HOME  HOME ExpoBrazil - Agaricus, herbs, propolis for health and beauty.  Nikkeybrasil  編集委員会  寄稿集目次  寄稿集目次  通信欄  通信欄  写真集  リンク集  準会員申込  em portugues




新連載 桜井悌司さんの『ブラジルを理解するために』(その34&38)
桜井悌司さんの『ブラジルを理解するために』その34『在サンパウロ外国商工会議所に学ぶべきこと』とその38『ブラジル・中南米の情報を日本語で調べるには』の2編を40年‼ホームページにも残して置くことにします。桜井さんの記事は、短いものは2000字から長いものは7000字を超すものまであり話題によって自由に調整しておられるようでホームページの字数制限で編集に苦労します。残りの話題は、今回の34と38の後、37と40、36回と39回は、独立したものとして残り3回に分けて掲載する事にします。一応連載は40回で終了し今後は、新しいものが1万語近く溜まった時点で適宜残していく事にします。
それぞれ興味深い話題を捉え分かり易くご自分の体験をベースに書いて居られ説得力があります。今回の写真は、第38回に使用されたいた外務省の写真を使わせて貰いました。


新連載 桜井悌司さんの『ブラジルを理解するために』(その34)
連載エッセイ34
在サンパウロ外国商工会議所に学ぶべきこと
執筆者:桜井悌司(日本ブラジル中央協会常務理事)

ジェトロ時代、メキシコ、サンテイアゴ、ミラノ、サンパウロに駐在した。メキシコ駐在時代は、末端所員であったので、それほど商工会議所活動には活発ではなかったが、それでも、日墨学園の建設に関わる事務的な仕事を担当させていただいた。サンテイアゴ時代には、会議所の会報編集責任者として、軌道に載せる仕事を担当したり、スポーツ委員として、家族揃ってのソフトボール大会の組織等を行った。ミラノでは、在イタリア日本人商工会議所の事務局長・理事として、活性化のための種々の活動を行った。サンパウロでは、コンサルタント部会長やマーケテイング・広報担当常任理事であった。サンテイアゴ、ミラノ、サンパウロの3か所で、主要な外国商工会議所の活動について実地に調査した。それらの一連の調査から、日本の商工会議所活動の活性化のために役立つことはないかと常に考えることにしていた。それら3か国の外国商工会議所の活動の調査を通じて、日本の商工会議所とどのように異なるかを見てみたい。

1)巻き込む力 −会員増をめざす
まず、サンパウロでもどこでも、米国、ドイツ、フランス、英国、スペイン、イタリア等の商工会議所の会員企業数の多さが指摘できる。その理由は、日本の商工会議所が、日本企業中心に構成されているのに対し、それら外国の商工会議所は、自国の企業のみならず、進出国の地元の企業、その他外国企業に対しても積極的に会員勧誘を行っているからである。私の駐在時代(2003年11月〜2006年3月)ですら、米国商工会議所は5,000社を超えていたし、ドイツも1,000社と言われていた。会員数が多いと数々のメリットが生じてくる。会議所組織から見ると、財政基盤が安定し、継続的かつ意欲的な活動を行うことができる。会員企業から見ると、参加が楽しくなるし、多様性のある企業との人脈形成も可能となる。その結果、ビジネスにもつながることになり、ますます会議所活動に参加しようということになる。日本の商工会議所は、もっと門戸を開放する努力を行うべきであろう。

2)一体化する力 −活動の活性化のためにあらゆる手段を活用する
連載エッセイ42「日本ブラジル商工会議所の思い出」の欄でもふれたが、外国商工会議所は、自分たちのプログラムをより良いものにするために、スポンサーを集めたり、共催相手、後援、協力組織を探すのに熱心である。昔の日本ブラジル商工会議所のように、会議所の名前を悪用されるなどという発想は存在しない。むしろどんどん会議所の名前を使ってもらい、会員増を図ることを考える。要は楽しく、会議所活動がより有益かつ活性化することを目指すのである。

3)何らかの貢献をしたい人が役員になる
この点が一番学ぶべきことかも知れない。会議所活動は、あくまでボランテイア・ベースである。よく話題になるのだが、役員もボランテイアなので、十分な活動を期待するのは間違いだという。日本の商工会議所の理事等役員リストを見ると、ほとんどが、日本の進出企業で、商社、銀行、メーカー、保険、建設などの現地社長がバランスよく配置されている。役員選挙も、事前に定数だけの候補者が推薦され、多くの場合、無選挙で決定される。立候補制度も十分に確立されていないことが多い。他の外国商工会議所のように選挙が行われないことが多い。推薦された役員候補も役員になった暁にはこういうことをやりたいと言った抱負や志を必ずしも持っているわけではなく、会議所理事という名声だけを得たいのである。横並びにA商社が推薦されているのでB商社もC商社もといった具合である。おそらく、本社には、現地で評価されているので会議所の役員に就任したと報告するのであろう。会議所の活動に貢献するという発想も比較的少ないようだ。一方、外国の商工会議所の役員リストを見ると、進出企業のみならず、ブラジル企業やコロニア企業などの名前が多い。選挙に立候補し、選出された役員は、過去の実績も十分だし、事前にやりたいことを明確にしていることがほとんどである。初めからやる気が違うのである。ここでは、日本の場合ほど、ボランテイアだからという言い訳はなされない。

「米国商工会議所式会員獲得戦術」

駐在中の2005年頃に、米国商工会議所(AMCHAM)のヴァスコンセロス専務理事に、米国商工会議所の活動につき取材に出かけたことがあった。最も聞きたかったことは、「米国商工会議所式会員獲得戦術」であった。
いずれの会議所、いずれの団体でもいかに会員数を増やし財政基盤を強化するかは永遠の課題である。具体的に行動に移すとなるといろいろな意見が出されたり、思い切った案を提案すると保守的な役員に反対されたりするのがおちである。
AMCHAMブラジルは、海外にある米国商工会議所の中でも最大の規模を誇る。85年前に設立されたが、1990年頃までは、せいぜい500〜600社程度の会員数であった。それが今では、全ブラジルで5300社、サンパウロで2300社にまで拡大している。おおまかに言うと会員企業の内、ブラジル企業は、75%、米国企業が、15%、その他の国の企業が、10%となっている。サンパウロ以外に、ベロオリゾンテ、ブラジリア、ゴイアニア、クリチバ、レシフェ、ポルトアレグレ、カンピーナスにも拠点を持っている。

 では、どうしてそれほどの会員数を獲得できたのであろうか?
ヴァスコンセロス専務の前任者が、トレイニーを使って勧誘するという方法を考え出したのが成功の鍵であった。今年の例で説明する。AMCHAMのホームページでトレイニーを募集したところ、学生等6000名の応募があった。その中で一時選考をして、500名くらいに絞り込み、最終80名程度を採用する。採用者には、2週間の研修を行い、AMCHAMの機能と活動、歴史、サービス、会員獲得のための手法等を徹底的に教え込む。期間は、6ヶ月で、年2回トレイニ−を募集する。給与は、当時、月額400レアル(当時のレートで約18,000円)程度で、学習や授業等を考慮して、半日勤務となっている。米国式の面白いところは、たくさんの会員を勧誘してきた学生には、インセンテイブを与える方式で、優秀なトレイニーは、月額1000レアル(約45,000円)を稼ぎ出すという。

 では、トレイニーにとってどういうメリットがあるのだろうか?第1に、米国式セールス・プロモーションの方法を実地で習得できること、第2に何らかの所得を稼ぎ出すことができること、第3には、会員勧誘により、種々のコネができ、それが縁で就職に結びつくケースが結構あることが挙げられる。同専務によると、米国や外国企業、ブラジル企業のトップや幹部は、若いトレイニーらと意見交換をすることを結構楽しみにしているところがあり、肩書きに拘る日本企業とは少し違うとのことであった。

 新規会員を勧誘するにあたり、必ず聞かれるのが、入会するとどのようなメリットがあるかということであるが、トレイニーには、会員候補企業には、会議所の活動を紹介させるとともに、当該企業のニーズを聞き出し、極力そのニーズに会議所として応えるようにしている。会員減少に悩む数多くの団体は、減少を嘆くばかりで何も具体的な活動をしないのが通例である。思い切った方法で事態を打破する意欲が必要である。米国商工会議所方式を実践するのは難しいかも知れないが、その発想法は大いに学ぶべきであろう。
2017年7月執筆

写真 サンパウロのブラジル日本商工会議所が事務所を構えるビル


新連載 桜井悌司さんの『ブラジルを理解するために』(その38)
連載エッセイ38
ブラジル・中南米の情報を日本語で調べるには
執筆者:桜井 悌司氏(日本ブラジル中央協会常務理事)

大学で7年間教鞭を採り、ラテンアメリカ事情につき講義したが、最近の学生は、スマートフォンやアイパッドなどで世界の情報が容易に検索できるようになった結果、何でも情報の入手が可能となっている。インターネットで調べる場合、キーワードで調べる方法、関係組織から調べる方法等があるが、学生やビジネスマンは、キーワード検索を使って調べるケースが多い。情報を入手する場合、誰が、どの組織がどういう情報を持っているかを知っていれば、極めて迅速かつ的確に情報が入手できる。そこで、本稿では、ブラジルやラテンアメリカ関連の主要機関のホームページを訪れることにより各組織がどのような情報を持っているかをやさしく説明するものである。ブラジルを中心に情報入手の方法につき紹介するが、他のラテンアメリカ諸国の調査にも役立つものと考える。なお、本稿は、桜井個人の判断・考えに基づくものである。

1. 外務省
外務省は、何といっても世界に多数の大使館、総領事館を持っており、世界のほぼすべての国々の政治・経済・外交事情をカバーしている。

「主要情報」
1)国・地域情報⇒地域地図⇒中南米クリック⇒ブラジル・クリック
ブラジル
@ 基礎データ(一般情報、政治体制・内政、外交・国防、経済、経済協力、弐国間関係) それぞれの国の基本情報が入手できる。
A トピックス、アーカイブ
B リンク(駐日ブラジル大使館、日本ブラジル中央協会、日伯協会)
2)海外渡航・滞在
@ 海外安全対策⇒外務省海外安全ホームページ⇒国・地域別の海外安全情報⇒ブラジル・クリック  海外に出かける時、駐在する時には必見の情報。
A 海外安全対策⇒世界の医療事情⇒国・地域⇒ブラジル・クリック 渡航時、駐在時には必見。
3)入手するとお得な情報
@ 「ゴルゴ13の中堅・中小企業の海外安全対策マニュアル」本  ゴルゴがやさしく治安情報を解説する。非常に面白い。
A 「日本と中南米」パンフレット  日本と中南米全体の関係を優しく紹介したブロシュアー。常識としての情報。

2. 在ブラジル日本国大使館
「主要情報」
1)二国間関係  2国間の政治・経済・文化関係が理解できる。
2)外交政策  日本政府の対ブラジル外交政策の基本がわかる。
3)広報文化  日本政府がブラジルでどのような文化活動をしているか。
4)ブラジル情報(毎月)政治情勢。外政、トピックス
ブラジルフォローワ―にとって必読の情報。カレントな情報を入手できる。

3. 在サンパウロ日本国総領事館
「主要情報」
1)安全対策情報(毎月)
「サンパウロにおける安全の手引き」26ページ
「邦人被害事例集」22ページ
治安に関心のある方にとって貴重な情報が満載。
2)サンパウロ案内
「サンパウロ州概要」
「サンパウロ市内」(観光名所、買い物、治安、日系団体、主要アドレス、レス
トラン)
サンパウロへの出張者や駐在者にとってサンパウロを知る上で大変便利な情報である・

4. 日本貿易振興機構(ジェトロ)
ジェトロは、独立行政法人で、貿易・投資の促進を図る機関で、世界55カ国に77の事務所を配置し、情報収集を行っている。

「主要情報」
1)国・地域別にみる⇒中南米⇒国別⇒ブラジル・クリック
@ ブラジル基本情報(概況、政治動向、経済動向、祝祭日、資料情報源、年次レポート、統計、各国地域データ比較、投資コスト比較)
経済・産業・貿易・制度情報は大いに役立つ。各国情報比較や投資コスト比較は、他国と一気に比較できるので、一度活用をお勧めする。
A ニュース・レポート カレントなニュース
B ビジネスの制度・手続き   貿易制度、投資制度、税制度等を詳しく説明するコーナー。
C その他、セミナー・展示会、ジェトロの支援サービス、見本市/展示会・ビジネス案件情報
D 輸出、海外進出、外国企業誘致といった目的別にも調査できる。また産業別の情報も入手できる。
2)入手するとお得な情報
「サンパウロスタイル」(2017年2月発行)60ページ、サンパウロで生活していく上で、役に立つ生活情報を写真で紹介する。他の中南米の都市のスタイル集も入手できる。

5. 国際協力機構(JICA)
JICAは独立行政法人で、日本政府の政府開発援助(ODA)を実践する強力な組織である。発展途上国を中心に全世界に93か所の事務所・支所事務所を配置する組織。北米・中南米には、23か所を有する。

「主要情報」
1)各国における取り組み⇒中南米⇒ブラジル・クリック
国別援助方針(ブラジル)外務省
国別データブック(ブラジル)外務省
中南米地域「いちおし!」情報 毎月
国別にどのような経済・技術協力を行っているかといった情報を入手できる。
2)各国における取組⇒事業別協力実績(国、年度、分野別)
3)入手するとお得な情報
各国における取り組み⇒世界の様子(国別生活情報)⇒北米・中南米⇒ブラジル・クリック
「サンパウロ地域生活情報」47ページ
「ブラジリア地域生活情報」37ページ
    国別の旅行ガイドブックが無い都市についての詳細な情報が入手できる。

6. 国際協力銀行(JBIC)
JBICは昔の日本輸出入銀行で、現在株式会社であるが、政府の貿易・投資・開発に関わる政府の銀行である。世界に16か所、中南米には、メキシコ、ブエノスアイレス、リオに事務所を構える。

1)JBICの取り組み⇒支援事例⇒中南米⇒ブラジル・クリック
毎年発表する「海外投資アンケート調査」は投資先国を選定する上で役に立つ資料である。

7. (一社)日本ブラジル中央協会
日本ブラジル中央協会は日本で最大の日本―ブラジルの2国間の政治・経済関係の推進をめざす組織である。ホームページも極めて充実しており、ブラジルの調査に大いに役立つ。

「主要情報」
1)協会イベント
2)ブラジル経済情報
@ 為替・経済指数(ブラジル日本商工会議所、ブラジル三菱UFJ銀行マーケット・レート) 最新の金融、経済統計が入手できる。
A マーケット・レポート(日興アセットマネージメント、三井住友アセットマネージメント、みずほ総合研究所、三菱東京UFJ銀行、ジェトロ、大和住銀投信投資) 上記@の情報に加え、最新の経済情報の入手が可能。
B ブラジル特報(隔月刊) 24ページ、毎号テーマを設定し特集号を発行。
最新号は、会員限定。その他会員限定情報は、在ブラジリアの日本大使館からの政治経済情報。
C 連載エッセイ「ブラジルを理解するために」現在までに、74まで掲載
D ブラジル関係の講演会、音楽、各種イベントの情報満載

8. ブラジル日本商工会議所
「主要情報」
1)デイリー経済情報  ブラジルのカレントな経済・産業情報を毎日掲載。
2)会議所関連ニュース
3)会議所の活動ほか
@ 業種別部会長シンポジウム 毎年2回、夏冬に開催され、各業種別の部会が、過去1年・半年の動向を発表する。
A プレゼン資料(過去の興味あるプレゼンが全て収録されている)、近隣のアルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビアのプレゼンも入っている。
B 会員企業情報  ブラジルビジネス
C 業界情報、貿易、法制度、投資、主要経済指標  非常に有意義な情報。
4)安全対策情報
大使館、総領事館の情報を中心としたサンパウロの安全情報。
6)ブラジル生活情報⇒一般情報⇒生活情報(うんちく、ことわざ、笑い話・ピアー
ダ200以上、アドバイス等)  笑い話等はビジネストークに役立つ。              

9. (一社)ラテンアメリカ協会
ラテンアメリカ協会は、日本とラテンアメリカ・カリブ諸国との政治・経済を中心に、相互理解の深化と関係強化をめざす組織である。協会のラテンアメリカ・カリブ情報は、会員限定が多いが、極めて充実している。

「主要情報」
1)協会主催の講演会セミナーの案内、お知らせ、他組織によるイベントの案内。
2)各種情報 会員限定情報が多いが、情報の内容はラテンアメリカ・カリブ全般を網羅している。各種情報には、ラテンアメリカ・データ集、協会の付属機関であるラテンアメリカ・カリブ研究所によるレポート(長年国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会に勤務した桑山幹夫協会常務理事のレポートが多い)、外務省情報、国別情報、新着経済情報が含まれる。
3)オッペンハイマー・レポート 米国のマイアミ・ヘラルド・トリビューンのラテンアメリカの政経問題の権威で著名記者であるオッペンハイマー氏の執筆記事シリーズ。
4)ラテンアメリカ関連の新刊図書、映画、音楽会、文化講演会などのイベント情報が満載。

10. 日本語から英語、スペイン語、ポルトガル語へ
以上、日本語だけでも膨大な情報が入手できる。加えて英語やスペイン語、ポルトガル語も駆使すれば、外国機関や国際機関にまで情報入手先が広がることになり、貴重な情報を大量に入手できることになる。学生や若いビジネスマンの方々には、さらに情報の入手範囲を広げていただきたい。        執筆:2017年11月



アクセス数 7586750 Copyright 2002-2004 私たちの40年!! All rights reserved
Desenvolvido e mantido por AbraOn.
pagina gerada em 0.0210 segundos.