なくて済み、食餌も最低量である。動かないから、動くものを素早く見つける、害獣(山猫、ヒョウ、樹上性の大蛇ジボイヤ=ボア等)の視野から逃れる事が出来る。但し、樹上特に樹冠で動かないとなると、空からの攻撃には弱く、アマゾンの密林の空の王者、オウギワシは天敵であり、オウギワシの餌の3割はナマケモノと云われている。オウギワシはナマケモノを見つけると、急降下し、鋭い爪で一撃を与え、ほぼ絶命させ、同じぐらいの体重の餌食を木から引っ剥がし、軽々と上空に舞い、巣に運ぶ。たまに地上に下りて、移動するが、そのスピードは分速4−5mと云うのろさ。雨期には低地が冠水するアマゾンでは、泳ぎが達者な事も生存条件のひとつであり、ナマケモノも泳ぎは上手く、地上を移動するより余程早い。
資本主義に於ける、大量生産、大量消費、飽くなき利益の追求は、自然界において弱肉強食を勝ち残る為、より大きく、より早く、より強くと云う構図と同じであり、それと正反対のライフスタイルで省エネと平和で生きるナマケモノは人類に生きる指針を与えているのかも知れない(写真はナマケモノ)、

付録  フクロチョウの擬態
南米に棲息する蝶で、羽にフクロウの目にそっくりな、眼状紋を付けた蝶がいる。この蝶は天敵の小鳥から逃れる目的で模様を持って生まれた蝶でフクロウチョウと呼ぶ。
ポ名はBorboreta de Coruja, 英名はOwl Eye Butterfly)。で5cm−20cmに成長する大型超で寿命はほぼ3ヶ月、早朝に活動する。小鳥は先天的に、フクロウの眼を恐れる。
実験では、フクロウの眼を書いた絵を小鳥を入れた篭に近かずけると、小鳥がパニック状況になる事が知られている。
蝶が天敵小鳥に対する、効用を知っていたとしても、羽の模様を入れて生まれ出てくるとは、一体どういう、仕組みなのだろうか。フクロウの眼状紋を擬態としてDNAにインプットさせ、獲得形質として、遺伝させるメカニズムは全く解明されていない。
ブラジルにはいないが、本邦の南西諸島に棲息する蝶でカレハチョウと呼ばれる、擬態が枯れ葉そっくりな蝶がいる。枯れ葉に見せかけて、天敵を欺く、見事な擬態であり、本物そっくりに進化した蝶である。また、ブラジルのセルジっぺ州に生息する蝶でBorboreta
Verdeと呼ばれる蝶で体色がグリーンで葉にそっくりな蝶もいる。この蝶の体色は完全な保護色で、草原などでは、全く、識別は困難である。(写真はフクロウ蝶と枯れ葉蝶とグリーン蝶 )
2012年1月1日
麻生



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