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第40回バーチャル座談会『新春放談、行く年来る年2019ー2020』 番外編
昨年のバーチャル座談会では、その11(番外編)に73年の歴史を持つサンパウロ新聞の廃刊宣言とそれを惜しむニッケイ新聞の記事を取り上げていますが、今年は、生き残ったお世話になっているニッケイ新聞の深沢編集長の論説、≪愛読者の皆さまに感謝の一年!≫ を番外編として残して置きたいと思います。お世話になっているニッケイ新聞が色々新しい方針を立て出版物を通じての活字の新聞の生き延び策を模索して居り出来る限りの協力はして行きたいと思っています。余った字数で2019年度のニッケイ新聞が選んだコロニアに10大ニュースを一緒に掲載して置きます。今年の目玉ニュースは、アマゾン移民80周年との事で県連のふるさと巡りに参加してトメアス、ベレン、マナウスの式典に参加出来て良かった。写真は、深沢編集長が書かれた『移民と日本人』を使わせて貰いました。


≪愛読者の皆さまに感謝の一年!≫ ニッケイ新聞WEB版より
2019年12月24日

 2019年は読者の皆さんにとって、どんな年だっただろうか?
 昨年末にサンパウロ新聞が廃刊したことの余波が、繰り返す波のようにいろいろな場面で押し寄せてきた。取材依頼が例年以上に多いと感じたのは、その一例だ。
 年明けに400人ほどのサ紙読者が弊紙に移ってきてくれた。別の新聞を読むという決断は、読者にとって大きな、重いものだと承知している。心から感謝したい。
 サ紙読者の多くは購読料を年末年始に払っていたと聞く。つまり翌年の購読料を払ったばかりのところで、「寝耳に水」のように昨年末に廃刊となり、頭に来た読者も多数いたと聞く。
 その余波を受けて、「どうせニッケイ新聞もすぐに潰れる。乗り移ってすぐに潰れたら、嫌な思いを繰り返すことになる。それなら、もう購読しなくていい」と読まなくなった方も多数いるという話も方々で聞いた。
 逆にいえば、「それだけサンパウロ新聞を愛読していた」からこそ受けた廃刊のトラウマ、ショックだろう。まったく無理もない話だ。実際のところ40年、50年も愛読していた新聞から、ある日突然「廃刊します」と宣言され、その1週間後に実際にこなくなる―という経験は悪夢だ。
 しかも、晴れ晴れとした期待感一杯の気分で読みたい新年号が、最後の号になった。「2019年は、なんという嫌な形で始まった新年か…」と嘆いたサ紙読者も多かろうと想像する。

 とはいえ、邦字紙全体としてみれば、たとえどの新聞の読者であれ「邦字紙を愛読してくれていた」という事実は誠にありがたい。早くそのトラウマが癒えてくれることを心から祈りたい。

とにかく忙しかった1年
 編集部としてこの一年を振り返ってみると、「とにかく忙しかった」の一言に尽きる。
 普通に考えてみると、一世は減っているのだから、日本語で記事を出す需要は減ると思える。どの日系団体でも二世、三世が中心になっている時代だ。日本語新聞を読まない世代であり、彼等にとって日本語新聞の存在意義は薄れているはずだ。
 だが実際は「日本とのつながり」「日本から来賓を呼ぶので日本語の記事も出してほしい」「日本の人にも読んで欲しい」という意味で、思いのほか日本語で記事を出す必要性は残っている。
 裏を返せば二世、三世の時代になっても日本とのつながりはそれだけ多く、重要だという認識が続いている証拠でもある。本当にありがたいことだ。日系団体のイベントはむしろ年々増えており、「ネタは尽きない」どころか「こなしきれていない」のが現状だ。
 興味深いことに、日本語で記事が出たことで、取材依頼をしてきた日系団体は「その案件は国際的にも注目されている」とブラジル側の重要人物や官憲に見せて、アピールするという風にも使われている。
 そんな忙しい取材の合間を縫って、今年は3冊の本を刊行した。ざっとそれを振り返ってみたい。

子孫に読んでほしい『眞子さま写真集』
『眞子さまご来伯記念写真集/日本文化第9号』
 眞子内親王殿下がご出席され、盛大に祝われた昨年の日本移民110周年を記念して、本紙は今年2月に『眞子さまご来伯記念写真集/日本文化第9号』を刊行した。しかも日ポ両語で全ページカラー刷り、60レアルという格安価格で出した。
 全伯各地に記者を取材に派遣し、翻訳代もかけ、270ページ近くもあるのに全ページカラーで印刷代をかけたので、正直言ってかなり経費がかさんだ。弊社社長にも呆れられた。ビジネスとして考えた時、この値段では儲けにならない。正直言って、貧乏新聞社がすることではない。
 とはいえ、それも宮坂国人財団、天野鉄人氏、下本八郎氏をはじめ理解者・団体の協力があってこそ初めて実現できた。
 儲けが残らないのに、なぜ貧乏新聞社がそんなことをするか? それは、眞子さまがご訪問された感動を一世だけでなく、できるだけ多くの二世、三世、四世、五世、ブラジル人にも共有してもらうことが、次の大きな節目である日本移民120周年(2028年)を盛大に行うための最大の準備になると信じているからだ。
 子孫がこの本を開いて眞子さまの写真を眺め、逸話の数々を読んで、「皇室はブラジル日系社会のことをいつもに気にかけていてくださる」と胸に刻みつけることにより、「自分は日本をルーツとして持っている」「日系人としての誇り」という意識が蘇ってくるはずだ。この「日系人としての自覚」なくて日系社会というコミュニティに将来はない。
 この本が、できるだけ多くの日系家庭に常備されることで、三世、四世、五世がふと、「自分はどこからきたのか」「自分はなぜ今ここにいるのか」「何をするべきなのか」などとルーツに関する疑問を感じた時に、紐解いてもらえるのではと考えている。
 三世、四世がこの本を開けば、自分という存在の貴重さに気付くはずだ。「皇室」という1千年を軽々と超える、世界史の中でも稀に見る存在が、わざわざ自分たちのためにブラジルまでたびたび足を運んでくれるのはなぜか。
 第126代天皇である今上陛下も、移民百周年で当地に足を運ばれ、本紙ではその折にも写真集『百年目の肖像―邦字紙が追った2008年』を刊行した。
 今年10月の即位礼正殿の儀の折、あの写真集をとりだして、まざまざまとご覧になった読者も多いのではないか。リオのポン・デ・アスーカルの上でカメラを片手に微笑む姿など、素顔の陛下を垣間見られる貴重な写真が収められている。
 今回の眞子さま写真集からも、「日本という国の長い、長い歴史の流れの延長線上に、日系人としての自分がいること」「平野植民地、ノロエステ地方、トメアスー移住地をはじめとする明治以来の数えきれない移住に関する試行錯誤」「多くの善意や喜怒哀楽の積み重ねの上に、今の日系社会のあること」が感じられるはずだ。
 だからこそ、今のブラジルでは日系人は敬意を持って接されていることが伺われ、そこには、奥深くて、温かい、確かなものを感じるはずだ。
 そんな移民史を少しでも知ることで、日系人としてのアイデンティティが固まり、自分の存在により誇りが持てるようになるのではないか。
 我々一世にとっても、「子孫が日系人であることに誇りを強め、ただがむしゃらに生きてきた一世の人生の軌跡を高く評価してくれること」こそが、最も喜ばしいことではないか。

日本の人に読んで欲しい『移民と日本人』
『移民と日本人』(無明舎出版、2019年) 本紙は今年6月に、日本で『移民と日本人』(無明舎出版、150レアル)も刊行した。
 なぜ地球の反対にあるブラジルに25万人もの日本人が渡ったのか。「明治」という時代の、どんな背景の中から大量の日本人は押し出されるように地球の反対側まで渡っていったのか。
 そして「ブラジル日本移民という存在は、近代日本史から忘れられた存在になっていないか。正しく歴史の中に組み込まれているか」という問いかけをしている。
 これはグローバル時代ならではの、外国人労働者が近隣に押し寄せる生活環境になった日本の日本人に対する、移民大国ブラジルの日系社会からの提言として刊行したものだ。読み終えた人には、「日本人もブラジルで移民だった」という感覚から、「隣の外国人」が他人ごとでなくなることを期待して書かれたものだ。
 これは、日本の日本人向けに出した本だ。現在の邦字紙の役割の一つには、《日本の日本人に「移民とは」「ブラジルとは」ということを伝えること》も含まれると考える。だから、あえて日本で出版した。
 グローバル時代には、日本で起きていることの多くは、瞬時にブラジルにも伝わる。だが、ブラジルで起きていることは、めったに日本側に伝わらない。邦字紙は、印刷物はもちろんサイトやSNSを通して、ブラジルの情報を日本側にもっと発信していくべき時代になった。それが、邦字紙生き残りのキーワードの一つでもある。
 6月に、無明舎出版から郵送で送ってもらったが、手違いからいったん、日本に送り返されてしまった。再び郵送し直してもらい、先週ようやく到着した。新年から本格的に販売を始めるが、すでに日系書店には並んでいる。
 日本から来た来賓、知人や友人にプレゼントするなどにも使ってほしい一冊だ。

日本に馴染がない世代向け『COISAS DO JAPAO』
ポルトガル語翻訳版『O MUNDO AGRADECE! COISAS DO JAPAO』
 本紙は今月9日、『世界が感謝!「日本のもの」』(「ニッポン再発見」倶楽部著、三笠書房、2015年)のポルトガル語翻訳版『O MUNDO AGRADECE! COISAS DO JAPAO』(40レアル)の販売を開始した。
 世界の人々を魅了する「日本の優秀な製品やサービス」全97種をポルトガル語で紹介する本だ。ポルトガル語世代の子や孫、日本のハイテク製品に関心のあるブラジル人の友人やビジネスパートナーへのクリスマスや年末年始のプレゼントにぴったりの一冊だ。
 本の中では、世界の暮らしを便利にした「日本のもの」として、痛くない注射針、LED技術、新幹線、公文式教育法、魔法瓶、ファスナーや高機能トイレを始め、世界に安全と安心をもたらした交番、内視鏡など多数を紹介している。
 ブラジル日本商工会議所の平田藤義事務局長からも、《日本で当たり前に普及している技術やその応用製品、システムが、どれだけ途上国に移転され、それらの国々の国民に恩恵や幸せを与えているだろうか。技術移転には供与国側と導入国側の親密な連携が不可欠だ。日本の先進技術を非常にわかりやすく、網羅的にまとめた同書が出版されることで、導入国側であるブラジルの日本に対する意識が向上し、より親密な連携関係を生み出すことを私は確信している》とのあとがきを寄せてくれた。
 この本の読者は一世ではない。普段は日系社会と関わりがないような二世、三世、四世、五世、なかでも一般ブラジル人を中心読者として想定している。
 まずは日本製品についての関心を深めてもらうことで、日本的な製品設計思想、製造哲学を少しだけでも理解してもらい、そこから日本語や日本文化、歴史へと進んでもらう第一歩にならないかと思って刊行した。
 とくに日本文化好きなブラジル人には堪えられない一冊ではないかと自負する。
 これらの本はみな本紙編集部(11・3340・6060)、太陽堂(11・3208・6588)、竹内書店(11・3104・3399)、高野書店(11・3209・3313)などから購入できる。
ポ語読者開拓で生き残り
 このように今年、貧乏新聞社ながらも3冊、本を刊行した。『眞子さま写真集』は日系社会向け、『移民と日本人』は日本の日本人向け、『COISAS DO JAPAO』は一般ブラジル人向けという基本的な方向性で発行した。今のところ、それぞれ好評なので胸をなで下ろしている。
 来年に向けては、すでに『日本文化』第10巻、『日本史』などの刊行準備に入った。
 新聞には「今コロニアで起きていることを読者に知らせて注意喚起する」「移民史に残すべきことを記録する」などの役割がある。通常の新聞発行に加えて、このような本の出版事業を続けるのは、正直言ってかなり重荷だ。だが、本には本の役割がある。
 新聞読者の理解がある限り、新聞社は続く。移民社会の宿命として日本語の読者は減るとしても、その分、ポ語の読者を開拓すれば生き残れるはずだ。
 その点、ポ語週刊新聞NIPPAKの存在は心強い。それに加えて、このようなポ語刊行物を出し続けることで、少しでも日本文化、日本の情報がブラジル社会に広まっていけば、コミュニティ新聞として生き残っていけると信じている。
 先人の開拓精神に学び、ポルトガル語市場という新しい〃畑〃を開墾して広げていきたい。
 旧年は愛読者の皆さんに本当にお世話になったと感謝している。新年もご愛読のほど、心からお願いしたい。(深)


コロニア10大ニュース=1位はアマゾン移住90周年=平成から令和へ日系社会も祝賀 ニッケイ新聞WEB版より
2019年12月27日
今年の日系社会で大きな節目だったのは、アマゾン日本人移住90周年だ。現地からの声を、今年後半、本紙ではできる限り紙面に掲載した。9位にある通り、県人会や各日系団体の周年行事も多かった。6位の「日本語教育推進法」は新年から実施され、その効果の程がいよいよ判明する。母県から助けてもらうばかりでなく、時には支援するという意味で、7位の首里城再建寄付は重要だ。とはいえ良いことばかりではなく、喉の奥の棘のように5位の韓国文化院の展示問題も起きてしまった。だが2位と3位である「御代替わり」には、日系社会も積極的に祝賀し、その様子は日本のメディアでも大きく報じられ、存在感を示せた年だった。

第1位=アマゾン日本人移住90周年
乾杯の音頭を取った第1回目アマゾン移民の山田元さん
 今年の日系社会で最も大きな出来事は、アマゾン日本人移住90周年だ。今年9月13〜15日に、パラー州トメアスー、ベレン、アマゾナス州マナウスにおいて、3日間連続で盛大に記念式典が開催された。
 トメアスー式典は、二世を中心とした祭典実行委員会が開催。第1回アマゾン移民で現在も同地に住む山田元さんを始め、同地で活躍した多くの一世が表彰を受けた。
 ベレンでは、豪華絢爛な平和劇場で開催され、ヘルデル・バルバーリョ州知事も出席。日本政府や祭典実行委員会による表彰の他、パラー州政府から9人が叙勲を受けた。
 マナウスでは、歴史ある優雅なアマゾナス劇場で開催された。サンパウロ市からは文協コーラス部ら約50人が特別に駆けつけ、美声を披露した。“アマゾン開拓の父”上塚司の孫、芳郎さんも来伯し、式典後も夕食会で節目の年を盛大に祝った。
 今回も県連ふるさと巡り一行約180人が全ての式典に出席した。
 90周年の準備と本番の様子は、本紙でも連載『アマゾン90年目の肖像=「緑の地獄」を「故郷」に』(有馬亜季子記者)全17回、連載『90周年に沸く「緑の天国」』(同記者)全23回で詳しく報じた。

 5月1日、皇太子徳仁親王殿下は第126代天皇にご即位され、新元号「令和」に改元となった。約200年ぶりに譲位により皇位を継承した新天皇陛下。ブラジル日系社会でも令和の御世到来を盛大に祝した。
 ブラジルでは、主要日系5団体が「新天皇ご即位・新元号『令和』祝賀晩餐会」を4月30日夜(日本時間5月1日)、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会ビルで開催。日系団体関係者、駐在員ら約200人が出席し、日伯のメディアもこれを報じた。
 10月22日にも、日本で同日行われた「即位礼正殿の儀」を受け、奉祝晩餐会をサンパウロ市のクルベ・シルクロ・ミリタル・デ・サンパウロで開いた。全伯から約800人が集まり、日本の儀式の映像もNHKから特別に提供され、日系社会が一丸となって祝福した。
 新天皇陛下はこれまで3度も来伯され、ブラジル日系社会とも縁が深い。令和も日伯の絆を一層深める時代となることに、期待が高まっている。

第3位=平成の天皇陛下御即位30年
 平成の天皇陛下は今年、御在位30年を迎え、4月10日に「天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集い」が東京で挙行された。驚いたことに、その壇上に招待された一人が、サンパウロ市在住でエタッパ高校2年生の宮ア真優さん(16、五世、大志万学院卒業生)だった。
 安倍晋三首相や映画監督の北野武氏など錚々たる面々が祝辞を述べた後に、彼女は祝辞を述べた。原稿も見ずに堂々とスピーチし、国内外に感動を与えた。それを報じた本紙サイトの記事には「いいね」が2500以上も押された。
 さらにブラジル日本移民史料館の9階では、御在位30年特別展が開催され、両陛下のブラジルご訪問が写真パネルで展示された。
 史料館は、78年6月18日の移民の日に皇太子同妃両殿下(当時、現上皇・上皇后両陛下)のご臨席のもとで開館。移民百周年の08年には、当時進められていたアーカイブ・プロジェクトに対して御下賜金が下賜された経緯がある。

第4位=日本人歌手が続々来伯!
 今年は日本の歌手の来伯公演が特別に多い年だった。
 移民の日に合わせ、6月16日に行われた演歌歌手・三山ひろしのコンサートには、2回公演とも文協大講堂を埋め尽くす2400人が来場。特技のけん玉の披露や「よさこい鳴子踊り」を高知県人会の青年部の踊りと共に歌い盛り上がりを見せた。
 8月3、4日の聖市おきなわ祭りでは、バンド「ザ・ブーム」のボーカリストとして有名な宮沢和史が特別出演。日系社会でも愛唱されている『島唄』や『風になりたい』、沖縄民謡など8曲を熱唱した。
10月6日には、北島三郎の弟子である北山たけしが単独公演を行った。2千人が文協大講堂を訪れ、津軽三味線の演奏と合わせた歌を披露。さらに華麗な剣舞や尺八、大太鼓などの演奏で会場を沸かせた。
 11月8日には、沖縄県うるま市出身のバンド・HYが初来伯。20代、30代を中心とした若者や沖縄県所縁の高齢者が公演に訪れ、会場一体となり歌って踊る特別なショーとなった。

第5位=韓国文化院で竹島問題展示
 日韓関係が緊迫する年だっただけに、今年8月4日にサンパウロ市パウリスタ大通りに移設オープンした、韓国の現代文化を発信する広報施設「韓国文化院」の動きは日系社会の注目を集めた。
 特に日系社会に激震が走ったのは、今年後半の10月に「竹島は韓国の領土」という内容が展示されたことだ。2つのパネルと1つの映像で構成され、竹島が韓国の領土であることはポ語で強調されている。
 これに在サンパウロ日本国総領事館の楠彰首席領事は、「韓国文化院と韓国総領事館に抗議した」と対応、今後も断固として反対する方針だ。
 読者から反響も大きかった他、日本の新聞でも報道され、更に韓国のテレビや当地の韓国コミュニティ紙でもこのニュースは取り上げられた。

第6位=日本語教育推進法案が成立
 日本国内で暮らす外国人を主な対象として日本語教育を推進するための『日本語教育推進法』が、6月21日に日本の国会で成立した。
 この法案のために、ブラジル日本語センターの日下野良武理事長は昨年から3回訪日し、関係者に根回しを行った。その結果、この法案には海外日系社会の日本語教育支援も盛り込まれ、今後の日本政府の支援が期待されている。
 この法案成立に先立ち、同センターに日本語教育関係者らが集まり、意見交換会を行っていた。日本語教師育成の資金援助や安い給料の改善、専門家の派遣など、幅広い要望が集まった。
 法案施行後、ブラジルの日本語業界にも大きな好影響が期待される。

第7位=首里城再建に募金開始
 日本時間の10月31日未明に、沖縄県那覇市では大規模火災により首里城が焼失した。世界中のウチナーンチュが悲痛な叫びを上げる中、ブラジル沖縄県人会は翌日から義援金集めの検討を始めた。
 12月8日には、再建への寄付を呼びかける芸能イベント「ちばりよーうちなー 〜皆で首里城の再建を〜」を開催。来場者は約700人、約300人の演者が参加した。
 第2部では、ブラジル琉球舞踊玉城流扇寿会代表の斉藤悟さんが作り上げた、首里城をテーマとした創作歌舞劇を上演。寄付金は入場料だけで約5万レアルとなり、日系社会屈指のマンモス県人会の底力を見せた。寄付は来年2月10日まで受け付けている。

第8位=アメリカ杯、若き侍躍動!
 サッカー南米選手権(コパ・アメリカ)が6、7月に伯国で開催され、地元ブラジルが優勝した。日本代表も招待国枠で参戦し、若き「サムライ」が大健闘を見せた。
 日本代表はチリには大敗ながらも強豪ウルグアイ、エクアドルと引き分け、決勝トーナメント進出こそかなわなかったが一定の力を示した。
 日本からも代表チームサポーターがスタジアムに駆け付けたほか、聖市のジャパン・ハウスでもパブリックビューイング(試合生中継応援イベント)を開催。日系人、ブラジル人も青のユニフォームに身を包み、試合展開に一喜一憂、ピッチの選手に熱い声援を送った。
 スペインの名門クラブ、レアル・マドリードへの移籍が決まり、注目を集める久保建英選手(くぼ・たけふさ)らが奮戦を見せた若き日本代表。来年の東京オリンピック・パラリンピックでの活躍に期待が高まるとともに、日伯対決も見たいところだ。

第9位=多数の日系団体が節目
 今年はサンパウロ日伯援護協会(与儀上原昭雄会長)の創立60周年、ブラジル北海道文化福祉協会(大沼宣信会長)の道人移住100周年・協会創立80周年など、多くの日系団体が節目を迎えた一年だった。
 他にサンタクルス病院(石川レナト理事長)が開院80周年、ブラジル宮崎県人会(竹下達也会長)が創立70周年、ブラジル和歌山県人会(谷口ジョゼー眞一郎会長)と在ブラジル青森県人会(名和渋川幸子マリア会長)が創立65周年、在ブラジル長野県人会(篠原オラシオ裕之会長)が創立60周年、大阪市とサンパウロ市の姉妹都市協定締結50周年も。
 さらに曹洞宗両大本山南米別院佛心寺(采川道昭住職)が同寺の創立及び南アメリカ国際布教総監部開設60周年、世界救世教ブラジル宣教本部(宮道マルコ・レゼンデ本部長)も宣教本部竣工50周年を迎えた。
 節目を盛大に祝うことで団体内の士気を高めるとともに、日本から慶祝団を迎え、日伯交流の深化につながる機会にもなる。今回節目を迎えた団体が、今後一層発展することを願うばかり。

第10位=JRパス問題が再燃
 来年末をもって海外在住日本国籍者が利用できなくなることで、問題が再燃している「ジャパン・レール・パス(以下、JRパス)」。2017年に世界の在外邦人の切実な願いが届き、一度は期限が延長された。だがその期限が来年末に迫り、日系社会から批判の声が高まっている。
 現在の利用資格はJRグループによれば「日本国の旅券及び『在留期間が10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等』を有する方」だが、21年からは「日本に短期滞在する外国人の方」に限定されている。
 サンパウロ市在住者からは、「夫婦で国籍が違うから困る」、「日本は観光業を振興しているのに、在外永住者が利用できないのは何故か」などの意見が上がっており、今後も抗議の声が上がると予想されている。

番外編=平野運平胸像、再設置後また盗まれる
 サンパウロ市カンブシ区エスタード大通り沿いの平野運平広場に建てられた同氏胸像が、「再び」盗難に遭った。
 広場の平野像は、平野植民地入植60周年(1975年)を記念して建立。しかし昨年10月に盗まれていたことが分かった。
 平野農村文化体育協会(山下薫ファビオ会長)とブラジル静岡県人会(原永門会長)は平野像の再設置に乗り出し、今年6月に平野 氏の没後100年を記念し、再び広場に設置。6月2日の除幕式には、平野植民地周辺の在住者もバスを借り切って駆けつけ、約90人で盛大に祝った。
 それが11月に入り、再び盗まれていることが判明した。
 平野氏は通訳5人男の一人として渡伯。笠戸丸移民62家族232人を引率してグァタパラ耕地で働き、コーヒー農園の賃労働では目標の稼ぎを得られないとし、日本人移住の初期に植民地開拓に乗り出した。日本移民の基礎を築いた人物の像が、再三にわたり盗まれたことに、平野植民地関係者らを中心に、悲しみの声が寄せられている。





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