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山下晃明のブラジルで損せぬ法 193,194 【実業のブラジル】より転載
山下 日彬 さんは、日系コロニアにおける健筆家の一人で月間誌『実業のブラジル』に【ブラジルで損せぬ法】を連載しておられる。このHPでも彼の連載を今年の1月から掲載しております。今回は、9月号の第193回と10月号の第194回とを掲載して置きます。
先月末リオに出向く機会があり忙しいスケジュールの中を縫って夜の10時過ぎから夜中までBARRAのホテルのテラスで久し振りに話し込み話が弾みました。このままではブラジルの日本移民が形成するコロニア社会は、衰亡の一途を辿る。ここで何か国家プロジェクトに値する大きな事業を考え出す時期に来ている。ブラジル移民100周年も形だけのお祝いに終わらせず20年先、50年先、100年先にもこれは日系コロニア、日本がブラジルに残して呉れた事業であり功績だと認めて貰えるものを作り出し残して行かなければ成らないと熱っぽく語る彼には万年青年の情熱と哲学者のような風貌を感じました。日本と食料基地としてのブラジルを繋ぐ経済協力、大豆、コヒー、鶏肉等の輸出回廊施設、第2のウジミナス、イシブラス、セニブラ等新しい形の国家プロジェクトを皆で考えて行く必要があると檄をとばす。彼の論法に耳を貸す時期に来ていると思うのは私一人ではない筈です。
写真は、リオでお会いした時に撮らせて貰ったものです。


【ブラジルで損せぬ法】193 9月号掲載分
遠慮無く日本に投資を要請しよう
 現職の発言
 少し古いが8月5日のサンパウロ新聞の赤坂総領事のコロニアへの提言「新しい制度をスタートさせ10年20年先の交流の計画を」が気に入って切抜きを保管しているが、現職(当時)総領事発言としては評論家的であるのがちょっと気にかかる。
 大きな事業を推進するには、アイデアを出す人、どうすればそのアイデアが実現できるか指導することの出来る人、金を工面して実行する人と必要なのであって、現職の総領事は、どうすればそれが実現できるかを日本政府として指導できる立場の人であり、単なる評論家であってはならないと思うのである。  
 2-3世のリーダー的日系人が定期交流討論できる座をスタートさせて置き土産にして、ブラジルを離れても本格的に協力するというのであれば素晴らしかったと思う。
 日系と言うからには、やはり日本が主体である。ブラジルは外国の資金と技術を必要としているのであり、ここに住む日系人としても、日本が何かもっと眼に見える形でブラジルに大型投資を始めてほしいと願うものである。
 日本との協力事業にしても過去にあった製鉄所、造船所、セラード開発以外にも水産や大農業実験基地をつくろう。食料大供給基地をつくろう、新コチア大産組を作ろうとか、新幹線や、リオで話しのあったHSSTを持ってこよう など、始めに思いつきかアイデアが必要である。金も技術も日本から全部持ってきてもらうことを別に恥じる必要はないと思う。現在のコロニアがこれを要望する元気さえ無くなってしまっているのが真に残念である。
 最初は突拍子もないアイデアでも、進出企業の上にいる人や政府関係者がどうすれば日本の協力が得られて、実現できるかを手取り教えて、例えば昔であれば、日本政府から金融機関に協力させる形態が取られるなどのステップを踏まないと、ブラジルへの日系の大きな新事業は実現しないだろう。
 ブラジルへの大型投資、過去に護衛艦隊システムが機能していた頃は、ある有力な政治家が何かをやろうと決める。政府が後押しするからと金融機関に金を出させて官民一体で海外投資も可能であったが、バブル以後はそのような大物政治家がいなくなった。政府が後押しをしても資金力のある銀行が無いので実行が出来なくなった嫌いがある。今は日本政府よりも、日本国民の方が金持ちで、場合によっては日本以外の国の出資協力を仰ぐ手もあると思われるが、いずれにせよ最初にアイデアが無ければ前に進まないのである
 人の財布のことはほっとけといわれるだろうが、世界には日本ほど金あまりの国は無いのである。平和な日本では、資金を集中せずに均等化してしまい、子供までが金持ちで、日本の子供の一万円はブラジルの子供が10レアル程度を使う価値観であろう。本人は気付かずに贅沢な出費をしているかも知れない。裕福なところの国民には地球レベルの将来のために投資する義務があるものと定義すると、日本国民はその義務をはたしていないことになる。例えば仮に5000万人が一人毎月一万円の出費を節約し、未来のために国外の何かに投資することにすれば5000億円すなわち毎月43億ドルの新プロジェクトが可能になる。
 逆の見方をすれば、今の日本人は将来の食料か環境か何かに外国に対して本当はしなければならない海外投資を国民が無駄に使ってしまっているかも知れない。

 ルーラ政権
 
 高インフレの再来はどうにか切りぬけた模様である。年金改革も税制改革も憲法改正に向けて動きだし、未来インフレを10%程度に治める見通しを立て、selic金利を22%水準に下げた。外貨直接投資も7月は12億9000万ドルと年内最高となり、過去12ヶ月の累計では、まだ昨年同期の60%と少ないが、ブラジルが見なおされて、少し外貨も入り始めたように見える。真剣なルーラ政権への協力として、日本も何か対ブラジル国家事業を開始する時期ではないだろうか。

 2003年7、8月の歴史のクレバス

 2003年7、8月に歴史のクレバスがあり、風向きが変わり2004年からの大革新が見えてくると自然法則学会の飯田先生の説だが、歴史的大改革であるからには過去を葬り、未来への新しい動きがある筈、変革の兆候的現象はないかと7、8月の報道をメモしていたが、あるはあるは多すぎて書ききれない。

異常気象
*世界異常気象・ヨーロッパは30年ぶりの異常高温、平年を15度上回る、フランスのみで一万人死亡、ヨーロッパ各地に被害
*日本でも台風十号猛威、史上三番目の風速。死者8名不明9名 負傷84人、室戸では30年ぶりの大台風。
*南極上空にオゾンホール出現2000年につぐ規模
パソコンヴィールス多発
*新型ヴィールス ラブサン、MSブラスターに始まる(8/13)新型ヴィールスが出現、世界的に猛威をふるい57万台が被害、カナダ空港チェックインが麻痺、ソービックFと言うのも出て米鉄道信号システムなどがダウン。8月19日日本の核燃料サイクル開発機構も感染、世界で30万台が被害。
NYC大停電
*NYCからカナダにかけ大地域停電・5000万人が被害、21の発電所が麻痺。先進管理システムの脆弱さを見せた。
過激テロ続発
*バクダットのヨルダン大使館で爆発、11人死亡32人負傷(8/7)。
*バクダット中心部国連施設で爆弾テロ、セルジオ特別代表含め23人死亡、50人負傷(8/19)。
*イラク石油パイプライン爆破(8/16)。
*パレスチナ過激派ハマスはイスラエル領内にロケット弾4発迫撃砲15発を打ち込む。
*イスラエル軍ガザ地区でミサイル攻撃しハマス幹部殺害(8/21)。
*チェテェンで爆発テロ、ロシア兵9人死亡,武装勢力18人死亡。
*ジャカルタ米系ホテル爆破で死者10名負傷152人。
*インド西部ボンベイ市2ヶ所で爆弾テロ45人死亡150人負傷(8/26)。
ドルの危機
*アメリカの2003年上半期の貿易収支は2443億ドルの赤字、通年で5000億ドルになる。国別では1位中国540億ドル2位日本323億ドル(8/15)。
*米国の財政赤字は2003年3000億ドル赤字予想、2004年はブッシュの追加減税で3400億ドルの赤字になる見込みを、更にイラク戦費1000億ドル負担の上、月に39億ドルの駐留費負担となる。毎年何千億ドルの赤字に米国民と米議会は何時まで耐えられるか。
戦争危機
*ブッシュが公然とイラン・シリアを非難。
*イラン・射程1300KMミサイルを実戦配備(7/20)。
イラクの泥沼化
*フセイン息子ウダイ・クサイ兄弟が射殺さる。
*終戦後の米兵死亡者53人を越える。
*米国が国連へ各国部隊派遣の国連決議案準備(8/20)。
北朝鮮の危機
*北朝鮮二箇所で核燃料棒のクリプトン85を検出(7/11)。
*金正日が中国政府特使と会談(7/14)。
*北朝鮮6ヶ国協議8月末開催。
アジアの危機
*香港で中国の国家安全条例制定反対運動(7/13)。香港と本土共産主義との戦い
新技術発見
*素粒子で新発見、従来の常識を覆す発見、素粒子の働きに未知の粒子が関与、現在の基本素粒子論を変える必要(8/12)。
日本の動き
*イラク復興支援特別措置法強制採決(7/25)。
*国が東海地震に備え震度予想マップを作成(はじめての試み)。
*宮城県連発地震(7/26)。
*東北地方十年ぶりの凶作を予定(8/5)。
*自由党と民主党の合併(7/22)。
*日銀の資産担保・保証券の買い入れ開始、54行から(7/25)。
*金融庁より大手5グループ銀行と10地方銀行へ業務改善命令(7/31)。
異常社会現象
*子供の殺人犯
*デジタル万引き
*子供を巻き込んだセルラー犯罪
社会変化
*見かけでなく本物を求める時代
*平和教育の理念と方法の見なおしが必要。「平和教育が情緒的な反戦(8/14読売社説)。意識の形成に主眼を置いてきた。現在の価値観で歴史を断罪することではいけない」など過去には言えなかったことが公言されるようになった。
改革への潮流
*司法制度改革(8/4-8/5日経一面特集)。
*農業ルネッサンンス (8/6-8/7 日経一面特集)。


【ブラジルで損せぬ法】194 10月掲載分
日系総力戦・作戦参謀頑張れ
 遠慮無く日本に投資を要請しよう。先月号につづき、調子に乗って繰り返す。筆者のように評論家は口だけだから生意気なこともどんどん言える。
 今国別の海外投資のフィジービリテイ・スタデイをするとする。 インフレは収った。
 年金改革と税制改革は近く軌道に乗る。
 大型消費市場が地元にある。
 大商工業の基盤がある。
 輸出も順調で輸出産業の基盤がある。
 季節が北半球と逆。
 世界一の水と豊富な土地がある。
 太陽光線が一年中降りそそぐ。
 豊富な鉱物資源がある
 人材豊富、さらに百万の日系人がいる。
 今のブラジル以上に好条件の国が地球上に存在するだろうか。
 進出企業の社長さんにお願いする
 2世3世を通訳や法律経理顧問に使おうとするなかれ、これは例え肩書きを重役にしても、通訳兼便利やに使うのと同義であり、長い時間で見るとコロニアの人材つぶしとなる。
 ブラジルにおける日伯の掛け渡しに活躍できる貴重な草の根日系人だと評価して、ブラジルの政界財界へのアプローチ役を見つけ出し、またはそうなるように誘導指導協力して本社のパートナーとして使え。
 逆に2世3世の方にもお願いする。進出企業で働くのも良いが、単なる通訳兼便利屋で終わるなかれ。自分の言語力、学友、友人知人のすべての才能と人脈を生かして、ブラジルの政界、財界との結びつきを深めて、日本からのブラジルや中南米への国家規模プロジェクトの掛け橋になれ。 
 この仕事をまかされれば派遣されている日本人より遥かに上手に仕事が出来ること間違いない。この意味でこれほど人材の多い国は地球上にも少ないのである。
 日系コロニアは衰退などしていない
 日系コロニアの衰退が嘆かれているが、日系コロニアは決して衰退などしていない。むしろ今もドンドン増え続けている。衰退したのは戦前移住の2世と戦後移住の1世とその社会だけである。
 考えてもみよ、戦前移住の2世、1945年生まれでも58歳と高齢化しており、共通することは古き豪傑的日本人と振る舞いが良く似ており、残念なことにE-MAILなどIT時代への順応度はあまり高くない。
 戦後移住の1世は1959年頃がピークで1965で 事実上移住は終わっているが、1965に20歳として現在58歳と、何れも企業なら定年の年代である。衰退は当たり前である。
 統計学上の日系人120万人の内27万人が出稼ぎに行ってしまったとしても、93万人残っており、さらに40万人くらいが老齢化したかもしれないが、まだ50万人以上残っている計算になる。
 20万人のエリート族
 興味あることは戦後移住者は子弟を一流大学に入れているが、日系コロニア社会に接近させていない人が多い。始めからアメリカンスクールなど外国系の学校に行かせた人もいる。息子よ、おまえは優秀だからブラジル人として堂々と働けと、一世が自分の出来なかった夢を託している場合があるのである。
 心理的には戦前の1世が頑張りすぎていた所為か、戦後の親が受けた文部省教育の影響を受けすぎたかは知らないが、子弟の教育に日本語よりもブラジル語や英語など外国語に力を入れた人が多い。
 仮に戦後移住者が自分の子供の中から一人づつでも20万人はエリート族がいる筈で、この人達は出稼ぎにも行かないし、日語新聞などはまったく読みもしないし、日本語は親との会話程度できても恐らく、ブラジル社会で日本語を知らぬことにしているのである。
 人口比率より遥かに多く活躍する日系人
 最近アルカンタラ宇宙基地で起きた不幸な22人技術者の爆死事故でも2人の日系技術者がいた。ITAの卒業生にはかなりの数の優秀な日系技術者がいる。
 ブラジル銀行や中央銀行でも重要な計数部門には日系人の人口比率よりは遥かに多くの日系人が活躍する。欧米系企業や政府内にも多くの日系人が活躍する。
 これほど豊富な予備軍はない
 これ以外に、重要な予備軍として、駐在員を止めてブラジルに住みついた人達、高齢でもITに順応して世界の知識に強く、日本との人脈もあって精神年齢の若い人が多い。
 駐在員の子弟でブラジルで育って、帰国後日本などで大学を出て官庁や大企業に就職した人たち。
 日本に住むブラジル帰りの駐在員OBたち。
 県費留学生などで日本で勉強したことのある2世たち。
 そのうちに、出稼ぎも27万人もいれば、犯罪を起すヤツもいるだろうが、その子弟で日本の大学を出る優秀なのも出てくるのではないだろうか。
 さらには日本文化に好意的な非日系人達も多くいる。このすべてが予備軍である。
 あなたが優秀な作戦参謀なら、これをまとめて総力戦を挑むべきである。
 国際戦略の重要拠点としても
 最近国際戦略の重要拠点として多国籍企業がブラジルに注目し始めている。アジアと統合製造の米自動車工業や韓国系電子工業、フィンランド系電話機工業、ドイツ系電話機工業などが海外1、2位の規模の工場をブラジルへ持ち込み始めた。
 いかに人件費が安くとも、全面中国依存では、将来政治異変など勃発的事件が発生したときの、危険分散の為の南米の活用を本気で考えている工業は、ブラジルに基地を作りつつある。
 日本にとっても食料供給基地や燃料供給基地が必要ではないだろうか。
 移民100年祭に記念碑など立てるな
 移民100年祭には記念塔や記念庭園など冗談ではない。日語学校の校舎をいまさら建設するのも無意味だ。断っておくが筆者は日語教育に反対はしていないが校舎の建設には反対なのである。
 移住100年祭事業としては、日本とブラジルの政府と日系人の総力を上げて日伯国家レベルのプロジェクトを実行する機運を作り出すのが良い。 
 何度も言うが、遠慮無く日本に投資を要請しよう。「日伯」というからには、日本から意義ある規模の、ブラジル人の目に見える形の投資がなされてなければ、ブラジル人は「日」を認識しないのである。
 そのために、先ずブラジル人も含めた応募者の日伯国家巨大プロジェクトのコンクールを日伯民官共同で行い、大々的に発表して、ぶち上げてみては如何と提案するものである。
 ブラジルの誇る優れた技術
 ブラジルは意外とハイテク国である。
 有名なアルコール自動車用エンジン。
 アルコール燃料飛行機EMB202 イパネマ号世界初飛行がある。歴史的に、飛行機はサントス・ヅモンによる14-Bis号が1906年世界初飛行となっているが現在のEMBRATELのEMB145小型ジェット旅客機は世界的に有名である。
 航空宇宙技術にはサン・ジョセ・ドス・カンポスの空軍と航空技術学校などの総力を上げて取り組んでおり、ここだけ見るとブラジルは発展途上国ではない。世界で8番目に自国ロケットによる衛星打ち上げをねらう国である。
 デジタル・IT技術でも世界1,2位を競うものが多い。所得税申告のインターネット化、銀行口座預金インターネット転送、各方式のTV信号伝送技術などでは先進国より先を行く技術も多い。
 独創的デザイナーの多いブラジル
 独創的な建築デザイナーにブラジル人が多い。国連ビル、MASPビル、リオニテロイ橋などがデザイン的にも技術的にも有名だが、特筆すべきはブラジル人のデザインと色センスである。アマゾンの動植物やカーニバルの衣装に見られるごとく極めて色彩感覚に富んだ国民であり、水着や下着などファッション分野でのデザインを中心とした部門は成功している。これはツバメとすずめしか居ないアジアでは培われない色彩感覚であり、コストが安いだけの中国より一歩先を歩んでいる。
 また輸入した高度の小パーツにブラジルのデザインで外装を施した大型商品、本誌7月号の歯科医のイスや観光バス輸出成功例などその典型であろう。



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