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麻生悌三のブラジル不思議発見 42 翼に爪(剣先―骨の突起)を持つ鳥 
麻生悌三さんの5月のブラジル不思議発見は、翼に爪を持つカンムリサケビドリと云う珍しい動物の話です。博学と云うか勉強家と云うか驚嘆する珍しい話を見つけては紹介して呉れています。ほんとにブラジル不思議発見です。
後数回でこのシリーズも終了するとの事ですが、何時も一つずつ紹介すればもっと継続できるのにと思う豪華な付録を惜しみなく披露して呉れていますが、今回も恐鳥、コンゴインコ、カワセミ顔負けの魚だけを食べるコウモリの鳥を紹介して呉れています。写真もちゃんと送って呉れているのですが、ホームページでは1枚しか貼り付けることが出来ませんのでカンムリサケビドリの写真を掲載して置きます。残りの写真は本文紹介のBLOGに掲載して置きます。
麻生さん有難う。


ブラジル不思議発見― 42 翼に爪(剣先―骨の突起)を持つ鳥

ブラジル北部からアルゼンチン北部にかけて,棲息するカモ科の大形の鳥カンムリサケビドリ(英名Southern Screamerポ名Anhuma)は体長(嘴から御)60−80cm、体重は
4−4,5kgあり、頭には冠羽があり、体色は灰色で、首に黒い輪がある。足は長く、
頑丈で、僅かに水かきの痕跡がある。湿地、沼地を好み、泳ぎも達者で、飛翔力もあるが、
ちっともカモに似ていない。鳴き声は、数km四方に聞こえる程大きく、決まった時間に鳴く習性がある。姿、形から餌は動物食と思われがちだが、植物食で水辺の草や実が主食である。嘴等は日本の雉に似ている。この鳥の特異な点は、翼の中央部に1本ずつの爪(骨の突起)を持っており、縄張りに侵入する同類や外敵に翼の突起(剣先)を武器に攻撃する。翼に3本ずつの爪を持っていたのは、鳥類の元祖と云われている、始祖鳥で、一億5千年前のジュラ期に生存していた最古の鳥である。アマゾンに棲息する、爪馬鶏(ツメバケイ)と云う鳥は、生後20日位までの、幼鳥期には一対の爪を持ち、爪を使って、木をよじ登る芸当もみせるし、泳ぎも、潜水も出来るが、成長につれ、爪を喪失し、泳ぎも、潜水も出来なくなる。幼鳥期の姿は、西ドイツで発見された、始祖鳥の化石にそっくりである。
カンムリサケビドリは水辺に枯れ枝を集めて巣を作り、毎年5−8個を産卵し孵化するが、
抱卵してから孵化するまで雌雄交替で抱卵するが、42−45日間かかる(アヒルは28日間で孵化する)。この鳥、夫婦の絆の強いことで知られ、どちらか片方が死ぬまで、ペアーを続けるらしい。私の記憶に間違いがなければ、この鳥は、アマゾンで原住民がアリンコルン(スペルは不祥)と呼んでいた鳥で 、沼沢地の高い木の上で、数キロ四方に轟く甲高い声で鳴いていた大型の鳥で、この鳥の肉を食った人の話では、鶏肉ではなく、牛肉の味がしたそうである。(写真はカンムリサケビドリー翼の突起に注意)

附録 恐鳥(フォルスラコス)の子孫と云われる鳥ノガンモドキ
鳥類は、恐竜―恐鳥類―走鳥類―鳥類と進化してきた。ブラジルの北東部からアルゼンチン中央部にかけて棲息するノガンモドキ(英名Red Legged Seriema ポ名 Seriema)と云うツル目の鳥は体高80−90cm、体重2−3kgの長い足と首を持ち、頭には冠羽がある。飛ぶことはできるが、走ることが得意で、時速60kmで走る能力がある。食性は動物食で昆虫、小型の蛇、トカゲ、ネズミ等の小型哺乳類であり、姿,格好はアフリカに棲息するヘビクイドリにそっくりである。縄張り意識が強く、近ずくと1km四方に聞こえる、鳴き声をあげ、威嚇、攻撃してくる。昔、サンパウロ郊外のゴルフ場サンフェルナンドの3番コースの片隅に、この鳥の巣があり、ショットを曲げ、ボールを探しに、うっかり近ずくと、かんだかい、声をあげ、走って来て、ジャンプし攻撃して来た。キャデイーがこの鳥の名前Seriemaと教えてくれたが、なるほど、南米ダチョウのエマに似ていると思った。雛を連れている時の親鳥は危険で、外敵に親鳥が立ち向かっている時、雛はひっくり返り、擬似死の真似をするらしい。 余談になるが、ブラジルなら、ゴルフ場でも、草原でも、河川敷にでも、どこでも原っぱにいるチドリの仲間の鳥ナンベイタゲリ(英名Southern Lapwing ポ名 Quero-Quero)も雛を連れている時、近ずくと威嚇してくるが、親鳥が威嚇中、雛は横になり擬似死を装う。ノガンモドキの祖先は南米に棲息していた恐鳥(フォルスラコス)であり、体長3mの大型肉食鳥で飛べなかったが、時速60kmの脚力があり、4500−6500年前の恐竜時代、大型哺乳類を捕食していた。快速で獲物に追いつくと、足で抑え、ハンマーのような、嘴で一撃を加え、獲物をくわえて、地面に叩きつけ、殺したあと,丸のみする。ノガンモドキの餌の捕食も狂鳥にそっくりである。(写真はノガンモドキ)

附録 コンゴウインコ
アマゾン一帯に大型で派手な色彩の羽を持つ、コンゴウインコが棲息している。オウム目
インコ科の鳥で、オウムと類似しているが、少し異なる。インコは多くの種類があり、生息地も、中南米やアフリカに分布しているが、オウムはオーストラリアを中心に、東南アジアにいる。インコと名前は付いているが、オウムの種類である、オカメインコと云うオウムもいる。大きさも体長1m、体重1kgも大型鳥から、雀ほどの大きさのサイズの鳥まで各種ある。オウムとインコの外見的識別は次の通り。
      頭部の特徴     体色       尾の特徴
インコ   冠なし       カラフル     長い雉のような尾
オウム   冠あり       白、黒が基調   短い鳩のような尾
コンゴウインコはオウム目で最大の鳥で、英名Macaw ポ名Ararasと呼び、体長80cm−1m、体重800g−1,2kgで派手な羽を持ち、赤、黄色、瑠璃色等あり。T夫1妻で番いの絆は強い。群れで樹冠に棲息し、木の祠に産卵する。食餌は木の実、果実、種子、花等で植物性である。湾曲した強力な嘴は、種子を割り、軟骨の入った特殊な舌は、種子の殻を砕く。足は4本の指が前後に2本ずつあり、種子を握るのに便利な機能である。
飛翔力もあり、枝からぶら下がる芸当も出来るが、地上を歩くのはヨチヨチ歩きである。
果実等の種子は、子孫を残すため、食べられないようにする為、毒物を成分に仕込んでいるケースが多く、さくらんぼの種子、アボカドの種子等も毒性がある。それらを常食する、
インコ類は、毒物を解毒する必要があり、粘土を時折、食べて、毒を中和する。川岸の土手に数十羽の大型のインコが群がって、粘土を食べている光景が見られる。オウム目が他の鳥類と異なる点は。
―知能が高く、訓練により、色彩、形も識別でき、人間の2歳児ぐらいまでの知能といわれている。
―長寿である。飼育下で60−100年生きる。
―人の言葉を真似る。鳥には声帯がなく、器官に入れた、空気で発生する。
九官鳥も真似をするが、どうして、出来るのか、科学的にまだ、解明されていない。
コンゴウインコはペットとして飼育されるが、怒ると噛みつく癖があり、強力な嘴で咬まれると怪我をする。又、声も大きく、騒々しいのが難点だが、飼い主には良く馴れる。
(写真はコンゴウインコ)

附録 魚を捕り常食するカワセミ顔負けのコウモリ
コウモリは南極、ヒマラヤの高山、等を除く世界中の地域に生息する哺乳類で、南米には
凡そ200種類のコウモリが棲息する。ほとんどの種類は昆虫を常食するが、アルゼンチン北部からメキシコまでに棲息する和名ウオクイコウモリ(英名Great Bulldog Bat ポ名
Morcego Pescador)は、淡水の小魚を捕えて、それだけを常食しているコウモリである。
胴の長さ10cm、体重90gのコウモリだが、水面の微細の震動をキャッチし後ろ足で小魚を掴んで捕る。中には、足を水面に入れ飛び、浮かんでいる小魚をつかみ捕る、トロール船顔負けの技術を持ったコウモリもいる。南米にいるコウモリは、昆虫、果実、花の蜜、動物の血、等を摂取常食とする、多種多様のコウモリが棲息しており、それぞれの生態系をもっている。普通、生物は同じ生態系で競合し、弱肉強食の原理で強者が生き残り、弱者を淘汰してゆくが、南米のコウモリを見ていると、俺は俺、お前はお前で自分勝手な
生態を決め、共存と棲み分けを行っている様子がわかる。南米流のサッカーは個人技が主体で、各ポジションのプレイヤーが本能的に動き、試合を組立る方式で、欧州式の組織的
サッカーとは全く異なる。それでいて、リズムに乗れば、鮮やかな試合を演出する。
花の蜜だけを常食とする、ハチドリ顔負けのコウモリと云い、南米は多種多様な生き方が出来る環境である。(イラストはウオクイコウモリ)。

2013年5月1日
麻生



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