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≪第14次石油鉱区入札について≫ 堤 寿彦さんのお便りです。
BATEPAPOのメーリングリストにリオをベースに東京―シンガポールを駆け回っておられる元三菱商事リオ支店長、リオ日本商工会議所会頭を務めておられた堤 寿彦さんがBATEPAPOに再登録され自己紹介を兼ね今回行われた≪第14次石油鉱区入札について寄稿されておられます。これまでに40年‼ホームページに何度も寄稿頂いており今回も堤さんの寄稿を残して置きたいと思います。写真は、剣豪堤さんがリオのカーニバルに参加された時の写真を山下さんが送って呉れていますのでこれを使わせて貰うことにしました。堤さんこれからも専門分野での面白くて参考になる記事をお寄せ下さい。 


バッチパッポの皆様、
多分、初めて投稿(?)いたします。 リオをベースにしております堤です。
先のリオ商工会のランチ会合(当日は、元PB総裁・大臣のウエキさんがご講演)の後、帰り際に山下さんからお声掛けあり、メンバー再登録、、毎回、有意義なコミュニケーションを脇から読ませていただいております。ウエキさんとは、リオにお出でになる際はいつも、朝早くにご宿泊先ご自宅アパートの前にあるガソリンスタンドカフェで待ち合わせパン朝食をとり、一時間ほどフラメンゴ海岸を散歩しながら四方山話をしております。いつも数字をちりばめた、最新のBIG Dataが集積しているような頭脳で国内外の世相を切られる語り口が好きで、元気が出ます。
どこかで、一筆啓上ご挨拶しなければと考えておりましたところ、北と南でお世話になった山岸さんや和田さんのお名前を見て、また、今朝、興味のある分野で早川さまのリオで行われた第14次石油鉱区入札についてのご寄稿がありましたので、Take Chanceしてこのキーをたたいています。
小生、ほぼ毎月リオー東京―シンガポール(日本の中小企業のアセアンベースのM/A業務)を回遊しており、今日は、来週開催予定の、2030年に向けた“海洋開発・ガス開発の技術戦略―日本が技術大国になるために”と題したシンポジウムに参加してみようと東京におります。
“海底に石油・天然ガスの生産設備を設置するサブシー技術で世界をリードし、潮流などの海洋再生可能エネル ギーの実証フィールドも有するスコットランド、さらには世界の石油・天然ガスに関わる人、技術、 情報が集中する米国テキサス州ヒューストンといった世界の海洋開発市場を牽引する地に拠点 を置く企業、研究機関、大学から講師を招聘。世界のエネルギー開発の状況と将来への展望、そして、将来の産業を担う技術や人物像について総合的な視点から考察”という趣旨のシンポジウムです。超深海開発やプレサル等のサブシー技術分野にはまだ弱い日本ですが、極東・アジアにおける地政学上の緊張感緩和の一助にもなる重要な分野で、官民が積極的に将来に向けた研究の動きを始めておられるのは大変結構なことだと思います。
4年振りの実施となる今回の大型鉱区入札は、ブラジルにおける石油・ガス開発の今後を占うインディケーターとして伯政府/国家石油監督庁(ANP)も力を入れてきました。一方、現場では、27日に蓋を開けるまでは判らないという、半面、戦々恐々とした空気感の中で当日を迎えることになりました。小生、興味本位で、前回の第13次(結果は超低調)やプレサル第1次入札で行われたLibra入札(これはShell/Total/初めての中国企業2社の投資を得て盛況)等の会場にももぐり込むなどしていますが、一昨日の入札会場に居た友人によると、前回第13次の沈鬱なムードと異なり、活況を呈する雰囲気の中で行われたそうです。今回も、前回に続き、周りを厳重な警備陣に囲まれる中BarraWinsor Hotel会場で行われ、Filho 鉱山・エネルギー相が懸命にその入札の意義を説くところからご開帳。
私が一番注目したのは、ペトロブラスとがっぷり四つに組んだExxonMobilが本腰を入れて臨んだことです。
世界の最大手として君臨する同社は、これまで、ブラジルでの存在が薄かったのですが、彼らの進出により、世界中の大手石油会社(特に民間)が揃い踏みでブラジル海洋開発に名実ともに入り込もうとしている姿が感じられます。今回入札で、ペトロブラスとExxonMobilが50%/50%でコミットした開発ボーナス額は、約38億レアルで、戦々恐々として進めてきたANPや政府MME関係者も胸を撫でおろしたものと思われます。
一月後の10月27日、鳴り物入りで行われるプレサル第2次、第3次入札は、今回のカンポス堆積盆を中心としたポストサル入札よりはるかに大きな金額が動くはずで、小生は、こちらの結果の方に大きな興味を覚えます。今年1月から7月までのプレサル鉱区からの平均生産量は132.5万バレル/日で、既に、現在のブラジル国内における生産量の約半分をコンスタントに占めるようになり、2021年時点の石油・ガス生産量の大半がプレサル海域からの産出になると予想されています。一月後の入札には、ペトロブラスや今回のExxonMobil
に加え、Shell、Statoil、Chevron、Total、BP、 中国大手石油会社等が、既に入札参加に名乗りを上げており、現在、水面下では、ペトロブラスが誰と組むのか、あるいは単独入札已む無し、とかの動きが進んでいるところです。ShellやStat Oilの幹部とはよく話しますが、その本気度が窺えます。
一方、日本の大手も撤退し、未だ呻吟の声冷めやらぬ造船海洋市場ですが、FPSOの入札が進められているLibraやSepia案件、ペトロブラスが11月ごろに発表を予定している新規生産設備案件の動きを見守りつつ、今後の入札で緩和されとは言え、揺れが収まらないローカルコンテント問題の収束、大局的には、ペトロブラスや業界全体が、コスト削減や人員整理を進めながら、景気や業界の着実な回復を切望しているというところでしょうか。
(今となっては、その是非はともかく)ルーラ元大統領が仕込んだ集金マシンセクターであるエネルギー・海洋開発分野の動向には、常々興味がありましたので、小生がリオに居る時に行われる参加可能なANPイベントには極力物見遊山のために顔を出し、折々の業界関係者の顔つきや曇りがちの顔色、集まってこられる皆さんの現場会話等に耳を欹ててきました。人事異動の為か、ペトロブラス参加者の顔もかなり変わり、社内の現場改革・人員整理もドラスティックに行われつつあるのが読み取れます。
最期に、今回の入札は下の手順で進められて来ました。ご参考まで。

●14次鉱区入札進捗スケジュール
5月18日:入札告示及びコンセッション契約書基本ドラフト発表、入札に関わるテクニカルパッケージ配布
6月27日:入札内容にかかわる公聴会
7月20日: テンダープロトコル及び最終版コンセッション契約書配布
8月4日:入札参加表明及び参加費用払い込み
9月12日:Bid Bondの準備確認
9月27日:入札(一昨日実施)
10月2日:優先企業アワード(見えているようなものですが)
12月7日:落札者決定
2018年1月31日:コンセッション契約調印

■2次プレサル鉱区入札
5月29日、ペトロブラスは、同社の参画に関する新規定に基いて優先参画特権を宣言しSapinhoáブロック
開発への参画意思を確認登録しました。
7月25日:公聴会実施。
8月23日:テンダープロトコル及び生産分与(PSA-Product Sharing生産分与方式です)契約書基本ドラフトの提示
9月8日:入札参加興味表明と参加費用の振り込み
10月27日:第2次(及び第3次)入札開催。場所:リオデジャネイロ
11月9日:優先企業のアワード
12月11日:PSAの署名、落札ボーナスの払い込み
12月29日:生産分与契約書の締結

■第3次プレサル鉱区入札
上記同様、5月29日、ペトロブラスは、優先参画特権を活かしPeroba ブロック及び Alto de Cabo
Frio Centralブロックへの参加希望を表明、登録。第3次入札については、第2次と抱き合わせで
10月27日、リオデジャネイロ開催を予定しています。以降の取り進め日程は、第2次入札と同様。
来月のプレサル入札は、今回と規模の異なる、まさにブラジルのポテンシャルを世界の大手石油企業が、いかに分析し、実際、大型投資という形で20年〜30年にわたる生産期間(いや、ブラジルという国に)にコミットするか、見ものです。
ブラジル経済の浮揚に寄与する展開になればよいですが。
またいつ投稿できるかわからないので、ご挨拶も兼ね長くなりました。恐縮です。来月、27日の入札結果にもご注目ください。
堤(@東京)



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