第6回バチャル座談会 ブラジルのカーニバルを語る!!
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第5回バーチャル座談会ブラジルのサッカー談義は、多くの新しい方からの発言、書き込みを頂き盛り上がりましたが、今回はサッカーと共にブラジルで一番ポピュラーなお祭り喧騒の5日間、この間は、ブラジルがストップしてしまうと言われるカーニバルをテーマに揚げて多くのカーニバル経験者、未経験者の皆さんと楽しく語り合えればと思いこのテーマを選びました。
ブラジルでは、カーニバルが終って始めてその年が始まるといわれており灰の水曜日から四旬節、復活祭と続く季節に学校も一斉に始まり暑い暑い夏も終焉を告げブラジルの経済も動き出すと云うパターンを続けて来ております。暑い暑い正月、カーニバルを何度迎えたのでしょうか。ブラジルでの40年の歴史は、このカーニバル休みの様々な想い出を語らずには過せないと思います。
地元ポルトアレグレでは金曜日の夕方から車で、バスで36度を記録した暑い町から海浜に逃げ出し水曜日までの特別休暇を楽しみます。写真は、カーニバルの女王としてここ数年君臨しているルマ・デ・オリベイラ(ルラ大統領の選挙支援者として個人ベースで最大の献金者としても知られている)さんの艶姿です。
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和田:イントロとしてカーニバルのメッカと言われるリオに住んでおられる山下さんにお願いします。
山下:リオのカーニバルは本日、金曜日(今年は28日)夕方に始まり水曜日の昼まで続きます、役所も銀行も全部お休みです。
24日の月曜日にちょっと麻薬マフィアがあばれる騒動があったのですが、首班をサンパウロの地方へ島流しし軍隊から兵士3000人を警備に借りて昨日から平穏です。
街中でサンバが聞こえ始め、サンバが聞こえたら体が動き始めるのがブラジル人です。もちろん40度以上の暑さで、阿波踊りの時期と同じで、頭朦朧思考力あまりなく強い酒がうまく、皆酔っていますから運転は極めて危険です。
サンバのことについて述べますが、サンバはちょっと変わった音楽です。基本リズムは打楽器のみでメロデイー楽器が無いのです。私も方々旅行し、昔マリンバやボンゴで遊んでいたので、注意して見ているのですが、打楽器のみでこれほどダイナミックなのはブラジルのサンバのみ、特にリオです。ブラジルでも南の方も北の方もダメです。笛も使いますがピーピーとアクセントに吹くだけでメロデイーにはしません。
興味あることにメロデイー楽器をやる人はリズムはダメなのです。日本の例でいうと村祭りはタイコはあるがピーピーピーヒャララと笛のメロデイーが入るのはリズムがダメなのです。むしろ小鼓のカッポンカッポンの連打反応がサンバに近く、音の間とかけひきの高度な技術なのです。
カーニバルの時期にカリブに行くとドラム缶の蓋で作った楽器を叩いていますが、音階を作ってメロデーにしているので、サンバの真似をしても全然違う感じになるのです。
香西:ブラジルのカーニバルのことは、日本のTVニュースでも放映されます。
本場のカーニバルは、熱気に包まれるのでしょうね。
毎年「神戸祭り」パレードにサンバダンスの参加があります。
規模も熱気も比べ物にならないでしょうが、それなりの味わいは感じられます。
MASAYO:サンバといえば神戸じいじさんがおっしゃるようにもう神戸とは切っても切れない関係です。
毎年行われる神戸まつりといえばサンバが連想されるくらい神戸祭りのシンボルのようになっています。
あのリズムが聞こえてくると落ち着かなくなるのが神戸っ子と申しましょうか。神戸祭りの何ヶ月も前から新聞にはサンバチームのエントリーの案内、練習場の案内、日程のお知らせが載るようになります。そしてそれぞれお勤めが終わったあとビルの屋上やオフィスが練習場になり皆はステップの練習をするのです。そして本番はもう街中がサンバのリズムに包まれます。もちろん在日のブラジルの方?も華麗なダンスを披露してくださいます。神戸でさえこんな感じですので本場のリオのカーニバルでは、和田様がおっしゃるようにお酒も入って(笑)さぞかしすごい熱気でしょうね。一度行ってみたいです。お祭り大好きですから。
沢田:昨年のワールドカップでも、ブラジル代表の試合ではブラジル人サポーターが スタンドに楽器を持ち込み、サンバを奏でながら応援していました。この応援スタイルは、すでに世界中で知られています。
ブラジル国内の試合でも、私がブラジルに渡った80年代には応援団の中にたいてい「バッテリア」と呼ばれる打楽器隊がいて、「ドコドコ!ドコドコ!」という大音響を発し、「頑張れ」というよりは「頑張らないと承知しないぞ」と脅迫しているような迫力でチームを応援していました。また、ひいきチームが美しいゴールをいくつも決めて試合に勝っているときなどは、大観衆が声を合わせてサンバの名曲を合唱するというブラジルならではの光景が見られました。
その後、サンパウロのコリンチャンス、パルメイラス、サンパウロFCといったビッグクラブのサポーターの中でサンバが好きな連中がサンバチームを結成し、サンパウロのカーニバルに参加するようになりました。このうち、コリンチャンス最大のサポーターグループである「ガビオンエス・ダ・フィエル」はカーニバルで何度も優勝し、現在ではサンパウロでトップクラスのサンバチームとなっています。
私個人は、リオとサンパウロのカーニバルを見物したことがあります。リオのカーニバルは観光化して久しいと言われていますが、それでもあの巨大なサンバドロモ(カーニバル専用会場)に打楽器隊の奏でる大音響が響き渡ると、仮に全身麻痺の人でも体が揺れ動いてしまうのではないか、と思わせるような迫力があります。私も二晩徹夜して見物しましたが、全く飽きませんでした。
山下:特別グループの行進が始まりテレビで見ていますが、昨日はサルゲイロが出て、今日は昨年優勝したマンゲイラやベイジャ・フロールが出ます。不景気だとお祭りに金をかけるといいますが、今年は山車、衣装やや色彩に凝っています。過去になかった動きとして、個人や少数のプレーが出てきました。
個人尊重が時代の傾向でしょうか?以前は個人プレーは旗持ちのカップル程度でしたが、今年は、バレリーナ、ローラースケーターなどが行進の来る前のスペースで動きのあるショーをするようになりました。
和田:神戸祭りではブラジルのサンバ、カーニバルが活躍するようですね。何ヶ月も前から募集、練習に入るとの事ですが、ブラジルでは1年間貯めたお金を全てこのカーニバルの衣装に使う人も多い大衆のエネルギーの発露となりますがそれを観光に上手く結びつけてサンボドロモというサンバ野外劇場モドキものを市役所が建設、優勝チームには莫大な賞金を掛け審査方法にいちゃ文が付いたり殺傷沙汰が起きる年もありましたがやはり世界中から注目されるのはリオのカーニバルといえます。その本場リオの様子を山下さんに報告してもらいましょうか。
山下:麻薬マフィア騒動で観光客減が心配されたリオでしたが、観光客数は市内だけで39万人昨年より20%上回りました。ホテルは満杯、地方のカーボフリオやアングラドスレイスなども満杯です。
カーニバルの行進は特別クラス14チームが、本日7チーム夜の9時から朝の7時まで行われ、観覧者の体力も必要です。
1チームは2500人から3000人のチームで、楽隊だけでも500人、山車が数台からなり1チーム通過に約1時間かかります。
今年の優勝候補はサルゲイロ、マンゲイラ、ベイジャ・フロールです。
香西:サンバの1チームが2500人から3000人とは凄いですね。
MASAYOさんが仰るように神戸祭りにも幾つかのチームが参加しますが、踊り手の数は2桁ちがいます。
それに、神戸祭りのパレード参加者は禁酒が条件のようですから、ブラジルの人から見たら「祭り」ではないでしょうね。
MASAYO:本当にブラジルのカーニバルの規模の大きさに驚かされました。
学校、銀行、工場すべてお休みなんですか。そして10万人が踊りに参加!すごいです。神戸のお祭りなんか子供みたいなお祭りですね。
サンバのパレードも踊る人より見物人の方がずっと多いです。
踊りのショーを皆が沿道で見ているというようなもので、実は私はそのショーが終わったあとの踊り手さんたちと街の人たちの交流の方が興味があります。そういった点でブラジルのカーニバルはもっと多くの皆さんが参加され街中が祭りの興奮のるつぼと化する雰囲気ですね。でも皆さん、アルコールが入っておられるのでいろいろとトラブルは起きませんでしょうか、よけいな心配ですか?(笑)
桐井:国家的お祭のようであらゆる面での規模の大きさにただただ驚いています。サンバのリズムが更に祭を盛り上げている観があります。
やはり実りの秋に感謝する収穫祭的意味合いがあるのでしょうか。
怪我人や死者が出るなどの事故はないのでしょうか。
あらゆる面で日本とはスケールが違うという印象があります。
この祭による観光収入も大きいことでしょうね。
大変勉強になりました。
できれば私の疑問等にもお答えいただきたく存じます。
香西:凄いの一言です。日本にも「年に一度の祭りのために働く・・・」と言う地方祭りはありますが、直接参加する人、準備する人が10万人とは想像できません。
日本の祭りは、神社を中心にして豊作・豊漁を祈る行事だったのが、だんだん観光化しています。
ブラジルのカーニバルの元は何だったのだろう、と思っています。
これだけの人が一つの行事に集中することは、連帯感が高まるでしょうね。
和田:桐井さん、香西さんからカーニバルの元が何だったのか実りの秋を感謝する収穫祭的な意味があったのかとの疑問が投げかけられているようですが、
カーニバルは、日本語では謝肉祭と訳されておりカトリック教と繋がりがある大衆のお祭りです。通常、灰の水曜日から復活祭までの四旬節と言う期間中は宗教上の犠牲を払う習慣があり昔はこの期間中は肉を食べないという戒律があり四旬節が始まる前の3日間を謝肉祭と名づけてドンちゃん騒ぎをするのがカーニバルの起源とされています。ブラジルには本国のポルトガルから17世紀に持ち込まれたようで1840年リオデ初めて謝肉祭を祝う舞踏会が行われ1846年には現在のような形の町の中を練り歩くお祭りが始まったようです。1929年に初めてエスコーラ・デ・サンバDEIXA FALARが創立されたとの記録が残っています。現在ではブラジル全土で大衆のお祭りとして喧騒の5日間のお休みが続きますが矢張りリオとサンパウロがその規模(動員力)等からして有名ですが、音楽の電気トラックを中心に市民全員が参加するサルバドールのカーニバル、オリンダ、レシフェの大きな人形を押し立てての行列等各地の特徴を出していますが同時期にフランスのニース、イタリアのヴェニス、ローマ、フローレンス、アメリカのニュウオリンズ等でもカーニバルが行われているようです。最近ではニューヨークでもブラジル人がカーニバルを祝うようです。現在のリオ型のカーニバルが世界に広がり日本でも神戸祭り、浅草のカーニバル、札幌ヨサコイ祭り、福岡のどんたく祭り等にも導入され日本全国で日系ブラジル人からリオのその年の優勝チームが規模を小さくして招かれたりサンバのリズムと共にブラジルのカーニバルの軽快なリズムと美人の踊りが人気を集める様になって来ているようです。大衆のお祭りであるカーニバルは、戦争、革命等に走りがちな大衆エネルギーの捌け口として安全弁的な役割を果たしておりブラジルではカーニバルとサッカーが続く限り革命も戦争も起きないと云われています。
Michiko:さすが!本場のカーニバルはすごいですねぇ〜
参加者が10万人とは想像も付きません
また特別な人なのでしょうがダンサーの姿態の美しい事・・・見惚れるようです。一度でいいから本場カーニバルを見てみたいわ!
7月に開かれる浅草のカーニバル・・・機動隊の車が何台も出るほどの混雑ですが、今年は前列に出て写真を撮ろうと思っています。カメラマンも多そうですしなかなか近づけそうにありませんが、割り込んでみます
このエネルギッシュなお祭りは観光のためだけとは思えませんが・・・すごいものですね。
去年、お祭りの中で一番の観光客数を誇る・・という「博多どんたく」をみてきました。やはりブラジルからのダンサーが参加していました。
日本での、いろいろなお祭りに参加しているようですね。
和田:Michikoさの発言、有難う御座います。7月の浅草のカーニバルには取材に出向かれるとの事、是非様子を知らせて下さい。楽しみにしております。福岡のどんたく祭りにも行かれたとの事、5月の神戸祭りの練習も始まっているようですし札幌でもパレードがあるそうです。サンバのリズムに浮かれて日本でも人気があるようですね。
地元ポルトアレグレでもカーニバルは市役所が主催で行われます。来年からは、町の真ん中から飛行場の先の市の北部にサンボドロモを建設して新しい観光行事の一つに育てて行く事が決定したようです。今年も昨年に続きバンバスというチームが連覇したとの事ですが見に行きませんでした。宴の後で市の清掃局は、紙コップ他のゴミが毎晩20トン出たとの記事が出ていましたがリオ、サンパウロでは何百トン出たのでしょうね。凄いエネルギーの発散です。
横田:リオのカーニバルを模倣した札幌のよさこいでは始めは手作りの無邪気な祭りでした。
年々、大きくなるに連れてスポンサーの意向を繁栄させた金を持っている処がコンテスト形式の導入に伴いエスカレートしてきて、数人で楽しむ事が出来なくなりつつあります。
テレビで見るかぎりではリオのカーニバルも表舞台に出るにはお金がかかり>衣装、音楽、装置<などの要因が重なり観光用と身近い部分で楽しめば良いとする側の両極に分かれてきているとの事でした。さっぽろヨサコイも最近は地方行政の力が強くておらが町や村を北海道560万の60%の住む札幌でその存在を認めて貰う、サラ金大手、航空会社うんぬんの宣伝場所としてお金の競演になりつつあります。
和田:2月28日(金)から始まったブラジル全国のカーニバルは3月5日灰の水曜日に終了し本日午後から銀行も始まり全ての仕事が再開し始めました。月初めと重なり為替を締めたり給料を払ったり休みの間に発行したシェッキ・ボアドール(飛んでいる小切手)が銀行に落ちる前のファウンド作りと忙しくなります。海浜で休息、町に残りのんびり、連休を利用しての海外旅行、カーニバルの踊りへの参加、またはその鑑賞それぞれの5日間はどうだったのでしょうか?是非私のカーニバルを聞かせて欲しいですね。
リオの見るカーニバルは、4年振りにベイジャ・フロール(蜂すずめ=蜂鳥といわれる花の蜜を吸う小さな鳥)が399,60の略、満点で優勝が決まりました。週末に優勝チームを最後にした上位陣の再出場があり正式に幕を閉めますが参加者が10万人を越す(観客ではなく踊り手)一大絵巻物は終わります。
山下:先ほど結果がでて市場最大のショーは終わりました。
なにしろ特別グループだけで7万人の出演者、ウラ方さんを含めると10万人以上のショーチームでしょう。
審査は10項目に4人ずつの専門家により行われ、ベイジャ・フロールが400点満点の399.6で優勝しました。
今年のテーマの特徴は山車に怪獣か怪物が多く出てきたことと、サンバに直接関係ないとおもわれるバレリーナ、ローラースケーター、マスゲーム的な前座が華を添えたことで、今後はますますバラエテイーに飛んだ企画がなされるとおもいます。年一回ですから、来年の企画はもう始まります。
和田:ブラジル人が参加するブラジル型のお祭りが日本全国に広がっているようですね。浅草のカーニバル、神戸祭り、福岡のどんたく祭り、札幌のヨサコイ祭り直接聞かせて頂いただけでも広範囲に広がっているようでお祭りにはサンバのリズムと踊りが合うのでしょうね。本場リオでのカーニバル観光客は36万人国内と海外からの観光客が半分ずつを占め、国内は聖州(二七%)、海外は米国(一二%)からが最も多かった。観光客のほとんどは一週間以上滞在し、一千から五千レアルを費やすといいます。
今回も話題性で沢山の皆さんの参加を期待していたのですがやはり常連の皆さんの発言が中心になってしまいました。ご協力本当に有難うございました。
ニッケイ新聞にカルナヴァルと日系人という深沢正雪記者の3回に渡る連載記事が掲載されておりますが、第1回目の日系初のサンビスタに付いて『戦前移民が聖市最古のエスコーラで、日系初のサンビスタに――。娘に「父はボヘミアン」と呼ばれ、生年月日すら定かでない。リベルダーデの黒人コミュニティに入り込み、寝食を忘れてサンバ三昧の日々を送っていたとは、隠れた移民史の一幕だ。』と語っておられ第2回目の日系初の審査員『見ると出るでは大違い=「日本人にサンバが分かるの?」』、第3回目の日系初のカルナヴァレスカ『パレードの総監督』とカーニバルの裏話、実際にカーニバルに参加した日系人生きた話を取材しておられますので寄稿集に別途掲載しておりますので是非お読み下さい。
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