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池田 維大使離任前の記者会見 ポルトアレグレ総領事館についても語る。日本語二紙より転載。
2年間のブラジリア在任を終えて帰国される池田 維大使がサンパウロを訪問しコロニアの各団体合同懇意懇親会に出席された。それに先立ちサンパウロ総領領事館で行われた合同記者会見の席上、我らが記者、後藤英樹記者がポルトアレグレ総領事館存続問題に付いても意見を求めたところ『ポルトアレグレ総領事館の重要性は認識しながらも、政府予算や行政的に見て、必要性の高い地域と低い地域が出てきており、在外公館の統廃合は時代の流れ、現段階では同総領事館は、検討段階にあるとし、後任の堀村隆彦大使、坂場三男中米局長に、同件に対して、詳細を引き継ぎ、地元在留邦人の思いを伝えることを約束してくれた。』との事、約束は果たして頂きたいと願っています。
写真は、昨年12月1日に行われた在伯官民合同会議の前夜、大使公邸における歓迎夕食会の席上で撮らせて頂いたものです。距離が離れていたのと照明不足で失礼ですが、ご挨拶される池田大使と左側は、田中 信ブラジル日本商工会議所会頭です。


4月21日付けサンパウロ新聞より
四月十六日、池田維大使がブラジル大使離任に伴う最後のサンパウロ訪問が行われた。
 午後四時からサンパウロ総領事館(石田仁宏総領事)で行われた池田大使の記者会見では、四年後に控えた日本人移民百周年、ポルトアレグレ総領事館存続問題、日伯関係の在り方などの現状、今後の方向性などが話された。
 同日には、日本商工会議所はじめ、県連、文協、援協など日系三団体が行った懇親会に出席。着任から約二年にわたる池田大使のブラジルでの功績に対し、各団体から慰労の言葉が述べられた。
 
 ブラジリアから、十六日、駆け付けた池田大使は、午後四時から、サンパウロ総領事館執務室で合同記者会見に望んだ。 『百周年を一つの目標に』と大使着任以来、日系社会を見詰めてきた池田大使は、三日、ブラジル日本移民百周年記念祭展臨時総会で決定した百周年プロジェクト『日伯総合センター』が「箱物」として全伯を統一する案として決定したことに対してコメントした。
 今回、日伯総合センター設立が、具体案として出ているが、総額七千万ドルの内、三千五百万ドルを日本からの資金協力によるものと日系社会で推定していることに対して、池田大使は、「日系社会から日本政府に正式に表明されていないことなので、現段階では白紙の状態である。日系社会が自助努力で何をするかは、日本政府として基本的に参同するが、実現可能な案かどうか考慮することが、大切である」と指摘した。
 「具体的に何をするのか、どういう意味を持って百周年祭を実施するのか、明確でない以上、日本政府としては、動きようがない」というのが現状だ。 
 ブラジルは、開発途上国とはいえ、先進国同等の政治、経済力をもっていることから、一般論として「箱物」に対して協力するケースは少ない。ODA(政府開発援助)ということからすれば難しいとした。
 「今後、検討段階に入るとしても、実現可能な具体案を二〇〇七年までには出してほしい。あくまで、日系社会の自助努力の上で、日本政府は協力する方針である」と池田大使は強調した。
 また、最近、取り沙汰されているポルトアレグレ総領事館存続問題に対して、池田大使は、ポルトアレグレ総領事館の重要性は認識しながらも、政府予算や行政的に見て、必要性の高い地域と低い地域が出てきており、在外公館の統廃合は時代の流れ、現段階では同総領事館は、検討段階にあるとし、後任の堀村隆彦大使、坂場三男中米局長に、同件に対して、詳細を引き継ぎ、地元在留邦人の思いを伝えることを約束してくれた。
 池田大使は、「ブラジル日系社会の存在、二十六万人と言われる日系ブラジル人の日本滞在者が、日本とブラジルの接点となり、発展していく新たな分岐点が日本人移民百年祭であり、二〇〇八年は、日伯の未来を切り開く展望の年になることでしょう」と話しを締めくくった。


「箱物への援助 難しい」=池田大使、帰国会見で=100周年事業に 〃現実〃求める=「楽観的 困る」 ニッケイ新聞より

4月21日(水)
 自助努力と現実的な計画が実現の鍵ーー。五月初旬に約二年の任期を終え、日本に帰国する池田維(ただし)ブラジル大使が十五日、サンパウロ総領事館で記者会見し、日系社会に対する思いや移民百周年の記念事業についての見解、展望などを語った。このほど祭典百周年委員会がメイン事業として承認した「日伯総合センター」についても、池田大使は日伯関係の重要性は認めながらも「あまり楽観的に考えられても困る」と資金的な裏付けが乏しい同センターを牽制。一般論と前置きしながらも「箱物への支援は難しいのでは。現地の自助努力がまずは不可欠だ」とコロニア側での資金集めの必要性を指摘した。    (リード)
 東京大学卒業後、一九六二年に外務省入りした池田大使は、アジア局長、オランダ大使などを経て二〇〇二年六月にブラジリア大使として着任。五月上旬の帰国を前に、十五日には聖市入りし商工会議所関係者や日系諸団体に挨拶。同日午後から記者会見を実施した。
 サンパウロやパラナ、リオ・デ・ジャネイロなど各地の日系団体から百周年に向けた事業計画が出されていることについて池田大使は「出来る範囲で協力したい。具体的には外務省内部で検討中」だと言及するにとどまった。
 ただ、百周年祭典協会が最優先する同センターについては「こちらの日系社会が記念となる物を造ろうというのは分かる。ただ、基本的にはサンパウロ側の自助努力は欠かせない」と強調。あくまでも一般論としながらも、日本政府からのブラジルに対するODAなどの資金援助は環境整備や教育、人材育成などの分野に限られている、として「箱物」への援助は難しいとの見方を示した。
 また、約七十億の予算のうち半額の三十五億円を日本政府に求めている現状についても、「ブラジルで無償援助の上限は一億円。ODAの枠では難しい」と明言した。一方で、日本政府がフランスに建設した日本文化センターのようにODAの枠を超えた資金援助の可能性については否定しなかった。
 百周年の基本的な考え方として池田大使は「百年のつながりは非常に重要。単に過去を振り返るだけでなく、二十年、五十年先を考えた事業が不可欠」との見解を示した上で「そういう意味で本当に日伯総合センターやパラナの計画が必要なのか。あまり楽観的に考えられても困る」と指摘。各地の日系社会で計画が林立する現状に「日系社会の総意で、現実的に可能性がある計画を早急に絞るべき」と語った。この日の会見で池田大使は「現実的な案が不可欠」との言葉を幾度となく口にした。裏を返せば、巨額な資金を要する同センターに対する疑問とも受け取れる。
 前任地のオランダで、交流四百周年の節目に立ち会った池田大使は、現段階で祭典協会が日本政府に正式な打診をしていない現状にも警笛を鳴らす。「現実的なプランを早急に政府にぶつけて、今後の折衝を進める必要がある」
 約二年間の任期で印象的だった事柄として池田大使は「ルーラ政権樹立という節目の前後に立ち会えたこと」と語った。また、世界最大の日系社会についても「数字の上では分かっていたが、改めてこの国でのたくましく存在を目の当たりにした。今後も日伯間の架け橋として活躍してもらいたい」と言及した。
 池田大使は五月上旬に帰国する。




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