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麻生悌三のブラジル不思議発見 52 ≪ブラジルのパイナップル≫
麻生さんの連載ブラジル不思議発見の5月号は、麻生さんの現役の商社マン(ブラジル三菱商事食料部長)当時に自ら手掛けたパイナップル缶詰め工場プロジェクトをベースにしたブラジルのパイナップルの問題点を解説して居られます。本文には出てこない麻生さんの苦労話を紹介して置きます。「三菱商事でパイ缶をブラジルで製造しようと、3年間パイン畑をミナス州フルタル市で200hAのパイナップルを栽培しました。担当の一人が小生で、パイン栽培は実戦で鍛えられました。」との事です。
写真は、ブラジル特産のペロラでなくハワイ種のパイナップルです。


ブラジル不思議発見 − 52 ブラジルのパイナップル
パイナップルはブラジルが原産地である。アマゾンからマットグロッソ一帯が産地らしいが、仏領ギアナのカイエーヌで、Smooth Cayeneと呼ばれる新種のパイナップルが見つかり、それをフロリダに移植し、後にハワイにて企業栽培が成功し、一大産地になった。今日世界には150種類位のパイナップルがあるらしいが、フレッシュ生食、缶詰、ともにハワイ栽培種が主力である。味は適度の酸味と甘みのバランスがよく、芳香も優れており、色も黄色である。パイナップルとは造語でパイン(松)は松ボックリの形をしており、味は甘い(アップル)リンゴに似ているというので、パイナップルと呼ばれるようになった。
パイナップルの生産量では、ブラジルは世界第2位の大生産国である。それなのに、ブラジルのパイナップルは生で輸出も僅かしか行はられていない。毎年、260万トンの生産量は国内のフレッシュ消費で消費されてしまう。どうして、生果の輸出も缶詰の生産も、なぜ低調なのか、その理由を考察してみる。

―世界のパイナップル生産国
世界のパイナップル生産量は約2700万トンと言われ、消費の主力はフレッシュ青果である。2015年の統計では、次の国が主要生産地である。
1位 コスタリカ  生産量 2685千d
2位 ブラジル       2483 (生産の60%はハワイ種)
3位 フイリッピン     2450
4位 タイ         2209
5位 インドネシア     1837 
コスタリカは伝統的に欧州向け生果が強く、欧州の消費の75%を占めている。果実商社のDoleの主力産地である。ブラジルは生果輸出は、アルゼンチン、ウルガイに少量輸出されているだけで、殆ど、国内で消費される。フィリッピンの生果の輸出の90%は日本向けである。タイはパイナップル缶詰の輸出に強い。缶詰生産のトップはタイである。

―世界のパイナップル缶詰の生産
世界のパイ缶の生産は年間12万トンと言われており、タイがその50%を生産する。
フイリッピン2万トン、インドネシア1万トン位の比率出る。一方、消費のほうは、英米で7,5万トン/年の消費があるはずで、やはり、英米人は缶詰が食品文化の範疇だ。ブラジルは缶詰の面でも生産はない。過っての主生産地ハワイは人件費その他の高騰により専ら、国内用フレッシュの生産に栽培している。

―ブラジルの栽培品種
ブラジルの栽培品種の40%位はPerola種で60%位はHawai種ではなかろうか。ペロラ種の形状は細長く、葉に棘があり、中身は白色で、酸味に乏しく、甘みが強い。ブラジル人は酸味が、好まず、甘みを優先するから、国内では妥当な選択である。一方、ハワイ種は形状はシリンダー型、中身は黄色、適当な酸味と甘みのバランスがよく、国際市場では、ハワイ種が優先される。ペロラ種は病気に強く、直根が深く入るので、旱魃にも強い。
総体的に栽培がハワイ種よりし易い。世界2番目の生産国でも、しかし、ハワイ種でなければ、需要がない。ブラジルが生果の輸出が無い理由の一つである。(ペロラ種は葉に棘があり、ブラジルのオリジナルの品種だろうが詳細は不明)

―パイナップルの重大な病害
ブラジルにはフザリューーム(Fusarium Moniliforme)土壌細菌が風土病のような形で全国に広がっている。確かな防除法のない、アマゾンの胡椒を壊滅に追いやった、菌もこのフザリュームである。菌が畑に残っていると、蔓延するため、新しい開墾地を求めて栽培地を移動しなければならない。このため、開墾地を転々とする、ジプシー農業がブラジルのパイナップル栽培の実情である。果心黒変病も注意すべきで、収穫後、果実の色が黒変する病害で、外側から観察できない。こうした、病害がブラジルのパイナップルの企業的大規模栽培を困難にしている。他国に無くて、ブラジルにある病害、ブラジルにとって、大ハンデイーである。果実の外面は異常がなくても。果肉が黒変するフザリュームの病害は、大規模栽培に対して、致命的欠陥である。フザリューム菌に農場が汚染されると、土壌消毒をするより、耕作を放棄して他所に栽培したほうが、安上がりであるゆえ、耕作地の移動が活発になり、栽培地を移動するジプシー農業が活発になる。(産地は移動する)

―栽培品種(ペロラ)とフザリューム
この両面が、ブラジルの青果の輸出も、缶詰工業の勃興も拒否している原因だと考える。
栽培品種は改良できても、フザリューム(他国には無い病害)の解決は見通しが無い。
                   以上
麻生(2018年5月1日)



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