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どこに行く日本移民100周年? このままで良いのか? ニッケイ新聞記事より抜粋。
先週の土曜日4月3日に日本文化協会でブラジル日本移民百周年記念祭典協会(上原幸啓理事長)の臨時総会が開催され『日伯総合センター』建設案(建設資金7千万ドル)及び第二案、第三案、第四案の優先順位付で4事業総工費1億三百八十万ドル(約百九億円)を百周年事業案として決定したがその決議方法が、広く一般に議論することなく、一部の人々の思惑で決められた感が強く十分なる討議を経たコロニアの総意としての決定でないとして今後の実施に余りにも大きな事業計画であるだけにその実現そのものを疑問視する良識者が多いと指摘している。4月6日付け100周年事業4案=予算総額は109億円=『日伯センター』優先七千万ドル、100周年総会=疑問の残る決め方=コロニアの総意どこに、100周年=『アルモニア学園』急浮上=『日伯学園構想』再び沈没、更に4月8日付けで、100周年「文協ビル売却」?=吉岡発言に援協憤り=「理想ばかり 現実知らない」=祭典協会への批判噴出と4回に分けて百周年関係の記事を掲載しております。我々ブラジルに住む者として避けて通れない大事な問題だけに今後の成行を見守って行きたい。
写真は、戦後移民50周年祭で移民讃歌を高らかに謳いあげる井上祐美さんです。


100周年事業4案=予算総額は109億円=『日伯センター』優先七千万ドル --------------4月6日(火)
 四月三日午前十時から開催されたブラジル日本移民百周年記念祭典協会(上原幸啓理事長)の臨時総会で、メイン事業は分野別に四案が承認され、予算総額一億三百八十万ドル(約百九億円)というコロニアにとっては天文学的な数字となった。優先順位が付けられ、一位は予想通り『日伯総合センター』で、そのための建設資金七千万ドルが集まり、「さらに余裕ができれば第二優先案、第三」(吉岡黎明プロジェクト委員長)という順位が付けられた。広く一般に議論をすることなく、一部の人々の思惑で決められた感が強いだけに、盛り上がりのないまま、今後どれだけ協力者が集まるかが注目されそうだ。
 決議された百周年事業案は優先順位順に、社会文化分野の聖市枠では(1)日伯総合センター(ブラジル日系研究者協会=総予算七千万ドル)、社会文化分野の地方枠では(2)聖州北西部総合文化施設(ノロエステ連合・第二地区=約七百十万ドル)、教育分野では(3)アルモニア学園高校部校舎建築(サンパウロ学生会=百十万ドル)、健康分野では(4)サンタクルース病院増築計画(同病院=二千五百六十万ドル)。
 会場となった文協小講堂に集まったのは、正会員団体六十のうちの四十団体代表者。それ以外に、同数程度の関係者や傍聴者が集まった。
 岩水マリオ祭典協会専務理事による議事進行は終始、ポ語中心に行われた。事前に広報されていたのは、「メインの事業を一つ決める」(吉岡委員長)ということだけで、臨時総会の場で「社会文化」「教育」「健康」に分かれてそれぞれ選ぶことが発表された。
 各案ともに「日本文化の普及・継承や日本語教育」を強調するプランだが、総会の最中、重要な提案や決定事項さえも、通訳されることはなかった。上原理事長は閉会にあたり、ポ語で「一世移住者への恩は大切」と強調し、途中で涙ぐんで言葉に詰まるなど感動的な挨拶をしたが、肝心の移住者の言葉で語られることはなかった。
 また、一週間前の理事会終了時の吉岡委員長による本紙記者への説明「当日は正会員団体による投票でメイン事業が決められる」は無視され、プロジェクト委員会の採点を承認する形で決議された。
 各案十分ずつ提案者から説明されたが、討論や質疑応答の時間もなく、「承認しない方は、手をあげてください」という岩水専務理事の言葉の後、瞬時に「では承認されました」の繰り返しで、質問や議論をはさみ込む余地のない議事進行だった。
 その他、定款を改正して、副理事長団体を三十から五十に、正会員入会期限を〇五年七月までに延期するように定款を改正することが決議された。また、サントアンドレー地区代表者の変更、新しい副理事長団体として、ニッポ・カタリネンセ協会(新里エリジオ会長)、アラゴアス日本人会(谷広海代表)、サンタクルース病院(横田パウロ理事長)が承認された。

100周年総会=疑問の残る決め方=コロニアの総意どこに-------4月6日(火)
 「大事な百周年の記念事業を決める会議で、ああいう風に決めていいものか、すごく疑問が残りました」と吉加江ネルソン宮崎県人会会長は首をひねる。強引ともいえる岩水マリオ専務理事の議事進行で、予想通り日伯総合センターに決まったが、その間、全く議論はなかった。
 八案の一つ、サンパウロ日本館構想を日本語で説明した吉加江さんは、「全然議論もされないなら、何のために説明をしたのか分らない」とも。
 「上原会長が大変立派な人だから、そういう人を批判したら自分がバカを見ると思って、みんな批判しないけど、このままでは日系社会はとんでもないことになるのでは」との疑問を総会の後、抱いた。
 総会に出席した菊地義治サンパウロ日伯援護協会副会長は、「事前に一カ月ぐらい、みんなで話し合って盛上げないと、コロニア全体からの応援は得られないんじゃないかな。せっかくの百周年なのに、みんながついて行かなかったら…」と残念そうに語った。
 臨時総会の後、出席したサンパウロ総領事館の浜田圭司領事に尋ねたところ、「一般論としては“箱モノ”に政府が援助するのは難しい」との見解を示した。「具体的な内容を見た上で、検討してみたい。日本政府にも財政事情はあるので」と、あくまで冷静な態度を貫く。
 日伯総合センター企画書には、半額は「日本からの資金協力による」としている。半額の約三十五億円もの資金援助の前例はない、と同領事は説明した。
 同企画書によれば、資金確保プランの三分の一にあたる二千五百万ドルを、不動産有価証券で調達するという。投資家向けに証券を発行し、それを買ってもらって建設資金にする訳だ。いわゆる商業ビル建設ではよくある手法だが、「記念事業」となった場合はどうなのだろうか。万が一、破産する恐れのある投資物件には、日本政府は支援しないからだ。
 もちろん総会参加者の中には、「まあ、せっかくだから彼らにやらせてみよう。きっと良い手を考えているよ」という楽観的な人もいた。
 資金を集める目途は立っているのですかとの問いに、吉岡委員長は「これからの運動の盛り上がり次第だね」と人ごとのように答えた。
 上原理事長は三月二十八日のノロエステ連合定期総会で、日伯総合センター案の説明をした折、「七千万ドルは大金です。とにかくやってみましょう。どこにそんなお金があるという人がいるが、大きな夢ですよ、時間がかかることです」と美しい言葉を並べた。
 事実上、執行部の方向性を決めている重要人物、渡部和夫文協改革委員長は三月三十一日、資金調達目途に関する本紙の問いに、「目途はたっていない」と答えた。
 つまり、承認はしたものの、第一案だけでも資金が集まるかどうか限りなく不透明だ。第四位のサンタクルース病院どころか、第二位のノロエステ連合案まで資金が回るかどうか。四案の予算総額百九億円は、コロニア史上かつてない巨額なものだ。四案を通したのは、落選した提案者の批判を避けるために、便宜的に承認した感が強い。
 誰のための百周年祭典なのか? 日本語で説明されることもなく、一般に広く議論されることなく決められた決議が、果たして“コロニアの総意”なのだろうか。祭典協会のやり方に疑問が残りそうだ。協力者が集まるかどうか、今後の展開が注目される。

100周年=『アルモニア学園』急浮上=『日伯学園構想』再び沈没
--------------4月6日(火)
 「ポルトガル語ばっかりで、半分も分りませんでしたよ」。三日に開催された百周年祭典協会臨時総会の後、六十代後半のある戦後移民は悔しそうにつぶやいた。また、別の三十代の一世出席者は「ぜんぜん理解できなかった」と憤る。
 「日伯学園が落ちて、アルモニアが通ったみたいだけど、どうして?」と同戦後移民は記者に尋ねた。
 再三浮かび上がる日伯学園構想だが、今回も沈没した。しかも、先週土曜の祭典協会理事会で承認されたはずのプロジェクト委員会の採点では、日伯学園構想は二百二十点と、アルモニア学園高校部校舎の二百点よりも高得点だった。ところが総会当日、吉岡委員長の短い説明の後、突然順位がひっくり返されアルモニア案が上位となった。
 臨時総会閉会後、吉岡委員長に順位が逆転した理由を尋ねたところ、「(日伯学園は)文協ビルを使うことになっているので、このビルをいつ空けるかわからないから、後回しにした」とのこと。
 今回の日伯学園大学構想は、企画書を読めば分る通り、「文協の現状の役割・機能はそのままで、空いている時間帯のある教室や小講堂などを使って大学などを運営する」現実的な案。
 ビル全体を空けなくてもできるはずではとの記者の問いに、吉岡委員長は「このビルは将来どうなるか、はっきりしないので何も検討できない。このビルを売って、他の場所を買うことになるとダメになるだろうし。もし売らなくて済むのなら、日伯学園という話もあるだろうけど」と口を濁した。
 ビルの持ち主である文協理事会でも説明済みで、百周年理事会でも承認された案にも関わらず、突然の降格だった。
 同総合センター案によれば、文協は巨大ビルに転居する予定だ。転居後の用途に関しては今まで公の議論はなかったが、どうやら現執行部は暗黙の了解として売却も視野に入れている。
 聖市における日本人移民の橋頭堡として、ブラジル社会にも広く認知されているリベルダーデ。その中心たる文協。現執行部には、そのような移民史を尊重する気持ちもなければ、すでに部屋を購入して入居している日系団体への説明もなく、公の議論を待たずに「売却」も選択肢に入れようとしている。
 一体、誰のための文協なのか? 
 ちなみに、吉岡委員長はじめ文協の和田副会長、渡部改革委員長らはアルモニア学園の理事。
 吉岡委員長の説明を、くだんの戦後移民に伝えると、「なんだやっぱりデキレースか」と吐き捨てるようにつぶやいた。

100周年「文協ビル売却」?=吉岡発言に援協憤り=「理想ばかり 現実知らない」=祭典協会への批判噴出-------------4月8日(木)
(※ブラジル日本移民百周年は2008年の予定)
 三日に開催されたブラジル日本移民百周年祭典協会臨時総会時の、吉岡黎明プロジェクト委員長の発言「文協の建物を売却するかもしれない」が波紋を呼んでいる。百周年記念プロジェクト四案の事業規模総額は百九億円…。八十周年記念事業で日伯友好病院を建設した時、サンパウロ日伯援護協会は十五億円もの資金を集めたが、その時の苦労から、七日、和井武一会長は「一億円集めるのがどれだけ大変か。そんな額は理想論であって、現実的には厳しいでしょうな」と語った。各方面から、同祭典協会のやり方を巡って、異論が湧き出ている。
 「今の文協役員の方々は、全然コロニアの歴史を知っておられないですね」と援協の山下忠男事務局長は憤る。百周年祭典協会の中心メンバーは、ブラジル日本文化協会(略して、文協)役員が兼任しており、「コロニア御三家」(文協、援協、県連)の一つでありながら、移民史に基づかない発言をした文協に対して、援協は反発の声をあげている。
 一九六七年末に日本政府が「皇太子殿下ご来伯記念講堂」への補助金を許可した時、記念講堂下部のスペースを援協診療所として百年間無償貸与することを条件としており、その書類も残されている。また、援協では五階の半分を購入して事務所にしているにも関わらず、「何の相談も受けていない」と語った。
 「売却とかという話は、うちだけでなく、救済会やエスペランサ婦人会など、購入している団体や賃貸している団体を集めて総会を開かなくてはおかしい」。
 吉岡委員長の売却説には無理がある、との反論だ。
 一九八八年に、移民八十周年記念事業で日伯友好病院が建設された時、和井会長らは十五億円もの資金を集めた。八億円は日本から支援で、残りはコロニアで集めた。
 「自腹で何回も、何回も日本へ行って頭を下げて回りましたよ。一億円集めるだけでもどれだけ大変なことか。いろんな縁故を頼って、ようやく集めた八億円でした」と述懐する。
 今回の百周年記念事業の総額が百九億円と聞いた和井会長は、「そんな額は理想論でしょう」と断じる。「まあ、上原会長がよほど頑張らない無理だね」。上原会長は一期限り、来年は会長職を下りると公言している点を伝えると、「はっはっはっはっ。じゃあ、どうかな〜」と苦笑した。
 「ひょこっと行って『百周年です』といったところで、お金出してくれる人がどれだけいますかね。こりゃ、大変だな。長い付き合いがあってこそ、話を聞いてくれるものでしょ」。
 三階奥に賃貸するサンパウロ人文科学研究所の宮尾進元所長は、「今の百周年はやり方がまずい!」と警告する。「このビル売却なんて、何の話も聞いてない。記念事業だって、ずいぶん前から根回ししていないと、決めたはいいけど、資金が集まらなかったら何もできない」と手厳しい。
 「そんなことやってる暇があったら、文協自身を立て直さなきゃという声も聞いている。肝心の移民史料館(吉岡氏が史料館運営委員長)だって、何にも改革が進んでいないのに」。
 それに対し、吉岡委員長は、「文協ビル売却という話は、僕が個人で勝手に言ってしまったこと。理事会で具体的に話合われていることじゃないです」と言い訳する。文協副会長でもある吉岡氏の発言だけに、「個人」といっても影響力は大きい。
 日伯総合センターについての詳細が全然広報されていないが、との問いに「まあ、そういうこともありますね」と気の抜けた答えを返した。三日の臨時総会で質疑応答や議論もなく強引とも言える採決をとったことに関しては、「百周年は今までズルズルとやってきてしまったでしょ。動き出したのは、我々が入ったこの一年ですよ。みなさん集まらないのは集まらない理由があるんだろうけど、みんなの考え方を一致させるのは簡単ではない」と語った。
 できるだけ雰囲気を盛上げて、協力を集めようという意思に欠けるようだ。宮尾元所長は言う。「このままじゃ、きっと百周年は祭典だけ、ってことにもなりかねないね」。
 このままでいいのか、百周年。



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