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麻生悌三のブラジル不思議発見 30 ブラジルの裏の顔は殺しの大国        
麻生さんのブラジル不思議発見は、5月号で第30回になりました。既に2年半が経過しましたが話題は絶えないようです。どこまで続きますかね?忙しさ(旅から旅)にかまけて『私たちの40年!!』のHP更新が出来ていませんが、麻生さんの原稿だけは毎月初めで送られて来ます。有難い事です。5月は、溜まっている話題をHPに収録する作業をする積りですが、5月も結構忙しく時間が取れますかね?
5月のブラジル不思議発見は、ブラジルに住む我々でも不思議に思い良く理解出来ないブラジル社会の裏の顔、殺しの大国を見事に分かり易く分析し説明して呉れています。その理由は、容易に入手できる拳銃、開拓時代の伝統(歴史的な考察)、貧富の格差(社会的な考察)、奴隷制度の後遺症、ブラジル内の南北問題、ファベーラ(スラム)の存在、麻薬がらみ等説得力ある説明で幾分理解出来た気がします。有難う御座いました。
写真も麻生さん提供です。


ブラジル不思議発見 − 30 ブラジルの裏の顔は殺しの大国

世界中で殺人件数が多いい3大国はブラジル、コロンビア、南アフリカと云われている。
人口10万人当たりの、殺人指数はコロンビア、66,3 南ア 60,2ブラジル
25であるが、人口約2億を数えるブラジルの殺人件数は年間約5万人を数える。この数字は、そんじょそこらの内戦や戦争の死者の数など、ものの数ではない数である。コロンビアはコカインの大生産国で、反政府ゲリラと政府軍との間で討伐戦が繰り広げられている国である。一方、南アはアパルタヘイトの負の遺産を引きずっている国である。
ブラジルは表の顔は明るく、反政府ゲリラもいない、BRICsの旗頭でもあり、伸び行く未来の大国のイメージが強い。然し、それらは、表の顔であり、裏の顔は、貧富の格差と一般犯罪多発国であり、表の顔だけを、見てそれがブラジルの現実だとは到底、受け入れられない。何故、そんなに殺人件数が多いいのか、理由を考えてみたい。その他に、交通事故の死亡者の数も半端ではなく、2010年の犠牲者は40160人、(負傷者数145千
人)殺人件数と合わせると、昨年だけで、9万人を超える犠牲者が出ている。数年間に亘ったイラク戦争の犠牲者の数など小さいものである。
―容易に入手できる拳銃
ブラジルは小火器(拳銃、散弾銃。ライフル銃)の世界の主要生産国である。メーカーの数は5社を数え、年間百万丁の小火器の生産を行い、輸出は70万丁、国内販売は30万丁である。国内にある民間が所有している小火器は12百万丁と見積もられており、殆どが警察に所有未登録である。ブラジルの殺人事件の凶器は80%が拳銃、10%が刃物であり、拳銃の比率が高い。国産拳銃でも新品のコルト式などの価格は、2千ドル級で庶民が手軽に買える価格ではないが、闇ルートの中古品なら200ドル位で買える。中産階級でも自衛のため家庭内で拳銃を備えているのは当たり前であり(外を持って歩ける携行許可は取得が難しくなった)銃社会の在り方が問題だろう。
―開拓時代の伝統
ブラジルは現在でもフロンテイアがある国だが、一昔前には、奥地の開拓地では自衛の為の銃器は必需品であり、トラブル解決も銃弾による解決も多く、西部劇のガンファイトの雰囲気も残っていた。やられる前に、やっつける事が、生き残りの鉄則であり、武器で脅して金品を奪う強盗から、手っ取り早く、殺してから奪う強盗の方が、証拠隠滅もでき、一挙両得という意識も芽生える。人間の命の価値が如何に低いかである。ラチフンドと呼ばれる大土地所有制度とコロネルリズムと呼ばれた代官制の封建制の影響が東北伯地方には今なお一部に残っている。
―貧富の格差
ブラジルの貧富の格差は世界のトップクラスで、人口の16%の富裕層が富みの80%を占めており、84%の中間層以下の富は20%を占めるのみだ。人口の1割の2千万人が飢餓状態と云われている。世界有数の食料輸出国であるが、あり余る、食料にアクセスできない階層がいる。ブラジルの一人当たりGDPは年間US$4320であるが、一日当たり1ドル程度の所得層が1600万人いる。この指数は1860年代から余り変わっていない。生後1年未満の乳幼児が一日で280人が栄養失調で死亡している。2003年より政府はフォーミ ゼロ(飢餓ゼロ)と云う、食料配布運動を主として農村部の低所得層に始めた。子供の数に応じた、養育費の助成なども行っているが、根本的解決にはなっていない。このキャンペーンのマイナス効果としては、食えれば、働かない、と云う意識が強い低所得者層に、只で食わせる事により、働きに出なくなり、結果的に、農村労働者の不足が生じ、農事に影響が出る。一方、富裕槽の食料とカロリーの摂取は際立っており、まさに、メタボの大群である。
―奴隷制度の後遺症
貧困を生み出す要因は色々あるが、1888年の奴隷制度終了まで過去300年間余りに
アフリカから強制連行してきた奴隷制の問題もある。ブラジルだけで350万人が入っており、制度終了時のブラジルには75万人の奴隷がいた。アフリカの奴隷狩り、港までの
連行、大西洋の輸送途中等で、入った人数350万の2倍の黒人の命が失われている。
労働忌避は支配者への反抗であり、体力温存の手段でもあった。然し、怠惰、無気力、享楽指向の奴隷社会の伝統は貧困と無関係ではない。
―ブラジル内の南北問題
2004年の統計だが、州別のGDPの州別順位は公務員の数が多いい、ブラジリヤが9535ドルでトップ。2位がリオの7318ドル、3位はサンパウロの69962ドル、4位がリオグランデの6660ドル、5位がパラナの5362ドルである。後は、中西部、北伯、東北伯と続く。マラニョン州に至っては、1474ドルしかない。ブラジル内の南北の経済格差は歴然としている。人口10万人当たりの殺人件数ではアラゴアス州を筆頭に東北部が圧倒的に多いい。
―ファベーラ(スラム)
農村部より都市に流入した低所得者層が土地を不法占有し、バラックを建てた集落をファベーラと呼び、貧困の象徴とも云える。リオとサンパウロのファベーラが顕著であり、リオは人口6百万人に対し、200万人が56箇所のファベーラに居住している。サンパウロは人口1100万人に対し、150万人がファベーラに居住している。ファベーラの多くは、貧困、暴力、麻薬が支配する無法地帯で犯罪の温床でもあり、貧困の再生産の場でもある。食えない階層の多くが麻薬や暴力にはしり、拳銃と云う武器を入手したら、殺人はその結果であり、それが減る傾向は見られない。ブラジルは1876年に死刑を廃止しており、それも、凶悪犯罪棒防止の歯止めとならない要因の一つである。真面目なブラジル人は日本における自殺が年間3万人を越えると聞くと、びっくりして、日本人は何故そんなに自殺するのかと聞き返す。(この数も、そんじょそこらの内戦の犠牲者の数など、問題じゃない数である)自殺大国日本と殺人大国ブラジル、どちらも、命を粗末にする事には変わりない。

―麻薬
ブラジルの15−24歳の男子若者の死因の40%は殺人である。殺人の原因は喧嘩、抗争、仕返し、怨恨、盗み、強盗、銃撃戦等であるが、加害者の70%は麻薬と何らかの関係があると云われている。ブラジルはコカインの生産国コロンビア、ペルー、ボリヴィアに国境を接し、欧州向け輸出の通り道になっているばかりでなく、アメリカに次ぐ大消費国である。国内に86万人の常用者がいると云われ、年間の取引高は100億ドルと云われている。大麻なども生産国のパラガイ、ボリヴィアからトラック貨物で入ってくる。大麻押収の記事が時折、新聞に載るが、その量たるや、5トン、10トンと云うトンベースで、日本などの、数グラム単位の比ではない。コカインなども数百kg単位の押収量で驚かされる。 コカインは産地では、粗製コカインの価格は僅か、2千ドルーkg程度であるが、精選されると、サンパウロでの価格は1万ドルーkg、アメリカの末端価格では4−6万ドルーkgになる。ブラジルの大都市にどこにでもある、ファヴェーラと呼ばれる、貧民区域に大抵の麻薬密売組織は拠点を持ち、密売活動を行っている。時折、警察の手入れが行われる。手入れと云っても、数百名の完全武装の警察隊が装甲車、武装ヘリを繰り出す大がかりなもので、麻薬組織も高性能ライフル、手りゅう弾、対空機銃まで繰り出し応戦する。手入れと云うより、小規模な市街戦であり、流れ弾で一般市民の犠牲者も出る。TVの取材も命がけで、防弾チョッキを着用したカメラマンが実況放映するが、たまには、マスコミからも犠牲者が出る。麻薬組織は貧民街に潜み、一般市民を防壁にしており、又、無造作に密集して、山肌に建てられたバラックは道が狭く、警察隊も、装甲車の行動も制限される要塞である。なお又、最近は覚せい剤等の合成麻薬も増加している。

こうした、治安劣悪の状況でブラジルは2014年にワールドカップ、2016年にはオリンピックが開催される。2020年にはサンパウロ万博も予定されている。
果たして、治安や運営は大丈夫なのかと云う、危惧が生じるが、ブラジル人は余り、心配していない。いざとなれば、警察と暗黒街と密約を結び、大会期間中は、なりを潜め、終わったら、その分稼がせる位の、ネゴは朝飯前だと考えている。此処はブラジル、何でもありだ。殺人大国の南アでもWCを立派に開催運営出来たんだ、余り心配は無さそうな気がする。こうした、社会の2面性と柔軟な対処もブラジルの御家芸の一つと云えよう。
(写真はリオのファヴェーラの一例、)

附録 アマゾンのジャングルの美鳥 イワドリ
アマゾン一帯に棲息する、和名イワドリ、英名cock of the rock ポ名、galo de rochaと呼ばれる鳥は、とびきり美しく、ニューギニアに生息する世界一美しいと云われる、極楽鳥に例えられる程である。体長30−40cmの大形の鳥で、雄は濃厚な赤みがかった、オレンジカラーに尾と翼の先が黒く、樹冠が日光を遮り、うす暗い、ジャングルの中で,ひときわ、目立つ色彩である。繁殖期になると、オスはメスの気を引くため、数羽が集まり、
ダンスを披露する習性がある。ニューギ二アの極楽鳥の美しさを、進化の立場から研究した、ダーウインは美しさの進化は子孫を残すための生存競争だと喝破している。
(写真はイワドリ)
2012年5月1日
麻生



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