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山下晃明の【ブラジルで損せぬ法】(190)及び(191)一挙公開(実業のブラジル誌より転載)。
【ブラジルの実業】誌のロングラン連載経済論評【ブラジルで損せぬ法】の190(6月号)及び191(7月号)を掲載します。ブラジル生活40数年の経験と実業界での実績に裏打ちされた独特の切口が冴えます。ブラジル経済の現状を知るには最適の解説書となります。
写真は、適当なものが見付かりませんので、山下さんの住むリオの海岸コパカバーナの絵葉書を掲載しておきます。


来年から世界中が出直し 経済再建

 続「2004年からすべてが変る」

 日本が「ジャパン・アズ・ナンバー ワン」ともてはやされ、一億総有頂天の時代に、飯田先生が陰陽学上の周期論より2004年から大変革の時代になり大不況になると予言した。
 よしんばそうなるとしても、現実問題として、この世界的に動く巨大な経済システムが一体どのように崩壊するのか誰も理解出来ないのが当時の常識であった。 
 一発のテロ事件が世界経済を震撼させる。9.11事件はまさに誰も予想しなかった。相手国の旅客機をのっとりそのまま自爆機にして北米の中枢を攻撃したことで、世界同時不況への引きがねになった。  
 その報復にブッシュ大統領という男が立ち上がる。平時なら受け入れられない過激な政策がテロへの報復のために歓迎されるのである。 
 テロ不安で旅行業界が不況になった。航空会社、観光関連業、飛行機産業、旅行者減によるホテル、レストラン、商店に至るまで実に広くの業界が被害を蒙っているが、表には出ないそれ以外の分野も広範囲の長期打撃を受けたことになる。
 日本の場合、それ以前にバブルがはじけて、護衛船団方式の官民一体の大規模商法は、すでに行き詰まっていたが、米国でもエンロンに始まる巨大企業の破綻が相次ぎ、 銀行の融資はこげつき、土地と株価の値下がりで担保価値が下がり、大銀行もあっというまに破綻、銀行再建のための貸ししぶりで、さらなる企業が行き詰まる事態となった。
 結果論より見れば巨大な経済もあっという間に没落するのであり、巨大な戦艦大和に乗っていた人は、マサカこの船が沈むとは思っていなかったに違いない。

 危機時の国家の思想変化は思ったより早い

 一昔前ならば、戦争を放棄した平和憲法と野党の猛反対で国会審議すらできなかった自衛隊の海外派兵が、アフガンのテロ討伐ですんなり国会を通り、日本に変化が起きている。
 日本が参戦方向に進むなど考えられない筈だが、この数年の変化は明らかに国家権力が頭を上げ始めている。
 9.11以後はアル・カーイダ討伐、テロ国家イラクへの報復措置、不審船事件から金正日の拉致確認、原爆開発宣言以後は北朝鮮への報復措置、有事関連法案など着々と国家権力が力を戻し始めているのである。 死刑法を一度廃止しても、殺人犯が世にはびこれば死刑法はすぐ復活するのと同じ理屈である。
 SARSのごとき感染力が強い危険な流行り病が出ると、中国国家機密指導力でも崩壊する。非常事態になると世界の助けを必要とし国内の秘密の保持が不可能になり政治思想なども無意味となる。
 流行り病の対応は、現在の自由主義組織では対応できず、19世紀的、強力な官憲による隔離手法しか有効でなく、悠長に会議などしている時間はないから、強力なリーダーの即断即決で厳格に実行、すなわち好まずとも警察国家化的組織が出来あがる。これは戦争への道でもある。大隕石の衝突など、地球破壊で全人類滅亡につながる緊急事態になれば、世界は思想や経済力の差があっても、強力有能なリーダーのもとに、瞬時に一つになって対抗手段を考えるだろう。所詮思想の衝突や議会での議論などは平和時の遊びに過ぎないのである。

 自然の仕返し

 ビールスに対して抗生物質で対抗すると、ビールスの方が耐性を作って生き残ろうとする自然力。害虫に防虫剤を使用すると害虫に抗生が出来て効かなくなる。さらに薬品を強力にするとそれに人間がやられる。
 アマゾンの熱帯雨林は非常に多種の植物より成立しているが、植林などで種類を一種類にすると病気などに弱くなり、枯れてしまい植林を決行した人類に仕返しをする。
 自然界にはもとより害虫とか疫病菌とかの区別はなく、本来は毒も薬もすべてが共生するシステムなのである。従ってシステム破壊には自然の防御すなわち仕返しが起きるのである。
 グローバル資本主義経済は究極的には勝者は世界で一人になる経済で、それに乗れない規模の国や人は全部反対する運命にあるが、全世界共生システムではないから、自然の防御すなわち仕返し力が動く可能性がある。
 環境問題も自然破壊が行きすぎると自然の自動防御システムで大雨や、洪水、大地震、噴火、気候急変化などで是正される可能性がある。
 その時の人間の役割は何か、一人一人の人間の体内にもそのプログラムは組み込まれており、病菌を抗生で防いだり、病気を自力で治療したり、動けぬ花の花粉を運ぶ自然のトランスポーターとなって花を舞う蝶の様に、人間の脳が自然に対し、本人が知らぬ間に、何らかの役割をさせられることもあるだろう。 その時代にマッチしたタイプの人間が自然によって選択され、世の中を変えていく役割をするのである。
 
 歴史の変化の因果関係・北朝鮮

 イラクのフゼインともう一人歴史の変化の役割をしている役者がいる。 
 バクチが禁止されている日本で、北朝鮮を支えるパチンコが容認され、その上がりの送金で、金正日はあらゆる武器部品や製造施設を日本から調達してミサイルを製造し、これで日本や世界を脅してきた。 
 現在、厳格な船舶検閲、税関取締り、貿易規制や外為規制などを実施することが検討されているが、これは日本が厳格な警察国家に一歩戻ることを意味し、追い詰めるとそれがまた相手を刺激し逆恨みで破壊活動に走るから、この傾向は更にエスカレートするだろう。
 元々その結果を招いたのは、この時代に出場した金正日のテロや瀬戸際外交がきっかけに間違いない。間もなく舞台から降りるだろうが彼も歴史を変えた役者なのである。

 かくて歴史は繰り返される

 悪いと分っていても、またやってしまう人間の悪癖は歴史にもあるようで、個人がいかに正論で反対していても、自然力というか見えない大きな力が世の中を変えるようなリーダーを選びだし、その時代の人間の考え方を変えてしまう。 
 現代はIT技術と呼ばれるインターネット網出現により、政治経済の体制の変化を加速させていることは間違いない。ITの合理化とは限りなく情報コストがゼロに近づくことであり、情報のスピードが早まるほど通信量が増える。  
 国家権力が力で情報を隠蔽しようとしても、瞬時に世界中に伝わる情報網で密告が増えるのだから秘密の維持が不可能になる。
 90年前の未年と申年の間の土用クレパスに、世界恐慌や世界大戦が起き、酉年の原爆で日本は国家の様相を変えた。
 国家が力を持つと、経済破綻を隠蔽する技術が高進し誰も止められなくなる。これの歯止めは、戦争、天変地異、カタストロフ的出来事で世界を原点に戻す自然力しかない。伝説かもしれないがノアの箱舟もこの一例だろう。
 新時代とはまず過去の清算であり、独自創造と新生創造である。
 原点に戻るとはパソコンのリセット、すなわち御破算にすることで、多くの人民が貧乏になり、生活の糧がなくなることである。
 人民が美麗な生活に酔ったローマ帝国の滅亡の歴史と同じだ。

 2004年から世界中で一斉出なおしの基調

 アフガンは国際社会により再建策が検討中である。
 イラクはまだフセインと大量破壊兵器が行方不明で危険で本当の終戦とはいえないが、来年からは再建基調になるだろう。
 イスラエルがパレスチナ和平を合意してパレスチナも再建基調。
 EUもようやく統合基盤が整い経済的にはこれからスタート。アルゼンチンも新大統領によりこれからゼロよりの再出発。
 ブラジルもこれから年金法、労働法、税制改革と根本改革から再スタート。
 日本も不況抜け出し再建へ。今日のニュースで国産新旅客機とそのエンジン開発のメーカー決定、また掃除ロボットの発売などが出ていたが、まさにこれが日本には必要であったので、地方のダムや道路、リゾートホテルやゴルフ場の建設で土建業者を儲けさせることから漸く脱皮を始めた模様である。
 ロシア経済立て直しも実質はこれからだ。
 アメリカも双子か三つ子の赤字を根本的に解決せねばならぬだろう。
 偶然とはいえ、世界中一斉に新経済で再建の時期に入る国家が出現する。
 今の時点の再建には、過去のシステムは良くなかったの思想が働くから、新教育、新社会、通信施設なども最新のシステムを持ち込むだろうから、世界中がインターネット秘密情報暴露時代になるのは間違いない。
 
 ルーラの蔵相
 
 4月の支払い手段、増加率マイナス2.9%が発表された。なんと4ヶ月連続減少で、昨年8月の水準に戻って過去12ヶ月で13.1%増である。
 一方、家賃調整などに使用されるインフレFGV-DI指数で過去12ヶ月は依然32.37%であるので、5月末は値上げ攻勢を控えていることもあり、今ここで緩めると年10%のインフレ目標が危うくなるので、公定金利を下げないなど、モネタリストとしての腕前は、パロッシ蔵相はマラン以上に厳しい。
 ルーラは有能な蔵相を見つけだしたもので、PTの大衆迎合路線には適っていないだろうが、この人が追い出されない限りブラジルは安泰だ。5月30日の報道によれば税制改革も最初の難関、改憲法務委員会CCJを47対2で通過と幸先は良い


これだけ良くなったブラジルのマクロ経済

 ルーラ政権の経済政策を評価
 
 ルーラ政権の経済政策を評価する。歴代新政府で、政権引継ぎ時のインフレ高進傾向を、物価凍結や奇策なしに、止めて下げたのは初めてではないだろうか。それにしても良すぎる。ブラジルのC-BONDは一時92.88%に跳ね上がり、ドルーレートは2.855に下がり、ブラジルリスク指数は昨年9月に2,440ポイントに高騰したのが、691まで下がった。
 貿易収支も記録の黒字を続け外貨準備高も増えている。6,7月の電気・電話料金の値上げをインフレが暴走しない水準に抑えて、改憲の確実性が見えてくると ブラジル株は買いになる。しまいこんでいる進軍ラッパを取り出す必要がありそうだ。
 現在様子見をしている外貨直接投資が入り始めれば、その他の問題、GDP比で税負担率が高すぎる、金利が高すぎるなどの是正は、ルーラにとって至って簡単な人気政治となる。
 税制改革と社会保険改革は改憲のため上下院でそれぞれ計4回の採決が必要で、現在いずれも最初の下院の憲法法務委員会を通過した。  
 修正案が増えるほどに原案は骨抜きになるが、常に反対の最大勢力であったPTが政権の時しか改憲実現の可能性は無いので、正にブラジルにとって最大のチャンスである。
 ルーラは去る4月末に年金と税務改革の法案を国会に提出したとき大勢の州知事を連れて国会に訪れて手渡すなど、マスコミ対策としても、この日本的にいう根回し行為も今までの大統領には無かったことをしたが、さらに特筆できるのは、前大統領は学者であったが、ルーラは労働党の親分であったので、相手を脅迫するすべを知っており法案に反対するPT党員は役職から罷免するなどと威圧的である。

 金利問題

 最近ちょっぴり公定金利を下げた。現行Selicの26%は過去のインフレを考慮した実質金利だと7.76%で安い、未来のインフレを考慮した実質金利だと16.93%と高過ぎることが論議されている。下げると短期外資が入らなくなり、経済が過熱しインフレが進む、上げれば外債の金利がかさみ、短期の外資に多大な金利益を与えてしまうのがジレンマだろう。
 いずれにしても、現時点ではインフレ沈静を最優先目標とするルーラ政権経済政策は、外から見ると妥当と思うのだが、選挙公約の1000万雇用には程遠いし、与党内部の抵抗勢力や国内企業家はそれをまったく評価していない。 
 1-3月のGDPが下がったのでデフレ不況になると、パロッチ蔵相への圧力が高まっている。ルーラが周囲の圧力に屈して蔵相更迭などしないように祈る。

 ALCAは米国にとって救国政策

 対外政策ではブッシュ大統領にALCAを2005年開始の圧力をかけられたようだが、ブラジルが読み間違ってはならないのは、米国にとってこれは単なる経済部門の政策ではない。 
 双子三つ子の国家財政の赤字と、頻発する軍事行動戦費のツケを貿易で挽回する必死の国家戦略である。従ってこれに逆らえば、敵国とされるだろう。  
 ALCAを受け入れはMERCOSULや中南米諸国の大統領らの意向に反することになるので、今後のルーラの言動を見守る必要がある。

 IGP-DIの過去インフレ懸念

 5月のFGVのIGP-DIが発表された。 実に-0.67%と立派な数字である。過去12ヶ月の累積は30.05%になる。
 一部の物価、家賃や電話料金、電気料金などがIGP-DIで調整されることになっており、6、7月には電話代や電気代が調整される。6月以降のインフレをゼロとして試算すると、6,7月の過去12ヶ月の累積インフレは25-28%になる。この指数で調整すると13%しか調整していない給料賃上げに飛び火してしまう。
 6月24日の新聞報道では、パロッチ蔵相はインフレ指数を過去12ヵ月11.59%のIPCAにすりかえるか、または三分割値上げにして本年は14-17%の値上げに止めるとか画策しているが電話会社は反対している。  
 要するに過去のインフレを調整するか未来にインフレで調整するかと言う選択である。さてルーラ政権は一体どのあたりで妥協できるか9月までが正念場だ。

 月間インフレ 同過去12ヶ月累計
Jun-02 1.74    9.71
Jul-02 2.05    10.18
Aug-02 2.36    11.77
Sep-02 2.64    14.28
Oct-02 4.21    17.40
Nov-02 5.84    23.31
Dec-02 2.70    26.41
Jan-03 2.17    28.92
Feb-03 1.59    30.73
Mar-03 1.66    32.75
Apr-03 0.41    32.37
May-03 -0.67    30.05
出所IGP-DI
6月以降月インフレをゼロとしての試算
Jun-03 0.00    27.81***
Jul-03 0.00    25.24***
Aug-03 0.00    22.36
Sep-03 0.00    19.21
Oct-03 0.00    14.39
Nov-03 0.00    8.08
Dec-03  0.00    5.24
 
 続2004年からすべてが変わるの兆候

 2004年からすべてが変わり、この7―8月にその触りがあるとすると、画期的な時代変化の兆候が、そろそろ見えて来るはずである。最近の技術商品で最近のニュースを拾ってみる。
 テロや大災害、疫病などの突発事件発生の可能性を別にして、ルネッサンス的思想大改革が起きると考えると、そのシナリオとして考えられるのは、過去のシステムを無価値にするほど画期的な出来事である。何か人類の根元にふれるような科学の発見で、新思想が出現してそれに従い教育も政治も変わるとか、まったく新しい攻撃手段か防御手段が出現して現行の軍事力、武器を無価値にするような事態が起きるかも知れぬ。 ルネッサンスに見習うなら最初は文芸界に新思想が出てくることになろう。

 8月にセルラーが固定電話を抜く

 この8月にブラジルのセルラーが固定電話の39百万台を抜くとベージャ誌に載っていた。おそらく世界的な傾向だろう。
 世界が大きく変化して「個」に時代になるには道具としてまずセルラー電話が上げられる。一人1台持つようになると企業の固定電話は代表があれば、後は不要となる。固定電話はこれから減るだろう。
 後2-3倍セルラーが増えて成人一人1台なれば電話番号に身分証明番号、カード番号なども結びつけ、将来カードを廃止してセルラーの方を主にすれば、選挙、納税、買い物、銀行口座管理、支払い、送金、予約、定期乗車券など何でもセルラーでできるようになる。
交通違反など毎日写真が送られて罰金自動払い込みになるのは困るが、情報は表も裏も 飛びまわり、忙しい時代になりそうだ。
それで汚職や不正が減らせるかどうかは別にして、内部告発、秘密暴露が当たり前になりそうだ。デジタル時代になりテレビが見えるのは当たり前、カメラが付いているのは当たり前の時代となろう。
6月18日の日経紙に「携帯電話による買い物代金の回収代行」の記事が載ったが日本のKDDIは、携帯電話を利用して買い物をするモバイルショッピングの料金と携帯電話料金を合算請求する試験サービスを7月3日に始めると発表した。セルラーがカードを駆逐するのは画期的な出来事である。

 高速インターネット網
 
 ブロードバンドは日本では1200万加入を達成とか、ブラジルでもスピーディなどがあるが、高速インターネットを一日つなぎっぱなしが当たり前になるのは時間の問題だ。 検索で実に豊富な情報が世界中から手に入る。 学生が全員インターネットを持つと教育関連の書物の売れ行きに影響するのは必至であろう。

 ロボット

 工業用ではいくらでもあるのだが、家庭用電化製品として掃除ロボットが発売された。これを機に続々特定の作業ができる家庭用ロボットが続々発売されるだろう。

 ICタグ

 もう一つ17日に日本の170社が物流管理のタグをバーコードから無線ICチップに変える実証実験を7月から始めるという報道があった。
日本の標準規格が世界標準になるかは別にして、ALCAなどが動き出せば、関税引き下げと同時に、新管理システムは国際的なかんばん方式や、流通統合システムなどにも応用出来、この技術とアイデアは将来の流通を根本から変えることになるだろう。



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