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新連載 桜井悌司さんの『ブラジルを理解するために』(その14−その18)
毎週火曜日に桜井悌司さんの『ブラジルを理解するために』を50年‼のBLOGに掲載させて頂いていますが、今回は、その14からその18までを纏めて40年‼ホームページの寄稿集に掲載し残して置くことにしました。
今回も、御自分のお仕事に基ずく『投資誘致とブラジル』、『企業の社会的活動』等お得意の話題から『治安について』、『バスツアーの勧め』からブラジル特有の『ダメ元の勧め』まで多岐に渡る話題満載、参考にしながらお楽しみください。尚、今年一杯は、掲載が続く予定でブラジルを理解するためには、本として出版すると売れることは間違いなしですが、それまではこのホームページで読んで頂けるのは幸いです。
写真は、2012年ベロオリゾンチでのJICA主催の「投資誘致人材育成セミナー」での講演風景を使わせて貰いました。


連載エッセイ14
ダメ元の勧め
執筆者:桜井悌司(日本ブラジル中央協会常務理事)

 ブラジル世界でもラテン世界でもアラブ世界でも「ダメ元」の世界である。彼らが持つこの「ダメ元」精神に、日本人は大いに悩まされる。日本人は、親切で誠意あふれる国民なので、相手が頼んでくれば、何とかしてお役に立ちたいと考える。一方、彼らは、ほとんどの場合、もう少し気楽である。頼んでやってくれるかどうかわからないが、とにかく頼んでみるといった感じである。日本人から見て公私混同と思われることも多々ある。そういう事情なので、日本人がはっきり断ったとしても彼らは特に恨んだり、気にしたりすることはない。日本人は、断れば、相手が気を悪くして、友情関係などが壊れるかもしれないと考えがちであるが、全く考え過ぎである。私も数多くの経験を通じて、ようやく、「ダメ元」主義が理解できるようになった。そこで、私からも、ラテン人には堂々と「ダメ元」主義でいろいろ頼むことにした。例えば、ラテンアメリカを旅行していて、サッカー・スタジアムなどを見つけると、是非とも中を見学させて欲しいと頼むことにしている。ガードマンの段階でOKになる場合もあるが、その上司に伝えてもらってOKになる場合もある。もちろんダメな場合もあるが、OKになる可能性が日本と比べ結構高いのである。「自分は、日本人で、サッカーの大フアンであり、全世界のサッカー・スタジアムを見学しているので是非とも中を見せて欲しい。」と言って頼み込む。また、わざわざ日本から来たことを強調する。チリでもウルグアイでも有名なスタジアムを見学させてもらった。
 ブラジリアに旅行した際も、「ダメ元」でうまくいった例がある。日本大使の歓送パーテイに家内と一緒に出かけた。翌日、時間があったので、ブラジリアの国立劇場に立ち寄った。日本の政府機関ジェトロのサンパウロ事務所の所長であること、テアトロを見学することが大好きであること、世界のテアトロを見学させていただいていること等々を説明すると、広報の責任者がやって来て、館内を案内してくれると言う。こちらは断られても仕方がないと考えていたので、大変うれしかった。隅々まで案内してもらい、ついでに屋上まで案内してくれた。屋上から見たブラジリアの国会議事堂は素晴らしかった。
 サンパウロ駐在中にブラジリアに出張する機会が結構あった。相手の政府高官に物事を依頼する場合、私はいつも150%の要求をぶつけることにしていた。仮にうまくいかなかったとしても100%の要求を獲得することができれば、万々歳である。意外に150%とは行かなくても、100%を超える成果を得たケースが結構あった。とりわけ、アポイントの時間にも拘らずずいぶん待たされた場合は、成功率が高かったし、持ち時間も延長してくれた。要人も長らく待たせて申し訳ないと思ったからかもしれない。
2016年3月下旬
写真 ブラジリアの国立劇場の屋上から見た景色


連載エッセイ15
治安について考える
執筆者:桜井悌司(日本ブラジル中央協会常務理事)

 2008年から2014年度まで、大阪にある関西外国語大学で教鞭をとっていた。毎年、「ラテンアメリカ入門や概論を受講する学生に対し、アンケートをとるのを常としていた。質問の中に、ラテンアメリカについてどのようなイメージを持っているかという設問をする。「陽気」、「情熱的」、「貧困」などと並んで「治安が悪い」という回答が相当数に達する。外国語大学に学ぶ学生は、将来学んだ語学を活用して海外で活躍することが望まれるので、治安の悪さなど物ともせず海外に雄飛してもらいたいところであるが、なかなかそうはいかない。海外投資関心企業に対するアンケートをしても、日本企業は欧米企業に比較して、治安問題を気にしすぎるきらいがあるので、学生の回答も仕方がないと言えるかもしれない。
 日本の治安は異常に良い。そのため、日本を離れると少数の例外国を除き、他国はすべて治安が悪いということになる。治安に対処する基本は、「自分の身は自分で守る」ということなのだが、このことを学生に理解させることは至難の技である。学生も2つのタイプがある。最初のタイプは、少数だが、治安の悪さや危険を物ともせず外国に出かけるタイプである。第2のタイプは、必要以上に治安の悪さを気にするタイプである。このタイプにも2つに分かれる。本人が怖いので恐れるタイプ、もう一つのタイプは、親が治安に異常に敏感なケースである。親が治安の悪さを理由に、留学や海外旅行などに反対するのである。
 昨今、日本人留学生数が減少気味である。様々な理由が考えられる。第1に男子学生が昔のような元気さが無くなったことが挙げられよう。草食系男子がよく話題になるが、昨今の学生を見ていると実によく当てはまっている。第2に、悪いこと、ネガテイブなことに、最初に目が行く傾向にあることが指摘できる。ブラジルやラテンアメリカには、興味深いこと、エクサイテイングなこと、わくわくすることが多い。これらの点は、ポジテイブな側面である。治安の悪さは、ネガテイブな面である。学生にとっては、ネガテイブな面が先行するのである。外務省のホームページやサンパウロ総領事館、JICA等のホームページをみると、安全対策や治安情報につき懇切丁寧に解説している。その通り実行するとなると行動範囲が俄然狭められる。駐在員は、一般的に日本から来たビジネスマンや学生には、現地の治安事情がいかに悪いかを力説するのを常とする。「夜は1人で出かけないように」とか、「1人歩きは避けるように」、「地下鉄やバスには乗らないように」等々の注意事項を伝える。いわゆる「保険」をかけるのである。来訪者が不幸にも犯罪に巻き込まれた時に、「だから言ったでしょう」と言えるようにしておくのである。私は、海外では、「自分の身は自分で守る」という鉄則に加え、常に周りの人々の行動や服装を観察し、そのまねをすることが自分の身を守ることに一番効果的と考えている。例えば、サンパウロ市は人口1200万人の都市で、犯罪率は非常に高いが、大部分の人は伸び伸びと過ごしている。我々は彼らから生活の知恵を学べばいいのである。例えば、服装である。大部分の女性がパンタロンを履いているならば、パンタロンを履く。サッカー見物の男性の多くが短パンとTシャツであれば、そういう服装をして出かける。ジーンズが多いとジーンズを履くということである。また地下鉄の中で、スマホやウオークマンをやっている人がいなければ自分でもやらない。本を読む人が少なければ、本を読まずに周りを観察するにとどめる等々である。周りを見て、治安が悪そう、危険な雰囲気がありそうな気がすれば、その場所からすぐに立ち去るようにすることも必要である。日本人であるから犯罪に会うというよりも「スキがある人が犯罪に会う」と考えるべきであろう。今年は、リオ・オリンピックの年である。オリンピック見学者には、「周りのブラジル人を常にウオッチしよう」とアドバイスしたい。
2016年4月上旬


連載エッセイ16
投資誘致とブラジル
執筆者:桜悌司(日本ブラジル中央協会常務理事)

私の勤務先であったジェトロは、相当昔から投資誘致関連の事業を重視してきた。外資系企業による対日投資はもちろんのこと、日本企業の外国投資にも力を入れてきた。日本は世界で第3位(中国に追い越される前は米国に次ぎ堂々第2位であった)の経済大国であるため、海外から多くの投資誘致ミッションが来日する。1980年代以降、欧米からのミッションが急激に増加した。とりわけ米国からは毎年州知事を団長とするミッションが数多く来日した。興味あることに、毎年熱心に訪日した州には日本から多くの企業が投資したものであった。投資誘致に関しては、努力すればするほど報われることが多いのである。その点、ブラジル政府は、投資誘致に熱心な諸外国に比較し、一貫して積極的ではなかったという印象である。当事者は、おそらく一生懸命にやっていると思っているかもしれないが、客観的には、そうでない。
ブラジルは、過去何回かの外資ブームがあった。50年代のクビシェック大統領時代、60年代から70年代にかけて、ブラジルが奇跡的な経済成長を遂げた時代、95年代のレアル・プランでインフレが収まり、憲法改正によって内外無差別になった時代である。これら一連のブームの結果、世界の大企業500社中、450社以上が進出するという世界有数の投資受け入れ国となった。しかし、その背景を考えると、世界の多国籍企業がブラジル市場の潜在性を認識し、進出してきたのであって、ブラジル政府による組織的な外資誘致政策によるものではなかった。ブラジルの政府高官は、口ではブラジルへの投資を呼びかけるが、積極的、組織的、計画的に外資誘致をしたことがないのである。
ブラジルの外資誘致機関を調べてみるとよくわかる。2004年1月に、リオにあるINVESTE BRASILという半官半民の投資誘致機関の会長のRODOLFO HOLN氏と面談した。この組織は、2002年に設立したのだが、この組織の限界がすぐに理解できた。その理由は、@半官半民という中途半端な性格、A不十分な予算とマンパワー(2億円の予算、25名の職員)、B外務省がそのネットワークを活用して協力するという話であったが、機能しないことが一目瞭然、C多くの役所や財界団体が関与する組織形態、D本部がブラジリアやサンパウロではなくリオにあること、E投資誘致のプロモーション機能が不十分等の問題があったからである。ブラジル日本商工会議所にも寄付金の要請が来ていたが、出さないようにとアドバイスした。そうこうするうちに、この組織も、2005年にあっけなく廃止され、ブラジル輸出庁(APEX)が機能を引き継いだ。APEXは、輸出振興と投資誘致の2つの機能を持つようになったのである。APEXはジェトロと2005年12月にMOUを締結したが、輸出振興機関としては、チリのPROCHILE(チリ貿易振興局)やコロンビアのPROEXPORT(コロンビア輸出振興局)と比べると予算、機能、人員等で相当見劣りしたものだった。2012年の時点では、APEXが投資誘致のプロモーション的な機能を持ち、開発商工省(MDIC)の投資情報ネットワーク(RENAI)が情報面のサービスを行っている。
駐在中の2004年4月には、何とかお役に立ちたいという意識で、ブラジル政府に対し、提言することにした。「ブラジルに外国資本をいかに誘致するか」というA4,15ページのレポートを日本語とポルトガル語に訳して、ブラジル政府、財界、マスコミに送付した。その結果、ブラジルの有力経済紙のGazeta Mercantil紙の5月13日付け記事の1面及び5面に写真入りで大々的に取り上げられた他、在日ブラジル商工会議所とブラジル日本商工会議所のホームページでも全文掲載された。
 提言の内容は下記の通りである。
1) 世界で投資誘致に成功しているのはどのような国々か?その共通の条件は?という問題提起である。それは5つの点に絞られる。
@ 政府が、外資誘致の重要性を認識し、外資を積極的に誘致したいという強い願望を持ち、種々の施策を行動に移すという強い意志を持っていること
A 外国人投資家が投資を決定するにあたって、どのような点を考慮するかを政府が十分に知っていること
B 諸外国に比して、十分に競争できる各種投資制度、環境をつくるべく最大限の努力をしていること
C 外国投資を促進するための優秀な機関を持っていること
D 国単位の競争のみならず、州単位でも激しい競争を広げていること
2) ブラジルの現状について
上記5つの条件につき、検証してみると、ブラジルの場合、一つとして満足すべき状況にはないことがわかった。
3) 具体的提言
そこで下記の実現可能で具体的な提言を行った。
提言1  外資誘致の重要性につき合意を形成するとともに、外資誘致の仕事は、非常に難しいことを十分に認識し、本格的に取り組むこと
提言2  他の競争国がどのような投資誘致策をとっているか、外国では州間でいかに激しい競争が繰り広げているかを調査すること
提言3  政府の投資誘致機関の機能を格段に強化し、将来にはONE STOP SERVICE(1つの)場所ですべての投資登録手続きを完了することができるというシステム)にもっていくこと
提言4  中長期の国別投資誘致戦略を策定すること
提言5  ブラジルの新しい側面、ブラジルの変化を積極的に知らせること
提言6  いわゆる「ブラジル・コスト」を少しでも軽減する努力をすること
提言7  州単位の外資誘致プロモーション活動を強化すること
提言8  投資を希望する分野の業種別プロファイルとブラジル側のポテンシャル・インヴェスターズのプロファイルをつくること
提言9  在ブラジルの外国商工会議所、外国貿易・投資振興機関、大使館、総領事館と密接な関係を保ち、情報交換を常に行うこと
提言10 既進出外国企業と密接なコンタクトを保ち、投資に関わる問題点を取材し、政策に反映すること
提言11 海外の主要国に投資誘致機関の事務所・連絡先をつくること
   その後、2012年3月に、JICAの招待で、ミナスジェライス州ベロオリゾンテ市で開催された「投資誘致人材育成セミナー」に参加する機会があった。全州の投資誘致担当者、80名を対象に、6時間にわたり、講演したが、その際にも、上記の内容や、世界各国の投資誘致競争の実情、主要国の外資法などを説明した。ブラジルは元々ポテンシャリテイに満ちた国であり、加えて、適切な投資誘致策を講ずれば鬼に金棒で、経済成長と雇用増進に大いに貢献すると訴えた。
最後に、ブラジル政府が諸外国に比較して、何故投資誘致に熱心でないかを考えてみよう。
まず第1の点は、ブラジルは何と言っても資源があり、市場も大きいので政府がそれほどの努力をしなくても、外資が自動的に来てくれるからである。
第2の点は、自分の国のポテンシャリテイに対する過剰な自信。大国意識で外国人の意見をほとんど聞かない体質を持っている。さらに投資企業の立場に立って考えるという習慣がついていないこと。
第3の点は、投資誘致の業務は、成果が出るまで相当の時間がかかるが、ブラジル人は、長期間、こつこつと忍耐強くする仕事を総じて好まないこと。
第4の点は、投資誘致機関にしても、予算、組織、人材等すべての面で、中途半端であること。複数の組織が存在し、州政府の投資誘致機関との連携も十分ではないこと。
第5の点は、地理的な問題である。広大な面積を持つゆえに、ブラジリアから投資誘致業務を行うのは極めて困難であること。中央の投資誘致機関は、各州との連携が重要であるため、地方出張所の設置が必要であるがそういう体制になっていない。
第6の点は、外資誘致は政治家にとってあまりお金になるビジネスではないこと等々である。
                   2016年4月下旬
写真 @2012年ベロオリゾンチでのJICA主催の「投資誘致人材育成セミナー」での講演風景
     Aミナスジェライス州政府の建物群  


連載エッセイ17
ブラジルでのお勧め旅行 ―バス・ツアー
執筆者:桜井悌司(日本ブラジル中央協会常務理事)

ブラジルでは、バス旅行が面白い。私は、2年5カ月のサンパウロ駐在中に4回バス旅行に参加した。2003年末と2004年末のクリスマス休暇に南部の「セ―ハ・ガウシャ」(ブラジル南部のパラナ―州、サンタ・カタリーナ州、リオ・グランデ・ド・スル州をカバーするエリア)に、2004年4月にミナスジェライス州のオウロ・プレット、サン・ジョアン・デル・ヘイ、ベロオリゾンチに、2005年4月には、リオ州へ出かけた。バス旅行は、ブラジルの代表的な観光会社であるCBC主催のものであった。バス旅行の魅力はたくさんある。まず何と言っても、旅行費が圧倒的に安いことである。正確な数字は覚えていないが、日本的感覚では、こんなに安くていいのという感じであった。ホテルは通常3つ星か4つ星のホテルで決して高級とは言い難いが、特に問題もない。しかも、予約時にキャッシュで払えば、数%の割引がある。私が予約した2回目のセ―ハ・ガウシャ旅行の時は7%引きであった。(ブラジルは当時、金利が相当高かった)第2の魅力は、スケジュールが充実していることで、添乗員が朝早くから夜遅くまで観光地を連れ回してくれる。第3は、食事がついている場合と各自支払いのオプショナルな食事があるが、価格の割にはまずまずである。オプショナルの食事の際も添乗員がおいしくて適当な価格のレストランに連れて行ってくれる。
最初のバス・ツアーは、2003年末年始の「セ―ハ・ガウシャ旅行」であった。当時、単身赴任だったので、初めての年末年始をどのように過ごすかが私にとって頭痛の種であった。海外に滞在し、年末年始を一人で過ごすことは苦痛である。そこでどこかのツアーに参加することを考えた。その際、せっかくの機会なのでポルトガル語の練習も兼ねようと思い、日系の旅行代理店ではなく、ブラジルの旅行代理店に申し込むことにした。何故なら、日系の旅行代理店であれば、当然ながら日本人や日系の方々の参加が多数を占めるので、ポルトガル語の練習にならない。そこで近くのパウリスタ・ショッピングセンターにあるブラジルのCBCという大手の旅行代理店に申し込んだ。日本人は私1人だと思っていたが、日系のファミリーが1組、後はすべてブラジル人であった。バス旅行に参加するブラジル人は総じて中流階級がほとんどすべてなので結構気楽であった。サンパウロを出発して、パラナ州のクリチバ、サンタ・カタリ―ナ州、リオ・グランデ・ド・スル州の主要な観光地を回るツアーである。12月31日は大晦日で、夕食はシャンパンがふるまわれ、新年のカウントダウンが終了すると周りの人と抱き合って祝福しあうことになる。一人旅なので、その都度どのテーブルに座ろうかと考えるのが少し煩わしかったが。旅行を通じて、ブラジル人との会話を楽しむことができたが、この時の思い出が強烈だったので、翌年の2004年の年末年始には家内ともどもほぼ同じコースの「セ―ハ・ガウシャ・ツアー」に参加した。家内も気に入ってくれた。2回のバス旅行に味をしめ、2005年には、「ミナスジェライス州3泊4日ツアー」と「リオ・デ・ジャネイロ・ツアー」の2回のツアーに参加した。いずれも期待を裏切らないものであった。
もう一つ興味あることに気がついた。バス旅行にはガイド兼随行員がつきものであるが、彼らは非常に親切かつ献身的である。不思議なことにツアー最後の頃になるとグループの中で誰かがガイドさんにお礼の意味を込めてチップを渡そうということを提案する。すると例外なくグループの全員が賛成し、1家族当たり10レアル(当時のレートで500円)程度を差し出す。提案者がそれらを集め、ガイドに渡すことになる。ブラジル人にも阿吽の呼吸的なものがあることを発見した。バス旅行は、ブラジルの中産階級の様子を知るベストの機会である。
2016年5月上旬
写真1は、セーハガウシャバス旅行中に見学するグラマード市
写真2は、ミニテーマパーク「EPOPEIA ITALIANA」


連載エッセイ18
ブラジル企業は、「企業の社会的活動」(CSR活動)に熱心
執筆者:桜井悌司(日本ブラジル中央協会常務理事)

 昨今、ブラジルでは、ペトロブラスによる贈収賄問題が大きな話題になっている。私もサンパウロに駐在して、ブラジル日本商工会議所の仕事を手伝ったり、外国商工会議所の活動を調査している内に、ブラジルの持つ新しい側面をいろいろ発見した。その一つとして、「企業の社会的活動」が大変盛んなことは、正直驚きであった。例えば、ブラジルの有力経済経営誌のEXAME誌は、2000年からブラジル企業の社会的活動に対する表彰制度を設けている。表彰される部門には、当時、特別賞、教育部門賞、子供・青年支援賞、環境賞、健康賞、文化賞、失業減少賞、身体障害者支援賞、飢餓との戦い賞、暴力減少貢献賞、高年齢者支援賞という11部門があった。ブラジルにある外国商工会議所も熱心である。
米国商工会議所は、1919年に設立され、すでに1982年に「ECO賞」(EMPRESA‐COMUNIDADE企業−コミュニテイ賞)を創設している。この賞の目的は、ブラジルに在住する企業、財団、団体、研究所の中で社会の福祉向上や国の発展に繋がる活動を行っている組織を称え、表彰することにある。教育、文化、環境、健康、コミュニテイ参加の5部門に分かれていた。
ドイツ商工会議所は、2000年から、「フォン・マルチウス環境賞」という表彰制度を開始した。ドイツの植物学者の名前をとったこの賞は、人文、自然、技術の分野に分かれており、世界にエコロジーに対する責任を訴えるためのものである。
フランス商工会議所も2002年に「LIF賞」(自由、平等、友愛のポルトガル語の頭文字)を設立した。この賞も、教育分野、衛生分野、文化分野、環境分野の4部門でコミュニテイに貢献のあった企業を表彰するためのものである。
日本商工会議所も遅ればせながら、2004年以降CSR活動について積極的に取り組むようになった。私も会議所のCSR活動担当常任理事として、セミナーの開催、会員企業に対するCSR関連アンケートの実施、「企業広報・社会的責任分科会」の設置等を行った。
ブラジル企業の社会的責任活動の特徴をあげると下記のとおりになろう。
@ 国営企業、外国企業、ブラジル企業ともに熱心であるが、ペトロブラス等国営企業が特に熱心である。
A トップの社会的責任に対するビジョン、考え方がしっかりしている。
B 従業員のボランテイァ精神が旺盛であり、組織内にとどまらず、サプライヤー、クライアント等第3者にまで広げようとする傾向が強い。
C プログラムの展開に当たっては、外部の組織、連邦・州政府、大学。研究所、国際機関などの協力を得て実施するケースが多い。
D プログラムが、中長期的で、貧困、教育、犯罪等ブラジルの実情にあったケースが多く、かつストーリー性に富むものが多い。例えば、外資系企業が、犯罪の減少に貢献した地域の警察を表彰するといった日本ではとても考えられないケースもあった。
E 実施したことに対しては、大々的に普及・広報し、多くの人々に知ってもらおうという強い意志が働いている。
日本でも、CSRが注目されている。ブラジルに進出している日本企業の中には、各種の寄付行為、コミュニテイへの植樹、文化的行事への協力を行っている企業もあるが、総じて十分とは言えないのが実情である。日系企業のCSR活動の特徴は、@寄付とかスポンサーシップと言った形態が多く、そこに企業や従業員の顔が見えてこない。社員その他の人々の身体を動かしたボランテイア活動が少ない、A日系社会に対する寄付行為が大部分、Bトップが率先して実行する、奨励するという発想がない、Cやったことに対するしかるべき広報活動を行わない、D企業の業績によって活動が影響される、等である。CSR活動から、外国商工会議所の活動状況や国営企業、外国企業、ブラジル企業の考え方が見えてくる。
2016年5月下旬
写真1、パウリスタ通りのFIESP(サンパウロ工業連盟)ビル



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